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第六章 追憶の魔船
第八十六話 大団円 別れと出会い
しおりを挟む最後の一撃を繰り出した、ファイの周りにみんなが集まっていく。
「よくやったな、ファイ、褒めてやるぞ」
キュラがポンとファイの肩をたたいた。
「へ、まぐれだ、まぐれ」
「もし、さっきの攻撃でしくじったら、俺ももう一撃、お見舞いするところだったぞ」
ヒョウが相槌をうった。ファイがグッドラックのポーズをする。
そのときだった、近くにいたアオンがファイの目の前にきて、死霊剣デスゲイザーを地面に突き刺した。
「魔骨兜は砕け散った。この死霊剣は戦利品だ。炎の魔剣士よ、受け取れ!」
「え、どういうことだ?」
「俺は、死霊、この身を無に還すまでだ。死霊剣がある限り、またお前たちが窮地の時、魂が生きていれば、現れるやもしれん」
「まさか?」
「さらばだ、勇気ある、勇士たちよ。俺は永遠の眠りにつく」
「アオンさん!」
ファイがそういった瞬間、英雄アオンの姿は完全に消えた。残ったのは地に突き刺さった死霊剣だけだった。
「英雄か、なるほどな、名残惜しい別れ方をするものだ。この死霊剣は私が預かろう。四次元箱にいれておく。いいな、ファイ?」
「キュラ様のいうとおりでいいぜ。かまわない」
ファイの言葉を聞くとキュラは死霊剣を四次元箱のアイテムボックスに入れた。
そのとき、レヴェルが言い寄ってきた。
「闇の王を殲滅させて、エナジーをいただいた。俺の力は完全回復し、力が前以上になった。魔剣士、それに、ソレイユの若き魔法騎士、獣人たちよ、俺は魔界の狩人だ。俺はここからまた魔界へ戻る」
「魔界に?」
「戦線離脱ってわけか」
「元々魔界にいる身。アスガルドは三層世界構造だ。どこかでまた会うやもしれんな。魔剣アンタレスバロールが呼んでいる。お前たちに良き命運あれ。じゃあな」
その瞬間、魔剣アンタレスバロールとともに、レヴェルは消えた。今残っているのは、ファイ、ヒョウ、キュラ、エリュー、レギンだけだ。
「へ、いってくれるぜ」
「ファイ、あいつは、本気を出してなかった。まだまだ技とラスタに余裕を感じた」
「ヒョウ、それは俺も気づいてたぜ。恐らく、本気でやりゃ、一人で片づけれたはずだぜ」
ヒョウの言葉に、ファイが答えを返した。
「ねぇ、みなさん、堅い話はよし、でいいじゃないですか。姫様の元に戻って、おいしいご飯でも食べましょうよ」
エリューが明るい声でいった。
「そうだな。私も疲れたぞ、最後に生気吸収されて」
「大丈夫です、私の回復魔法でみなさんの体力を元に戻すので」
「毎度、すまないな、嬢ちゃん」
レギンは軽く、エリューの背中を叩いた。だが、獣人に変身したレギンの力は軽くといえどすさまじかった。エリューは叩かれた瞬間、地面にこけた。
「いたーい。もう、レギンさん力強いんだから気を付けて下さい」
「がはは、すまない。軽く叩いたつもりだったんだが」
「おっさんは、力強すぎんだよ。指でさするぐらいにしねーと」
「よし、みな、姫様の元に帰るぞ」
キュラがそういうと、ファイたちはその場を後にした。
☆☆
第七章、新章突入! 新たなる敵、新キャラ登場! UP予定。
応援ありがとうございます!
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