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1時間目 ストーカー問題
第8話 やっぱ謎過ぎるわ、この人
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「何? 莉子はバカなの? 不器用なの? どっち?」
「どっちでもいいですから、呼び捨ては止めてもらえませんか」
新川透に呼び出され、例のコンビニで落ち合い、白いレクサスで新川透のマンションに拉致された。
まぁ、自転車の話もあったしいいけどさ……。
さて、何故かおかんむりの新川透はと言うと、私の親指の治療をしている。
とにかく見せろとうるさいので、渋々右手を出した。こんなの大したことないと思うんだけど、一応医者の資格も持っている新川透としては気になるのだろう。
「い……いったー!!」
「我慢して」
「ふぐうぅぅ……」
消毒されたあと、何か軟膏のようなものを塗られて激痛が走る。
痛い、痛い、と騒ぐのは負けのような気がして、奥歯をグッと噛みしめた。
「まさか便利器具で怪我する子がいるとは……」
「でもスライサーって凄いですね。あんなに切れるとは思わなかった。スパーンと……」
「止めなさい」
救急箱を片付けながらじろっと睨まれて、おとなしく口をつぐむ。
新川透はすっくと立ち上がると、台所から箸と小皿を持ってきた。
「それで? 持ってきた?」
「塩もみ野菜ですか? 持ってきましたよ。でも何で?」
何か怒ったまま手を差し出すので、家から持ってきたタッパーをその上に載せる。
新川透はパカッと蓋を開けると、小皿にこんもりと取り分けた。
「食べるために決まってるだろ」
「えーっ! 気持ち悪くないですか!?」
「何で?」
「だって……一度は私の指が入った代物ですよ?」
「莉子は食べるんだろ?」
「そりゃ、勿体ないですし……ってだから、呼び捨てにしないでください」
「莉子の指ならいい」
「……っ!!」
いきなり何をかましてくるんだ、この男は!
おかげでツッコめなかったじゃないか!
私がグフッと喉を詰まらせている間に、新川透は小皿に持った野菜をパクッと食べてしまった。
「あー、あー、あー……」
「うるさいな。……ふうん、なるほど。ちょっと味が濃いな」
「ウチでは普通です」
「塩分過多はむくみ、高血圧、骨粗しょう症など様々な病気を引き起こす。これから控えるように」
「へーい」
まぁ、正論ですけどね。
ムスッとしていると、目の前に箸で摘ままれた一口分の野菜が差し出された。
「……? 何です?」
「はい、あーん」
「あああ、アホですか!?」
思いっきり叫ぶと、新川透が例の子犬の顔で「駄目?」と聞いてきた。
「……いったい何を考えてるんですか……?」
「何も。やってみたいだけ。……あ、眼鏡外してね」
「ぶはっ」
急に眼鏡を取られて、視界がぼやける。なかなか焦点が定まらない。
クラクラしていると、その隙に「はい、あーん」と口に野菜を押し込まれた。
「あぐっ」
思ったより口に入れられた量が多く、喋れない。とりあえずモキュモキュと口を動かしていると、新川透が「ぶふっ」と吹き出し、私から顔をそむけた。
肩がぷるぷると震えている。
人の素顔を見て笑うとか、どれだけ失礼なんだ……。
いったい何をやりたいのかな、この人は。
……はっ、もしかしてペットが欲しかったんだろうか。そういや最初から餌付けされてたし。何か世話好き女房みたいな行動するし。
家から勘当されて、実は淋しいのかもしれない。
ブログのお嬢さん、莉子は奴隷じゃなくてペットでした。
お詫びして、訂正いたします。
うーん、それだと「私もペットになりたーい!」と言って暴れるかもしれないな。やっぱり私の存在は絶対にバレる訳にはいかない。
ん、私の存在? ……でも、何だっけ。
私と新川透の関係は、どう説明するのが一番適切なんだろう。
①、生徒と先生。②、ペットと飼い主。③、奴隷と主人。④、妹と兄。⑤、娘とオカン。
……意外に、⑤が一番近い気がするな。
そんなことを考えていると、いつの間にか小皿と箸は片づけられ、私の塩もみ野菜は冷蔵庫に入れられていた。
もしもし? それ、私のノルマじゃなかったでしたっけ?
「外に出しっぱなしにして悪くなるとマズいから、冷蔵庫に入れとくよ」
「あ、ありがとうございます」
「で、数学の教材は持ってきたか?」
「持ってきましたけど……。あ、そうだ。一つミネルヴァの宿題があったんだった」
眼鏡を再びかけ、鞄から7階のトイレで預かったプリントを広げる。
水曜日に預かって2日後に、とメモしたんだから、明日の朝にはちゃんと置いておかないと。
「そうだ。どうして私がミネルヴァだって分かったんですか?」
何回も聞きそびれたこの質問を、ようやく新川透本人にぶつけてみる。
新川透はニヤッと笑った。
……何ですか、その勝ち誇ったような顔は? ムカつくわー。
「あんまり教師を舐めるなよ。生徒の答案ってのはな、本人が考えて書いたのか、何かを丸写しにしたのかはすぐに分かるんだ」
「へえ……」
「その中で、俺の授業でも教えてない、参考書にも載ってないような変な解答を書く生徒がちょこちょこ現れてね」
「へ、変……?」
「まぁ、試しにそのプリントをやってみろ。そうすれば分かる」
妙に自信満々に言う新川透に、私は何も言えなかった。
確かに独学でやってきた私の解答は、誰かに教わったものじゃない。自分で調べたり考えたりして作った解法だから、見る人が見ればわかるのかもしれない……。
「……うん。合ってる。……一応な」
参考書で調べたりしながら書いた私の答案をザーッと読むと、新川センセーは不満そうに頷いた。
あ、今は「①生徒と先生」タイムなので、一応新川センセーと呼ばせていただくことにいたします。
「一応?」
「回りくどい。俺はそういう教え方はしていない」
「いや、習ってませんから……」
「だから教えてあげるって言ってるの。いいか? まず莉子は……」
「あのぉー」
「あー、はいはい。莉子ちゃんは、問題を読んだらこうじゃないか、ああじゃないかと思った方向でダダダーッと書いてしまうだろ?」
「問題を読んで答えまで行くって、そういうことじゃないんですか?」
「合ってるけど、違う。そのやり方でいくと、何段階も踏まえないといけない問題の場合、途中で『あ、こうだった』『違う、こうだった』と迷子になって、あっちこっちにブレた解答になる」
「はぁ……」
新川センセーは何も書いてない白い紙を取り出すと、何やらフローチャートのようなものを書き始めた。
『問題』と書かれた四角形から下向きに矢印。ずーっと離れて、一番下に『答え』と書かれた四角形。
「まず、書く前に考える。問題を読んで真っすぐに答えに辿り着けるかどうか。たどり着けない場合は……答えから逆算する」
「逆算?」
「この答えを出すためには何が必要か。次にそれらを求めるためにはどうしたらいいか」
『答え』から上向きの矢印。いくつかの丸を経て、やがて『問題』から伸びた下向きの矢印とぶつかる。
「繋がったら、答案の出来上がりだ。『問題』から『答え』まで、真っすぐな解答が書ける」
「なるほど……」
確かに新川センセーの言う通り、私はまず「いい!」と思う方法をやってみて、駄目なら途中で向きを変えて、つまったらまた変えて……という風に考えていた気がする。
そのうち『答え』というゴールとは見当違いの方向に進んでしまうこともあったり。
「莉子ちゃんのゴールは……大学に行くことなのか?」
「そうですよ? でもそこで終わりじゃないです。元々は建築学科に行って、お母さんと二人で住む家を設計したかったんです」
「……」
「今は……」
今は、何だろう。お母さんはもういない。二人で住む家は、もう建てられない。
ゴールを見失ってしまった。……でも、新しい目標を立てられる状態じゃない。
「ま、いいんじゃないか?」
「いいんですか?」
将来の目標をきちんと立てろ、そのための勉強をしろ、と言われるかと思った。
学校の先生って大概そうだし。
「何しろ、俺自身が医者にはなってないからなあ。そもそも、医者になりたくて医学科に進学したんじゃないし」
「えっ!? じゃあ、何で?」
「まぁ……とりあえず家は病院だし、医学科に行っても研究職という道もあるし。少数だが、一般企業に就職する例もある。必ずしも医者にならなければならないって訳じゃない」
「そうなんだ……」
「でも最大の理由は、地元の大学に進学するとしたら医学科じゃないと周りが納得しそうになかったからだよ。俺はどうしても、地元に残りたかった」
「地元に?」
都会に行きたいという声はよく聞くけど、地元に残りたいというのはかなり珍しいな。
私が首を傾げていると、新川センセーはふっと笑った。……なぜか意地悪そうに。
「さっきも言ったように、絶対に譲れないゴールからの逆算だよ。ゴールに向かうためには、地元に残ることが必要だった。まあ……誤算もあったけど」
「はぁ……」
どんなゴールですか、と聞こうと思ったけど、やめてしまった。
親にも勘当されて、現在そのゴールにちゃんと向かっているとは思えなかったし、だとしたら言いにくいだろうと思ったから。
誤算というのも、その辺のことなんだろう。
どんな言葉で説明したらいいかわからない、私と新川透の関係。
こういうあやふやなときは、個人の事情には深入りしない方がいいのだ。知らない方が幸せ、とよく言うしね。
「どっちでもいいですから、呼び捨ては止めてもらえませんか」
新川透に呼び出され、例のコンビニで落ち合い、白いレクサスで新川透のマンションに拉致された。
まぁ、自転車の話もあったしいいけどさ……。
さて、何故かおかんむりの新川透はと言うと、私の親指の治療をしている。
とにかく見せろとうるさいので、渋々右手を出した。こんなの大したことないと思うんだけど、一応医者の資格も持っている新川透としては気になるのだろう。
「い……いったー!!」
「我慢して」
「ふぐうぅぅ……」
消毒されたあと、何か軟膏のようなものを塗られて激痛が走る。
痛い、痛い、と騒ぐのは負けのような気がして、奥歯をグッと噛みしめた。
「まさか便利器具で怪我する子がいるとは……」
「でもスライサーって凄いですね。あんなに切れるとは思わなかった。スパーンと……」
「止めなさい」
救急箱を片付けながらじろっと睨まれて、おとなしく口をつぐむ。
新川透はすっくと立ち上がると、台所から箸と小皿を持ってきた。
「それで? 持ってきた?」
「塩もみ野菜ですか? 持ってきましたよ。でも何で?」
何か怒ったまま手を差し出すので、家から持ってきたタッパーをその上に載せる。
新川透はパカッと蓋を開けると、小皿にこんもりと取り分けた。
「食べるために決まってるだろ」
「えーっ! 気持ち悪くないですか!?」
「何で?」
「だって……一度は私の指が入った代物ですよ?」
「莉子は食べるんだろ?」
「そりゃ、勿体ないですし……ってだから、呼び捨てにしないでください」
「莉子の指ならいい」
「……っ!!」
いきなり何をかましてくるんだ、この男は!
おかげでツッコめなかったじゃないか!
私がグフッと喉を詰まらせている間に、新川透は小皿に持った野菜をパクッと食べてしまった。
「あー、あー、あー……」
「うるさいな。……ふうん、なるほど。ちょっと味が濃いな」
「ウチでは普通です」
「塩分過多はむくみ、高血圧、骨粗しょう症など様々な病気を引き起こす。これから控えるように」
「へーい」
まぁ、正論ですけどね。
ムスッとしていると、目の前に箸で摘ままれた一口分の野菜が差し出された。
「……? 何です?」
「はい、あーん」
「あああ、アホですか!?」
思いっきり叫ぶと、新川透が例の子犬の顔で「駄目?」と聞いてきた。
「……いったい何を考えてるんですか……?」
「何も。やってみたいだけ。……あ、眼鏡外してね」
「ぶはっ」
急に眼鏡を取られて、視界がぼやける。なかなか焦点が定まらない。
クラクラしていると、その隙に「はい、あーん」と口に野菜を押し込まれた。
「あぐっ」
思ったより口に入れられた量が多く、喋れない。とりあえずモキュモキュと口を動かしていると、新川透が「ぶふっ」と吹き出し、私から顔をそむけた。
肩がぷるぷると震えている。
人の素顔を見て笑うとか、どれだけ失礼なんだ……。
いったい何をやりたいのかな、この人は。
……はっ、もしかしてペットが欲しかったんだろうか。そういや最初から餌付けされてたし。何か世話好き女房みたいな行動するし。
家から勘当されて、実は淋しいのかもしれない。
ブログのお嬢さん、莉子は奴隷じゃなくてペットでした。
お詫びして、訂正いたします。
うーん、それだと「私もペットになりたーい!」と言って暴れるかもしれないな。やっぱり私の存在は絶対にバレる訳にはいかない。
ん、私の存在? ……でも、何だっけ。
私と新川透の関係は、どう説明するのが一番適切なんだろう。
①、生徒と先生。②、ペットと飼い主。③、奴隷と主人。④、妹と兄。⑤、娘とオカン。
……意外に、⑤が一番近い気がするな。
そんなことを考えていると、いつの間にか小皿と箸は片づけられ、私の塩もみ野菜は冷蔵庫に入れられていた。
もしもし? それ、私のノルマじゃなかったでしたっけ?
「外に出しっぱなしにして悪くなるとマズいから、冷蔵庫に入れとくよ」
「あ、ありがとうございます」
「で、数学の教材は持ってきたか?」
「持ってきましたけど……。あ、そうだ。一つミネルヴァの宿題があったんだった」
眼鏡を再びかけ、鞄から7階のトイレで預かったプリントを広げる。
水曜日に預かって2日後に、とメモしたんだから、明日の朝にはちゃんと置いておかないと。
「そうだ。どうして私がミネルヴァだって分かったんですか?」
何回も聞きそびれたこの質問を、ようやく新川透本人にぶつけてみる。
新川透はニヤッと笑った。
……何ですか、その勝ち誇ったような顔は? ムカつくわー。
「あんまり教師を舐めるなよ。生徒の答案ってのはな、本人が考えて書いたのか、何かを丸写しにしたのかはすぐに分かるんだ」
「へえ……」
「その中で、俺の授業でも教えてない、参考書にも載ってないような変な解答を書く生徒がちょこちょこ現れてね」
「へ、変……?」
「まぁ、試しにそのプリントをやってみろ。そうすれば分かる」
妙に自信満々に言う新川透に、私は何も言えなかった。
確かに独学でやってきた私の解答は、誰かに教わったものじゃない。自分で調べたり考えたりして作った解法だから、見る人が見ればわかるのかもしれない……。
「……うん。合ってる。……一応な」
参考書で調べたりしながら書いた私の答案をザーッと読むと、新川センセーは不満そうに頷いた。
あ、今は「①生徒と先生」タイムなので、一応新川センセーと呼ばせていただくことにいたします。
「一応?」
「回りくどい。俺はそういう教え方はしていない」
「いや、習ってませんから……」
「だから教えてあげるって言ってるの。いいか? まず莉子は……」
「あのぉー」
「あー、はいはい。莉子ちゃんは、問題を読んだらこうじゃないか、ああじゃないかと思った方向でダダダーッと書いてしまうだろ?」
「問題を読んで答えまで行くって、そういうことじゃないんですか?」
「合ってるけど、違う。そのやり方でいくと、何段階も踏まえないといけない問題の場合、途中で『あ、こうだった』『違う、こうだった』と迷子になって、あっちこっちにブレた解答になる」
「はぁ……」
新川センセーは何も書いてない白い紙を取り出すと、何やらフローチャートのようなものを書き始めた。
『問題』と書かれた四角形から下向きに矢印。ずーっと離れて、一番下に『答え』と書かれた四角形。
「まず、書く前に考える。問題を読んで真っすぐに答えに辿り着けるかどうか。たどり着けない場合は……答えから逆算する」
「逆算?」
「この答えを出すためには何が必要か。次にそれらを求めるためにはどうしたらいいか」
『答え』から上向きの矢印。いくつかの丸を経て、やがて『問題』から伸びた下向きの矢印とぶつかる。
「繋がったら、答案の出来上がりだ。『問題』から『答え』まで、真っすぐな解答が書ける」
「なるほど……」
確かに新川センセーの言う通り、私はまず「いい!」と思う方法をやってみて、駄目なら途中で向きを変えて、つまったらまた変えて……という風に考えていた気がする。
そのうち『答え』というゴールとは見当違いの方向に進んでしまうこともあったり。
「莉子ちゃんのゴールは……大学に行くことなのか?」
「そうですよ? でもそこで終わりじゃないです。元々は建築学科に行って、お母さんと二人で住む家を設計したかったんです」
「……」
「今は……」
今は、何だろう。お母さんはもういない。二人で住む家は、もう建てられない。
ゴールを見失ってしまった。……でも、新しい目標を立てられる状態じゃない。
「ま、いいんじゃないか?」
「いいんですか?」
将来の目標をきちんと立てろ、そのための勉強をしろ、と言われるかと思った。
学校の先生って大概そうだし。
「何しろ、俺自身が医者にはなってないからなあ。そもそも、医者になりたくて医学科に進学したんじゃないし」
「えっ!? じゃあ、何で?」
「まぁ……とりあえず家は病院だし、医学科に行っても研究職という道もあるし。少数だが、一般企業に就職する例もある。必ずしも医者にならなければならないって訳じゃない」
「そうなんだ……」
「でも最大の理由は、地元の大学に進学するとしたら医学科じゃないと周りが納得しそうになかったからだよ。俺はどうしても、地元に残りたかった」
「地元に?」
都会に行きたいという声はよく聞くけど、地元に残りたいというのはかなり珍しいな。
私が首を傾げていると、新川センセーはふっと笑った。……なぜか意地悪そうに。
「さっきも言ったように、絶対に譲れないゴールからの逆算だよ。ゴールに向かうためには、地元に残ることが必要だった。まあ……誤算もあったけど」
「はぁ……」
どんなゴールですか、と聞こうと思ったけど、やめてしまった。
親にも勘当されて、現在そのゴールにちゃんと向かっているとは思えなかったし、だとしたら言いにくいだろうと思ったから。
誤算というのも、その辺のことなんだろう。
どんな言葉で説明したらいいかわからない、私と新川透の関係。
こういうあやふやなときは、個人の事情には深入りしない方がいいのだ。知らない方が幸せ、とよく言うしね。
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