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代理天使のお仕事をしているアグアニエベは、ぶつくさ言いながら村に降り立った。
「全く、酷すぎます。国民が重税をされて可哀想だから、ちょっと力を使っただけなのに。減棒(げんぼう=給料カット)とは、やり過ぎのファレル様!」
そして、1つの小屋へと入った。
「ああ、捕まえて。お願い!」
女の叫ぶ声にアグアニエベは魔力で掴む。それは、ジタバタのする小さな妖精だった。
「離せー、アホ!わたいを誰だと思ってんのよ、ボン。ゲジゲジにしてやるからー!」
アグアニエベの手に噛みつく狂暴さ。毒を持っているのか手にゲジゲジが発生!(毛虫の毛が生えました)
「はあ、これが君の攻撃ですか。弱いですね、除去魔法!」
妖精は、「ギョエッ!」と叫んでグッタリとする。エルザは心配そうに見た。手や顔にゲジゲジが発生しています。被害に合いました。
「妖精さんに何かしたんですか。殺したりしてませんよね?」
「そんな事は、しません。私は、天使ですから。」
「え?でも、背中に黒い羽根が。」
「ええ、悪魔なんですけど天使お手伝いやってます。妖精の毒を取り除いただけですから、安心してください。」
妖精を両の手で大事そうに受け取るエルザ。その仕草にアグアニエベは微笑んだ。
「その妖精は、性格が悪い。でも、大切にしてるんですね。」
「はい、優しい人に頂いた物なのです。」
何も持っていないけど、宝物です。あの子が私の為に捕まえてくれたから。
アグアニエベは、指で触れてエルザのゲジゲジを消してくれる。それを入って来たジョセフィン王子が目にして声を上げた。
「僕のエルザさんに触るな!」
走って来てエルザをアグアニエベから引き離す。アグアニエベは、苦笑い。どうやら、嫉妬されてるようです。困った。
「私は、何もしていませんよ。安心して下さい。おや?」
アグアニエベは、怒って睨み付けている少年を見つめて髪に触れた。パシッと、はたき落とされたが。気にもしていない。
「ふーむ。アウィス、ですか。もしかして?」
ジョセフィン王子は、その言葉にハッとする。
「何で、あんたが知ってるんだ?」
「だって、天使ですから。アウィスは、天国の園に居た鳥。今も、居ますよ。」
「え?嘘だ!」
「信じなくても、結構。しかし、問題ですね。あなた、成長に障害がある。おっと、先にエルザさんの問題を処理しなくては。」
話を終わらせてしまったアグアニエベ。ジョセフィン王子は、聞きたそうにしている。だが、初めて顔を合わせた相手に聞けないのだ。
「エルザさん、元の場所へ帰りたくないそうですね。私にファレル天使が託されました。安全な場所へご案内いたします。」
ジョセフィン王子が、アグアニエベの出した手を阻(はば)む。
「ここだって、安全だ。エルザさんを連れて行かせない。僕が、買ったんだ!」
「そうでしたね。その代金は、私がお返しします。」
「お金じゃない。エルザさんは、僕の物なんだぞ。」
「でも、神殿から捜索が出ました。ここへ来るのは、時間の問題かと。買い取りの手続きで身分確認もされてますし。」
アグアニエベの言ってる事は、正論だった。ジョセフィン王子は、反論できない。だから、言った。
「分かった。じゃ、僕も行く。僕が一緒に行って、エルザさんを守る!」
エルザは、びっくり。アグアニエベは呆気に取られて、笑う。
「そうですか、そうですね。アハハー。」
自分より小さな子供が、自分を守ると言った事。どうしてだか、嬉しいエルザ。
盗賊でも来たなら、自分が盾にならなくてはいけないだろうけど。胸が熱くなった。
アグアニエベは、頷く。
「分かりました。あなたは、市場からエルザさんを買い取った正当な持ち主です。一緒に参りましょう。」
という事で、ジョセフィン王子とエルザは一緒に旅立つ事になったのでして。
さて、何処へ連れて行かれるのだろうか?
「全く、酷すぎます。国民が重税をされて可哀想だから、ちょっと力を使っただけなのに。減棒(げんぼう=給料カット)とは、やり過ぎのファレル様!」
そして、1つの小屋へと入った。
「ああ、捕まえて。お願い!」
女の叫ぶ声にアグアニエベは魔力で掴む。それは、ジタバタのする小さな妖精だった。
「離せー、アホ!わたいを誰だと思ってんのよ、ボン。ゲジゲジにしてやるからー!」
アグアニエベの手に噛みつく狂暴さ。毒を持っているのか手にゲジゲジが発生!(毛虫の毛が生えました)
「はあ、これが君の攻撃ですか。弱いですね、除去魔法!」
妖精は、「ギョエッ!」と叫んでグッタリとする。エルザは心配そうに見た。手や顔にゲジゲジが発生しています。被害に合いました。
「妖精さんに何かしたんですか。殺したりしてませんよね?」
「そんな事は、しません。私は、天使ですから。」
「え?でも、背中に黒い羽根が。」
「ええ、悪魔なんですけど天使お手伝いやってます。妖精の毒を取り除いただけですから、安心してください。」
妖精を両の手で大事そうに受け取るエルザ。その仕草にアグアニエベは微笑んだ。
「その妖精は、性格が悪い。でも、大切にしてるんですね。」
「はい、優しい人に頂いた物なのです。」
何も持っていないけど、宝物です。あの子が私の為に捕まえてくれたから。
アグアニエベは、指で触れてエルザのゲジゲジを消してくれる。それを入って来たジョセフィン王子が目にして声を上げた。
「僕のエルザさんに触るな!」
走って来てエルザをアグアニエベから引き離す。アグアニエベは、苦笑い。どうやら、嫉妬されてるようです。困った。
「私は、何もしていませんよ。安心して下さい。おや?」
アグアニエベは、怒って睨み付けている少年を見つめて髪に触れた。パシッと、はたき落とされたが。気にもしていない。
「ふーむ。アウィス、ですか。もしかして?」
ジョセフィン王子は、その言葉にハッとする。
「何で、あんたが知ってるんだ?」
「だって、天使ですから。アウィスは、天国の園に居た鳥。今も、居ますよ。」
「え?嘘だ!」
「信じなくても、結構。しかし、問題ですね。あなた、成長に障害がある。おっと、先にエルザさんの問題を処理しなくては。」
話を終わらせてしまったアグアニエベ。ジョセフィン王子は、聞きたそうにしている。だが、初めて顔を合わせた相手に聞けないのだ。
「エルザさん、元の場所へ帰りたくないそうですね。私にファレル天使が託されました。安全な場所へご案内いたします。」
ジョセフィン王子が、アグアニエベの出した手を阻(はば)む。
「ここだって、安全だ。エルザさんを連れて行かせない。僕が、買ったんだ!」
「そうでしたね。その代金は、私がお返しします。」
「お金じゃない。エルザさんは、僕の物なんだぞ。」
「でも、神殿から捜索が出ました。ここへ来るのは、時間の問題かと。買い取りの手続きで身分確認もされてますし。」
アグアニエベの言ってる事は、正論だった。ジョセフィン王子は、反論できない。だから、言った。
「分かった。じゃ、僕も行く。僕が一緒に行って、エルザさんを守る!」
エルザは、びっくり。アグアニエベは呆気に取られて、笑う。
「そうですか、そうですね。アハハー。」
自分より小さな子供が、自分を守ると言った事。どうしてだか、嬉しいエルザ。
盗賊でも来たなら、自分が盾にならなくてはいけないだろうけど。胸が熱くなった。
アグアニエベは、頷く。
「分かりました。あなたは、市場からエルザさんを買い取った正当な持ち主です。一緒に参りましょう。」
という事で、ジョセフィン王子とエルザは一緒に旅立つ事になったのでして。
さて、何処へ連れて行かれるのだろうか?
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