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Ⅰ Family Love
1話・詩音奏
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今話だけシリアスになります。
(シリアス苦手な方は読み飛ばしちゃっても大丈夫です!)
▽▽▽▽▽▽▽▽
詩音奏。それが私の名前。
この春で高校を卒業することになっている私は、後悔しかない自分の生に思いをはせていた。
ありきたりな話だ。私はちょっと不運だった、それだけ。
私の父と母は仲が悪かった。
一見すると仲睦まじい夫婦に見えるだろうが、家に入るたびに父は母に暴力をし、母は父に暴言を吐いていた。
そんな日常は物心ついた頃にはもうそれは当たり前になっていて、私は家族の中を取り持つためのムードメーカーとして育った。
三つ上にいる兄はそんな二人にうんざりしていたのだろう。彼はどんどん家族から離れていった。
それでもいいから、と私は―私たちは家族を繕った。
本音を隠し、笑顔を張り付け、面白くもない会話を交わし合う。
―それでよかった。それで幸せだった。
けれど、やっぱり駄目だった。
家族は壊れた。
きっかけは皮肉にも私の自殺未遂が原因だった。
心の中で悲鳴を上げ続けていた私の自殺未遂は、それでもう六回目だった。
ネクタイで首を吊ろうとして失敗。投身自殺を図って失敗。
腕に切り刻まれた傷はミミズ腫れになって痛々しかった。それでもそれを割くように上からカッターを入れ続ける。
狂っている。
分かっていた。
ミミズ腫れにカッターを突き刺す狂気に同情なんて不必要で。
自分で気づいていないだけで私はもうとっくに壊れていたのかもしれない。
きっと今家族が死んでも私は悲しまない。
それでも。私が守ってきた家族を、〈愛〉を私が壊した。
その事実を、かつて十二歳だった私はどう受け止めたのだったか。
ただその日から私が、私を取り巻く全てが狂ったのは間違いがなかった。
父と母は離婚した。
私は母について行ったが、年に二、三回ばかり父とも会った。
兄はバイトを始め、一人暮らしになった。
―私の望んだ〈家族〉はバラバラになっていった。
私は自分が許せなかった。
トップの国立高校へ進学しても、有名な大学に受かっても。
私の本当に望んだものはもう、どこにもなかった。
――私はずっと〈愛〉が欲しかった…だけなのに。
十八年分の回想を終えた私は、気を取り直そうと桜の木へ視線を向けた。
キラキラと輝く小川を背景に持つ彼の木は、まるで春を彩っているかの様な美しさを持っている。
これから何かが始まる、そう予感させるような桜を眺めて私は一歩を踏み出した。
しかし、その情景を最期に、私は死んだ。
誰にも愛されることなく、誰にも必要とされることなく。
家族の愛も、温もりも、心休まる居場所も、自分を癒す術すらも持っていない私は、十八年の苦行に終止符を打ったのだ。
原因は足を滑らせて川へ転落した後の溺死だろう。
死んでしまった理由など残されたものにしか分からないのだから、確かではないが。
―そんな奏の人生を、目覚めた私―イヴ=メラネシアはしっかりと受け止めていた。
爽やかな朝日が天蓋ベッドを照らす早朝。
三歳になったばかりの私は茫然と自身の白銀の髪を眺めながら叫んだ。
「私、転生してるぅぅぅぅううううううううーーーーーーーツ!?!?」
(シリアス苦手な方は読み飛ばしちゃっても大丈夫です!)
▽▽▽▽▽▽▽▽
詩音奏。それが私の名前。
この春で高校を卒業することになっている私は、後悔しかない自分の生に思いをはせていた。
ありきたりな話だ。私はちょっと不運だった、それだけ。
私の父と母は仲が悪かった。
一見すると仲睦まじい夫婦に見えるだろうが、家に入るたびに父は母に暴力をし、母は父に暴言を吐いていた。
そんな日常は物心ついた頃にはもうそれは当たり前になっていて、私は家族の中を取り持つためのムードメーカーとして育った。
三つ上にいる兄はそんな二人にうんざりしていたのだろう。彼はどんどん家族から離れていった。
それでもいいから、と私は―私たちは家族を繕った。
本音を隠し、笑顔を張り付け、面白くもない会話を交わし合う。
―それでよかった。それで幸せだった。
けれど、やっぱり駄目だった。
家族は壊れた。
きっかけは皮肉にも私の自殺未遂が原因だった。
心の中で悲鳴を上げ続けていた私の自殺未遂は、それでもう六回目だった。
ネクタイで首を吊ろうとして失敗。投身自殺を図って失敗。
腕に切り刻まれた傷はミミズ腫れになって痛々しかった。それでもそれを割くように上からカッターを入れ続ける。
狂っている。
分かっていた。
ミミズ腫れにカッターを突き刺す狂気に同情なんて不必要で。
自分で気づいていないだけで私はもうとっくに壊れていたのかもしれない。
きっと今家族が死んでも私は悲しまない。
それでも。私が守ってきた家族を、〈愛〉を私が壊した。
その事実を、かつて十二歳だった私はどう受け止めたのだったか。
ただその日から私が、私を取り巻く全てが狂ったのは間違いがなかった。
父と母は離婚した。
私は母について行ったが、年に二、三回ばかり父とも会った。
兄はバイトを始め、一人暮らしになった。
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これから何かが始まる、そう予感させるような桜を眺めて私は一歩を踏み出した。
しかし、その情景を最期に、私は死んだ。
誰にも愛されることなく、誰にも必要とされることなく。
家族の愛も、温もりも、心休まる居場所も、自分を癒す術すらも持っていない私は、十八年の苦行に終止符を打ったのだ。
原因は足を滑らせて川へ転落した後の溺死だろう。
死んでしまった理由など残されたものにしか分からないのだから、確かではないが。
―そんな奏の人生を、目覚めた私―イヴ=メラネシアはしっかりと受け止めていた。
爽やかな朝日が天蓋ベッドを照らす早朝。
三歳になったばかりの私は茫然と自身の白銀の髪を眺めながら叫んだ。
「私、転生してるぅぅぅぅううううううううーーーーーーーツ!?!?」
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