不本意だけど君が好き。

さかさ

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「起きて、梓。」

骨張った長い指が髪に絡むのを感じ、重い瞼を持ち上げる。

睫毛がその指に当たり、案外近い所にあった事が分かる。

「……おはよ、司。」

窓から差す陽の光に目を細めつつ、隣に寝そべる彼に言う。

すると、彼は俺の鎖骨に目をやる。

つられて俺も見ると、昨日とは比べ物にならない程のキスマークや噛み跡で埋め尽くされていた。

「……ごめんね?またやっちゃった。」

謝罪する彼を見やると、心底楽しそうに笑っていて、その意図に気付く。

「はぁ、また俊と正太郎に言われんじゃん。めんどくさいんだからやめてよね。」

キッ、と緩く睨むと、司の顔が近付く。

わざと遠ざかってみると、手首を掴まれる。

そのまま後ろに重力のまま倒れる。

「……もっかい、シよ?」

俺が頷くのも待たず、深い口付けを交わす。


遠慮無く入って来た舌は、歯茎をなぞり、舌を絡ませ、口内を犯した。司の唾液も流れ込む。

耐えきれなくなり、胸を押すと案外簡単に離れた。

「相変わらずキス長いね。」 

肩で息をしながら言う。すると、彼は不思議そうに俺を見ると、悪戯っぽく笑い、こう言った。

「好きでしょ?苦しいの。」

すると、昨日とは趣向を変えたのか、首に手が回される。

「首絞めプレイしようよ。」


また彼は返事を待たぬまま、その手に力を入れた。
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