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第5章 黒い目玉
05 銀の瞳
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..63日目
今日も朝から魔法師隊の訓練をし、そして昼休憩の時間がやってきた。
「昼休憩の後14時より訓練を再開する。気を付けえ!敬礼!では解散」
ラナーシアの一声でピシッと敬礼をした魔法師隊見習いたちの昼休憩が始まった。
「ああ、お腹空いた~」
「私も私も」
「そうじゃの、何を食べようかのう」
「そうですね、一食になさいます?それとも二食になさいます?」
元気な魔法師隊見習い隊員の少女たちが午前の訓練を終えてお昼ご飯を何にするかとワイワイ話をしている。
彼女たちの年齢はいずれも15歳になったばかりだ。侍女ならば速ければ10歳で登城し見習いとなることもあるが魔法師や騎士団は15歳にならなければ見習いにはなれない。
「二食にしようよ。なんか今日の私天ぷらが食べたい気分」
とうれしそうな四人の中でリーダー格のモーザ。
「二食かあ。それなら私はお魚にしようかにゃ」
「また噛んだ!」
「あっ、えへへ」
モーザに突っ込まれ自分の頭をポンポン叩いたのはイリスだ。
「いいのう。それじゃ我はガッツリとカツ丼じゃのう」
カツ丼と口にしてジュルリと口元を拭ったのは紅い髪のフランサだ。
「うふふ、フランサさん、はしたないですわよ」
「うっ、診なかったことにしてほしいのじゃ」
「うふふ。ではわたくしは山菜御膳に緑茶にいたしましょう」
口元に手を当ててしとやかに笑ったのは茶色い髪のメリアだ。
「それじゃ二食に行っきましょう!」
モーザの元気な声に三人はオーッと小さく拳を上げるとキャイキャイと話をしながら第二食堂に向かった。
訓練場から二食までは十分ほどで着いた。四人が空いていた窓際のテーブルに座るとウェイターの狼の獣人ローイが注文をとりに横に立った。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」
バリトンボイスで注文をとるローイ。
「えとえとえと、私はえと」
わたわたしているイリスに微笑むローイ。
「ちょっとモーザ、まだ?先に注文するわよ。すみません。私はこの天ぷら定食、ご飯小で」
「はい。天ぷら定食、ご飯小でございますね」
モーザが当初の目的の天ぷらを注文した。
「それじゃ我はカツ丼じゃ。ウェイター殿お味噌汁付でお願いするのじゃ」
「はい。かつ丼を味噌汁付ですね」
「わたくしは山菜御膳を。緑茶は付いてましたかしら?」
「はい。山菜御膳には緑茶は付いております」
三人の注文は終わったがイリスはお品書きを見て何にするかまだ迷っているようだ。
「イリス、さっきお魚って言ってたじゃない」
「う、うん。お魚でもいろいろあるしぃ。焼き魚にみそ煮とおさしみまであるし…」
と、まだ考えている。
「すまんのうウェイター殿。もちょっと待っていただけるかのう」
「はい。まだあまり込んでませんのでごゆっくりお決めください」
ローイはニコニコと少女たちを微笑んで見ている。
「決めた!私おしゃしみにしゅる!」
ピシッとお品書きを指さしてドヤ顔のイリス。
「はいはい、わかったわかった。おしゃしみじゃなくおさしみね。で、どれ?」
モーザがイリスが持っているお品書きを覗き込むとイリスはこれっ!とトントンと指先で叩いた。
「えーと…。ねえイリス、これお魚じゃないわよ」
「へ?でもでもでも、刺身って書いてあるしぃ…」
「これはね湯葉のお刺身。お魚じゃないの」
「え~っ!そ、…そうだったの…。ユバっていうお魚がいるのかなあって思ってた。なあんだ。あははは。それで、ユバってなあに?」
「豆乳を煮た時にできる薄い膜のようなものですわ」
「ふーん。よく知ってるねメリア」
と感心するイリス。
「で、これにするの?それともお魚のお刺身にするの?」
モーザが苦笑しながらイリスに聞く。
「え、えとえとえと。うーん。やっぱりお魚のお刺身にする。うーんと、これ!」
今度指さしたのはその名のとおり’刺身定食’だった。
おいしい食事に楽しい会話。四人の少女は楽しく昼食を採っている。
「ねえねえ聞いた?」
とニヤニヤしながらモーザが三人にしか聞こえない小声でネタを投入する。
「なんですの?」
すぐさまそれに喰いついてメリアが同じく小声で聞き返す。
「あのね」
と言って今テーブルの横を通りローイができたての料理を別のテーブルに運んで行くのをチラッと見た。
「なんなのじゃ?モーザ。早く言うのじゃ!」
フランサも早く早くとせかす。
「うふふ。あのね、ここ二食の狼のウェイターさん、ローイさんって言うんだけど知ってた?」
「狼のウェイター殿とな。名前までは知らんがあの獣人じゃろか?」
食事を運び終わり厨房に戻っていく狼の獣人ローイを見る四人。
「うん、そう。でね、ここからは侍女見習いの娘にきいたんだけどさ、こないだその見習いが陛下とのお食事会をお手伝いしたんだって。そう、コースケ隊長も参加されてるあれね。こないだ私とイリスも消退された食事会」
「あひゃっ!」
それを聞いてビクッとなるイリス。あの時のことを思い出したのだろう額を摩っている。
「あはは。あの時のイリス、おもしろかったよねえ」
とクスクス笑うモーザ。
「そんなことがあったようですね。で、で?」
微笑するメリア。
「そこでね、ローイさんと一食の兎の獣人のバニットさんが交際しているのを聞いたんだって。それもね…」
話が止まらないモーザ。それをふむふむとニヤニヤしながら聞く三人。
「へえ、そんなことがあったとはのう」
「ほんとですわ」
「素敵だにゃ、ローイさんって。さっき見つめられた時ちょっとドキッとしちゃった。あはは」
と「でしょでしょ」
四人の少女はやはり色恋には興味津々なのだった。
「ごちそうさまでした」
「またご来店ください」
ローイのバリトンボイスに見送られた四人は再びキャイキャイと話をしながら二食を出た。
「お昼休みあと一時間はあるよ。どうする?このまま控室に帰る?」
モーザが壁の時計を見上げ三人を見る。
「ねえねえ、どっかでお話しようよ。控室に戻っても他の人たち休んでたりお勉強してたりするからあまりお話できないしぃ」
とイリス。
「そうじゃのう。我らはもっともっと話をしたいでのう」
「そうですわね。わたくしも控室に戻ってもみなさんの邪魔にならないように本でも読むしかございませんものね。どこかでわいわいお話する方が楽しいですわ」
フランサもメリアもまっすぐ控室に戻りたくないようだ。
「ということで決まりっと。で、どこ行く?どっかまわりの迷惑にならないとこって誰か知ってる?」
モーザが三人を見渡すと珍しいことにイリスが小さく手を挙げた。
「はい、イリスさん」
モーザはまるで教師にでもなったように人差指でイリスを指差した。
「えとえと、林の手前の噴水のとことかどう?」
「あ、あそこ…」
微妙な顔のモーザ。
「あの噴水のところとは…、コースケ隊長がフェンリルを討伐したところのかのう?」
「そうですわねえ。でもまだ復興工事の真っ最中なのではありませんの?」
「それがね、もうほとんど終わってるんだって。あとは噴水のお水張ったりベンチ置いたりしゅるだけって言ってた。あっ、また噛んじゃった。えへっ」
と自分の頬をペチッと叩くイリス。
「よくそんな情報知ってるわねイリス。どこから仕入れたのよ」
モーザが首を傾げながらイリスを横目で見る。
「えっ、あにょね、昨日工事のおじさんから聞いたんだ。腕に緑の腕章付けてたケンタウロスのおじさん」
「緑の腕章のケンタウロスですか?もしかしたらその肩は責任者の方ではございませんの?」
メリアが少し驚いたようにイリスに尋ねた。
「へ?そうなにょ?そう言えば他の工事の人たちから監督って言われてたような…」
と首を左右に捻るイリス。
「ほんにイリスは誰とでも仲良くなれるのじゃなあ。うらやましいぞ」
「ほんとですわ。監督さんなどにはそんなに軽々しく声なんてかけられませんわわたくし」
「違う違う。イリスは誰とでも気軽に話できるんじゃなくてな~んにも考えてないから誰にでも話かけてしまうだけよ。ねえイリス」
ニヤニヤとイリスを見るモーザ。
「うっ、そ、そうだけどぉ。そんな言い方しなくてもいいじゃない。モーザのいけずぅ」
半眼でモーザを見るイリス。
「あはは。ごめんごめん。でもあんたのその性格って私好きよ」
