ファウスト プリンセス

蒼井肇

文字の大きさ
上 下
1 / 47
第三章 錬金術ってできたら便利!?

第二十六話 アイテムを作ってミミズさんを助けるの!!

しおりを挟む


「な、なんじゃ、これは?」
「見ての通りだ。犯人はジャイアントワームだ」
 ミレアが連れてきた当主ガーナさんは驚いてとんでもない顔をした。
「し、死んでいるのか?」
「いや、死んではいないだろうな。麻酔が効いていて動けないだけだ」
「は、早く殺せ! 防衛士のジャガリコンはどうした、いないのか、カルービラス、早く呼んでこい!」
「は、ガーナ様かしこまりました」
 カルービラスがそういった矢先だった。
「待ってください。人を殺したわけでもないんです。いくら、魔物といっても、可哀想です。命があるんです。大きくても、この子、食料を襲って、人を襲ったりはしなかったじゃないですか」
 ミレアの言葉に、みな、口を閉じた。ためらいが生じたのだ。たしかにミレアのいっていることは一理あったのだ。
「助けてあげてください。ガーナさん、お願いします」
 そういい、ミレアはペコリと深く頭をさげた。
「では、どうするというんじゃ? そんな大きな奴を。契約上は駆除じゃぞ」
「要するに、いなくなれば、いいんですよね。対象物もはっきりしていませんでしたし、殺せとは契約にはなかったじゃないですか」
「確かにそうじゃが」
「野性に返すといっても、逆に森などに返したら、子供が行ったら危険だ。ミレア、構わないぞ、駆除しろというのなら、俺が仕留めてやる」
 ファイがそういい、背中の剣に手をやった。
「ファイさん、待ってください」
「あたしに考えがあるんです」
「ミレア、どうするプニ?」
「要するにですね、肥大化して、身体が大きいからダメなんですよ」
「もしかしてプニ?」
「そう。そのもしかしてプニよ。身体を小さくするの」
「『!』お前、そんなこともできるのか?」
「ただし、錬金術であるアイテムを作らないといけないですけど」
 ミレアの顔は得意満面だった。こういう、ひらめきだけは天才的なところがある。
 ガーナさんは首をかしげた。ファイもよくわかっていない面持ちだった。
「お前の言ってることがよくわからん。動き出すまでにどうにかするなら、まぁ良い」
「ありがとうございます。ミレア頑張ってアイテム作ってきます」
「ファイさんはここで番をしててくださいね。いこ、プニロン、店に帰りましょ」
「判ったプニ」
 ミレアはそういうとすでにかいていた、魔法陣に入り消えてしまった。
 アイテムを作らないといけないというところをみると、魔法で店に帰ったのはファイにもわかったことだった。
 だが、ガーナさんがおどろいて目をぱちくりしていた。
「消えた? あの子は魔法も使えるのか?」
「さぁな、作るのはどうかしらねーが、魔法は達者みたいだな。これの逆をするんじゃねーか? ミレアの帽子が大きくなったままだしな」
「このコテージみたいなのは、元はあの子の帽子なのか?」
「そうだろうな、形も色も似てる。羽根も付いてるしな」
 ファイはそういい、目の前にあるコテージキャップをみやった。



☆☆  ☆☆
しおりを挟む

処理中です...