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異世界とオーク顔の少年
第十二話 エクストラヒール
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やっと、やっとだ、、、。
金貨50枚を貯めるというこの大業!
僕はラブホテルってスキルがあって宿泊にお金がかからない為、貯めるのはそんなに苦では無かったが、
毎日毎日レオンさんに殺されながらの生活費とマリアを治す為のお金を貯める日々。
レオンさんに殺される以外は結構楽しかったが、それでもかなりの月日が流れた。
しかし、
(マリアを背負うのも今日が最後かな?)
そう思うと寂しさがあった。
でもこれで、マリアを治してやれる!
とは実は限らない。
僕が『エクストラヒール』を覚えられるかどうかにかかっているからだ。
本当は神殿の人に『エクストラヒール』を使って貰えばあっという間に問題は解決なんだけど、
マリアが嫌がった。
それで、『僕に治して欲しいの?』
と聞くとマリアは頷いた。
部位欠損を治せる、『エクストラヒール』は使えればもちろん無駄にはならないけど、、、。
覚えられないかもしれないのだ。
僕に最初『ヒール』を習得させてくれたシスターも『エクストラヒール』は使えないと言っていた。
『エクストラヒール』は何年も何年もお祈りを捧げてやっと習得出来るそうだ。
それを僕は習得出来るのだろうか?
シスター曰く、『タナカの神聖魔法の適正の高さはかなりのもの、でも、こんなに早くこの奇蹟を習得した例は無い』のだそうだ。
ただ、僕は召喚者という事もあり、それがどの様に作用するかは全くの未知らしい。
僕はこの日の為に、日々マリアが寝た後、聖書を読みまくり、創造神サトルティヌス様への理解は深めて来た。
努力は続けてきたし、『ヒール』は詠唱破棄出来るんだけど、じゃあ、どうなのかと聞かれてもどうも分からない。
やってみる他無い。
結果は保証出来ない感じだ。
僕としては全然『エクストラヒール』を使える人にマリアをお願いしたいんだけどな。
あぁ。
うまく行くと良いな。
でも、上手く行って僕の顔を見た瞬間にマリアにドン引きされたりして。
これが一番凹むな。
今は何となく僕になついてる感じがするけど、
僕の顔を見た瞬間に、
『キモ』
みたいな。
『こんな魔物の様な顔をして、私の体を洗っていたんすか?変態ですね、死んでください』
みたいな。
うーん。なきにしもあらずだな。
僕もマリアの体を洗いながら、『ヤバイよな』っていつも思ってたし、、、。
その時は『変態』の汚名を進んで浴びるとしよう、、、。
神殿の前に着くと緊張を押し殺して中に入る。
背中から伝わるマリアの心臓の音も何時もより早く大きい。
マリアも緊張しているのが分かった。
神殿の中に入るとカーンティさんは既に居て僕達を待っていた。
「良かったな、マリア。きっとヨウイチが治してくれるぞ」
カーンティさんが笑いながらそう言った。
治った瞬間にマリアはダッシュで居なくなってしまうかもしれないけどね。
「ではこちらへ」
シスターの指示に従う。
シスターは相変わらずけしからんボディーをしている。
前を歩くシスターの体をチラ見しながら神殿の奥へと行く。
大きな扉を開けると前回来たときに、
『金貨50枚!』
を僕に指示した老人が立っていた。
金貨50枚というと大変高い様に感じるが実はかなりお得価格らしい。
そもそも普通は教えてくれないらしい。
何年も神殿で下働きをして、神様の事をしっくり理解出来る様になって、初めて教えて貰えるものだそうだ。
それをカーンティさんの口利きのお陰で僕は教えて貰えるようだ。
最初僕は、カーンティさんが『コラコーラと交換で魔法を教えて上げる』と言われて、神殿に連れていかれて『神殿に寄進するように』って言われた時に、『なんだかなぁ』と思ったのだが、言わなくて良かった。
カーンティさんも、レオンさんの様に昔はクランを率いていたんだけど、その時には他方の依頼を受けて町の全くの為に尽力していたらしい。
冒険者を引退後ギルドの受付嬢をしているカーンティさんの頼みを断れない人が多いようだ。
そして僕に奇蹟の習得の為に神様と僕とを仲介をしてくれるおじいちゃんが喋りだす。
「では、以前もお願いしたことをくれぐれも頼む」
『エクストラヒール』を格安で教えて貰える代わりにいくつかお願いされていた。
一つ目は、『エクストラヒール』は神殿の大切な収入源だから無料で誰かに施すのは止めて欲しい。
二つ目は、他の冒険者とパーティーを組むのは止めて欲しい。
三つ目は、一日に時間を決めて、神官として『エクストラヒール』を使って欲しい。
ちなみに謝礼は一回に付き金貨一枚と大盤振る舞いだった。
もちろん僕は快諾、しかもおじいちゃんは僕が『エクストラヒール』を習得出来なかったら、マリアは無料で治してくれると約束してくれた。
マリアが掛けていいって言ったらだけど、、、。
もし、マリアが良いって言わなかったら僕は再び金貨を50枚貯めなければいけないのだろうか?
