1 / 1
無題1
しおりを挟む
たくさんの人を自分勝手に殺してきた。
男、女、年齢も関係なく。
それこそ、産まれたばかりの赤ん坊だって、容赦なく消してきたし。
その殺し方も多岐にわたり、どんどん過激になっていった。
だから、自分が恋をして、殺せなくなる日が来るなんて想像もしていなかった。
だって、まさかだろ。
小国の姫である彼女は、金色に輝く美しい髪。エメラルド色に輝く瞳は見える角度によっては七色にも見える。それは王家特有の色だ。
誰にでも優しく、いつも笑顔で。姫としてはちょっとお転婆ではあるが、誰からも慕われ、誰からも愛される存在の彼女。
彼女もいままでように、俺が殺すべき存在だった。
そう。彼女は最初から俺に殺される為に存在しているはずだったんだ。
『産まれてきた命はすべて何か使命を持っているのです』
『私は負けない!この世界に生きるすべての人が笑顔になるまで』
『たとえ、この身を犠牲にしても、私は世界を守りたい』
綺麗毎だ。
どんなに崇高な思いを掲げても、やっぱりクズはいるんだ。
彼女の周りにもそうだ。
彼女の親友面して一緒にいた女は、彼女を陰で裏切っていた。
彼女に愛をかたむけられていた男は、隣国の女と繋がっていた。
彼女の父親である王も、彼女をいけにえにして、太古の魔術を蘇らせようとした。
だから、殺した。
彼女に害のなすもの、すべて。この手で。
彼女に気づかれないように、思いつくかかぎりの残虐な方法で。
世の中ではそれを「ざまぁ」なんて言い方をするらしい。
でも、きっと彼女は「ざまぁ」なんて言わない。
彼らの事を思い、胸を痛め、涙を流してしまう。
あんな奴らに、彼女の涙はもったいない。
彼女に花を贈ったらどんな顔を見せてくれるのだろう。
『…素敵。とっても、いい香りね』
そういって、まるで彼女が大輪の花のようにほほ笑むんだろう。
彼女に大好物の甘いものはどうだろう。
『美味しい!でも、食べ過ぎて太ってしまうわ』
きっと、そんな風にいって少し頬を膨らませるのだろう。
愛の言葉を告げたら…。
彼女はなんて言ってくれるだろうか。
両目からぽたりぽたりと涙が零れる。
右手をしっかり噛んで、叫び声を封じ込める。
殺したくない。
でも、殺さないといけない。
彼女の心臓には、この世界を構成する格が埋め込まれている。
それは彼女が産まれる前から決まっていた事。
そう、俺が決めた事だ。
彼女を核にして、この世界を再構築する事を。
彼女の細い首に手をかける。
今まで自分から手を下した事はなかったが、彼女には僕自身が手を下そう。
手に力を込めるが、彼女は全く抵抗しなかった。
『これでいいのです。あなたはあなたの成すべき事をしてください』
「出来ない…」
『大丈夫。あなたなら、きっとやり遂げる事が出来ます』
「出来ない…。君を殺したくないんだ」
『でも、あなたが決めてきた事でしょう?』
彼女を殺しても、また何度でも生き返らせる事も出来るし。魔法を使ってもいい。
過去に戻してもいいし。
異世界転生させてもいい。
全知全能の僕にならそれが出来る。
出来るんだ…。
僕は出来なかった。
今まで書き上げてきた小説のラストを書ききることが。
すべてをdeleteした僕は、彼女を一番に考えてくれる親友と、彼女だけを一途に思う婚約者。厳しいながらも彼女の幸せを願う父親に囲まれ、幸せに笑う彼女を書いて電源を落とした。
きっと、彼女は今日もあの話の中で、幸せに笑っているだろう。
男、女、年齢も関係なく。
それこそ、産まれたばかりの赤ん坊だって、容赦なく消してきたし。
その殺し方も多岐にわたり、どんどん過激になっていった。
だから、自分が恋をして、殺せなくなる日が来るなんて想像もしていなかった。
だって、まさかだろ。
小国の姫である彼女は、金色に輝く美しい髪。エメラルド色に輝く瞳は見える角度によっては七色にも見える。それは王家特有の色だ。
誰にでも優しく、いつも笑顔で。姫としてはちょっとお転婆ではあるが、誰からも慕われ、誰からも愛される存在の彼女。
彼女もいままでように、俺が殺すべき存在だった。
そう。彼女は最初から俺に殺される為に存在しているはずだったんだ。
『産まれてきた命はすべて何か使命を持っているのです』
『私は負けない!この世界に生きるすべての人が笑顔になるまで』
『たとえ、この身を犠牲にしても、私は世界を守りたい』
綺麗毎だ。
どんなに崇高な思いを掲げても、やっぱりクズはいるんだ。
彼女の周りにもそうだ。
彼女の親友面して一緒にいた女は、彼女を陰で裏切っていた。
彼女に愛をかたむけられていた男は、隣国の女と繋がっていた。
彼女の父親である王も、彼女をいけにえにして、太古の魔術を蘇らせようとした。
だから、殺した。
彼女に害のなすもの、すべて。この手で。
彼女に気づかれないように、思いつくかかぎりの残虐な方法で。
世の中ではそれを「ざまぁ」なんて言い方をするらしい。
でも、きっと彼女は「ざまぁ」なんて言わない。
彼らの事を思い、胸を痛め、涙を流してしまう。
あんな奴らに、彼女の涙はもったいない。
彼女に花を贈ったらどんな顔を見せてくれるのだろう。
『…素敵。とっても、いい香りね』
そういって、まるで彼女が大輪の花のようにほほ笑むんだろう。
彼女に大好物の甘いものはどうだろう。
『美味しい!でも、食べ過ぎて太ってしまうわ』
きっと、そんな風にいって少し頬を膨らませるのだろう。
愛の言葉を告げたら…。
彼女はなんて言ってくれるだろうか。
両目からぽたりぽたりと涙が零れる。
右手をしっかり噛んで、叫び声を封じ込める。
殺したくない。
でも、殺さないといけない。
彼女の心臓には、この世界を構成する格が埋め込まれている。
それは彼女が産まれる前から決まっていた事。
そう、俺が決めた事だ。
彼女を核にして、この世界を再構築する事を。
彼女の細い首に手をかける。
今まで自分から手を下した事はなかったが、彼女には僕自身が手を下そう。
手に力を込めるが、彼女は全く抵抗しなかった。
『これでいいのです。あなたはあなたの成すべき事をしてください』
「出来ない…」
『大丈夫。あなたなら、きっとやり遂げる事が出来ます』
「出来ない…。君を殺したくないんだ」
『でも、あなたが決めてきた事でしょう?』
彼女を殺しても、また何度でも生き返らせる事も出来るし。魔法を使ってもいい。
過去に戻してもいいし。
異世界転生させてもいい。
全知全能の僕にならそれが出来る。
出来るんだ…。
僕は出来なかった。
今まで書き上げてきた小説のラストを書ききることが。
すべてをdeleteした僕は、彼女を一番に考えてくれる親友と、彼女だけを一途に思う婚約者。厳しいながらも彼女の幸せを願う父親に囲まれ、幸せに笑う彼女を書いて電源を落とした。
きっと、彼女は今日もあの話の中で、幸せに笑っているだろう。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる