12 / 35
11 再開
しおりを挟む
50分間座るのを計6回繰り返し、やっと帰りの時間になった。今日学んだことといえば、座っていることがこんなにも苦痛だということぐらいだ。
久住との問題を解決することよりも授業を受けるということの方が俺にとっては苦痛かもしれない。
そもそも久住を探す時間がない。休み時間のたびに誰かしらが俺に話しかけてきて、対応するので忙しくてそれどころではない。
とにかくニコニコして笑ってなんとかやり過ごしたが、これでは久住に会うことすら叶わないまま一週間が過ぎてしまう。どうにかしなければいけないと考えているうちに1日が終わってしまった。
帰る時でさえクラスメイトのほとんどが、いや全員が俺に挨拶をしてから教室を出て行く。
どんだけ人気なんだよ俺の弟は、さすが抱きたい男一位である。当の本人は自分より身長の高い男を抱いていると言うのに、クラスメイトが知ったら泣いて学校を休みそうだ。
俺も帰りの支度をして、さっさと帰ろうとしたのだが部活に顔を出すようにという日向の言葉を思い出した。
仕方ないのでちょっと顔を出して帰ろうと、映画研究部の部室へ向かった。
のだが、そういえば部室の場所を聞くのを忘れていて絶賛迷子中である。学校内はほとんどの生徒が部活に行っており静まり返っている。
そういえば星宮学園は進学校にして部活動にも力を入れている文武両道の学校であった。
とにかく校舎内のあらゆる教室を片っ端から見て回ることにした。
一階から順番に探して行った俺だが、ついに3階の一番最後の部屋まで来てしまった。扉を開けてみると誰もいない、ハズレだったようだ。置かれている椅子に座り机に突っ伏した。
探していてなんとなく感じてはいたが、校舎内では部活動は行っていないようだ。この学園本当に敷地が広く、ここだけではなく他にも棟が幾つもある。
おそらくここ以外で部活動専用の棟があると思われる。
探し始めて一時間ほど経っていて、今日は諦めて帰ろうとした。その時、この教室に誰か近づいてくる音がした。
俺は咄嗟に掃除ロッカーに隠れてしまった。
教室の扉が開き数名の生徒が入ってきて、何やら話し始める。
「お前、御子柴日向と同じクラスだよな」
「そう、ですけど……」
「御子柴日向が久住さんに昨日盛大に蹴り喰らわされたんだよ!お前が責任取れ」
「えっ、それって……」
「わかるだろ……制服脱いで土下座しろ」
「そ、そんな……」
謝っている生徒の声には聞き覚えがある。一時間目に教えてほしいと俺に言ってきた生徒の声だ。
後の二人の声は誰かわからないが、久住の名前を出しているということは、久住の子分みたいな奴らだろう。
「いいから、脱げよ?」
「ごめんなさい、ゆ、許してください」
「仕方ねーから俺らが脱がせてやるよ」
「おっけー」
「やめてください!」
声だけで、なんとなく状況は理解できる。昨日の腹いせに日向と同じクラスメイトにひどいことしようとしているのだろう。
とんでもないクズ野郎だ。
男だったら正々堂々と面と向かって文句言いやがれ! 俺は居ても立っても居られず、掃除ロッカーの扉を勢いよく開けた。
教室には久住とその仲間だと思われる生徒二人が、クラスメイトの制服を脱がせ下着一枚の姿になっていた。
「ひ、日向くん!」
「てめぇ! 久住! 俺のクラスメイトに何してんだよ!!」
「なんでお前が……」
「んなことどうでもいいんだよ! 俺に文句を言うならまだしも、弱いもん虐めるなんて本当にクズ野郎だな!!」
自分が日向のフリをしていることも忘れ、溜まっていた怒り爆発させる。
「てめぇ、久住さんに向かって生意気だぞ!」
クラスメイトに集っていた雑魚二人が俺に襲いかかってくるが、俺は華麗に二人を避けてそのまま背中を蹴ると、雑魚たちは情けなく床に倒れる。
弱いものほどよく群れるとはまさにこのことだな。
「日向くん……」
「おい、さっさと逃げろ」
下着姿のクラスメイトに教室から出て行くように声をかける。生徒はおどおどしながらも制服を掴み、教室を出て行った。
久住との問題を解決することよりも授業を受けるということの方が俺にとっては苦痛かもしれない。
そもそも久住を探す時間がない。休み時間のたびに誰かしらが俺に話しかけてきて、対応するので忙しくてそれどころではない。
とにかくニコニコして笑ってなんとかやり過ごしたが、これでは久住に会うことすら叶わないまま一週間が過ぎてしまう。どうにかしなければいけないと考えているうちに1日が終わってしまった。
帰る時でさえクラスメイトのほとんどが、いや全員が俺に挨拶をしてから教室を出て行く。
どんだけ人気なんだよ俺の弟は、さすが抱きたい男一位である。当の本人は自分より身長の高い男を抱いていると言うのに、クラスメイトが知ったら泣いて学校を休みそうだ。
俺も帰りの支度をして、さっさと帰ろうとしたのだが部活に顔を出すようにという日向の言葉を思い出した。
仕方ないのでちょっと顔を出して帰ろうと、映画研究部の部室へ向かった。
のだが、そういえば部室の場所を聞くのを忘れていて絶賛迷子中である。学校内はほとんどの生徒が部活に行っており静まり返っている。
そういえば星宮学園は進学校にして部活動にも力を入れている文武両道の学校であった。
とにかく校舎内のあらゆる教室を片っ端から見て回ることにした。
一階から順番に探して行った俺だが、ついに3階の一番最後の部屋まで来てしまった。扉を開けてみると誰もいない、ハズレだったようだ。置かれている椅子に座り机に突っ伏した。
探していてなんとなく感じてはいたが、校舎内では部活動は行っていないようだ。この学園本当に敷地が広く、ここだけではなく他にも棟が幾つもある。
おそらくここ以外で部活動専用の棟があると思われる。
探し始めて一時間ほど経っていて、今日は諦めて帰ろうとした。その時、この教室に誰か近づいてくる音がした。
俺は咄嗟に掃除ロッカーに隠れてしまった。
教室の扉が開き数名の生徒が入ってきて、何やら話し始める。
「お前、御子柴日向と同じクラスだよな」
「そう、ですけど……」
「御子柴日向が久住さんに昨日盛大に蹴り喰らわされたんだよ!お前が責任取れ」
「えっ、それって……」
「わかるだろ……制服脱いで土下座しろ」
「そ、そんな……」
謝っている生徒の声には聞き覚えがある。一時間目に教えてほしいと俺に言ってきた生徒の声だ。
後の二人の声は誰かわからないが、久住の名前を出しているということは、久住の子分みたいな奴らだろう。
「いいから、脱げよ?」
「ごめんなさい、ゆ、許してください」
「仕方ねーから俺らが脱がせてやるよ」
「おっけー」
「やめてください!」
声だけで、なんとなく状況は理解できる。昨日の腹いせに日向と同じクラスメイトにひどいことしようとしているのだろう。
とんでもないクズ野郎だ。
男だったら正々堂々と面と向かって文句言いやがれ! 俺は居ても立っても居られず、掃除ロッカーの扉を勢いよく開けた。
教室には久住とその仲間だと思われる生徒二人が、クラスメイトの制服を脱がせ下着一枚の姿になっていた。
「ひ、日向くん!」
「てめぇ! 久住! 俺のクラスメイトに何してんだよ!!」
「なんでお前が……」
「んなことどうでもいいんだよ! 俺に文句を言うならまだしも、弱いもん虐めるなんて本当にクズ野郎だな!!」
自分が日向のフリをしていることも忘れ、溜まっていた怒り爆発させる。
「てめぇ、久住さんに向かって生意気だぞ!」
クラスメイトに集っていた雑魚二人が俺に襲いかかってくるが、俺は華麗に二人を避けてそのまま背中を蹴ると、雑魚たちは情けなく床に倒れる。
弱いものほどよく群れるとはまさにこのことだな。
「日向くん……」
「おい、さっさと逃げろ」
下着姿のクラスメイトに教室から出て行くように声をかける。生徒はおどおどしながらも制服を掴み、教室を出て行った。
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?
モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。
平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。
ムーンライトノベルズにも掲載しております。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる