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第三章 強化合宿
17 現在は、午前十一時。アサキたちはホテル二階の廊下を
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現在は、午前の十一時。
アサキ、治奈、正香、成葉の四人は、ホテル二階の廊下を歩いている。
今日のうちに千葉県まで帰らないとならないため、早い昼食を済ませたところだ。
部屋で少し休憩したら、外で軽めに特訓の仕上げをして、そのあと帰宅という段取りである。
「疲れたあ。もう一歩も歩けないよお」
アサキは、がくーっと肩を落として、関節が抜けた人みたいに腕を交互にぷらぷらさせながら歩いている。
「なんか記憶に一生残りそうな、凄まじく不気味な歩き方じゃのう。って、しっかり歩けとる」
「いやいや、もうゼンマイ止まるー。治奈ちゃん巻いてえ。それか、おんぶしてえ」
突っ込んでもらえたことに調子に乗って、甘えた声を出すアサキである。
「ハルにゃんのおんぶは、ナルハが予約済みだよー」
「えーっ! わたし二番かあ」
「なに好き勝手いうとるんじゃ!」
そんなどうでもいい軽い会話をしながら歩いている、アサキたちのその先で、
「ねえねえアサキちゃあん、いいモノ見せてあげるう」
一人先に戻ったはずのカズミが、部屋のドアの前に立って、手をぱたぱたおいでおいでをしている。
「え、なに、カズミちゃん、いいものってなあにっ?」
アサキは呼ばれて興味津々、目を輝かせて小走りでカズミの方へと近寄っていく。
「歩けないどころか走っとるけえね」
「じゃあおんぶ券はナルハの独占だっ」
などといってる治奈たちの前で、
つるんっ、
と、床にオイルでもたっぷり塗られているかのように、アサキの身体が滑っていた。
そして、宙でくるんと回転して、足が一番上を向いている真っ逆さまの状態のところで、ゴツッと頭から床に落ちた。
「成功っ! いいモノ見たあっ!」
カズミ、喜びのガッツポーズ。
その目の前で、
「はぎゃぁあああああああああああああ!」
アサキが、バッタンバッタンびっくんびっくん生きのいい魚よろしく激しくのたうち回っている。
やがて、少しずつ元気がなくなって、びくっ、びくっ、と痙攣を始めた。
「痛いよお……頭と首が痛いよおおお」
ホテルの廊下で、エビみたく身体を丸めたまま、頭を押さえてクーッと呻いているみっともない赤毛の少女の様子に、憐憫の情が浮かんだか、はたまた単なる罪悪感が芽生えたのか、
「ごめん、なんかやり過ぎた……」
カズミはカズミであるというのになんだか珍しく、結構すんなり素直に謝った。
帰りは雨か嵐か、はたまた吹雪か。
「とはいうものの……お前、仕掛けた罠には必ず引っ掛かるって、それポリシーなの?」
「違うよお! そもそもこんな幼稚なこと、しないでよおおお! 首が痛いよおお。せ、せっかく、しっかり休んで、最後の特訓頑張ろうと思ってたのにうえええええええん」
他に宿泊客もいるというのに、涙をこぼして、大きな声でわんわんわんわんと泣き出すのだった。
果たしてヴァイスタを倒し、平和な世界は訪れるのであろうか。
To Be Continued.
アサキ、治奈、正香、成葉の四人は、ホテル二階の廊下を歩いている。
今日のうちに千葉県まで帰らないとならないため、早い昼食を済ませたところだ。
部屋で少し休憩したら、外で軽めに特訓の仕上げをして、そのあと帰宅という段取りである。
「疲れたあ。もう一歩も歩けないよお」
アサキは、がくーっと肩を落として、関節が抜けた人みたいに腕を交互にぷらぷらさせながら歩いている。
「なんか記憶に一生残りそうな、凄まじく不気味な歩き方じゃのう。って、しっかり歩けとる」
「いやいや、もうゼンマイ止まるー。治奈ちゃん巻いてえ。それか、おんぶしてえ」
突っ込んでもらえたことに調子に乗って、甘えた声を出すアサキである。
「ハルにゃんのおんぶは、ナルハが予約済みだよー」
「えーっ! わたし二番かあ」
「なに好き勝手いうとるんじゃ!」
そんなどうでもいい軽い会話をしながら歩いている、アサキたちのその先で、
「ねえねえアサキちゃあん、いいモノ見せてあげるう」
一人先に戻ったはずのカズミが、部屋のドアの前に立って、手をぱたぱたおいでおいでをしている。
「え、なに、カズミちゃん、いいものってなあにっ?」
アサキは呼ばれて興味津々、目を輝かせて小走りでカズミの方へと近寄っていく。
「歩けないどころか走っとるけえね」
「じゃあおんぶ券はナルハの独占だっ」
などといってる治奈たちの前で、
つるんっ、
と、床にオイルでもたっぷり塗られているかのように、アサキの身体が滑っていた。
そして、宙でくるんと回転して、足が一番上を向いている真っ逆さまの状態のところで、ゴツッと頭から床に落ちた。
「成功っ! いいモノ見たあっ!」
カズミ、喜びのガッツポーズ。
その目の前で、
「はぎゃぁあああああああああああああ!」
アサキが、バッタンバッタンびっくんびっくん生きのいい魚よろしく激しくのたうち回っている。
やがて、少しずつ元気がなくなって、びくっ、びくっ、と痙攣を始めた。
「痛いよお……頭と首が痛いよおおお」
ホテルの廊下で、エビみたく身体を丸めたまま、頭を押さえてクーッと呻いているみっともない赤毛の少女の様子に、憐憫の情が浮かんだか、はたまた単なる罪悪感が芽生えたのか、
「ごめん、なんかやり過ぎた……」
カズミはカズミであるというのになんだか珍しく、結構すんなり素直に謝った。
帰りは雨か嵐か、はたまた吹雪か。
「とはいうものの……お前、仕掛けた罠には必ず引っ掛かるって、それポリシーなの?」
「違うよお! そもそもこんな幼稚なこと、しないでよおおお! 首が痛いよおお。せ、せっかく、しっかり休んで、最後の特訓頑張ろうと思ってたのにうえええええええん」
他に宿泊客もいるというのに、涙をこぼして、大きな声でわんわんわんわんと泣き出すのだった。
果たしてヴァイスタを倒し、平和な世界は訪れるのであろうか。
To Be Continued.
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