流石にもう一度金貨を50枚貯めるのはきつい!
何としてでも今日習得しなければ!!
気合いが入る。
今の僕は神様を思うと気持ちで一杯だ!
お祈りを捧げる定位置定位置について膝をつき、
手を合わせて指を組んだ。
そしておじちゃんのお祈りが始まる。
それに合わせて僕も祈りを捧げる!
たのんますぅ~!
たのんますぅ~!
どうかぁ、僕に奇蹟を~!
どうかぁ~、『エクストラヒール』をぉ~!
与えたまぇ~!
たのんますぅ~!
たのんますぅ~!
長い長いお祈りの後、
僕の体が軽く。
暖かくなった!
そして頭の中にお祈りの言葉が浮かんだ!
いけた!!
「おぉ!習得しおったぞ!!」
おじいちゃんがそう言いながら尻餅を付いた。
MPを使い果たしたんだろう。
それを聞いたカーンティさんとシスターが拍手をしてくれる。
肩の荷の降りた気持ちで『ホッ』とするが、
最後に仕事をしなければいけない。
マリアを背中から下ろすと、その耳元で、
「『エクストラヒール』を唱えるよ」
僕がそう囁くと、マリアは緊張しているのか、体を震わせた。
マリアのフードを取ると、窪んだ眼窩と、火傷の跡や、大小の傷が露になる。
髪の毛は、ほとんど抜け落ちているため頭の形がはっきりと分かる。
『届け!この星を創りし麗しの神へ!
聞け!我らを見守りし、煌めきの神よ!!
この壊れた金の器、
貴方を敬いしこの魂、
元の姿に戻したまえ!
救いたまえ!』
『エクストラヒール!』
全てのMPを注ぎ込んだ!!
マリアの体が光輝く!
目を細めて、その隙間からマリアの様子を伺う!
禿げてしまっていた頭部から赤い髪の毛が『ファサ!』っと生え!
窪んだ眼窩は内側から盛り上がる!
そして顔の傷や火傷の跡が綺麗になって!!
マリアの唇が『プルン』と弾けた。
だが、変化はここまでだった。
光が収まり。
マリアが薄目を開ける。
「ヨウイチ様?」
「そうだよ。僕がヨウイチだ」
出来る限りの笑顔を浮かべる。
子供が思わず逃げ出す笑顔らしいが、精一杯の親愛の証だ!
「ごめんなさい!ごめんなさい!私!」
マリアがそう叫んだ。
「良いんだ!大丈夫だ!分かってる。何の心配も要らない」
僕は首を振って笑った。
マリアの腕と足は治らなかった。
いや、無い状態が普通だったのだろう。
壊れてない物を治す事は出来ない。
『エクストラヒール』は生得的なもの、例えば生まれつき障がいを持った人を治すことは出来ないようだ。
「大丈夫だ。何の心配も要らない」
僕はマリアの体を抱き締めた。
金貨50枚を貯めるというこの大業!
