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第11話 感謝の宴
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何故ジオが助けてくれたのか? という謎をすぐにでも解き明かしたいジャックだったが、ジオに同行してきた商人達に取り囲まれてそれどころではなかった。
すぐさま「宴会を!」という運びになったからである。
会場は流石に商人達が手配しただけはあるといった感じの大きく、綺麗な酒場だった。
招待されたのはジャックとジオ、ピクシーの三名。その三人を多数の商人と先日の年配者達が囲む。ジオとピクシーはさっそく酒に手を付けている。ジオはすぐ酔っぱらって豪快な笑い声をあげ始めた。商人達は三人への感謝の言葉を惜しまない。次々と三人の前に現れては酒を注いでいく。
ジャックは他人から感謝されるということに慣れていない。なのでこの大仰な対応は少々こそばゆく感じていた。しかし、それはけっして気持ちの悪いものでは無かった。
ジオは満面の笑みで酒を浴びるように飲んでいた。その笑顔はジャックに「どうだ気持ちがいいだろう?」といっているようであった。
ジオが笑顔で主張するように、確かにジャックは心地よかった。酒もこれまで飲んだどの酒より美味しく感じている。
「しかし……」
ジャックは横目でジオ様子を伺ってため息をついた。
「困ったこと、があったら……何でも、言うのじゃ!」
ジャックのため息をよそに、ジオは調子良くみんなにそう言って回っていた。
楽しい宴も終わりをつげ、ジャック達は宿に戻ってきていた。
ジャックは早く知りたいと思いつつ、お預けを食っていた答えをピクシーに求めた。
「あー、あれ?」
ジャックは結構な大事だと思っているのにピクシーの反応は意外にそっけない。
「ジャックはボクのこと、ただのおしゃべりで役立たずな存在だと思ってるでしょ?」
不満気に、唇をとんがらせてピクシーは言った。
図星を付かれてジャックは内心慌てたが、それをおくびにも出さず首を大きく横に振って否定して見せた。
「ジャックは妖精族の特技は知ってるよね? ボクがフリースラの町からずっとジオに話しかけてるのも見てたよね?」
そういえばほとんど反応がないにもかかわらず、ピクシーはずっとジオに話しかけ続けていたな……ジャックはフリースラからここニオンの町までの道中を思い出していた。
そして今日も熊狩りに出かけたジャックにではなく、留守番のジオの方についていた。
妖精族の特技の一つはヒーリング……
ジャックはもしかして?と、何かを閃いたような表情をピクシーに向けた。
「その通り! ボクはジオに話しかけながらずっとヒーリングをしてたのです。えっへんっ!」
渾身のドヤ顔というのはこういう顔だ! ということを全身で表現しながらピクシーは自分の手柄を自慢した。
当然それだけでボケが完治するのなら数十年もこんな状態のままの訳はない……が、酒を飲んでいない時でもかろうじてコミュニケーションが取れる程には回復したらしい。
「とはいえ、びっくりしちゃったよ。いきなり熊目掛けて剣を投げるんだもん」
そこまで回復したとは思っていなかった、とばかりにピクシーは肩をすくめた。
今日は既に寝てしまっているが、もしかしたら明日にでも剣のありかが分かるかもしれない。ジャックはジオを叩き起こして今すぐにでも聞き出したいのをグッと堪えて寝ることにした。
「それにしても、今日はお前のおしゃべりにいくらでも付き合ってやりたい気分だよ」
そういってピクシーの働きに感謝の意を伝えたジャックだったが、こちらはすぐに後悔することになった。
やはりピクシーは「おしゃべりで役立たず」かもしれない。ジャックはそう思いながら深夜までそのおしゃべりに付き合うことになった。
すぐさま「宴会を!」という運びになったからである。
会場は流石に商人達が手配しただけはあるといった感じの大きく、綺麗な酒場だった。
招待されたのはジャックとジオ、ピクシーの三名。その三人を多数の商人と先日の年配者達が囲む。ジオとピクシーはさっそく酒に手を付けている。ジオはすぐ酔っぱらって豪快な笑い声をあげ始めた。商人達は三人への感謝の言葉を惜しまない。次々と三人の前に現れては酒を注いでいく。
ジャックは他人から感謝されるということに慣れていない。なのでこの大仰な対応は少々こそばゆく感じていた。しかし、それはけっして気持ちの悪いものでは無かった。
ジオは満面の笑みで酒を浴びるように飲んでいた。その笑顔はジャックに「どうだ気持ちがいいだろう?」といっているようであった。
ジオが笑顔で主張するように、確かにジャックは心地よかった。酒もこれまで飲んだどの酒より美味しく感じている。
「しかし……」
ジャックは横目でジオ様子を伺ってため息をついた。
「困ったこと、があったら……何でも、言うのじゃ!」
ジャックのため息をよそに、ジオは調子良くみんなにそう言って回っていた。
楽しい宴も終わりをつげ、ジャック達は宿に戻ってきていた。
ジャックは早く知りたいと思いつつ、お預けを食っていた答えをピクシーに求めた。
「あー、あれ?」
ジャックは結構な大事だと思っているのにピクシーの反応は意外にそっけない。
「ジャックはボクのこと、ただのおしゃべりで役立たずな存在だと思ってるでしょ?」
不満気に、唇をとんがらせてピクシーは言った。
図星を付かれてジャックは内心慌てたが、それをおくびにも出さず首を大きく横に振って否定して見せた。
「ジャックは妖精族の特技は知ってるよね? ボクがフリースラの町からずっとジオに話しかけてるのも見てたよね?」
そういえばほとんど反応がないにもかかわらず、ピクシーはずっとジオに話しかけ続けていたな……ジャックはフリースラからここニオンの町までの道中を思い出していた。
そして今日も熊狩りに出かけたジャックにではなく、留守番のジオの方についていた。
妖精族の特技の一つはヒーリング……
ジャックはもしかして?と、何かを閃いたような表情をピクシーに向けた。
「その通り! ボクはジオに話しかけながらずっとヒーリングをしてたのです。えっへんっ!」
渾身のドヤ顔というのはこういう顔だ! ということを全身で表現しながらピクシーは自分の手柄を自慢した。
当然それだけでボケが完治するのなら数十年もこんな状態のままの訳はない……が、酒を飲んでいない時でもかろうじてコミュニケーションが取れる程には回復したらしい。
「とはいえ、びっくりしちゃったよ。いきなり熊目掛けて剣を投げるんだもん」
そこまで回復したとは思っていなかった、とばかりにピクシーは肩をすくめた。
今日は既に寝てしまっているが、もしかしたら明日にでも剣のありかが分かるかもしれない。ジャックはジオを叩き起こして今すぐにでも聞き出したいのをグッと堪えて寝ることにした。
「それにしても、今日はお前のおしゃべりにいくらでも付き合ってやりたい気分だよ」
そういってピクシーの働きに感謝の意を伝えたジャックだったが、こちらはすぐに後悔することになった。
やはりピクシーは「おしゃべりで役立たず」かもしれない。ジャックはそう思いながら深夜までそのおしゃべりに付き合うことになった。
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