そう言ってイリスの肩を優しく叩くモーザ。
「それじゃコースケ隊長がフェンリルを討伐した林の前の噴水に行きましょう!」
モーザが林の方を指さした。三人はまた「オーッ!」と小さく拳を挙げた。
噴水のヘリに座りぺちゃくちゃキャイキャイと楽しく話をする。話題と言えばさっきの二食のウェイターと一食のウェイトレスとの恋話。そして魔法師隊隊長シャリーナと副隊長ラナーシアの愚痴。まるで近所のおばさんのようだ。
「でねでね。その時シオンベール王女様が偶然コースケ隊長の部屋の前を通られてさ…」
モーザがシオンベールと初めて会った時のことを話しし始めたその時。
「ちょ、ちょっと待って。ねえあれなんだと思う」
「何よイリス。これからって時に」
「ごめん。でもあれ見てあれ。なんだと思う?」
「どれなのじゃ?」
キョロキョロするフランサ。
「あれよあれ。ねえメリアわかるでちょ?!」
林の一角を指さすイリス。
「えっ、…えーと。あっ、あれですわね!何かしら…?」
メリアはわかったようでそれを見ている。
「どこよどこ?…あっ!」
「わ、わかったのじゃ!なんじゃろあれは…。なんか木と木の間に裂け目があるような…」
彼女たちがいる噴水から目測で五十メートルほど先の二本の立派な木と木の間に真横に延びる不気味な裂け目がそこにあった。
それはまるで長く眠りについていた獣が目覚めようと瞼を動かしているように見える。
「な、何よあれ…!なんであんな空中に裂け目があるのよっ!おかしいでしょ!」
「こ、怖いよモーザ。なんなにょよありぇ!」
イリスがモーザに抱き付く。
「な、なんかまがまがしく感じるのは我だけじゃろうか…」
「い、いえ。わたくしもそう思いますわ。膝がガクガクしてきましたもの」
フランサもメリアも顔面蒼白になってきている。
四人のことなど何も見ていないその裂け目は徐々に動きが大きくなってきている。時々中に黒い何かが今にも出てきそうで四人はガタガタと震えている。そしてついにその裂け目は獣が開けた目のように大きく開いた。
その開ききった裂け目、そこには黒く澱む靄のようなものがうごめいていた。そしてなんとその靄の中に四人をギョロリと見る光る目玉があった。
「キャッ!」
その目に見つめられた四人は同時に小さく声をあげた。
「どどどどどうしようぅぅぅぅ!」
その目から視線をはずすことができないモーザはガタガタと震えている。
「どどどどうしたらいいのじゃぁぁぁ!」
もう背中がびっしょりのフランサ。
「だ、だだだ誰かを、は、は、は早く呼ばないとですわわわわ!」
メリアは座り込んでしまった。どうやら腰が抜けたらしい。
その目に見つめられた四人の少女たち。中でも怖がりで有名なイリスはその目に釘づけになっていた。
まるで魔物の目のようにギョロギョロと周囲を見、時々触手のようなものがその目の周囲からうねうねとでてきている。今にもそこから出てきそうに全体を揺らして不気味にうごめいていた。
「う、う…、うわああああぁぁぁぁ!怖いよ怖いよ怖いよ怖いよぉぉぉぉぉ!」
突然イリスが叫んだ。そしてその場でしゃがみ込むとガタガタと震えた。
「だ、大丈夫イリス!」
モーザは隣にしゃがむと丸くなっているイリスの背中を摩った。モーザにもイリスの震えが伝わったのだろうイリスの背中を抱くようにすると「大丈夫よ大丈夫よ」と震えながらも声をかけた。
しかしイリスの震えは止まらない。ますます大きくなる震え。そしていまだにその魔物の目からは視線をはずせないイリス。そしてだんだんと震えは大きくなりついに恐怖が一点を越えた。
「わあああああぁぁぁぁぁぁ!」
突然頭を抱えて絶叫するイリス。小柄なその身体からは考えられないほどの絶叫。この世の終わりのようなその咆哮にも似た叫声にビクッと身体を離すモーザ。
「だ、大丈夫かのうイリス!」
「しっかりしてくださいイリスさん!」
フランサもメリアもその絶叫に帰って冷静になりガタガタ震えているイリスのそばに座ると声をかけた。
しばらく頭を抱えて震えていたイリス。数秒、いや十数秒絶叫していたイリス。そのイリスがふと顔を上げたのだった。
「…………」
無言で靄の中の光る目を見つめるイリス。無表情でじっと光る目を見つめているイリスにモーザがあわてて声をかける。
「イ……、イリスっ!大丈夫!……あっ!…な、な、何よその目!」
「何?」
「へ?何って…。あんたどうしたのその目!大丈夫?」
「目?」
イリスが不思議そうにモーザを見る。
「あんたの目…、銀色になってるわよ!」
「へ?」
素っ頓狂な声を出してモーザを見る。するとフランサもメリアもイリスの目を見て驚いた。青紫の透き通った瞳が今は銀色に光っていたのだ。
「イリス!お主の目……。なんと美しいのじゃ…」
「そうですわ。まるでシャリーナ隊長のような銀色の目をしてますわよイリスさん」
「そ、そうなの?なんでなのかな?でもそんなことより…」
イリスが再び目の前の黒い靄の光る目を指差す。
「ねえ、あれってなんなのかしら?」
「へ?」
三人が怯え恐怖している光る目をじっと見つめるイリスにモーザは少し驚いた。
「あ、あれって…?ねえモーザ、あんたさっきまであんなに怖がっていたのに…」
不思議そうにイリスを見るモーザ。その言葉でフランサもメリアもイリスを見た。
「うん。怖いよ。でもなんだか知らないけどなんかあれはあんまり強くないように見えるの。なんでかしりゃ?」
「こ…、怖くないって?あんた…イリスよね…」
「それに、強くないとな…?いつものイリスとは違うような…」
「本当ですの…イリスさん…?わたくしあなたから何かを感じますわ」
イリスの言葉に三人は亜全となる。そして困惑した。
小さな虫や壁の黒いシミを見ていつもおどおどしているイリス。そのイリスが平然と空間にできた裂け目から除く光る眼を見ているのだ。そしてそれをあまり強くないと感じている。
「あっ!出てきたよ」
裂け目を指さすイリス。 全員でその穴から出てきた物を見る。
ボトリと落ちるように出てきたそれは黒い靄の塊のように見えた。形は丸く目測ではあるが直径は40センチほどか。その真ん中に光る目玉が一つだけあった。その目玉はギョロギョロと周囲を見渡すとゆっくりと四人の方を見た。
「ひっ!」
モーザが自分の身体を抱くようにし、フランサは一歩後ろに下がる、メリアは両手で口を押え目を見開いていた。だがイリスは無表情のままその黒い靄の塊を見ていた。
そしてその一つ目の黒い靄のようなものがゆっくりとゆっくりと四人に近づいてきた。身体を、いや、身体と言っていいのかわからないがその丸い身体をズルズルと引きずるように近づいてきた。後退りするイリス以外の見習い魔法師。
その距離が30メートルほどになった時、イリスの周囲に魔力が集まるのを感じた三人。
「イリス…」
風属性を持つイリスの身体の周りには魔力を帯びた風が舞う。だがその中のイリスの髪も着ている黒い魔法師のローブもそよ風に吹かれる木の葉のように少し揺れているだけだ。
しかしモーザたち三人からはまるで巨大竜巻の中で優雅に立つ少女に見えていた。
「イリス…」
まるで別人のようなイリスにモーザは戸惑う。その時イリスが後ろを振り向いた。
「私!頑張るっ!だからっ、応援してにぇ!」
そしてまた黒い目玉の方に向くと胸の前で拳を握った。
「それ異常近づくなっ!来たらやっちゅけてやる!覚悟するでござる!」
「イリス噛みすぎ!」
「あっ、ごめんモーザ。えへへ」
ツッコミを入れられたイリスはペロッと舌を出す。
「ふふ。やっぱりイリスだわ。間違いなくイリスだわ!頼むわよ!私たちも共力するからねっ!」
「うん。おねぎゃい!。あっ、また噛んだ」
そう言って黒い一つ目の方を向くとその目玉が光った。そして放たれる魔力の束。それは真っすぐにイリスたち四人に向かって好き進む。
「きゃあああああっ!」
モーザとフランサそしてメリアが悲鳴をあげる。
だが、イリスの周囲に巻きおこる魔力の風がその魔力の束を弾き返したのだった。それは虚空に飛んで行き消えた。
「イ、イリス…あんた……」
「す、すごいのじゃイリス」
「ほ、ほんとに凄いですわイリスさん」
驚愕の三人。
「怒ったぞぉ!許さないんだからっ!」
そう言うとイリスは黒い一つ目の方を向く。そして両手を頭上に掲げると勢いよく前方に振り下ろした。
「覚悟するざます!あっ、もとい、覚悟しなさい!風槍!」
その両手から腕と同じ太さの風でできた槍が現れた。その二本の風槍は射出されたと同時に一つとなり真っ直ぐに黒い一つ目に向かって飛んで行った。
バシューッ!