僕はラブホテルってスキルがあって宿泊にお金がかからない為、貯めるのはそんなに苦では無かったが、
毎日毎日レオンさんに殺されながらの生活費とマリアを治す為のお金を貯める日々。
レオンさんに殺される以外は結構楽しかったが、それでもかなりの月日が流れた。
しかし、
(マリアを背負うのも今日が最後かな?)
そう思うと寂しさがあった。
でもこれで、マリアを治してやれる!
とは実は限らない。
僕が『エクストラヒール』を覚えられるかどうかにかかっているからだ。
本当は神殿の人に『エクストラヒール』を使って貰えばあっという間に問題は解決なんだけど、
マリアが嫌がった。
それで、『僕に治して欲しいの?』
と聞くとマリアは頷いた。
部位欠損を治せる、『エクストラヒール』は使えればもちろん無駄にはならないけど、、、。
覚えられないかもしれないのだ。
僕に最初『ヒール』を習得させてくれたシスターも『エクストラヒール』は使えないと言っていた。
『エクストラヒール』は何年も何年もお祈りを捧げてやっと習得出来るそうだ。
それを僕は習得出来るのだろうか?
シスター曰く、『タナカの神聖魔法の適正の高さはかなりのもの、でも、こんなに早くこの奇蹟を習得した例は無い』のだそうだ。
ただ、僕は召喚者という事もあり、それがどの様に作用するかは全くの未知らしい。
僕はこの日の為に、日々マリアが寝た後、聖書を読みまくり、創造神サトルティヌス様への理解は深めて来た。
努力は続けてきたし、『ヒール』は詠唱破棄出来るんだけど、じゃあ、どうなのかと聞かれてもどうも分からない。
やってみる他無い。
結果は保証出来ない感じだ。
僕としては全然『エクストラヒール』を使える人にマリアをお願いしたいんだけどな。
あぁ。
うまく行くと良いな。
でも、上手く行って僕の顔を見た瞬間にマリアにドン引きされたりして。
これが一番凹むな。
今は何となく僕になついてる感じがするけど、
僕の顔を見た瞬間に、
『キモ』
みたいな。
『こんな魔物の様な顔をして、私の体を洗っていたんすか?変態ですね、死んでください』
みたいな。
うーん。なきにしもあらずだな。
僕もマリアの体を洗いながら、『ヤバイよな』っていつも思ってたし、、、。
その時は『変態』の汚名を進んで浴びるとしよう、、、。
神殿の前に着くと緊張を押し殺して中に入る。
背中から伝わるマリアの心臓の音も何時もより早く大きい。
マリアも緊張しているのが分かった。
神殿の中に入るとカーンティさんは既に居て僕達を待っていた。
「良かったな、マリア。きっとヨウイチが治してくれるぞ」
カーンティさんが笑いながらそう言った。
治った瞬間にマリアはダッシュで居なくなってしまうかもしれないけどね。
「ではこちらへ」
シスターの指示に従う。
シスターは相変わらずけしからんボディーをしている。
前を歩くシスターの体をチラ見しながら神殿の奥へと行く。
大きな扉を開けると前回来たときに、
『金貨50枚!』
を僕に指示した老人が立っていた。
金貨50枚というと大変高い様に感じるが実はかなりお得価格らしい。
そもそも普通は教えてくれないらしい。
何年も神殿で下働きをして、神様の事をしっくり理解出来る様になって、初めて教えて貰えるものだそうだ。
それをカーンティさんの口利きのお陰で僕は教えて貰えるようだ。
最初僕は、カーンティさんが『コラコーラと交換で魔法を教えて上げる』と言われて、神殿に連れていかれて『神殿に寄進するように』って言われた時に、『なんだかなぁ』と思ったのだが、言わなくて良かった。
カーンティさんも、レオンさんの様に昔はクランを率いていたんだけど、その時には他方の依頼を受けて町の全くの為に尽力していたらしい。
冒険者を引退後ギルドの受付嬢をしているカーンティさんの頼みを断れない人が多いようだ。
そして僕に奇蹟の習得の為に神様と僕とを仲介をしてくれるおじいちゃんが喋りだす。
「では、以前もお願いしたことをくれぐれも頼む」
『エクストラヒール』を格安で教えて貰える代わりにいくつかお願いされていた。
一つ目は、『エクストラヒール』は神殿の大切な収入源だから無料で誰かに施すのは止めて欲しい。
二つ目は、他の冒険者とパーティーを組むのは止めて欲しい。
三つ目は、一日に時間を決めて、神官として『エクストラヒール』を使って欲しい。
ちなみに謝礼は一回に付き金貨一枚と大盤振る舞いだった。
もちろん僕は快諾、しかもおじいちゃんは僕が『エクストラヒール』を習得出来なかったら、マリアは無料で治してくれると約束してくれた。
マリアが掛けていいって言ったらだけど、、、。
もし、マリアが良いって言わなかったら僕は再び金貨を50枚貯めなければいけないのだろうか?
