魔王ルシファーの異世界征服!〜異世界転移した最強の魔王は魔物を持ち帰り現代を侵略する〜

勇者れべる1

文字の大きさ
33 / 35

第三十三話「帰還」

しおりを挟む
 
 ―ホワイトハウス作戦司令室

「ポチっとなっと」

 現代に帰ったルシファーがICBM(大陸弾道ミサイル)の発射スイッチを押す。
 核弾頭を積んではないが強力な破壊力を持つ現代の大量破壊兵器だ。
 それをルシファーは天使の本拠地である東京の議事堂目掛けて放った。

 ―数時間前の異世界イシュロア

 時間は数時間前に遡る。
 ルシファーズハンマーの入り口前で大勢の魔物達が待機していた。
 オーク、ゴブリン、ハーピー、キマイラ、サイクロプス、メデューサ、デュラハン、リッチ、アンデット、人狼、吸血鬼と種類は数えきれない。
 更に言えば別のルートでリヴァイアサン親子が海の戦力として参戦してくれる。
 これだけの戦力と現代の悪魔達がいれば現代を侵略する事は容易いだろう。

「いざ行かん!現代へ!」

 ルシファーは現代へ通じるゲートを神の石板を読んで開くと、皆でそこを通った。
 そこはかつてミカエルと戦った地でもあり、現代の悪魔の本拠地でもあるアメリカのホワイトハウスの近くだ。
 すると茂みから一人のブラックスーツの男が出て来る。
 その男は白目の無い目が黒い悪魔だった。

「ルシファー様!……ですよね?」

「いかにも僕だ。それとも殺されないと分からないか?」

 ルシファーは瞳を赤く光らすと自身の存在を証明する。

「い、いいえ、滅相も無い!今悪魔軍はアザゼル様が指揮をとっております!ホワイトハウスも占拠されてしまい……」

「アザゼルか……」

 アザゼルはルシファーに最も忠実な悪魔であり、ルシファーを地獄の檻から出したのも彼である。
 彼が現代での天使と悪魔の戦争の火蓋を切ったと言っても過言ではないだろう。

「ここが現代か……高い塔ばかりだな。現代人は巨人なのか?」

 高層ビルを見てリィンが驚く。
 ここはタワーマンションやオフィスビルが立ち並ぶ所で、異世界人であるリィンが驚くのも無理はない。

「あらあら、あの城達には貴族か女王が住んでるのでしょうね。どれを奪ってやろうかしら」

 高層ビル群を見てスカーレットがはしゃいでいる。
 まあセレブやお金持ちの資産家や実業家、会社の社長達がいるのだから間違いではないが。

「あの鉄の馬、どんな魔術で動いてるのかしら」

 道路を走る車達に興味を示すゴブ子。
 まあ運転してるのは悪魔だが。

「のんびりと観光している暇は無い。このままホワイトハウスに乗り込むぞ!」

 ルシファーが号令を掛けると後方で大量の声が上がった。
 戦闘に飢えていた魔物達の声である。
 旧魔王軍が敗れてからというものの、自粛命令が出されていた為、早く戦いたくてうずうずしていたのだ。

「じゃあアレックス、先陣は任せるぞ。この薬を打ってくれ」

 ルシファーは注射器をアレックスに渡すとアレックスの手は震えていた。

「ぼ、僕に出来るでしょうか?それに人を殺すなんて……」

「君は無敵のスーパーオークだぞ?恐れる事は無い。それに天使は魔物みたいなもんだ。躊躇しなくていい」

「分かりました……!僕、やります!」

「その勢いだ(乗せやすいな)」

 アレックスは手首に注射針を刺すと突然苦しみだした。
 肌は緑色に変わり体は巨大な筋肉の塊に変貌した。
 スーパーオーク、アレックスの変身完了である。

「ウガアアアアアア!!!ルシファーノテキ、スマッシュスル!!!」

 アレックスは突撃しホワイトハウスの警備の天使達を薙ぎ倒していく。
 体に天使の剣が幾つも刺さるがびくともしない。
 逆に刺した天使が吹っ飛ばされてしまう程だった。
 そしてホワイトハウスの外壁に大穴を開けるとそのまま中に消えていった。

「よし、あの穴から突入するぞ!」

 おおおおおおおおおお!!!!

