30 / 43
(29) 新しい人物が登場
しおりを挟む
都に現れたアグアニエベは、とっても上機嫌で足取りも軽い。スキップスキップランラーララン♪♪
「嬉しいです、ネタが手に入りました。読者の好きそうな恋愛話し。売り上げアップですねー!」
空からヒラヒラと降ってくるのは天国からの連絡事項。
「おやおや、人手不足で仕事が回って来ましたね。有能な悪魔にはチョチョイのチョイー!」
呼び出された使い魔が書類を受け取り何処かへと消えて行く。降ってくる書類は同じく使い魔が持って行った。
救わなければならない人々のもとへアグアニエベの姿に身を変えて訪れるのだ。並の天使の仕事量の倍の倍はやっている出来る方法だった。能率アップ、点数だけ稼いでいます。
「さあ、ゴメスさんは居るのかなー?」
作品に絶世の美男子の魔法使いが出て来る。そして、隣国から亡命してきた皇女との燃え上がる恋。女性ファンが渇望しているストーリーだ。
ゴメス商会に入ると灰色の目をしたイケメンが愛想なく教えてくれた。
「会長は他国の視察に行かれて不在です。何時、戻られるかは不明です。アグアニエベさん。」
「そうですか、大事な話があったのですがあ(このエイドリアン・ハーパーさんは好きでは有りませんね。ちょいと、魔法を。)」
「そうですか、大事な話があったのですか(魔法を掛けられた状態)。では、代表にお話されてみては?」
「代表が居るのですね、そうします。」
事務所へと小走りに去って行く銀色の髪の男を見送ってエイドリアン・ハーパーは首を捻る。
(何で、代表が居ると言ったんだ。僕は?舞踏会の夜は、気がついたら自分のアパートの部屋で寝ていたしな。おかしい、病気か?)
彼は、あの夜にアンジェラに告白した事を覚えてはいなかった。アンジェラに恋をしていた事も記憶が抜け落ちたようになっているのだ。
勿論、ゴメスが魔法消去してしまった。アグアニエベが使った呪術の惚れ薬の効果も。
「これは、これは、ゴメス商会の代表であられるフランソワ・カミュ様。お久しぶりです。相変わらずに美貌が眩しいですねえ。」
事務所に入るなり誉めそやすアグアニエベをソファーでウトウトしていた青年が目を開けて見た。直ぐに閉じたが。
紫色の長い髪は幾つもの三つ編みにされており膝を抱えて赤子のように身を丸めて眠る姿。とても、大商会の重役には見えなかった。
「パフェでも食べに行きませんか?今日は、私に奢らせて下さい。あれ?」
なんと、今まで居たソファーが空になっている。そして、開いたドアの外から流れるように飛んで来たメモ。
『カフェで待っています。フランソワ・カミュ。』
甘い物が大好きな代表。先に行ってるらしい。
召喚された勇者が甘い物カフェを初めて流行らせたという大きな水差しに山盛りしたパフェ。テーブルで、ひたすら食べる青年の姿は浮いていた。
パクパクパクパクパクパクーー。
アグアニエベは見るだけでお腹いっぱい。自分はコーヒーに口をつける。
「本当に代表は甘い物が好きですね。給料で食べ歩きして金欠病ですか?」
コクンコクンと頷いたのが返事。無口な相手だ。年齢不詳、若く見えるが実の処は分からない。不明なのだ。
ゴメスが自分の商会の代表に据えて仕事をさせている。変わり者として知られている存在だった。
「これだけのイイ男なんだから、女友達を作って食べさせてもらえばいいんですよ。」
「食べ、もらえる?」
「はい、喜んで食べさせてくれますよ。」
「させて、くれる?」
まるで、蝋人形のような整った顔立ち。パフェから顔を上げて向かいに座るアグアニエベを見つめる。真っ黒な瞳は赤い光を灯していた。興味の湧いた時だけ灯る光だ。
(どうやら、食い付きましたね。特大パフェを何杯でも驕ってあげますよ。かかった、かかった、餌にお魚がー♪)
喜ぶ悪魔の入れ知恵を食欲だけの美しい青年は耳を貸した。利用されるとは思わずに。
何も知らないアンジェラはイライザ皇女の護衛をしながら旅をしていた。一緒に居る数日でイライザの好みが分かってしまう。
「もう、終わりなの?駄目ね、うちの男は!」
馬車を止めて休息する時間も剣の鍛練を忘れない彼女は、弟のジョバンニを相手に打合いだ。打ちのめされるジョバンニは半泣き。
仕方ないので、アンジェラが申し出た。ジョバンニが可哀想になったので。姉が強すぎる。
「私では物足りないかもしれませんが、御相手します。」
「アンジェラちゃん、相手してくれるの?嬉しいわー、戦ってみたかったんですもの!」
嬉々として剣を構える皇女。アンジェラは剣を持ってるだけなので、自分の実力では無い。アグアニエベが与えたスキルが勝手にやってるだけなのだが。
「お願い、ファントム!」
飛んで出現した名刀ファントム。ビーンビーンと身を震わせて音を立てる。皇女はゴクリと唾を飲んだ。久しぶりの高揚に嬉しくてたまらない女戦士だった。
始まった2人の娘の打ち合いを見ている部外者が居るのを彼女達は知らなかった。
「フフッ、見つけた!」
フランソワ・カミュは、閉じていた目を開く。魔眼を魔法呪文や魔法道具なしに使える者、只者ではあらず。次の瞬間、ゴメス商会の事務所から姿が消える。
さあ、行かん。彼女のもとへ。アグアニエベの紹介してくれたパトロンへと。
