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第1章 100の仲間たち
08話 紳吉おじいさん、仲間になる
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さて、和寿は人間を仲間にするための魔法のかけ方をチュヴィンに聞いた。もちろん紳吉おじいさんを仲間にするためだった。その方法とは、鳥や動物に魔法を代理でかけてもらうというものだった。まずおじいさんが好んで話をする鳥や動物を選ぶ。その鳥や動物に和寿が魔法の念を送り、鳥や動物に意識的におじいさんに話しかけてもらえば完了だ。おじいさんに才能があればすぐに力を発揮する。おじいさんはすべての鳥や動物と話すことができるようになるだろう。おじいさんが好んでは話をするのは文鳥のブンちゃんだ。
さて翌朝、和寿はブンちゃんに頼みごとをするのだからと、ブンちゃんの機嫌を損ねないようにさりげなく頼んでみた。
「ブンちゃん、このところあげているハコベはどうだい」
「ああ美味しいわよ。ハコベが食べられるなんて、愛鳥家のご主人しか思いつかないんじゃないかしら」
ブンちゃんは、喜んでいた
「お願いがあるんだけど」
「なあに」
「今度じいちゃんが話しかけたら、気持ちを込めて返事してあげてよ。そうしたらじいちゃんが鳥や動物と話をすることができるようになるかもしれないんだ。じいちゃんに才能があればの話だけどね」
「いいわよ。おじいさまには寂しい時、声をかけていただいてるの。感謝の気持ちを伝えたいは」
「いいんだね。じゃあまず君に魔法をかけるから」
和寿は目を閉じて文ちゃんに念を送り、チュヴィンに教えてもらったお題目も唱えた。
「これで良し。じゃあ頼むよ」
次の日曜の朝のことである。おじいさんは起きてきた。おじいさんはいつも起きてからまず文ちゃんに話しかけるのを日課にしている。今日はシンプルに
「おはよう」
とつぶやいた。ブンちゃんは約束通りおじいさんに気持ちを込めて話した。
「ご機嫌麗しゅう」
おじいさんはびっくりした。今ブンちゃんが返事をしたような。
「いかんいかん、わしもとうとうぼけて来たか」
と話している
かげで見ていた和寿は「ボケてないよ。ブンちゃんとじいちゃんは話せるんだよ」と心につぶやいた。
じいちゃんには才能があった。しかし自分がぼけてきたと勘違いしている。もう一押ししなくっちゃ。じれったいので和寿自身がおじいさんの元へ出ていった。
「じいちゃん。じいちゃんはボケてないよ」
「いや、今ブンちゃんが話したように感じてな。わしもとうとうぼけてきたと思ったんじゃ」
「じいちゃんはボケてないよ。鳥や動物と話ができる才能があるんだよ」
おじいさんはポワーンとしていた
「ワシにはボケる才能があったのか?」
「違うよ。鳥や動物と話す才能だよ」
「おじいちゃんいつも声をかけてくれてありがとう」
ブンちゃんがまた話した。
「ブンちゃんがまた話しとる。わしには才能があるのか?」
おじいさんはそう言ったなり
「顔でも洗ってくる」
と洗面所に向かった。
「分かっているのかな」
「さー」
とブンちゃんはこたえた。
おじいさんは混乱していた。朝の散歩していても犬や猫がしゃべっているのが聞こえてくる。鳥が空を飛びながら「おはよう」といった。
「わしはとうとう気が狂ってしまったのか」
後をつけて来た和寿は何とかおじいさんを説得しようとやっきになった。
「じいちゃん。今、鳥が「おはよう」と言ってたでしょ。僕もじいちゃんと同じ能力があるのさ。じいちゃんはボケてないし狂ってもいないよ」
「なに、わしがボケていないというのか。そうだわしはボケていない。わしの才能というわけだな、よかろう」
おじいさんは明らかにまだ混乱しているが、これで様子を見てみることにした。ミッションの実行は一週間後だ。それまでに何とかなれば…。
一週間後の日曜の朝、皆が朝食を済ませると、ミッションは開始された。和寿は恐る恐るおじいさんに話しかけた
「じいちゃん。車出してもらいたいんだけど」
和寿はおじいさんに言った
「何処へ出かけるんだ」
富士山に行きたいんだ
「なにしに行くんだ」
和寿はまよってしまった。じいちゃんはまだあの能力に、疑問をいだいているだろう。鳥や動物が富士山を目指しているといっても承知しないだろう。
そこへトンビのヒョロンが話し出した
「おじい様、我々は失われた人間の能力を取り戻すための精鋭部隊です。魔女から封印の水晶玉を奪わなければなりません。魔女は富士山の北の森にいるとの情報があります。まずは偵察を」
するとおじいさんは意外とスムーズに納得してくれた。そうトビの話をちゃんと聞いて理解している。
「よし富士山の北の森にむかおう」
とおじいさんはは言った。
「じいちゃんの能力ってすごいんだね」
と和寿は言った。
「先週から一日中、鳥や犬猫が話しているんだ。納得したよおれの使命を」
とおじいさんはこたえた。和寿は急におじいさんが頼もしい味方のように思えた。
和寿とおじいさんは、家族の皆に、土曜日曜の2日間ドライブでに行ってくる。と言っておいた。さあ、ミッションはスタートした。おじいさんの都合で延期を覚悟していたけど予定通りだ。おじいさんは車を出した。富士山の北の森へ。後部座席にはトビとカラスがきちんと並んでいる。そのまとめ役としてチュヴィンとハクちゃんが真ん中に陣をとった。よくチュヴィンとハクちゃんは襲われないよな。食物連鎖を完全に無視している。おとなしくて優しいトンビとカラスにチュヴィンとハクちゃん。みょうな眺めだった。
さて翌朝、和寿はブンちゃんに頼みごとをするのだからと、ブンちゃんの機嫌を損ねないようにさりげなく頼んでみた。
「ブンちゃん、このところあげているハコベはどうだい」
「ああ美味しいわよ。ハコベが食べられるなんて、愛鳥家のご主人しか思いつかないんじゃないかしら」
ブンちゃんは、喜んでいた
「お願いがあるんだけど」
「なあに」
「今度じいちゃんが話しかけたら、気持ちを込めて返事してあげてよ。そうしたらじいちゃんが鳥や動物と話をすることができるようになるかもしれないんだ。じいちゃんに才能があればの話だけどね」
「いいわよ。おじいさまには寂しい時、声をかけていただいてるの。感謝の気持ちを伝えたいは」
「いいんだね。じゃあまず君に魔法をかけるから」
和寿は目を閉じて文ちゃんに念を送り、チュヴィンに教えてもらったお題目も唱えた。
「これで良し。じゃあ頼むよ」
次の日曜の朝のことである。おじいさんは起きてきた。おじいさんはいつも起きてからまず文ちゃんに話しかけるのを日課にしている。今日はシンプルに
「おはよう」
とつぶやいた。ブンちゃんは約束通りおじいさんに気持ちを込めて話した。
「ご機嫌麗しゅう」
おじいさんはびっくりした。今ブンちゃんが返事をしたような。
「いかんいかん、わしもとうとうぼけて来たか」
と話している
かげで見ていた和寿は「ボケてないよ。ブンちゃんとじいちゃんは話せるんだよ」と心につぶやいた。
じいちゃんには才能があった。しかし自分がぼけてきたと勘違いしている。もう一押ししなくっちゃ。じれったいので和寿自身がおじいさんの元へ出ていった。
「じいちゃん。じいちゃんはボケてないよ」
「いや、今ブンちゃんが話したように感じてな。わしもとうとうぼけてきたと思ったんじゃ」
「じいちゃんはボケてないよ。鳥や動物と話ができる才能があるんだよ」
おじいさんはポワーンとしていた
「ワシにはボケる才能があったのか?」
「違うよ。鳥や動物と話す才能だよ」
「おじいちゃんいつも声をかけてくれてありがとう」
ブンちゃんがまた話した。
「ブンちゃんがまた話しとる。わしには才能があるのか?」
おじいさんはそう言ったなり
「顔でも洗ってくる」
と洗面所に向かった。
「分かっているのかな」
「さー」
とブンちゃんはこたえた。
おじいさんは混乱していた。朝の散歩していても犬や猫がしゃべっているのが聞こえてくる。鳥が空を飛びながら「おはよう」といった。
「わしはとうとう気が狂ってしまったのか」
後をつけて来た和寿は何とかおじいさんを説得しようとやっきになった。
「じいちゃん。今、鳥が「おはよう」と言ってたでしょ。僕もじいちゃんと同じ能力があるのさ。じいちゃんはボケてないし狂ってもいないよ」
「なに、わしがボケていないというのか。そうだわしはボケていない。わしの才能というわけだな、よかろう」
おじいさんは明らかにまだ混乱しているが、これで様子を見てみることにした。ミッションの実行は一週間後だ。それまでに何とかなれば…。
一週間後の日曜の朝、皆が朝食を済ませると、ミッションは開始された。和寿は恐る恐るおじいさんに話しかけた
「じいちゃん。車出してもらいたいんだけど」
和寿はおじいさんに言った
「何処へ出かけるんだ」
富士山に行きたいんだ
「なにしに行くんだ」
和寿はまよってしまった。じいちゃんはまだあの能力に、疑問をいだいているだろう。鳥や動物が富士山を目指しているといっても承知しないだろう。
そこへトンビのヒョロンが話し出した
「おじい様、我々は失われた人間の能力を取り戻すための精鋭部隊です。魔女から封印の水晶玉を奪わなければなりません。魔女は富士山の北の森にいるとの情報があります。まずは偵察を」
するとおじいさんは意外とスムーズに納得してくれた。そうトビの話をちゃんと聞いて理解している。
「よし富士山の北の森にむかおう」
とおじいさんはは言った。
「じいちゃんの能力ってすごいんだね」
と和寿は言った。
「先週から一日中、鳥や犬猫が話しているんだ。納得したよおれの使命を」
とおじいさんはこたえた。和寿は急におじいさんが頼もしい味方のように思えた。
和寿とおじいさんは、家族の皆に、土曜日曜の2日間ドライブでに行ってくる。と言っておいた。さあ、ミッションはスタートした。おじいさんの都合で延期を覚悟していたけど予定通りだ。おじいさんは車を出した。富士山の北の森へ。後部座席にはトビとカラスがきちんと並んでいる。そのまとめ役としてチュヴィンとハクちゃんが真ん中に陣をとった。よくチュヴィンとハクちゃんは襲われないよな。食物連鎖を完全に無視している。おとなしくて優しいトンビとカラスにチュヴィンとハクちゃん。みょうな眺めだった。
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