 ルシファーの異世界魔物軍と悪魔軍の残存部隊が外壁の穴からホワイトハウス内部に突入した。
 中はアレックスが粗方暴れまわった後だったが、天使はまだまだ残っていた。
 ルシファーはそれをコバエを潰すが如く殺していく。

「ルシファー、覚悟!」

 数人の天使達がルシファーに襲い掛かる。
 しかしルシファーは手をかざすと天使達を吹っ飛ばした。
 そして手を握ると彼らの首は小枝の様に簡単にへし折られた。
 そしてルシファーはレッドカーペットを歩き大統領執務室に着いた。
 かつての自分の専用席である。

「やれやれ、やっと帰って来たぞ」

 ルシファーはデスクのPCを付け監視カメラの映像を見ると、魔物や悪魔、そしてスーパーオーク・アレックスの暴れっぷりをこの目で楽しんだ。
 そして数時間後のホワイトハウス作戦司令室でルシファーがICBMの発射ボタンを押したのである。


 そして幾ばくかの時間が経ち、着弾予想地点を示すレーダーが赤く染まる。
 この時代の天使は現代の一部のハイテク機器を破壊もしくは隔離したらしく、
 人間を収容所に隔離した事が仇となり、日本の誇る優秀な迎撃システムは作動しなかった。
 これで天使達は大量に殲滅できた、大量虐殺と言っていい。
 これはホワイトハウスの占拠が必須だった為、異世界の魔物あってこその成果であろう。

「ナイスショット!」

 ルシファーがガッツポーズを決める。
 そして大統領の椅子で一回転するとルシファーは立ち上がりホワイトハウスの外に出た。
 そこには異世界にはいなかったブラックスーツを着た配下の悪魔達がいた。

「じゃあカース、ルシファーズハンマーLA<ロスアンゼルス>支店まで運転頼むぞ」

「承知しました」

 ルシファーは二台の黒塗りのリムジンに乗り現代のルシファーズハンマーに向かう。
 異世界に向かう前に自身が愛用していた店だ。
 今はホワイトハウスがあるので異世界の魔王軍幹部達の拠点にする予定だ。

「これが現代の鉄の馬か。中々に良い乗り心地だな」

 シャンパンのグラスを片手にスカーレットが足を組みながら言う。
 現代でのゴージャスな暮らしに満足しているようだ。

「私はどうも好きになれん。ここは森も動物も少ないし……」

 自然を好むエルフとしてはビルだらけの現代はどうも馴染めないのだろう。
 後で自然公園にでも連れて行くかとルシファーは思った。

「ところで私の報酬のゴブリン1000体、勿論覚えてるわよね」

 自身の完全復活が目的のゴブ子にとっては現代の事などどうでもいい事だった。

「さあて、僕は寝る。着いたら起こしてくれよ」

「分かりました」

 ルシファーは最後のモヒートの一滴を飲むとそのまま眠りに入った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった! 「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」 主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

陸上自衛隊 異世界作戦団

EPIC
ファンタジー
 その世界は、日本は。  とある新技術の研究中の暴走から、異世界に接続してしまった。  その異世界は魔法魔力が存在し、そして様々な異種族が住まい栄える幻想的な世界。しかし同時に動乱渦巻く不安定な世界であった。  日本はそれに嫌が応にも巻き込まれ、ついには予防防衛及び人道支援の観点から自衛隊の派遣を決断。  此度は、そのために編成された〝外域作戦団〟の。  そしてその内の一隊を押しつけられることとなった、自衛官兼研究者の。    その戦いを描く――  自衛隊もの、異世界ミリタリーもの……――の皮を被った、超常テクノロジーVS最強異世界魔法種族のトンデモ決戦。  ぶっ飛びまくりの話です。真面目な戦争戦闘話を期待してはいけない。  最初は自衛隊VS異世界軍隊でコンクエストをする想定だったけど、悪癖が多分に漏れた。  自衛隊名称ですが半分IF組織。  オグラ博士……これはもはや神話だ……!

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...