ゆうちゃんとピンクのゾウ

おみや

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ゆうちゃんとピンクのゾウ

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 ある晴れた日のことでした。

 とても気持ちのいい風がそよそよ吹いています。

 元気のいい足音と共に、ゆうちゃんが公園にやってきました。

 ゆうちゃんは公園をぐるっと見回しました。

「だれもいないや」

 ゆうちゃんの右側にはきれいなお花がさいています。

 チューリップ、タンポポ、パンジー

 そのお花たちの上で、きいろいちょうちょうがひらひらと踊っています。

 ゆうちゃんの左側には小さな池があります。

 お魚が、ぷくっと顔を出しては、すいっと水の中に戻っていきます。

 そして、公園の真ん中には、ゆうちゃんの大好きなゾウの滑り台。

「ゾウさん!」

 今日は順番を待たないで滑り台ができます。

 ゆうちゃんは嬉しくて、急いでゾウの背中にのりました。

公園を見下ろすと、「公園が全部見えるぞ!」と叫びました。

 さっき見た花も池もとても小さく見えます。

 シクシク…。

「ん?」

 ゆうちゃんは耳に手をあてました。
何か聞こえた気がしたのです。

「誰か居るの?」

 ゆうちゃんは、目をキョロキョロさせてあたりをみまわしました。

「お昼はオバケが寝てる時間だし…」

 シクシク。

ゆうちゃんは腕を組んで考え込んでしまいました。

「あっ!」

 ゾウの滑り台に乗ると、ひとつだけ見えない所がありました。
 ゆうちゃんは滑り台をしゅーっとおりて、滑り台の下をのぞきこみました。

 シクシク、シクシク。

 さっきより大きく泣き声が聞こえます。

「どうしたの?」

 ゆうちゃんが声をかけると、滑り台の下からサッカーボール位の大きさの小さなゾウが出てきました。

「ゾウさんだ!」

 ゆうちゃんがゾウを持ち上げると、ゾウの目にたまった涙がボロボロと地面にこぼれ落ちました。

「何で泣いているの?」

 ゆうちゃんがそう聞くと、ゾウは小さな声で答えました。

「ぼくが変だから」
「何が変なの?」
「体の色。ぼくの色、みんなと違うから」

 ゾウはそれだけ言うとまた泣き出してしまいました。

「ピンク色は変なの?」

 そうです。ゆうちゃんが見つけた小さいゾウは体の色がきれいなピンク色だったのです。

「変だよ」

 ゆうちゃんは首をかしげました。

「それじゃあ、ぶたさんは変なの?」
「みんなピンク色なんでしょ?なら変じゃないよ」

 ゆうちゃんは、んーとくちびるを突き出して考えました。

「みんな一緒なら変じゃないの?」

 ゾウは顔の涙をぬぐいながら、ゆうちゃんを見上げました。

「みんな一緒なら仲間はずれにならないでしょ?」

 ゆうちゃんは大きく首をふりました。

「一緒じゃなくても仲間はずれになんかならないよ。一緒に遊ぼう!って言えばいいんだよ」
「言っても遊んでくれなかったら?」

 ゆうちゃんはにこっと笑うと、

「そしたら、ぼくが一緒に遊ぶ!」

 と大きな声で言いました。

「本当に?」

 ゆうちゃんは大きくうなずくと、ポケットからキャンデーを取り出しました。

「ママから貰った魔法のキャンデー。きみにあげる。なめると元気になるんだ」

 ゾウはキャンデーを口に入れると、たちまち笑顔になりました。

「ぼくたちこれで友達だね!」

 ゆうちゃんがゾウに右手を差し出すと、

「うん!」

 とゾウも鼻でゆうちゃんと握手しました。
 元気になったゾウが鼻から水を出すと、空にきれいな虹がかかりました。

 おしまい
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