異世界では総受けになりました。

西胡瓜

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第二章 本部編

27 裏庭と美少女

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 昼食を食べ終えた俺は食堂を後にする。食堂を出る時に俺のオムライスを食べた料理人がこちらにやってきて、ぜひレシピを今度教えてほしいと頼まれたので快く引き受けた。

 その後はすることもなく本部の外をぷらぷらと歩いていた。パスカルはギルに用事があるとかでどこかへ行ってしまった。本部内の構造もよくわかっていなかった俺は、いつの間にか裏庭らしきところに出てきてしまっていた。
 そこには誰もおらず、久しぶりに一人で落ち着ける空間を見つけることができて少しホッとした。ベンチが置かれているのを見つけた俺は、そこに座り空を仰いだ。

 異世界に来てからは誰かしらと寝ることが多かったしテントという慣れない空間で寝ていたため、落ち着いてゆっくりすることが出来ていなかった。異世界に来てから半月しか経っていないことに驚きつつも、めんどくさい体になってしまった不幸さとなんとかここまで生きている強運さに感動する。
 裏庭で一人まったりと半月の出来事を振り返っていた。

 そんな感じで思いを巡らせていると、目の前の通路に少女が歩いているのが目に入った。
 まさに誰が見ても美少女と答えるような容姿で豪華なドレスと金髪の美しい髪をなびかせ一人歩いていた。だがここは魔法軍の本部で男だらけの巣窟、美少女がこんなところにいるのは不自然だし、危険だと思った。

 俺が慌てベンチから立ち上がり少女に声をかけようとすると、彼女もこちらに気づき笑顔で近づいてきた。この世界に来て初めて女性を見たが美男美女しか存在しない世界なのだろうか。アルやギルと初めて会った時とは時とは違う緊張感がある。

 それにしてもなぜ初対面の美少女が冴えない俺に笑顔で近寄ってきてくれるのか不思議でしょうがない。

「あなたもしかして、ギルが助けったっていう子でしょ!」
「えっ、なんで知って……」
「アルが言ってたのよ、服を用意しておいてくれないかって」
「じゃ、じゃあこの服を用意してくれたのってあなたなんですか?」
「そうよ! まぁ正確にいうと頼まれたのは私じゃないんだけどね。でもとってもよく似合っているわ」
「そ、そうですか、あ、ありがとうございます」

 少女は目をキラキラさせて俺の全身をくまなく観察する。男が恋愛対象の俺だが、女の子を可愛いと思うことは当たり前のようにある。こんな美しい少女に見られることなんて今までなかった俺は緊張と恥ずかしさから俯く。

「それにしても随分とアルに愛されているのねー」

 少女はキラキラした顔から頬を赤らめてうっとりとした表情で俺を見つめ始めた。

 彼女の表情の意味はよくわからないが、愛されているのは少し語弊がある。アルはただ困っている俺を放って置けなくて魔力を分けてくれたり、馬を置いて行ってくれたり、服を用意しておいてくれただけだ。そう考えると至れり尽くせりだ。
 優しさだけでここまでしてくれるものなのだろうか、もしかしてこの少女が言うように俺って愛されてる? とちょっと浮かれ気分になる俺だが……いやいや、あり得ない俺みたいな男よりも目の前の美少女の方が男だったらいいに決まっている。

 この実は相手も自分のこと好きなんじゃないかと少しでも思ってしまったせいで、100%振られることがわかっていたのに前世で告白していじめられることになったのだ。学ばない俺ではない。

「いやいや、あり得ないってアルは優しいから」
「あらそうなの?確かにアルは優しいけどー」

 少女は俺の否定につまらなそうだが肯定している。やっぱりアルは誰から見ても優しい男のようだ。それにしてもなぜ女の子がこんなところにいるのかという方が疑問だ。

「あなたはどうしてここに?」
「ふふふ、目の保養よ今日はあなたに会えてよかったわー」
「そ、うなんだ……」

 何を言っているのかよくわからないので、とりあえずそれらしい相槌を打っておく。目の保養と言った少女の目はまたキラキラと輝いていた。確かにイケメン多いし目の保養にはなるのかも、俺はみんなイケメンすぎて疲れるけど。

「こんなところにいたのかサタローと、なんだリズか」
「あらパスカル久しぶりね」
「全く、なぜお前がこんなところにいる。さっきソフィがお前のこと探していたぞさっさと戻れ」
「あらあら、これは怒られるわね。じゃあねサタローまた会いましょ」

 俺に手を振り少女は小走りでどこかへ行ってしまった。なんだったのかと唖然としながら彼女の背中を見送る。彼女は俺の名前を知っているようだったが、俺は彼女のことを全く知ることができなかった。
 パスカルは彼女と知り合いのようなので、来たばかりのパスカルに彼女のことを尋ねた。

「なぁ、今の女の子誰なんだよ?」
「なんだ、知らずに話していたのか?あいつはこの国の第一王女エリザベスだぞ」

 パスカルの言葉に固まる俺。王女ってことは国王の娘と言うことだよな。つまり王族ということになる。さっき俺はかなり彼女に対して失礼な態度だった気がする。俺と大して変わらない年齢に見えたため、タメ口で話してしまった。途端に自分の無礼さを思い返し身体がガクガクと震え出す。
 知らなかったとはいえあんな態度を取ってしまうなんて、打首の刑に処されてもおかしくない。

「ど、どうしよう俺、失礼な対応しちゃったよ」
「あー、大丈夫だ。あいつはそういうのは気にしないからな、むしろ礼儀正しすぎるのが嫌いと言うぐらいだから」

 怯える俺に特に表情も変えずにそう言葉をかけるパスカル、確かにパスカルの王女への態度もだいぶ失礼だった。
 完全に安心とは言い切れないが、とりあえず今はパスカルの言葉を信じるしかなかった。

 そしてその後は本部内に戻り時間を潰した。
 俺の部屋がなかった今夜は、遠征時同様にパスカルの部屋で眠ることとなった。




 


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