14 / 16
第二章~昔話に華が咲く~
木済葉月は見届けたい
しおりを挟む
~中学3年生 春~
木済葉月。肩上で切りそろえた黒髪。容姿そこそこ学力は中の上。陸上部では好成績を残しているため、スポーツ推薦が狙えるだろうと先生にも言われている。私としても陸上をやめるつもりはないから、それなりに勉強をこなし部活を頑張れば高校には上がれるだろうと若干浮かれているが、気を緩めることは絶対にしない。
気を緩めるつもりは決してないが、つい気になってしまう人たちがいる。星野麗華と赤崎菊だ。彼女たちとはなぜか3年間同じクラスで、星野麗華とは部活が同じ関係でよく話しかけられるし、なんとなく赤崎菊とも仲がいい。そのせいで二人のことは私が一番よく知っているであろうという謎の自信もある。いつも一緒にいて楽しそうにしているのは幼馴染だからだという。それにしては良すぎるような気もするけど。
でも最近、麗華の様子がおかしい。授業の合間もなんとなく考え事をしているように思えた。まあもうこの時期、誰だって悩むものだろう。スポーツ推薦をとれるとはいえ、私も明確にこことは決めていない。赤崎も何か思うところがあるみたいだが、正直いつも何を考えているかわからない。さすがに気になったので休み時間中に聞いてみようとタイミングを見計らって赤崎に聞きに行った。麗華は部活中にでも聞こう。
「赤崎、最近様子が変よ。どうしたの?」
「急だな...。あたしそんな風に見えてるのか?」
「ええ、なにか考え事してるみたいだったわ」
「なんでそんなこと気にするんだ?」
「何でもいいでしょ。いいから言いなさいよ」
少し無理やりだったかもと思ったが、赤崎は思いのほかすんなり答えてくれた。
「単純にどこの高校に行こうか悩んでるだけだ。あと、あいつがどうするのか気になってる...」
あいつというのは菊の場合、麗華しかいないのですぐにわかった。
「聞いてないの?」
「なんか聞きづらくて...」
聞きづらいものがあるのかと正直驚いた。いつもなにか話しているからもう言っているものなのかと思っていた。でもたしかに少し話しづらいところはある気がする。
「聞くぐらいだったら簡単じゃない?二人とも仲いいでしょ」
「そうだけどさー...なあ、代わりに聞いてきてくれないか?頼む!」
「そういわれてもっ。はあ...わかったわよ。部活の時にでも聞いてくるわよ」
「ありがとう助かる!」
元々聞こうとは思っていたが、面倒になったものだ...。
部活にはやはり麗華がいた。いつも通りに振る舞っているが、まだなにか考えている様子だ。とりあえず部活をこなし、休憩に入るところで聞いてみた。
「麗華も最近様子が変よ。どうしたの?」
「も?」
つい赤崎がよぎって言い間違えてしまった。麗華本人には悟られたくないだろう。ごまかさなくては。
「なっなんでもない、言い間違えただけ!それよりもそっちの話よ」
こっちでも強引な聞き方になったが、麗華も話す感じになった。
「...高校、どうしようかなって~...」
(こっちもかー!)
この二人、やっぱり似た者同士よね。まあ誰だって考えるものだけど。
「なにを悩むことがあるのよ。麗華もスポ薦とれるんじゃないの?」
麗華も大会では良い成績を残しているので見込みはあるはずだ。陸上にも熱意はあるし、やめるとは思えなかった。
「似たようなことは先生にも言われたんだけど...私の行きたい高校、陸上の推薦取ってないから...」
「えっ!へぇー...」
今の段階で行きたい高校があるというのもあるが、推薦で行くものだと思っていたからまさかそれ以外の方法で行こうと思っているなんて驚いた。とりあえず話を聞こう。
「でね、私の行きたい高校、今よりもたくさん勉強しないと入れそうにないの」
「そんなに難しいところなの?」
麗華は何か言おうかためらっていたが何とか絞り出そうとして、か細く答えた。
「...ツツジ原女子」
「えっ、あそこってそこそこ偏差値高いわよね。なんでそんなところを?」
「あそこならきくちゃんとも通いやすいし、一応陸上部もあるから」
「まああまり強いイメージはないけどね」
聞いた話が正しければ、部活にもそれなりに力は入れているが、結構勉強寄りだったはずだ。麗華にはあまりつり合いそうにはない。はたから見てもわかるような勉強嫌いだ。
「それで、赤崎はどう思ってるのよ?」
「それがまだ聞いてなくて~」
「はぁ...だからあんなに様子が変だったのね」
「私そんなに表に出てた~?」
反応もさすが幼馴染ってところね。って、今それは関係ない。
「でてたわよ。ちゃんと話しなさいよ、幼馴染なんでしょ?」
「そう...なんだけど...」
麗華は自信がなくなって来たかのようにしぼんでいった。これは背中を押さないと自分から動くのは難しそうね。
「赤崎も気になってるんじゃない?麗華がどうするのか。ちゃんと話し合って、お互い何がしたいかはっきりさせておきなさいよ」
話してて私何様のつもりなのよと思ったが、麗華の顔が少し明るくなってくれたので良しとした。
「うん、わかった!今日きくちゃんに話してみるよ~。ありがとう、は~ちゃん!」
「は~ちゃんはやめて、子どもっぽいじゃない」
「え~、かわいいとおもったのに~...」
「絶対に言わないでよね、恥ずかしいんだから」
そして部活の後、赤崎と高校どうするかを話し合って、一緒にツツジ原女子に行くことになったらしい。二人の仲の良さは元通りみたいだけど、赤崎は勉強ができる分早速苦労してるみたいね...。
正直、麗華がツツジ原女子に行くと聞いたときはショックだった。同じ高校じゃないにしても陸上に専念すると思っていたからだ。それよりも赤崎と一緒にいることを選び悩んでいる様子で、なにか裏切られたような気がした。でもまあ、どうするかは本人次第よね。二人の話を聞いた手前見届けないわけにはいかないと思い、そっと二人を見ることにした。今までやってたことと変わってる気がしないけど...。
私もそろそろ決めないとよね。二人を見てるとなんだか頑張れそうな気がした。
終わり
木済葉月。肩上で切りそろえた黒髪。容姿そこそこ学力は中の上。陸上部では好成績を残しているため、スポーツ推薦が狙えるだろうと先生にも言われている。私としても陸上をやめるつもりはないから、それなりに勉強をこなし部活を頑張れば高校には上がれるだろうと若干浮かれているが、気を緩めることは絶対にしない。
気を緩めるつもりは決してないが、つい気になってしまう人たちがいる。星野麗華と赤崎菊だ。彼女たちとはなぜか3年間同じクラスで、星野麗華とは部活が同じ関係でよく話しかけられるし、なんとなく赤崎菊とも仲がいい。そのせいで二人のことは私が一番よく知っているであろうという謎の自信もある。いつも一緒にいて楽しそうにしているのは幼馴染だからだという。それにしては良すぎるような気もするけど。
でも最近、麗華の様子がおかしい。授業の合間もなんとなく考え事をしているように思えた。まあもうこの時期、誰だって悩むものだろう。スポーツ推薦をとれるとはいえ、私も明確にこことは決めていない。赤崎も何か思うところがあるみたいだが、正直いつも何を考えているかわからない。さすがに気になったので休み時間中に聞いてみようとタイミングを見計らって赤崎に聞きに行った。麗華は部活中にでも聞こう。
「赤崎、最近様子が変よ。どうしたの?」
「急だな...。あたしそんな風に見えてるのか?」
「ええ、なにか考え事してるみたいだったわ」
「なんでそんなこと気にするんだ?」
「何でもいいでしょ。いいから言いなさいよ」
少し無理やりだったかもと思ったが、赤崎は思いのほかすんなり答えてくれた。
「単純にどこの高校に行こうか悩んでるだけだ。あと、あいつがどうするのか気になってる...」
あいつというのは菊の場合、麗華しかいないのですぐにわかった。
「聞いてないの?」
「なんか聞きづらくて...」
聞きづらいものがあるのかと正直驚いた。いつもなにか話しているからもう言っているものなのかと思っていた。でもたしかに少し話しづらいところはある気がする。
「聞くぐらいだったら簡単じゃない?二人とも仲いいでしょ」
「そうだけどさー...なあ、代わりに聞いてきてくれないか?頼む!」
「そういわれてもっ。はあ...わかったわよ。部活の時にでも聞いてくるわよ」
「ありがとう助かる!」
元々聞こうとは思っていたが、面倒になったものだ...。
部活にはやはり麗華がいた。いつも通りに振る舞っているが、まだなにか考えている様子だ。とりあえず部活をこなし、休憩に入るところで聞いてみた。
「麗華も最近様子が変よ。どうしたの?」
「も?」
つい赤崎がよぎって言い間違えてしまった。麗華本人には悟られたくないだろう。ごまかさなくては。
「なっなんでもない、言い間違えただけ!それよりもそっちの話よ」
こっちでも強引な聞き方になったが、麗華も話す感じになった。
「...高校、どうしようかなって~...」
(こっちもかー!)
この二人、やっぱり似た者同士よね。まあ誰だって考えるものだけど。
「なにを悩むことがあるのよ。麗華もスポ薦とれるんじゃないの?」
麗華も大会では良い成績を残しているので見込みはあるはずだ。陸上にも熱意はあるし、やめるとは思えなかった。
「似たようなことは先生にも言われたんだけど...私の行きたい高校、陸上の推薦取ってないから...」
「えっ!へぇー...」
今の段階で行きたい高校があるというのもあるが、推薦で行くものだと思っていたからまさかそれ以外の方法で行こうと思っているなんて驚いた。とりあえず話を聞こう。
「でね、私の行きたい高校、今よりもたくさん勉強しないと入れそうにないの」
「そんなに難しいところなの?」
麗華は何か言おうかためらっていたが何とか絞り出そうとして、か細く答えた。
「...ツツジ原女子」
「えっ、あそこってそこそこ偏差値高いわよね。なんでそんなところを?」
「あそこならきくちゃんとも通いやすいし、一応陸上部もあるから」
「まああまり強いイメージはないけどね」
聞いた話が正しければ、部活にもそれなりに力は入れているが、結構勉強寄りだったはずだ。麗華にはあまりつり合いそうにはない。はたから見てもわかるような勉強嫌いだ。
「それで、赤崎はどう思ってるのよ?」
「それがまだ聞いてなくて~」
「はぁ...だからあんなに様子が変だったのね」
「私そんなに表に出てた~?」
反応もさすが幼馴染ってところね。って、今それは関係ない。
「でてたわよ。ちゃんと話しなさいよ、幼馴染なんでしょ?」
「そう...なんだけど...」
麗華は自信がなくなって来たかのようにしぼんでいった。これは背中を押さないと自分から動くのは難しそうね。
「赤崎も気になってるんじゃない?麗華がどうするのか。ちゃんと話し合って、お互い何がしたいかはっきりさせておきなさいよ」
話してて私何様のつもりなのよと思ったが、麗華の顔が少し明るくなってくれたので良しとした。
「うん、わかった!今日きくちゃんに話してみるよ~。ありがとう、は~ちゃん!」
「は~ちゃんはやめて、子どもっぽいじゃない」
「え~、かわいいとおもったのに~...」
「絶対に言わないでよね、恥ずかしいんだから」
そして部活の後、赤崎と高校どうするかを話し合って、一緒にツツジ原女子に行くことになったらしい。二人の仲の良さは元通りみたいだけど、赤崎は勉強ができる分早速苦労してるみたいね...。
正直、麗華がツツジ原女子に行くと聞いたときはショックだった。同じ高校じゃないにしても陸上に専念すると思っていたからだ。それよりも赤崎と一緒にいることを選び悩んでいる様子で、なにか裏切られたような気がした。でもまあ、どうするかは本人次第よね。二人の話を聞いた手前見届けないわけにはいかないと思い、そっと二人を見ることにした。今までやってたことと変わってる気がしないけど...。
私もそろそろ決めないとよね。二人を見てるとなんだか頑張れそうな気がした。
終わり
0
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる