19 / 54
異世界とオーク顔の少年
第十八話 異世界人
しおりを挟む
この国の歴史は1000年以上前に遡る。
その1000年前の聖魔大戦で魔族相手に人族が辛勝した、その時の前線がこの国、スダロキア王国の起源になる。
だからこの国の周りでは魔族との戦闘の前線だった為、魔物の発生率が高く。
その魔物は魔王が死んだ後も蔓延(はびこ)り人間を襲った。
しかし、この魔物にも利用価値がある。
魔石だ。
この国は魔物から取れる魔石を動力とした工業国家で、これがこの国の大きな収入源になっている。
だから魔物が多いのは悪い事じゃあ無いのだが、
「やっぱりおかしいですぜ?隊長」
「あぁ、多いな。しかも、、」
俺はそう言いながら剣を鞘へ戻した。
俺の視線の先、この森のずっと向こうに有ったという魔族の都。
魔物はその魔都クトゥプルがあった方向へ行けば行くほど強く特殊な魔物が現れるのだが。
こんな場所でオーガが現れるなんて今まで聞いたのとが無かった。
オーガは短い角を一本頭に生やした2メードル程の体躯をしていて、特殊な能力こそ無いものの、力も強く、素早かった。
部下が魔物から魔石を剥ぎ取ったのを確認して踵を返した。
「引き上げるぞ」
討伐隊を編成して一気に魔物を殲滅する必要があるな。
いや、その前に調査団を編成して森を調べるべきか。
どっちみち俺一人では判断出来ない、砦に戻って報告だな。
・
「では、聖書の冒頭で、『私は全ての人を救う事は出来ない』と書いてあるのは?」
「多分、神様なりの誠意だね」
シスターのジルさんの質問に答えた。
「ヨウイチ様、救えない事の何処が何が誠意何ですか?」
ジルさんがそう言って『ズイ』と僕に寄った。
僕は最近はマリアもいて、前ほど女性に免疫が無いわけではないのだけど、ジルさんの綺麗な顔が目の前に来るとつい顔を赤くしてしまうのだ。
「そのぉ。神様が全ての人を救えるっていう世界になって欲しいかどうかって所になるんだけど」
僕は少しジルさんから距離を取って、
「ジルさんはなって欲しい?」
と言うが、ジルさんがさらに、『ズイ』と僕に寄って、
「はい!私はそうあるべきだと思います!」
ジルさんの顔がすぐそこにあって、ジルさんの体が僕の体に当たってくる。
「ちょ?ちょっ!ジルさん?当たってませんかね?」
「何がですか?!」
ジルさんがさらに僕に『グイッ』っと寄って。
ジルさんの大きな胸が、僕の腕に、、、。
「ちょっと!!」
大きな声がして、その声の方を見るとそこにはマリアが立っていた。
腰に手を当てて仁王立ちしている。
「ジル様?そんな貧相な胸、ご主人様に当てないでいただけますか?」
マリアはそう言って、『ツカツカツカ』と僕達の方へ歩いてくる。
正直言って、ジルさんの胸はかなり大きい。
でもマリアの胸はそれを明らかに凌駕しているのだった。
マリアが歩くと胸が、『ユッサユッサ』と揺れる。
「貴女って犬の獣人なのよね?」
ジルさんがそう言う。
多分牛の獣人じゃあないかと言いたいんだろう。
しかしマリアの頭部からは赤いシェパードみたいな耳が『ピョコン』と生えていて、しっぽが『ファサファサ』と揺れている。
「きっと手と足に行く栄養が全部胸に行ってるんじゃないかしら?」
マリアはそう言われるが、気にした感じは無く、自慢げに胸を両腕で持ち上げて見せた。マリアの胸は最初ペッタンコだったのだが栄養状態が良くなり大きくなった。しかし、際限無くどんどん大きくなっている様な気がする。
マリアはそのまま僕の隣に来ると、その大きな胸で僕の腕を挟む。
ジルさんもそれをみて負けじと僕にくっついて。
両腕を女性に包まれて、、、
『あぁ』
と一人ごちて、恐らく人生で最初で最後であろうモテ期を堪能する為に、両腕に神経を集中させる。
二人が自分の方へと僕の腕を引っ張る。
マリアのが引っ張ると、ジルさんも負けじと引っ張る。
たまらんな。
なんて思っていた、その時、
「キャ!」
と言ってマリアが崩れ落ちる!
