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悪役令嬢は商会設立を検討する
「銀行に口座を作りたいですわ」
顔を合わせるなり告げた私の言葉に、デュランが一瞬驚いた表情になる。
「口座?」
「ええ。今預かっていただいているお金を口座に入れて今後に活かしたいのです」
「たしかに今すでにけっこうな額を預かっているが…貴族令嬢は口座を作れないだろう?それとも闇口座を作るのか?」
え。
何それ。
闇口座なんてあるの?
あーでも、あってもおかしくないのか。
この世の中綺麗なお金ばかりが出回っているわけじゃないもんね。
「いやですわ。私に不法行為を行えとおっしゃるの?」
「だよなぁ。でもそれじゃあどうすんだ?」
「商業ギルドに伝手はありまして?新しく商会を起こして、そこで口座を作ろうと思っていますの」
私の言葉にデュランがつかの間考え込む。
「王都のギルド同士、つき合いはある。しかし、商会を起こすとなると商会長は誰にするんだ?」
そうなのよね。
そこが問題。
この世界では貴族令嬢は基本的に仕事をしないし、ましてや商会を作るなんてもってのほか。
かといって信用できない者に代行させるわけにもいかないし…。
「俺ができればいいんだが、表に出るのはできるだけ避けたい」
デュランは情報ギルドの長だから難しいのはわかっている。
「もしエレナ嬢が俺を信用してくれるのなら、一人心当たりがあるが、どうする?」
デュランのことは信用している。
とはいえ私がここに来ていることや、これから商会を設立することを知る人間はなるべく少ない方がいい。
知っている人が多いということは、それだけ秘密がバレやすいということだから。
「その心当たりのお方はどういう方なのかしら?」
「ああ、エレナ嬢も知ってる奴だよ。下のカフェのマスターだ」
ええ!?
最近では顔を合わせることが多くなってきているからか、いつも何となく心配そうな気配を漂わせている、あのマスター?
「奴は俺が個人的な依頼もするくらいには重宝しているギルド員だ。口は堅いし、ああ見えて人柄も悪くない。何より、エレナ嬢がここに出入りしていることを知っているのは重要じゃないか?」
「それはたしかにそうですわね。デュランの推薦なら信用できますけど、引き受けていただけるかしら?」
「まずは聞いてみよう」
善は急げとばかりにデュランが階下に声をかけに行く。
「お嬢さま、本当によろしいので?」
ダグラスが背後から聞いてきたが、秘密を知る者をなるべく少なくするという点では適任だと思った。
それに、人柄がいいのはわかっている。
その上でデュランからも信用されているなら問題ないのではないかと思えた。
「まずは話をしてみるわ」
「承知しました」
そう答えたダグラスが、ふと視線を飛ばす。
「どうかして?」
「いえ…。お嬢さまはまだしばらくこちらにいますか?」
「ええ、そうね。とりあえずマスターと話をするつもりですから」
「では、少しだけ離席します。それほど時間をかけずに戻りますので、勝手に帰ったりしないように」
「さすがにこの界隈を一人歩きはしませんわよ」
私の返答を聞くと、ダグラスはすぐに部屋を出た。
専属護衛であるダグラスは基本的に私のそばを離れることはない。
あるのは家から他の依頼がある時とかだけど、その場合は事前に私にも伝えられている。
今回のように突然席を外すことはまずない。
どんな理由があるのか、聞きたいけれど聞いてはいけないような気がした。
あまり詮索しない方がいいとは思いつつ、それでも私はダグラスが何のために離席したのか、気になってしかたなかった。
顔を合わせるなり告げた私の言葉に、デュランが一瞬驚いた表情になる。
「口座?」
「ええ。今預かっていただいているお金を口座に入れて今後に活かしたいのです」
「たしかに今すでにけっこうな額を預かっているが…貴族令嬢は口座を作れないだろう?それとも闇口座を作るのか?」
え。
何それ。
闇口座なんてあるの?
あーでも、あってもおかしくないのか。
この世の中綺麗なお金ばかりが出回っているわけじゃないもんね。
「いやですわ。私に不法行為を行えとおっしゃるの?」
「だよなぁ。でもそれじゃあどうすんだ?」
「商業ギルドに伝手はありまして?新しく商会を起こして、そこで口座を作ろうと思っていますの」
私の言葉にデュランがつかの間考え込む。
「王都のギルド同士、つき合いはある。しかし、商会を起こすとなると商会長は誰にするんだ?」
そうなのよね。
そこが問題。
この世界では貴族令嬢は基本的に仕事をしないし、ましてや商会を作るなんてもってのほか。
かといって信用できない者に代行させるわけにもいかないし…。
「俺ができればいいんだが、表に出るのはできるだけ避けたい」
デュランは情報ギルドの長だから難しいのはわかっている。
「もしエレナ嬢が俺を信用してくれるのなら、一人心当たりがあるが、どうする?」
デュランのことは信用している。
とはいえ私がここに来ていることや、これから商会を設立することを知る人間はなるべく少ない方がいい。
知っている人が多いということは、それだけ秘密がバレやすいということだから。
「その心当たりのお方はどういう方なのかしら?」
「ああ、エレナ嬢も知ってる奴だよ。下のカフェのマスターだ」
ええ!?
最近では顔を合わせることが多くなってきているからか、いつも何となく心配そうな気配を漂わせている、あのマスター?
「奴は俺が個人的な依頼もするくらいには重宝しているギルド員だ。口は堅いし、ああ見えて人柄も悪くない。何より、エレナ嬢がここに出入りしていることを知っているのは重要じゃないか?」
「それはたしかにそうですわね。デュランの推薦なら信用できますけど、引き受けていただけるかしら?」
「まずは聞いてみよう」
善は急げとばかりにデュランが階下に声をかけに行く。
「お嬢さま、本当によろしいので?」
ダグラスが背後から聞いてきたが、秘密を知る者をなるべく少なくするという点では適任だと思った。
それに、人柄がいいのはわかっている。
その上でデュランからも信用されているなら問題ないのではないかと思えた。
「まずは話をしてみるわ」
「承知しました」
そう答えたダグラスが、ふと視線を飛ばす。
「どうかして?」
「いえ…。お嬢さまはまだしばらくこちらにいますか?」
「ええ、そうね。とりあえずマスターと話をするつもりですから」
「では、少しだけ離席します。それほど時間をかけずに戻りますので、勝手に帰ったりしないように」
「さすがにこの界隈を一人歩きはしませんわよ」
私の返答を聞くと、ダグラスはすぐに部屋を出た。
専属護衛であるダグラスは基本的に私のそばを離れることはない。
あるのは家から他の依頼がある時とかだけど、その場合は事前に私にも伝えられている。
今回のように突然席を外すことはまずない。
どんな理由があるのか、聞きたいけれど聞いてはいけないような気がした。
あまり詮索しない方がいいとは思いつつ、それでも私はダグラスが何のために離席したのか、気になってしかたなかった。
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