その風槍は見事に黒い一つ目に突き刺さった。その光る目玉は風槍が刺さったと同時に内側から爆発、周囲の草を強く揺らし爆散した。
「やったぁ!」
飛び上がって喜ぶモーザたち。
「まだだよ。また出てきたよ!」
イリスがさっき黒い一つ目の出てきた空間の穴を指さした。
「あっ!」
再び今イリスが爆散させたのと同じ黒い一つ目が出てきたのだった。それは次から次と出てきて光る目をギョロギョロさせ周囲を見渡した。
今日も朝から魔法師隊の訓練をし、そして昼休憩の時間がやってきた。
「昼休憩の後14時より訓練を再開する。気を付けえ!敬礼!では解散」
ラナーシアの一声でピシッと敬礼をした魔法師隊見習いたちの昼休憩が始まった。
「ああ、お腹空いた~」
「私も私も」
「そうじゃの、何を食べようかのう」
「そうですね、一食になさいます?それとも二食になさいます?」
元気な魔法師隊見習い隊員の少女たちが午前の訓練を終えてお昼ご飯を何にするかとワイワイ話をしている。
彼女たちの年齢はいずれも15歳になったばかりだ。侍女ならば速ければ10歳で登城し見習いとなることもあるが魔法師や騎士団は15歳にならなければ見習いにはなれない。
「二食にしようよ。なんか今日の私天ぷらが食べたい気分」
とうれしそうな四人の中でリーダー格のモーザ。
「二食かあ。それなら私はお魚にしようかにゃ」
「また噛んだ!」
「あっ、えへへ」
モーザに突っ込まれ自分の頭をポンポン叩いたのはイリスだ。
「いいのう。それじゃ我はガッツリとカツ丼じゃのう」
カツ丼と口にしてジュルリと口元を拭ったのは紅い髪のフランサだ。
「うふふ、フランサさん、はしたないですわよ」
「うっ、診なかったことにしてほしいのじゃ」
「うふふ。ではわたくしは山菜御膳に緑茶にいたしましょう」
口元に手を当ててしとやかに笑ったのは茶色い髪のメリアだ。
「それじゃ二食に行っきましょう!」
モーザの元気な声に三人はオーッと小さく拳を上げるとキャイキャイと話をしながら第二食堂に向かった。
訓練場から二食までは十分ほどで着いた。四人が空いていた窓際のテーブルに座るとウェイターの狼の獣人ローイが注文をとりに横に立った。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」
バリトンボイスで注文をとるローイ。
「えとえとえと、私はえと」
わたわたしているイリスに微笑むローイ。
「ちょっとモーザ、まだ?先に注文するわよ。すみません。私はこの天ぷら定食、ご飯小で」
「はい。天ぷら定食、ご飯小でございますね」
モーザが当初の目的の天ぷらを注文した。
「それじゃ我はカツ丼じゃ。ウェイター殿お味噌汁付でお願いするのじゃ」
「はい。かつ丼を味噌汁付ですね」
「わたくしは山菜御膳を。緑茶は付いてましたかしら?」
「はい。山菜御膳には緑茶は付いております」
三人の注文は終わったがイリスはお品書きを見て何にするかまだ迷っているようだ。
「イリス、さっきお魚って言ってたじゃない」
「う、うん。お魚でもいろいろあるしぃ。焼き魚にみそ煮とおさしみまであるし…」
と、まだ考えている。
「すまんのうウェイター殿。もちょっと待っていただけるかのう」
「はい。まだあまり込んでませんのでごゆっくりお決めください」
ローイはニコニコと少女たちを微笑んで見ている。
「決めた!私おしゃしみにしゅる!」
ピシッとお品書きを指さしてドヤ顔のイリス。
「はいはい、わかったわかった。おしゃしみじゃなくおさしみね。で、どれ?」
モーザがイリスが持っているお品書きを覗き込むとイリスはこれっ!とトントンと指先で叩いた。
「えーと…。ねえイリス、これお魚じゃないわよ」
「へ?でもでもでも、刺身って書いてあるしぃ…」
「これはね湯葉のお刺身。お魚じゃないの」
「え~っ!そ、…そうだったの…。ユバっていうお魚がいるのかなあって思ってた。なあんだ。あははは。それで、ユバってなあに?」
「豆乳を煮た時にできる薄い膜のようなものですわ」
「ふーん。よく知ってるねメリア」
と感心するイリス。
「で、これにするの?それともお魚のお刺身にするの?」
モーザが苦笑しながらイリスに聞く。
「え、えとえとえと。うーん。やっぱりお魚のお刺身にする。うーんと、これ!」
今度指さしたのはその名のとおり’刺身定食’だった。
おいしい食事に楽しい会話。四人の少女は楽しく昼食を採っている。
「ねえねえ聞いた?」