僕は慌てて、マリアを抱き抱えるが、マリアの義手と義足が『ゴロリ』と転がる。
まだ義手と義足に慣れてないマリアはちょっとした拍子に義手と義足が外れてしまうことが、リハビリを初めて半月経つのだがまだあった。
しかし、
「へへへ」
腕の中のマリアが勝ち誇った顔でジルさんの方を見ている。
わざとか、、、。
僕はマリアを抱いたまま、マリアの義手と義足を拾って一つづつ腕と足に添えてあげると、マリアは一人で立ち上がる。
「すみません、ご主人様」
マリアはそう言いながらもう一度僕の腕を取る。
僕がジルさんを見ると、ジルさんはマリアを『じとー』って感じで見ている。
「では、そろそろ行きます」
「はい、また明日も宜しくお願いします」
ジルさんはそう言って頭を深く下げた。
魔石を稼ぐ為に町の外を目指して歩く。
マリアは僕の手を持った所から、さらに僕の腕に腕を絡ませてくる。
本当ひ一人でも十分歩けるのだが、マリアは『まだ一人で歩くのは怖い』と言って町を歩くときはいつもこうだ。
そうするとすっかり、『美女と野獣』的な感じになって、
通り過ぎる人、通り過ぎる人。
皆僕をジロジロと見ていく。
美人を金で買ったみたいに思われてるんだろうな。
まぁ、買ったのかと聞かれれば確かに買ったのだけど。
中魔石一個で。
町でジロジロ見られながらマリアが食べたいと言う物を買う。お金はあるので全部言い値だ。
しかし、こうやって買い物をしていると、『ホステスとその客』って感じだな。
僕はおっさんみたいな顔というか、カーンティさん曰く、『ドワーフとオークを足して2で掛けた様な顔』らしいし、体型もずんぐりむっくり。
その僕の隣のマリアは、手と足は義手と義足だけど、僕より身長が高くおっぱいもおっきい。
そしてそのマリアは僕に食べたいものをおねだりしている。
うん。完全に『ホステスとその客』って感じだな。
行ったことは無いけれど。
しかし、こうしてジロジロ見られるのも慣れた物だ。
マリアがリハビリを初めてかれこれ半月ずっと見られてきたからね。
そういう視線を無視して夕食を買ってはアイテムポーチに仕舞う。
このアイテムポーチは『ラブホテル』の中のクローゼットと繋がっていて、四次元ポケッ○みたいな使い方が出来る。
だから見た目以上に物を仕舞う事が出来た。
この四次元ポケ○ト的なスキルは、僕のスキル『ラブホテル』をたくさん使って得たスキルで。
『ラブホテル』を110回使った所でこの効果が得られる様になった。
ちなみに使用回数が210回を上回るとクローゼットの拡張をしてもらえるらしく期待していた。
今のクローゼットは大人三人が立って入れるぐらいのスペースしか無くて、僕だけの荷物ならどうでも良いんだけれど、マリアの荷物が増えてきたから、ちょっと広げたいんだよね。
冒険者ギルドに着くとポーチに手を入れて中に移しておいたコラコーラを取り出す。
マリアが扉を開けてくれて中に入ると、カーンティさんとレオンさんがいた。
あれ?
珍しいな。レオンはんは憲兵さんだから普段は、城壁の外の憲兵の事務所でダベってるか、森の中をプラプラしてるかのどっちかだ。
僕は受付に座ってるカーンティさんの前に行ってコラコーラをカウンターに置きながら、
「どうしたんですか?」
と言った。
カーンティさんはそれをカウンターの下に隠しながら、
「それがな」
カーンティさんはそう言いながらレオンさんをチラチラと見る。
「俺から説明する」
レオンさんが僕の方を見ていった。
「お前はこの世界に来て間もないからわかんねぇと思うんだけどよ。ちと、最近魔物が多いんだよ」
「はぁ」
と、僕は気の無い相づちを打つ。
「今、オークを殺してその牙をギルドに持ってくると換金してくれるだろ?」
「はい」
「本当は換金なんかしてねぇんだ。皆ほっといても魔物を狩ってくるからな。でもそれじゃあ間に合わねぇんだよ。魔物がどんどん出てきやがる。それで国から魔石とは別に報償金を出すことで皆により魔物を殺ってもらおうって算段なんだわ」
「なるほど。そうだったんですか」
「それでよ。まぁ、国としても、ギルドとしても魔物が集まるってことは魔石が集まるって事だしよ。悪い事ばかりじゃあねぇ。報償金を出してりゃあそのうち魔物も元通り減るだろうとよ。楽観視してたんだわ」
確かに。
この国は工業に力を入れていて。その動力の魔石は結構重宝していた。魔石が無くなれはそれはそれで国の成り立ちが危うくなる。 何となくだが楽観視したくなる気持ちも分かった。
「それが楽観視してられなくなった。砦の近くでオーガが出やがった」
「オーガ、ですか?」
「あぁ、オーガだ。奴らは特殊な魔法や能力は使ってこねぇがなんつうか、力も強いし、素早い。しかも戦闘慣れしてやがる。単純なフェイントには引っ掛からねぇし、こっちの魔力の動きもよむ。まぁ、ゴブリンやオークってのは初心者向きだな、何とかなる。しかし、オーガとは『殺し合い』だ。あの手この手で殺しに来る、死んだ振りや連携も取ってくる」
オーガはゴブリンやオークとは違うらしい。
「それで、何でこんな話を御前さんにしてるかって言うと、、、」
それは言われなくても分かる。
「僕に召集がかかるんですね?」正確には僕の所属している神殿にだろうけど。
そしてレオンさんが頷いた。
それと同時に、僕の腕を抱く私のマリアの力が強くなる、レオンさんもそれを見ていて、
「最短でも4日間は町には戻ってこれない。それで、問題なのが、、、。マリアちゃんはどうする?」
マリアはさらに力を込めて、
「ご主人様と別々なんて絶対にやです!!」
と言った。
僕だって町から大きく離れての探索なんて経験が無い。
逆に町の近くでの探索ならマリアも経験があるのだが、マリアの仕事は、魔物からの剥ぎ取りでもちろん戦闘に参加した事は無い。
それに、マリアは義手と義足に慣れてきたとは言ってもまだ走ることは出来ないし、荷物を持つことも出来ない。
そうなるとマリアは完全にお荷物状態になるのだが、、、。
そして、マリアがお荷物になるという事は、僕が背負うという意味になる。
マリアを背負っての戦闘か、、、。
「まぁ、そう言うと思った。良いぜ、俺が同行してやる」
レオンさんがドヤ顔で言った。
「本当ですか!?レオン様!」
マリアが喜びの声を上げる。
レオンさんは正直僕より全然強いし、レオンさんが居てくれるなら安心だ。
「あぁ、お前一人なら何の気も無しに放り込んでやる所なんだが、事態がややこしい事になっていて、ちょっと気になる事があってな、、、」
それからレオンさんは背を丸めて急に小声になって、
「というのは、城に召喚された異世界人がな、、、」
僕はげんなりしながらレオンさんの話を聞いたのだった。
その1000年前の聖魔大戦で魔族相手に人族が辛勝した、その時の前線がこの国、スダロキア王国の起源になる。
だからこの国の周りでは魔族との戦闘の前線だった為、魔物の発生率が高く。
その魔物は魔王が死んだ後も蔓延(はびこ)り人間を襲った。
しかし、この魔物にも利用価値がある。
魔石だ。
この国は魔物から取れる魔石を動力とした工業国家で、これがこの国の大きな収入源になっている。
だから魔物が多いのは悪い事じゃあ無いのだが、
「やっぱりおかしいですぜ?隊長」
「あぁ、多いな。しかも、、」
俺はそう言いながら剣を鞘へ戻した。
俺の視線の先、この森のずっと向こうに有ったという魔族の都。
魔物はその魔都クトゥプルがあった方向へ行けば行くほど強く特殊な魔物が現れるのだが。
こんな場所でオーガが現れるなんて今まで聞いたのとが無かった。
オーガは短い角を一本頭に生やした2メードル程の体躯をしていて、特殊な能力こそ無いものの、力も強く、素早かった。
部下が魔物から魔石を剥ぎ取ったのを確認して踵を返した。
「引き上げるぞ」
討伐隊を編成して一気に魔物を殲滅する必要があるな。
いや、その前に調査団を編成して森を調べるべきか。
どっちみち俺一人では判断出来ない、砦に戻って報告だな。
・
「では、聖書の冒頭で、『私は全ての人を救う事は出来ない』と書いてあるのは?」
「多分、神様なりの誠意だね」
シスターのジルさんの質問に答えた。
「ヨウイチ様、救えない事の何処が何が誠意何ですか?」
ジルさんがそう言って『ズイ』と僕に寄った。
僕は最近はマリアもいて、前ほど女性に免疫が無いわけではないのだけど、ジルさんの綺麗な顔が目の前に来るとつい顔を赤くしてしまうのだ。
「そのぉ。神様が全ての人を救えるっていう世界になって欲しいかどうかって所になるんだけど」
僕は少しジルさんから距離を取って、
「ジルさんはなって欲しい?」
と言うが、ジルさんがさらに、『ズイ』と僕に寄って、
「はい!私はそうあるべきだと思います!」
ジルさんの顔がすぐそこにあって、ジルさんの体が僕の体に当たってくる。
「ちょ?ちょっ!ジルさん?当たってませんかね?」
「何がですか?!」
ジルさんがさらに僕に『グイッ』っと寄って。
ジルさんの大きな胸が、僕の腕に、、、。
「ちょっと!!」
大きな声がして、その声の方を見るとそこにはマリアが立っていた。
腰に手を当てて仁王立ちしている。
「ジル様?そんな貧相な胸、ご主人様に当てないでいただけますか?」
マリアはそう言って、『ツカツカツカ』と僕達の方へ歩いてくる。
正直言って、ジルさんの胸はかなり大きい。
でもマリアの胸はそれを明らかに凌駕しているのだった。
マリアが歩くと胸が、『ユッサユッサ』と揺れる。
「貴女って犬の獣人なのよね?」
ジルさんがそう言う。
多分牛の獣人じゃあないかと言いたいんだろう。
しかしマリアの頭部からは赤いシェパードみたいな耳が『ピョコン』と生えていて、しっぽが『ファサファサ』と揺れている。
「きっと手と足に行く栄養が全部胸に行ってるんじゃないかしら?」
マリアはそう言われるが、気にした感じは無く、自慢げに胸を両腕で持ち上げて見せた。マリアの胸は最初ペッタンコだったのだが栄養状態が良くなり大きくなった。しかし、際限無くどんどん大きくなっている様な気がする。
マリアはそのまま僕の隣に来ると、その大きな胸で僕の腕を挟む。
ジルさんもそれをみて負けじと僕にくっついて。
両腕を女性に包まれて、、、
『あぁ』
と一人ごちて、恐らく人生で最初で最後であろうモテ期を堪能する為に、両腕に神経を集中させる。
二人が自分の方へと僕の腕を引っ張る。
マリアのが引っ張ると、ジルさんも負けじと引っ張る。
たまらんな。
なんて思っていた、その時、
「キャ!」
と言ってマリアが崩れ落ちる!
僕は慌てて、マリアを抱き抱えるが、マリアの義手と義足が『ゴロリ』と転がる。
まだ義手と義足に慣れてないマリアはちょっとした拍子に義手と義足が外れてしまうことが、リハビリを初めて半月経つのだがまだあった。
しかし、
「へへへ」
腕の中のマリアが勝ち誇った顔でジルさんの方を見ている。
わざとか、、、。
僕はマリアを抱いたまま、マリアの義手と義足を拾って一つづつ腕と足に添えてあげると、マリアは一人で立ち上がる。
「すみません、ご主人様」
マリアはそう言いながらもう一度僕の腕を取る。
僕がジルさんを見ると、ジルさんはマリアを『じとー』って感じで見ている。
「では、そろそろ行きます」
「はい、また明日も宜しくお願いします」
ジルさんはそう言って頭を深く下げた。
魔石を稼ぐ為に町の外を目指して歩く。
マリアは僕の手を持った所から、さらに僕の腕に腕を絡ませてくる。
本当ひ一人でも十分歩けるのだが、マリアは『まだ一人で歩くのは怖い』と言って町を歩くときはいつもこうだ。
そうするとすっかり、『美女と野獣』的な感じになって、
通り過ぎる人、通り過ぎる人。
皆僕をジロジロと見ていく。
美人を金で買ったみたいに思われてるんだろうな。
まぁ、買ったのかと聞かれれば確かに買ったのだけど。
中魔石一個で。
町でジロジロ見られながらマリアが食べたいと言う物を買う。お金はあるので全部言い値だ。
しかし、こうやって買い物をしていると、『ホステスとその客』って感じだな。
僕はおっさんみたいな顔というか、カーンティさん曰く、『ドワーフとオークを足して2で掛けた様な顔』らしいし、体型もずんぐりむっくり。
その僕の隣のマリアは、手と足は義手と義足だけど、僕より身長が高くおっぱいもおっきい。
そしてそのマリアは僕に食べたいものをおねだりしている。
うん。完全に『ホステスとその客』って感じだな。
行ったことは無いけれど。
しかし、こうしてジロジロ見られるのも慣れた物だ。
マリアがリハビリを初めてかれこれ半月ずっと見られてきたからね。
そういう視線を無視して夕食を買ってはアイテムポーチに仕舞う。
このアイテムポーチは『ラブホテル』の中のクローゼットと繋がっていて、四次元ポケッ○みたいな使い方が出来る。
だから見た目以上に物を仕舞う事が出来た。
この四次元ポケ○ト的なスキルは、僕のスキル『ラブホテル』をたくさん使って得たスキルで。
『ラブホテル』を110回使った所でこの効果が得られる様になった。
ちなみに使用回数が210回を上回るとクローゼットの拡張をしてもらえるらしく期待していた。
今のクローゼットは大人三人が立って入れるぐらいのスペースしか無くて、僕だけの荷物ならどうでも良いんだけれど、マリアの荷物が増えてきたから、ちょっと広げたいんだよね。
冒険者ギルドに着くとポーチに手を入れて中に移しておいたコラコーラを取り出す。
マリアが扉を開けてくれて中に入ると、カーンティさんとレオンさんがいた。
あれ?
珍しいな。レオンはんは憲兵さんだから普段は、城壁の外の憲兵の事務所でダベってるか、森の中をプラプラしてるかのどっちかだ。
僕は受付に座ってるカーンティさんの前に行ってコラコーラをカウンターに置きながら、
「どうしたんですか?」
と言った。
カーンティさんはそれをカウンターの下に隠しながら、
「それがな」
カーンティさんはそう言いながらレオンさんをチラチラと見る。
「俺から説明する」
レオンさんが僕の方を見ていった。
「お前はこの世界に来て間もないからわかんねぇと思うんだけどよ。ちと、最近魔物が多いんだよ」
「はぁ」
と、僕は気の無い相づちを打つ。
「今、オークを殺してその牙をギルドに持ってくると換金してくれるだろ?」
「はい」
「本当は換金なんかしてねぇんだ。皆ほっといても魔物を狩ってくるからな。でもそれじゃあ間に合わねぇんだよ。魔物がどんどん出てきやがる。それで国から魔石とは別に報償金を出すことで皆により魔物を殺ってもらおうって算段なんだわ」
「なるほど。そうだったんですか」
「それでよ。まぁ、国としても、ギルドとしても魔物が集まるってことは魔石が集まるって事だしよ。悪い事ばかりじゃあねぇ。報償金を出してりゃあそのうち魔物も元通り減るだろうとよ。楽観視してたんだわ」
確かに。
この国は工業に力を入れていて。その動力の魔石は結構重宝していた。魔石が無くなれはそれはそれで国の成り立ちが危うくなる。 何となくだが楽観視したくなる気持ちも分かった。
「それが楽観視してられなくなった。砦の近くでオーガが出やがった」
「オーガ、ですか?」
「あぁ、オーガだ。奴らは特殊な魔法や能力は使ってこねぇがなんつうか、力も強いし、素早い。しかも戦闘慣れしてやがる。単純なフェイントには引っ掛からねぇし、こっちの魔力の動きもよむ。まぁ、ゴブリンやオークってのは初心者向きだな、何とかなる。しかし、オーガとは『殺し合い』だ。あの手この手で殺しに来る、死んだ振りや連携も取ってくる」
オーガはゴブリンやオークとは違うらしい。
「それで、何でこんな話を御前さんにしてるかって言うと、、、」
それは言われなくても分かる。
「僕に召集がかかるんですね?」正確には僕の所属している神殿にだろうけど。
そしてレオンさんが頷いた。
それと同時に、僕の腕を抱く私のマリアの力が強くなる、レオンさんもそれを見ていて、
「最短でも4日間は町には戻ってこれない。それで、問題なのが、、、。マリアちゃんはどうする?」
マリアはさらに力を込めて、
「ご主人様と別々なんて絶対にやです!!」
と言った。
僕だって町から大きく離れての探索なんて経験が無い。
逆に町の近くでの探索ならマリアも経験があるのだが、マリアの仕事は、魔物からの剥ぎ取りでもちろん戦闘に参加した事は無い。
それに、マリアは義手と義足に慣れてきたとは言ってもまだ走ることは出来ないし、荷物を持つことも出来ない。
そうなるとマリアは完全にお荷物状態になるのだが、、、。
そして、マリアがお荷物になるという事は、僕が背負うという意味になる。
マリアを背負っての戦闘か、、、。
「まぁ、そう言うと思った。良いぜ、俺が同行してやる」
レオンさんがドヤ顔で言った。
「本当ですか!?レオン様!」
マリアが喜びの声を上げる。
レオンさんは正直僕より全然強いし、レオンさんが居てくれるなら安心だ。
「あぁ、お前一人なら何の気も無しに放り込んでやる所なんだが、事態がややこしい事になっていて、ちょっと気になる事があってな、、、」
それからレオンさんは背を丸めて急に小声になって、
「というのは、城に召喚された異世界人がな、、、」
僕はげんなりしながらレオンさんの話を聞いたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる