(完)恋なんてのは忌まわしいだけだが必要だよ

川なみな

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「 1ー11 」知らない相手

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昼休み、薫は学食のまえで待っていた。やって来る生徒達の向こうから光が差して来る。


「来た来た、御前様ーー!」


ブンブンと腕を振り回す薫の姿に、現れた御前様は睨んだ。


「おい、カケオリル。保育園児みたいに腕を振るな。」

「だって、待ってたんだもん。遅いですよ、御前様。定食が売り切れちゃう。」


学食の中へ走って行く後ろ姿に御前様は肩をすくめる。父親は代表理事だから、定食は取り置きされてるのに。何も知らない奴だと。

その通りに用意されていた特別定食が、何も言わなくても出される。フルーツまでサービスだった。


「何で何で、マンゴーが付いてる!」

「うるせーな、欲しいなら食え。」

「本当?でも、食べないの?」

「食欲ないし、どーでもいいよ。それより、カケオリルは俺と1緒にいるのは何故なんだ?」

「宿主先生に、毎日、お昼ご飯を御前様と食べるように言われたから。どうしてなんだろう?」

「知らねーよ。俺に聞くな。」


もらったマンゴーを嬉しそうに見てる薫を見ながら、御前様は皮肉な笑いを浮かべる。宿主が指示したのには理由があるからだ。


(こいつに、俺を見張らせる気か。兄貴達みたいにならないようにってわけだな。親父の命令だろ。)


無意識に首筋の痣に手が触れる。効き目が薄れると、この痣は形を変えるという。それを植え付けた技師が手当てをしなくてはならない。

臨時の技師だという薫は、何も知らされてないようだった。その為に学園へ連れて来られたわけだが、自分にとって大事な存在になるとは思ってもいない。


「おい、カケオリルは何で編入して来たんだ?」


その理由を知っている御前様は、わざと聞いてみた。反応を見たかったのだ。父親が本人は知らないはずだと言っていたので。


「僕ですか、宿主さんに連れて来られただけです。」


何ていう意味の無い答え。本当に、それだけか。自分の役割を知らないはずが無い。常代だから、仕事以外は別の記憶なのか。


(全く、覚えてないみたいだな。枕香の仕事をした事は。)


まだ、2人は知らない。運命は、育った環境の違う2人の少年を出会わせたのだ。結びつける為に。
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