魔法使い×あさき☆彡

かつたけい

文字の大きさ
60 / 395
第四章 カズミちゃんはアイドル?

09 両手に茶碗お椀を持った、昭刃和美は、「さあ、くっそ

しおりを挟む
 両手に茶碗お椀を持った、あきかずは、

「さあ、くっそ不味い朝メシが出来たぞー」

 ちゃぶ台にそれらを置くと、キッチンに戻って、今度は料理の乗った平皿を運んでくる。

 雀が元気に騒ぐ時間帯、これから昭刃家は出勤前登校前の朝食である。

 カズミが行ったりきたり、あくせく準備をしていると、兄のともなりと弟のかけるが、眠たそうな顔で、隣の部屋からずるずる這い出て来て、眠い目を擦りながら、這い上るように席へ着いた。

 眠気で頭フラフラぼーっとしている男子二人は、なーんとなく視線を上げたその瞬間、揃ってあ然とした顔になっていた。

「いつもは、していないエプロン……」

 ぽそぽそっ、と呟く駆。

「しかし、ただそれだけではないような」

 こそこそっ、と小声で口を動かす智成。

 二人はお互いに顔を見合わせると、揃って小首を傾げた。

「なんだよ?」

 小皿を持って、立ったまま尋ねるカズミ。

「いや、その、なんというか。……料理は相変わらずそんな美味そうには見えないけど……お前、ちょっと可愛らしく……なった?」

 いきなりそんなこといわれ、カズミはちょっと身を引くように驚きの表情を浮かべたが、すぐに照れた笑顔になった。

「そ、そ、そう見える? つうか当たり前だろ! まだ中二されど中二、可愛さどんどん成長中なんだ。美少女から美女へ、ロケットスタートで置いてかれないよう、今のあたしの姿をしっかりそのしょぼい目に焼きつけとけええええええい!」

 ぐるるるんと回った瞬間、遠心力で皿の中身が吹っ飛んだ。

「うおお、しまったああ!」
「しまったじゃないよ! 皿を持ったままそんな勢いで回ったらそうなるに決まってるだろ! バカか!」
「で、でもっ、吹っ飛んだのが、たまたまちゃぶ台の茶碗の中にキャッチされてる! 神! コロッケが一つ、床に落ちただけだ! ……だからこの落ちたコロッケは兄貴が食ってな」
「えーー! だからの意味が分かんねえ。……今日、仕事行くのやめようかな」
「行けよ!」

 怒鳴りながら洗面所へ。
 床を拭くために、雑巾を取り出して水に濡らした。
 ぎゅーっと絞りながら、ふと顔を上げ鏡を見る。
 笑顔の自分を。

 なんだろう、ただの日常、楽しいことなんか今なんにも起きていないのに。
 昨日の楽しさが忘れられず、顔に残ってしまっているのだろうか。
 楽しいというより、嬉しかった。
 みんなが自分なんかのために、色々とやってくれたことに。

「もう、憧れない……」

 ほしかわに、というよりも、アイドルとか、そういう可憐な世界に。

 なれたらいいなー、とかも思わない。
 目指さない。
 あたしは、これでいいんだ。

 と、そう思えるようになったから。

 アサキのバカに感謝だ。
 そういう気持ちにさせてくれたことに。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...