とニヤニヤしながらモーザが三人にしか聞こえない小声でネタを投入する。
「なんですの?」
すぐさまそれに喰いついてメリアが同じく小声で聞き返す。
「あのね」
と言って今テーブルの横を通りローイができたての料理を別のテーブルに運んで行くのをチラッと見た。
「なんなのじゃ?モーザ。早く言うのじゃ!」
フランサも早く早くとせかす。
「うふふ。あのね、ここ二食の狼のウェイターさん、ローイさんって言うんだけど知ってた?」
「狼のウェイター殿とな。名前までは知らんがあの獣人じゃろか?」
食事を運び終わり厨房に戻っていく狼の獣人ローイを見る四人。
「うん、そう。でね、ここからは侍女見習いの娘にきいたんだけどさ、こないだその見習いが陛下とのお食事会をお手伝いしたんだって。そう、コースケ隊長も参加されてるあれね。こないだ私とイリスも消退された食事会」
「あひゃっ!」
それを聞いてビクッとなるイリス。あの時のことを思い出したのだろう額を摩っている。
「あはは。あの時のイリス、おもしろかったよねえ」
とクスクス笑うモーザ。
「そんなことがあったようですね。で、で?」
微笑するメリア。
「そこでね、ローイさんと一食の兎の獣人のバニットさんが交際しているのを聞いたんだって。それもね…」
話が止まらないモーザ。それをふむふむとニヤニヤしながら聞く三人。
「へえ、そんなことがあったとはのう」
「ほんとですわ」
「素敵だにゃ、ローイさんって。さっき見つめられた時ちょっとドキッとしちゃった。あはは」
と「でしょでしょ」
四人の少女はやはり色恋には興味津々なのだった。
「ごちそうさまでした」
「またご来店ください」
ローイのバリトンボイスに見送られた四人は再びキャイキャイと話をしながら二食を出た。
「お昼休みあと一時間はあるよ。どうする?このまま控室に帰る?」
モーザが壁の時計を見上げ三人を見る。
「ねえねえ、どっかでお話しようよ。控室に戻っても他の人たち休んでたりお勉強してたりするからあまりお話できないしぃ」
とイリス。
「そうじゃのう。我らはもっともっと話をしたいでのう」
「そうですわね。わたくしも控室に戻ってもみなさんの邪魔にならないように本でも読むしかございませんものね。どこかでわいわいお話する方が楽しいですわ」
フランサもメリアもまっすぐ控室に戻りたくないようだ。
「ということで決まりっと。で、どこ行く?どっかまわりの迷惑にならないとこって誰か知ってる?」
モーザが三人を見渡すと珍しいことにイリスが小さく手を挙げた。
「はい、イリスさん」
モーザはまるで教師にでもなったように人差指でイリスを指差した。
「えとえと、林の手前の噴水のとことかどう?」
「あ、あそこ…」
微妙な顔のモーザ。
「あの噴水のところとは…、コースケ隊長がフェンリルを討伐したところのかのう?」
「そうですわねえ。でもまだ復興工事の真っ最中なのではありませんの?」
「それがね、もうほとんど終わってるんだって。あとは噴水のお水張ったりベンチ置いたりしゅるだけって言ってた。あっ、また噛んじゃった。えへっ」
と自分の頬をペチッと叩くイリス。
「よくそんな情報知ってるわねイリス。どこから仕入れたのよ」
モーザが首を傾げながらイリスを横目で見る。
「えっ、あにょね、昨日工事のおじさんから聞いたんだ。腕に緑の腕章付けてたケンタウロスのおじさん」
「緑の腕章のケンタウロスですか?もしかしたらその肩は責任者の方ではございませんの?」
メリアが少し驚いたようにイリスに尋ねた。
「へ?そうなにょ?そう言えば他の工事の人たちから監督って言われてたような…」
と首を左右に捻るイリス。
「ほんにイリスは誰とでも仲良くなれるのじゃなあ。うらやましいぞ」
「ほんとですわ。監督さんなどにはそんなに軽々しく声なんてかけられませんわわたくし」
「違う違う。イリスは誰とでも気軽に話できるんじゃなくてな~んにも考えてないから誰にでも話かけてしまうだけよ。ねえイリス」
ニヤニヤとイリスを見るモーザ。
「うっ、そ、そうだけどぉ。そんな言い方しなくてもいいじゃない。モーザのいけずぅ」
半眼でモーザを見るイリス。
「あはは。ごめんごめん。でもあんたのその性格って私好きよ」
そう言ってイリスの肩を優しく叩くモーザ。
「それじゃコースケ隊長がフェンリルを討伐した林の前の噴水に行きましょう!」
モーザが林の方を指さした。三人はまた「オーッ!」と小さく拳を挙げた。
噴水のヘリに座りぺちゃくちゃキャイキャイと楽しく話をする。話題と言えばさっきの二食のウェイターと一食のウェイトレスとの恋話。そして魔法師隊隊長シャリーナと副隊長ラナーシアの愚痴。まるで近所のおばさんのようだ。
「でねでね。その時シオンベール王女様が偶然コースケ隊長の部屋の前を通られてさ…」
モーザがシオンベールと初めて会った時のことを話しし始めたその時。
「ちょ、ちょっと待って。ねえあれなんだと思う」
「何よイリス。これからって時に」
「ごめん。でもあれ見てあれ。なんだと思う?」
「どれなのじゃ?」
キョロキョロするフランサ。
「あれよあれ。ねえメリアわかるでちょ?!」
林の一角を指さすイリス。
「えっ、…えーと。あっ、あれですわね!何かしら…?」
メリアはわかったようでそれを見ている。
「どこよどこ?…あっ!」
「わ、わかったのじゃ!なんじゃろあれは…。なんか木と木の間に裂け目があるような…」
彼女たちがいる噴水から目測で五十メートルほど先の二本の立派な木と木の間に真横に延びる不気味な裂け目がそこにあった。
それはまるで長く眠りについていた獣が目覚めようと瞼を動かしているように見える。
「な、何よあれ…!なんであんな空中に裂け目があるのよっ!おかしいでしょ!」
「こ、怖いよモーザ。なんなにょよありぇ!」
イリスがモーザに抱き付く。
「な、なんかまがまがしく感じるのは我だけじゃろうか…」
「い、いえ。わたくしもそう思いますわ。膝がガクガクしてきましたもの」
フランサもメリアも顔面蒼白になってきている。
四人のことなど何も見ていないその裂け目は徐々に動きが大きくなってきている。時々中に黒い何かが今にも出てきそうで四人はガタガタと震えている。そしてついにその裂け目は獣が開けた目のように大きく開いた。
その開ききった裂け目、そこには黒く澱む靄のようなものがうごめいていた。そしてなんとその靄の中に四人をギョロリと見る光る目玉があった。
「キャッ!」
その目に見つめられた四人は同時に小さく声をあげた。
「どどどどどうしようぅぅぅぅ!」
その目から視線をはずすことができないモーザはガタガタと震えている。
「どどどどうしたらいいのじゃぁぁぁ!」
もう背中がびっしょりのフランサ。
「だ、だだだ誰かを、は、は、は早く呼ばないとですわわわわ!」
メリアは座り込んでしまった。どうやら腰が抜けたらしい。
その目に見つめられた四人の少女たち。中でも怖がりで有名なイリスはその目に釘づけになっていた。
まるで魔物の目のようにギョロギョロと周囲を見、時々触手のようなものがその目の周囲からうねうねとでてきている。今にもそこから出てきそうに全体を揺らして不気味にうごめいていた。
「う、う…、うわああああぁぁぁぁ!怖いよ怖いよ怖いよ怖いよぉぉぉぉぉ!」
突然イリスが叫んだ。そしてその場でしゃがみ込むとガタガタと震えた。
「だ、大丈夫イリス!」
モーザは隣にしゃがむと丸くなっているイリスの背中を摩った。モーザにもイリスの震えが伝わったのだろうイリスの背中を抱くようにすると「大丈夫よ大丈夫よ」と震えながらも声をかけた。
しかしイリスの震えは止まらない。ますます大きくなる震え。そしていまだにその魔物の目からは視線をはずせないイリス。そしてだんだんと震えは大きくなりついに恐怖が一点を越えた。
「わあああああぁぁぁぁぁぁ!」
突然頭を抱えて絶叫するイリス。小柄なその身体からは考えられないほどの絶叫。この世の終わりのようなその咆哮にも似た叫声にビクッと身体を離すモーザ。
「だ、大丈夫かのうイリス!」
「しっかりしてくださいイリスさん!」
フランサもメリアもその絶叫に帰って冷静になりガタガタ震えているイリスのそばに座ると声をかけた。
しばらく頭を抱えて震えていたイリス。数秒、いや十数秒絶叫していたイリス。そのイリスがふと顔を上げたのだった。
「…………」
無言で靄の中の光る目を見つめるイリス。無表情でじっと光る目を見つめているイリスにモーザがあわてて声をかける。
「イ……、イリスっ!大丈夫!……あっ!…な、な、何よその目!」
「何?」
「へ?何って…。あんたどうしたのその目!大丈夫?」
「目?」
イリスが不思議そうにモーザを見る。
「あんたの目…、銀色になってるわよ!」
「へ?」
素っ頓狂な声を出してモーザを見る。するとフランサもメリアもイリスの目を見て驚いた。青紫の透き通った瞳が今は銀色に光っていたのだ。
