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第二話 英雄と未来のジパング?!
しおりを挟む「キミは誰だ? ここの主か?」
謎の人物は楓のほうを向き、第一声を発した。男らしいカッコいい声をしている。
容姿も端麗だ。
「あ、あなたはもしかして、ナポレオン? じゃないよね?」
「どうして、俺の名を知っている?」
ナポレオンと言われた人物は、不思議そうな顔をし、首を傾げた。
「うそでしょ、どうして、本の中の人が出てくるの? しかも、1700年代の人が」
「(ナポレオンはイタリア語なまりのフランス語だったはず)可笑しい。言葉も通じる。まさか、この栞?」
そういい、楓は地面にあった赤黒い木箱をみつめた。
一呼吸おき、真剣な眼差しで楓はいった。
「もう一度、訊きます。貴方の名前はナポレオン・ボナパルトですか?」
「そうだ。可笑しなやつだな。初めて、話したのに俺の名前を知ってるなんて」
ナポレオンも動揺しているようだ。腕を胸の前で組み、首を傾げてる。
「お母さんの名前はレティチアさんですか? お父さんの名前はシャルル?」
「確かに母と父の名前だが、お前、どうしてそんなことまで知っている? フランスのスパイか?」
警戒をしているのか、ナポレオンの表情が変わり、少し声が高ぶった。
「コルシカ島のアジャクシオに住まいがあるんですよね」
「そうだ。何故、そんなことまで知っている?」
「うわぁー、本物だー。うそだろー。ナポレオンに逢えるなんて感激だ。わー。ほんとに、史実通り、綺麗な蒼い目
をしていたんですね」
楓は興奮し、ナポレオンの容姿を下から上まで身体を動かし覗き込んだ。仕舞いには、ナポレオンの顔にマジマジと
顔を近づけ、見遣り、ナポレオンの目を覗き込んだ。
ナポレオンは、どうしていいか判らないようで、困り果てた顔で迷惑そうだった。
楓はナポレオンが片手に持っていた本に気づいた。それは……。
「ナポレオンさん、その右手に持っている本て、プルータス英雄伝ですよね?」
「お前、どうして、そんなことまでわかるのだ。字が読めるのか?」
「貴方が英雄伝を読んでいたように、僕は貴方を読みましたよ。貴方は僕の憧れです」
「? 俺を読んだ? 一体、どういうことだ。意味がわからん。ここは何処だ? フランスではないようだが」
そういい、ナポレオンは数歩、歩き、楓の部屋の窓を開けた。
太陽の光りが射し込んできた。白い光りが本だらけの部屋を掠めていった。
ナポレオンは左手を目の前にやり、眩しい光が目に入るのを隠そうとした。
「ここは貴方がいた時代から、245年後、2014年の日本という国ですよ」
「2014年だと? 日本? もしや、あの東方見聞録に記されてある、あのジパングか?」
ナポレオンは声高になるものの、冷静さは失ってはいなかった。
流石、軍を後に率いて采配を揮うだけのことはある。時代は違うものの、直感がいい。
「さすが、飲み込みが早いですね。そう、その未来のジパングになるかな」
少年は微笑して、淡々と落ち着いた口調で言葉を返した。
☆☆
こんにちは
どうなっていくのでしょう。
またアップします。
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