流石にもう一度金貨を50枚貯めるのはきつい!
何としてでも今日習得しなければ!!
気合いが入る。
今の僕は神様を思うと気持ちで一杯だ!
お祈りを捧げる定位置定位置について膝をつき、
手を合わせて指を組んだ。
そしておじちゃんのお祈りが始まる。
それに合わせて僕も祈りを捧げる!
たのんますぅ~!
たのんますぅ~!
どうかぁ、僕に奇蹟を~!
どうかぁ~、『エクストラヒール』をぉ~!
与えたまぇ~!
たのんますぅ~!
たのんますぅ~!
長い長いお祈りの後、
僕の体が軽く。
暖かくなった!
そして頭の中にお祈りの言葉が浮かんだ!
いけた!!
「おぉ!習得しおったぞ!!」
おじいちゃんがそう言いながら尻餅を付いた。
MPを使い果たしたんだろう。
それを聞いたカーンティさんとシスターが拍手をしてくれる。
肩の荷の降りた気持ちで『ホッ』とするが、
最後に仕事をしなければいけない。
マリアを背中から下ろすと、その耳元で、
「『エクストラヒール』を唱えるよ」
僕がそう囁くと、マリアは緊張しているのか、体を震わせた。
マリアのフードを取ると、窪んだ眼窩と、火傷の跡や、大小の傷が露になる。
髪の毛は、ほとんど抜け落ちているため頭の形がはっきりと分かる。
『届け!この星を創りし麗しの神へ!
聞け!我らを見守りし、煌めきの神よ!!
この壊れた金の器、
貴方を敬いしこの魂、
元の姿に戻したまえ!
救いたまえ!』
『エクストラヒール!』
全てのMPを注ぎ込んだ!!
マリアの体が光輝く!
目を細めて、その隙間からマリアの様子を伺う!
禿げてしまっていた頭部から赤い髪の毛が『ファサ!』っと生え!
窪んだ眼窩は内側から盛り上がる!
そして顔の傷や火傷の跡が綺麗になって!!
マリアの唇が『プルン』と弾けた。
だが、変化はここまでだった。
光が収まり。
マリアが薄目を開ける。
「ヨウイチ様?」
「そうだよ。僕がヨウイチだ」
出来る限りの笑顔を浮かべる。
子供が思わず逃げ出す笑顔らしいが、精一杯の親愛の証だ!
「ごめんなさい!ごめんなさい!私!」
マリアがそう叫んだ。
「良いんだ!大丈夫だ!分かってる。何の心配も要らない」
僕は首を振って笑った。
マリアの腕と足は治らなかった。
いや、無い状態が普通だったのだろう。
壊れてない物を治す事は出来ない。
『エクストラヒール』は生得的なもの、例えば生まれつき障がいを持った人を治すことは出来ないようだ。
「大丈夫だ。何の心配も要らない」
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