「イリス!お主の目……。なんと美しいのじゃ…」
「そうですわ。まるでシャリーナ隊長のような銀色の目をしてますわよイリスさん」
「そ、そうなの?なんでなのかな?でもそんなことより…」
イリスが再び目の前の黒い靄の光る目を指差す。
「ねえ、あれってなんなのかしら?」
「へ?」
三人が怯え恐怖している光る目をじっと見つめるイリスにモーザは少し驚いた。
「あ、あれって…?ねえモーザ、あんたさっきまであんなに怖がっていたのに…」
不思議そうにイリスを見るモーザ。その言葉でフランサもメリアもイリスを見た。
「うん。怖いよ。でもなんだか知らないけどなんかあれはあんまり強くないように見えるの。なんでかしりゃ?」
「こ…、怖くないって?あんた…イリスよね…」
「それに、強くないとな…?いつものイリスとは違うような…」
「本当ですの…イリスさん…?わたくしあなたから何かを感じますわ」
イリスの言葉に三人は亜全となる。そして困惑した。
小さな虫や壁の黒いシミを見ていつもおどおどしているイリス。そのイリスが平然と空間にできた裂け目から除く光る眼を見ているのだ。そしてそれをあまり強くないと感じている。
「あっ!出てきたよ」
裂け目を指さすイリス。 全員でその穴から出てきた物を見る。
ボトリと落ちるように出てきたそれは黒い靄の塊のように見えた。形は丸く目測ではあるが直径は40センチほどか。その真ん中に光る目玉が一つだけあった。その目玉はギョロギョロと周囲を見渡すとゆっくりと四人の方を見た。
「ひっ!」
モーザが自分の身体を抱くようにし、フランサは一歩後ろに下がる、メリアは両手で口を押え目を見開いていた。だがイリスは無表情のままその黒い靄の塊を見ていた。
そしてその一つ目の黒い靄のようなものがゆっくりとゆっくりと四人に近づいてきた。身体を、いや、身体と言っていいのかわからないがその丸い身体をズルズルと引きずるように近づいてきた。後退りするイリス以外の見習い魔法師。
その距離が30メートルほどになった時、イリスの周囲に魔力が集まるのを感じた三人。
「イリス…」
風属性を持つイリスの身体の周りには魔力を帯びた風が舞う。だがその中のイリスの髪も着ている黒い魔法師のローブもそよ風に吹かれる木の葉のように少し揺れているだけだ。
しかしモーザたち三人からはまるで巨大竜巻の中で優雅に立つ少女に見えていた。
「イリス…」
まるで別人のようなイリスにモーザは戸惑う。その時イリスが後ろを振り向いた。
「私!頑張るっ!だからっ、応援してにぇ!」
そしてまた黒い目玉の方に向くと胸の前で拳を握った。
「それ異常近づくなっ!来たらやっちゅけてやる!覚悟するでござる!」
「イリス噛みすぎ!」
「あっ、ごめんモーザ。えへへ」
ツッコミを入れられたイリスはペロッと舌を出す。
「ふふ。やっぱりイリスだわ。間違いなくイリスだわ!頼むわよ!私たちも共力するからねっ!」
「うん。おねぎゃい!。あっ、また噛んだ」
そう言って黒い一つ目の方を向くとその目玉が光った。そして放たれる魔力の束。それは真っすぐにイリスたち四人に向かって好き進む。
「きゃあああああっ!」
モーザとフランサそしてメリアが悲鳴をあげる。
だが、イリスの周囲に巻きおこる魔力の風がその魔力の束を弾き返したのだった。それは虚空に飛んで行き消えた。
「イ、イリス…あんた……」
「す、すごいのじゃイリス」
「ほ、ほんとに凄いですわイリスさん」
驚愕の三人。
「怒ったぞぉ!許さないんだからっ!」
そう言うとイリスは黒い一つ目の方を向く。そして両手を頭上に掲げると勢いよく前方に振り下ろした。
「覚悟するざます!あっ、もとい、覚悟しなさい!風槍!」
その両手から腕と同じ太さの風でできた槍が現れた。その二本の風槍は射出されたと同時に一つとなり真っ直ぐに黒い一つ目に向かって飛んで行った。
バシューッ!
その風槍は見事に黒い一つ目に突き刺さった。その光る目玉は風槍が刺さったと同時に内側から爆発、周囲の草を強く揺らし爆散した。
「やったぁ!」
飛び上がって喜ぶモーザたち。
「まだだよ。また出てきたよ!」
イリスがさっき黒い一つ目の出てきた空間の穴を指さした。
「あっ!」
再び今イリスが爆散させたのと同じ黒い一つ目が出てきたのだった。それは次から次と出てきて光る目をギョロギョロさせ周囲を見渡した。
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