『聖女子学園の境界線 ― 鏡の中の乙女と真実』

あやてぃ

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堕ちた王子の涙と、深紅の救世主 〜復讐の檻〜

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聖女子学園を揺るがした不祥事は、ティナの毅然とした告発によって幕を閉じた。教師・賢人の悪事は白日の下に晒され、彼は「聖域」から永久に追放された。
だが、それは終わりではなく、より暗い惨劇の始まりに過ぎなかった。

執念の影

職も名誉も失い、底辺へと転落した賢人の心に宿ったのは、反省ではなく、ドス黒い復讐心だった。自分を陥れた(と彼が思い込んでいる)高潔な「王子」、ティナ。あの凛とした瞳を恐怖に染め上げ、その高潔さを泥にまみれさせてやりたい。
賢人は学園の周辺に潜み、虎視眈々と機会を狙っていた。
そして、運命の土曜日。ティナが一人で街の楽器店へ向かう姿を、彼は見逃さなかった。人通りの少ない裏路地に入った瞬間、背後からクロロホルムを染み込ませた布が彼女の口を塞ぐ。
「……んっ!? ……がはっ……」
抵抗する間もなく、ティナの意識は深い闇へと沈んでいった。

汚された聖域

目が覚めた時、ティナは埃っぽい廃倉庫の椅子に縛り付けられていた。目の前には、薄汚れた身なりの、しかし以前よりも狂気を孕んだ目で笑う賢人が立っていた。
「……賢人、先生……? 何を考えて……」
「先生はやめてくれ。君のせいで、僕はただの犯罪者だ」
賢人はゆっくりとナイフを取り出し、ティナの美しいプラチナブロンドをなぞる。
「君はいつも高潔で、正義感に溢れていた。だが、ここで僕に汚されたら、そのプライドはどうなるかな?」
賢人の冷たい手が、ティナのブラウスのボタンにかけられる。ティナは必死に身をよじったが、屈強な男の力には抗えない。
「やめて……! 来ないで!」
学園の王子として、常に誰かを守る立場だったティナが、初めて上げる悲鳴。服が裂ける音とともに、彼女の白い肌が露わになる。賢人の卑劣な愛撫が、彼女の純粋性を土足で踏みにじっていく。
「あぁ……いい声だ。もっと泣け、ティナ。君もただの、か弱い女なんだよ」
絶望と恐怖。ティナの瞳から光が消え、大粒の涙が頬を伝った。守ってくれる人は誰もいない。そう諦めかけた、その時だった。

救世主(メシア)、降臨

ドォォォォン!!
重厚な鉄の扉が、凄まじい衝撃音とともに蹴り破られた。
「――そこまでよ、このクズ野郎!!」
立ち込める埃の向こうから現れたのは、息を切らし、瞳に激しい怒りの炎を宿した彩香だった。
「彩香……ちゃん……?」
「チッ、またあのガキか! 邪魔をするなと言っただろう!」
逆上した賢人がナイフを手に彩香へ飛びかかる。しかし、今の彩香はただの震える少女ではなかった。かつて30年間、男として生きてきた「賢人」としての記憶と、ティナを救いたいという「彩香」の執念が、彼女の体を突き動かした。
彩香は賢人の突進を鮮やかに入れ替わってかわすと、落ちていた鉄パイプを迷わずフルスイングした。
「二度と……ティナ先輩に、触るなぁぁ!!」
鈍い音とともに、賢人が地面に転がる。彩香はすぐさまティナのもとへ駆け寄り、震える手で縄を解いた。
「先輩! 大丈夫ですか!? 遅くなってごめんなさい……ごめんなさい……!」
彩香は自分の上着を脱ぎ、半裸のティナを優しく包み込む。ティナは彩香の胸に顔を埋め、子供のように声を上げて泣きじゃくった。
「彩香ちゃん……怖かった……すごく、怖かった……っ」
「もう大丈夫。私がついてます。私が、先輩を守りますから」
かつて自分を救ってくれた銀の騎士を、今度は自分が抱きしめる。
皮肉にも、自分を捨てた過去の自分(賢人)を打ち倒すことで、彩香は真の意味で「女の子」として、そして「愛する人を守る者」として生まれ変わったのだ。
遠くから聞こえるパトカーのサイレン。
二人は重なり合うようにして、冷たい倉庫の中で警察を待っていた。
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