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Ⅰ Family Love
4話・クロード=メラネシアⅡ
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「失礼いたします、イヴお嬢様。朝のお支度を―って、起きているぅッ!?」
自分でドレスに着替え、髪も結んだ私は『エレーナ幸せ大計画』と大々的に書いた紙に向かってこれからのことを書いていた。
『エレーナ幸せ大計画』
その一・十か月後に起こる事故を防ぐ
→お父様の弟、セメラスについてある程度探って置く
お父様とお母様を二人で行かせない。
(もしも落ちても私がいれば転移できる!)
その二・エレーナ姉様と第二王子との婚約を阻止する
その三・絶対セオドールに惚れない
その四・権力のある人と婚約する
その五・魔術を極める
→私は〈水〉〈風〉〈闇〉〈時〉の四属性を使える。
優先的に〈風〉を極めて〈転移魔術〉を習得する。
その次は〈水〉と〈闇〉をやる。
その六・お姉さまの傍にいる
その七・隣国の王子、レオンハルトとお姉さまの出会いをつくる
その八・仲間をふやす。人脈を増やす
……………
…………
……
…
「エマ…!おはよう!」
少し拙い口調を意識して茶髪のメイドへと挨拶をする。
困ったような、呆れたような顔をしながらエマは私へ近づいて来る。
「珍しいですね、朝が苦手なお嬢様が早く起きるなんて…。って、なんです?これ。絵…?いや、記号…?もしかして、どこかの言語ですかね?」
「ん。これは東にある"しまぐに"の言葉なんだって」
―まぁ、この世界にあるかは知らないけどね。
心の中で付け足して、ニコリと笑いながら本状にした紙を閉じる。
「もう朝食の時間でしょ?そろそろ食堂へ行こう!」
「え…?えーっと…?あっ、お嬢様!?」
何故か渋っているエマを置いて食堂へ向かう。
奏としての記憶を思い出したせいか、廊下を歩きながらも大理石の床と金の装飾がどうにも気になってしまう。
(今更だけど、さすがだよね。侯爵家の財力が一発で分かるもの)
いつになくキョロキョロと辺りを見渡しながら私は食堂へつながる大きな扉の前に立った。
私の姿を確認した執事さんが一礼してゆっくりと扉を開ける。
目の前に広がるのは二、三十人座っても大丈夫なのではないかと思うほどの大きなテーブルとそこに置かれた四つの椅子。
少し離れたところには暖炉があり、まだ寒い春の早朝を温めていた。
「おはようございます!お父様」
上座に座っている蒼髪の美丈夫を見つけた私は、いつもと同じように明るく挨拶を交わした。
「おはよう、イヴ~~っ!!あぁッ!今日も私の天使エンジェルは最高に可愛い~ッ!」
語尾にハートが付くのではないかと思うほどの甘い声で父―クロード=メラネシアは私を抱きしめた。
「ありがとう、お父様。お父様も格好いいよ」
「うをぉおおおおおおおー!可愛くて辛い!どうしてこんなに可愛いんだぁー⁉」
入ってくるときに新聞を見ていた姿は凛々しかったのに、どうして子供が絡むとこんなに残念になってしまうのか…。
痛いほど抱きしめられながら私は現実逃避気味に考えていた。
「あれ、そう言えば今日のイヴは早いんだね。いつもエレーナと一緒に入ってくるのに」
「うん。早くに目が覚めちゃって。…あっ!そうだわ、お父様。お願いがあ―」
「なんだいッ!?イヴからお願いなんて珍しいッッ!なんでも聞いてあげるよ!!」
(早い。そして怖いよ、お父様)
眩しいほどの笑みを浮かべるお父様に、呆れにも似た感情を抱きながら『幸せ大作戦 その五・魔術を極める』を実現するため口を開いた。
「私ももう三歳になるでしょう?そろそろ魔術を習いたいの」
(―いや、もう三歳ってなんだよ。まだだよ、全然これからだよ。私が三歳の時なんておままごとしかしてなかったよ)
見事な特大ブーメランにセルフツッコミを入れつつ、私はお父様の腕の中から涙目おねだりを実行する。
これで大体思うようになる、と前世のテレビでやっていたが本当だろうか。
「―ぐぅッ⁉イヴが可愛いッ!」
「……」
いや、本当かどうかはともかくとして面倒なことになるから次からコレは封印にしよう。
私は崩れ落ちるお父様を眺めながら、そう思った。
自分でドレスに着替え、髪も結んだ私は『エレーナ幸せ大計画』と大々的に書いた紙に向かってこれからのことを書いていた。
『エレーナ幸せ大計画』
その一・十か月後に起こる事故を防ぐ
→お父様の弟、セメラスについてある程度探って置く
お父様とお母様を二人で行かせない。
(もしも落ちても私がいれば転移できる!)
その二・エレーナ姉様と第二王子との婚約を阻止する
その三・絶対セオドールに惚れない
その四・権力のある人と婚約する
その五・魔術を極める
→私は〈水〉〈風〉〈闇〉〈時〉の四属性を使える。
優先的に〈風〉を極めて〈転移魔術〉を習得する。
その次は〈水〉と〈闇〉をやる。
その六・お姉さまの傍にいる
その七・隣国の王子、レオンハルトとお姉さまの出会いをつくる
その八・仲間をふやす。人脈を増やす
……………
…………
……
…
「エマ…!おはよう!」
少し拙い口調を意識して茶髪のメイドへと挨拶をする。
困ったような、呆れたような顔をしながらエマは私へ近づいて来る。
「珍しいですね、朝が苦手なお嬢様が早く起きるなんて…。って、なんです?これ。絵…?いや、記号…?もしかして、どこかの言語ですかね?」
「ん。これは東にある"しまぐに"の言葉なんだって」
―まぁ、この世界にあるかは知らないけどね。
心の中で付け足して、ニコリと笑いながら本状にした紙を閉じる。
「もう朝食の時間でしょ?そろそろ食堂へ行こう!」
「え…?えーっと…?あっ、お嬢様!?」
何故か渋っているエマを置いて食堂へ向かう。
奏としての記憶を思い出したせいか、廊下を歩きながらも大理石の床と金の装飾がどうにも気になってしまう。
(今更だけど、さすがだよね。侯爵家の財力が一発で分かるもの)
いつになくキョロキョロと辺りを見渡しながら私は食堂へつながる大きな扉の前に立った。
私の姿を確認した執事さんが一礼してゆっくりと扉を開ける。
目の前に広がるのは二、三十人座っても大丈夫なのではないかと思うほどの大きなテーブルとそこに置かれた四つの椅子。
少し離れたところには暖炉があり、まだ寒い春の早朝を温めていた。
「おはようございます!お父様」
上座に座っている蒼髪の美丈夫を見つけた私は、いつもと同じように明るく挨拶を交わした。
「おはよう、イヴ~~っ!!あぁッ!今日も私の天使エンジェルは最高に可愛い~ッ!」
語尾にハートが付くのではないかと思うほどの甘い声で父―クロード=メラネシアは私を抱きしめた。
「ありがとう、お父様。お父様も格好いいよ」
「うをぉおおおおおおおー!可愛くて辛い!どうしてこんなに可愛いんだぁー⁉」
入ってくるときに新聞を見ていた姿は凛々しかったのに、どうして子供が絡むとこんなに残念になってしまうのか…。
痛いほど抱きしめられながら私は現実逃避気味に考えていた。
「あれ、そう言えば今日のイヴは早いんだね。いつもエレーナと一緒に入ってくるのに」
「うん。早くに目が覚めちゃって。…あっ!そうだわ、お父様。お願いがあ―」
「なんだいッ!?イヴからお願いなんて珍しいッッ!なんでも聞いてあげるよ!!」
(早い。そして怖いよ、お父様)
眩しいほどの笑みを浮かべるお父様に、呆れにも似た感情を抱きながら『幸せ大作戦 その五・魔術を極める』を実現するため口を開いた。
「私ももう三歳になるでしょう?そろそろ魔術を習いたいの」
(―いや、もう三歳ってなんだよ。まだだよ、全然これからだよ。私が三歳の時なんておままごとしかしてなかったよ)
見事な特大ブーメランにセルフツッコミを入れつつ、私はお父様の腕の中から涙目おねだりを実行する。
これで大体思うようになる、と前世のテレビでやっていたが本当だろうか。
「―ぐぅッ⁉イヴが可愛いッ!」
「……」
いや、本当かどうかはともかくとして面倒なことになるから次からコレは封印にしよう。
私は崩れ落ちるお父様を眺めながら、そう思った。
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