声劇・セリフ集

常に眠い猫

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一人用セリフ

独白、人思い「大丈夫だよ」

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 私は間違ってしまったのだろうか。
 大好きな人と長いこといたから、心が弱ってしまったのだろうかそれとも、私は人を想いすぎているのだろうか。
 長いこと家を空けて、帰ってきてみれば、迎えてくれたのは家族の冷たい態度と、私がいない方がうまくいっていたという、遠回しな存在否定の証明だった。
「……ただ今戻りました」
「そういえばね?昨日さえさんがさ、おもしろいこといってて」
「それで?」
お帰りの一言もなく、私は黙って部屋に帰った。
私は、何かを間違ったのかな。
素直に早く帰ってきて、家のことをしていればよかったのかな。
あぁ、なんだかどうでもよくなりそうだ。
ハンバーグを焼いてくれた。
お母 さんの話し方だと、最近お母さんが夕飯を作ってくれていたらしい。
焼いてくれたハンバーグは真っ黒で「ちゃんと焼いたつもりだったけど、なかは焼けていないかもしれないから、チンしてから食べてね」そう言われて「うん」と答えた。
リビングの机の上に置いてあるお皿の数々。
差し込む夕日を視界に入れながら、ラップで包まれたお皿の中身を覗くと、言われた通り全部真っ黒だった。
(あーあ。焦げちゃってるや)
ばあばが作った夕飯。
慣れない料理で必死に焼いて、失敗して焼いたハンバーグは、あたしが焦がした時よりも真っ黒で。私が焦がした時、あの人が怒ったことがあったのを、思い出した。
「あーあ。あたしより、悪いじゃ、、、」
いった言葉は途中で止まっちゃって、なんでか泣いてるのに気づいて。
(あぁどうして。私がやるはずのことをあの人がやってるのだろう。私が黙って家事をやってたのは、あの人がもっと楽になるようにと願ったものだったのに。あの女はよりにもよってあの人に家事を頼むなんて)
なんで泣いてるのかわからない。
でもなんか、泣けてくる。
悔しいのか、悲しいのか、寂しいのか、なんなのか。
面倒な家事をやらなくていいのに、あたしがいなくて家族のまとまりが付いてて、みんながみんなして協力していい感じになってるのに、何を泣くことがあるのか。
そういえば
寂しかったり
苦しかったり
なんか泣いた時はいつもあの人が美味しいご飯を作って待っててくれてた。
料理なんて下手なのに、フライパンに鍋に具材に色々揃えて作ってくれた事もあった。
ハンバーグは真っ黒だった。
こんな家の、こんな家族なのに、あの人はそれでもみんなのこと考えながらそのハンバーグを不器用に焼いて、やっぱり焦がして。
あたしがやるからいいよって言ったのを覚えてる。
色々教えてもらって、美味しいご飯食べられるようにとか、思ったから。
本当に、初めて思った。
こんなことなら、全部自分でやれればいいのに。
最低限料理だけでも。
家事をやらなくてこんなにしょうもなく泣いたの初めてかもなぁ。
大丈夫だから、それでなくても大変なんだから、休んでよ。
私にとっての母親はあの人だけなんだから、あまり無理をしないでね?
あまり縁起の悪いこと言わないでね?
美味しいご飯だけでも作るから
あたしが視界に入ってなくても、付き添ってるから。


今日私は寂しかったのかもしれない。

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