「嬉しいです、ネタが手に入りました。読者の好きそうな恋愛話し。売り上げアップですねー!」
空からヒラヒラと降ってくるのは天国からの連絡事項。
「おやおや、人手不足で仕事が回って来ましたね。有能な悪魔にはチョチョイのチョイー!」
呼び出された使い魔が書類を受け取り何処かへと消えて行く。降ってくる書類は同じく使い魔が持って行った。
救わなければならない人々のもとへアグアニエベの姿に身を変えて訪れるのだ。並の天使の仕事量の倍の倍はやっている出来る方法だった。能率アップ、点数だけ稼いでいます。
「さあ、ゴメスさんは居るのかなー?」
作品に絶世の美男子の魔法使いが出て来る。そして、隣国から亡命してきた皇女との燃え上がる恋。女性ファンが渇望しているストーリーだ。
ゴメス商会に入ると灰色の目をしたイケメンが愛想なく教えてくれた。
「会長は他国の視察に行かれて不在です。何時、戻られるかは不明です。アグアニエベさん。」
「そうですか、大事な話があったのですがあ(このエイドリアン・ハーパーさんは好きでは有りませんね。ちょいと、魔法を。)」
「そうですか、大事な話があったのですか(魔法を掛けられた状態)。では、代表にお話されてみては?」
「代表が居るのですね、そうします。」
事務所へと小走りに去って行く銀色の髪の男を見送ってエイドリアン・ハーパーは首を捻る。
(何で、代表が居ると言ったんだ。僕は?舞踏会の夜は、気がついたら自分のアパートの部屋で寝ていたしな。おかしい、病気か?)
彼は、あの夜にアンジェラに告白した事を覚えてはいなかった。アンジェラに恋をしていた事も記憶が抜け落ちたようになっているのだ。
勿論、ゴメスが魔法消去してしまった。アグアニエベが使った呪術の惚れ薬の効果も。
「これは、これは、ゴメス商会の代表であられるフランソワ・カミュ様。お久しぶりです。相変わらずに美貌が眩しいですねえ。」
事務所に入るなり誉めそやすアグアニエベをソファーでウトウトしていた青年が目を開けて見た。直ぐに閉じたが。
紫色の長い髪は幾つもの三つ編みにされており膝を抱えて赤子のように身を丸めて眠る姿。とても、大商会の重役には見えなかった。
「パフェでも食べに行きませんか?今日は、私に奢らせて下さい。あれ?」
なんと、今まで居たソファーが空になっている。そして、開いたドアの外から流れるように飛んで来たメモ。
『カフェで待っています。フランソワ・カミュ。』
甘い物が大好きな代表。先に行ってるらしい。
召喚された勇者が甘い物カフェを初めて流行らせたという大きな水差しに山盛りしたパフェ。テーブルで、ひたすら食べる青年の姿は浮いていた。
パクパクパクパクパクパクーー。
アグアニエベは見るだけでお腹いっぱい。自分はコーヒーに口をつける。
「本当に代表は甘い物が好きですね。給料で食べ歩きして金欠病ですか?」
コクンコクンと頷いたのが返事。無口な相手だ。年齢不詳、若く見えるが実の処は分からない。不明なのだ。
ゴメスが自分の商会の代表に据えて仕事をさせている。変わり者として知られている存在だった。
「これだけのイイ男なんだから、女友達を作って食べさせてもらえばいいんですよ。」
「食べ、もらえる?」
「はい、喜んで食べさせてくれますよ。」
「させて、くれる?」
まるで、蝋人形のような整った顔立ち。パフェから顔を上げて向かいに座るアグアニエベを見つめる。真っ黒な瞳は赤い光を灯していた。興味の湧いた時だけ灯る光だ。
(どうやら、食い付きましたね。特大パフェを何杯でも驕ってあげますよ。かかった、かかった、餌にお魚がー♪)
喜ぶ悪魔の入れ知恵を食欲だけの美しい青年は耳を貸した。利用されるとは思わずに。
何も知らないアンジェラはイライザ皇女の護衛をしながら旅をしていた。一緒に居る数日でイライザの好みが分かってしまう。
「もう、終わりなの?駄目ね、うちの男は!」
馬車を止めて休息する時間も剣の鍛練を忘れない彼女は、弟のジョバンニを相手に打合いだ。打ちのめされるジョバンニは半泣き。
仕方ないので、アンジェラが申し出た。ジョバンニが可哀想になったので。姉が強すぎる。
「私では物足りないかもしれませんが、御相手します。」
「アンジェラちゃん、相手してくれるの?嬉しいわー、戦ってみたかったんですもの!」
嬉々として剣を構える皇女。アンジェラは剣を持ってるだけなので、自分の実力では無い。アグアニエベが与えたスキルが勝手にやってるだけなのだが。
「お願い、ファントム!」
飛んで出現した名刀ファントム。ビーンビーンと身を震わせて音を立てる。皇女はゴクリと唾を飲んだ。久しぶりの高揚に嬉しくてたまらない女戦士だった。
始まった2人の娘の打ち合いを見ている部外者が居るのを彼女達は知らなかった。
「フフッ、見つけた!」
フランソワ・カミュは、閉じていた目を開く。魔眼を魔法呪文や魔法道具なしに使える者、只者ではあらず。次の瞬間、ゴメス商会の事務所から姿が消える。
さあ、行かん。彼女のもとへ。アグアニエベの紹介してくれたパトロンへと。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
156
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる