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第5話 魔法に慣れる訓練をした
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魔法教室から1日が経った。
そういえば、謎の悪寒のことで頭がいっぱいで秀英紋の青年に「サルファ=ラ=ドンを倒すと何がマズいのか」を聞きそびれたな。
まあいい。今日から魔法の(主に手加減の)修行だ。
そういうわけで、今は街の外を駆け回って冒険者たちの出張手当をしている。
負傷した冒険者が見つかるまでは、身体強化に込める魔力を変化させながら、どの程度の魔力でどれくらいのスピードが出るか確認しつつひたすら走る。行動の全てが鍛錬だ。
しばらく走ると、森の中で熊型の魔物と対峙する3人組冒険者パーティーを発見した。
ちょうど、そのうちの1人が魔物に爪で大きく引っ掻かれていた。
「大丈夫か?」
「俺は......もうダメだ......逃げて......く......」
「それ以上喋るな!とりあえずコイツを凌ぎつつタイミングを見てポーションをかけてやる。それまで体力を温存しろ!」
冒険者たちの会話の内容からすると、負傷者の容体はかなり悪そうだ。これは一刻を争うな。
死にかけの冒険者にサッと近づき、詠唱する。
「ヒール!」
他のパーティーメンバーは負傷者を生かす希望を持っていることから、講習で焼死しかけたヤオジムよりはまだマシと判断できる。そこで、ヤオジムの時の半分くらいの魔力消費で回復魔法を発動する。
「う......あれ?完全に治った?というか、魔力まで全快した気がするぞ?」
「......な!?」
予期しない仲間の回復に、他のパーティーメンバーも完全に呆気にとられている。
・・・というかおい、後ろから魔物迫ってるぞ。なんて注意散漫な......
「──結界」
ガン、と音がして冒険者たちはすんでのところで守られた。
「お前が助けてくれたのか。礼を言う」
負傷していた冒険者が話しかけてきた。
「お礼より、まずはあの魔物をどうにかすべきでは?今は結界で足止めしてますが......」
とりあえず、戦闘再開を促してみる。
しかし、冒険者たちの回答は意外なものだった。
「いや、あいつは俺たちの手に負える魔物じゃない。今だって、何とか撤退を試みていたところなんだ」
「さっきの回復魔法で、あんたが相当高レベルな魔法を使えるのは分かった。もし1人であの魔物を討伐できるなら、討伐はあんたに任せる。あんたでも手に負えないなら、連れの恩人を見捨てるわけにはいかねえし、撤退の手伝いはしてやるぜ。」
・・・そんなに強いのだろうか?結界はビクともしてないんだが。
「そうですか......なら、奴は俺が倒します。お大事に」
「ああ、重ね重ねかたじけない。・・・そうだ、これは謝礼だ。受け取ってくれ」
こうして、俺は冒険者たちから寛永通宝のごとく束ねられた50枚の銀貨を受け取り、魔物の討伐を引き受けることとなった。
しかし・・・回復させた冒険者が言ってた事が気になるな。
「体力と同時に魔力も回復した」と言っていたということは、回復魔法と魔力譲渡が一緒くたになってしまっていたってことだろう。
これは、手加減や魔力操作が不完全ってことを意味する。
やれやれ。安易に討伐を引き受けてしまったが、別の意味でまずかったかもな。手加減が満足にできないってことは、今攻撃魔法を使うと森林火災か洪水か土砂災害を起こしてしまいかねない。
「かくなる上は!」
結界を解き、魔物を掴んで放り上げる。
そして、空中で魔物に火魔法をぶつける。
結果、魔物は骨だけ残った。
「魔石だけ」じゃない分進歩はしているのだろうか。ホーンラビットより強い魔物だったから耐えただけかもしれないが。
魔石と牙を収納に入れる。
牙がギルド買取対象である保証はないが、いざ別の魔物に遭遇したら牙に魔法を付与してぶっ刺せば目立たず討伐することもできるだろうからな。
☆ ☆ ☆
「しかし、、、この巡回、効率悪いな」
半日ほど冒険者治癒のために駆け回った結果、至った結論はこれだ。
初めは、「街を出ては適当に巡回し、一旦街に入って別の門から再び街の外に出る」というルートを通っていた。しかし、これだと街中で速度を出せないのでかなりのタイムロスになってしまう。
そこで、途中からは街の外を周回する形での巡回に切り替えたのだ。これにより、大幅に巡回周期を短縮することはできた。
それでも、まだこれは最短経路ではない。
というのも、冒険者は街の外に均等に分布しているわけではなく、各門の周辺の「狩場」に集中する形で分布しているのだ。
つまり、街中を全速力でぶった切るルートを構築すれば、より効率的に冒険者たちを救えることになるわけだ。
「で、どうするかだが・・・高速自動車国道みたいなものを街の上空に架けれたら手っ取り早いんだがな。結界でやってみるか?」
アイデアは、試行錯誤の中からやってくる。多少突拍子もないアイデアも、試してみて損は無いだろう。
・・・そして10分後。
上空の結界道路は、いとも簡単に作成できてしまった。
「まあETCがあるわけでもないし、こりゃどっちかと言えばバイパスだな」
拍子抜けするほど上手くいったせいか、出てくる感想も何だかパッとしない。
何だか、もう一つくらい創作をやってみたい気分だ。
・・・そうだ。確か、魔神の魔法に「魔槍創造」というものがあったな。あれ、いっそのこと武器じゃなくて乗り物とか創造できてしまいやしないか?
いよいよ常識はずれなぶっ飛んだ思考になってきたので、どうせなら思いきり羽目を外そう。
エンジン起動は「バイクだけに、ブンブン」という俺の掛け声で、後輪には隠し武器を実装して・・・
「──魔導二輪車創造!」
イメージを固め、それっぽい詠唱文句を発してみる。
すると・・・ボン、という音と共に、俺の目の前に想像通りのバイクが現れた。
「──できちゃうのかよ......」
あまりにも何でもアリな魔法に半ば驚き、半ば呆れながらつけたバイクの名前は「カワサキ」だ。
そういえば、謎の悪寒のことで頭がいっぱいで秀英紋の青年に「サルファ=ラ=ドンを倒すと何がマズいのか」を聞きそびれたな。
まあいい。今日から魔法の(主に手加減の)修行だ。
そういうわけで、今は街の外を駆け回って冒険者たちの出張手当をしている。
負傷した冒険者が見つかるまでは、身体強化に込める魔力を変化させながら、どの程度の魔力でどれくらいのスピードが出るか確認しつつひたすら走る。行動の全てが鍛錬だ。
しばらく走ると、森の中で熊型の魔物と対峙する3人組冒険者パーティーを発見した。
ちょうど、そのうちの1人が魔物に爪で大きく引っ掻かれていた。
「大丈夫か?」
「俺は......もうダメだ......逃げて......く......」
「それ以上喋るな!とりあえずコイツを凌ぎつつタイミングを見てポーションをかけてやる。それまで体力を温存しろ!」
冒険者たちの会話の内容からすると、負傷者の容体はかなり悪そうだ。これは一刻を争うな。
死にかけの冒険者にサッと近づき、詠唱する。
「ヒール!」
他のパーティーメンバーは負傷者を生かす希望を持っていることから、講習で焼死しかけたヤオジムよりはまだマシと判断できる。そこで、ヤオジムの時の半分くらいの魔力消費で回復魔法を発動する。
「う......あれ?完全に治った?というか、魔力まで全快した気がするぞ?」
「......な!?」
予期しない仲間の回復に、他のパーティーメンバーも完全に呆気にとられている。
・・・というかおい、後ろから魔物迫ってるぞ。なんて注意散漫な......
「──結界」
ガン、と音がして冒険者たちはすんでのところで守られた。
「お前が助けてくれたのか。礼を言う」
負傷していた冒険者が話しかけてきた。
「お礼より、まずはあの魔物をどうにかすべきでは?今は結界で足止めしてますが......」
とりあえず、戦闘再開を促してみる。
しかし、冒険者たちの回答は意外なものだった。
「いや、あいつは俺たちの手に負える魔物じゃない。今だって、何とか撤退を試みていたところなんだ」
「さっきの回復魔法で、あんたが相当高レベルな魔法を使えるのは分かった。もし1人であの魔物を討伐できるなら、討伐はあんたに任せる。あんたでも手に負えないなら、連れの恩人を見捨てるわけにはいかねえし、撤退の手伝いはしてやるぜ。」
・・・そんなに強いのだろうか?結界はビクともしてないんだが。
「そうですか......なら、奴は俺が倒します。お大事に」
「ああ、重ね重ねかたじけない。・・・そうだ、これは謝礼だ。受け取ってくれ」
こうして、俺は冒険者たちから寛永通宝のごとく束ねられた50枚の銀貨を受け取り、魔物の討伐を引き受けることとなった。
しかし・・・回復させた冒険者が言ってた事が気になるな。
「体力と同時に魔力も回復した」と言っていたということは、回復魔法と魔力譲渡が一緒くたになってしまっていたってことだろう。
これは、手加減や魔力操作が不完全ってことを意味する。
やれやれ。安易に討伐を引き受けてしまったが、別の意味でまずかったかもな。手加減が満足にできないってことは、今攻撃魔法を使うと森林火災か洪水か土砂災害を起こしてしまいかねない。
「かくなる上は!」
結界を解き、魔物を掴んで放り上げる。
そして、空中で魔物に火魔法をぶつける。
結果、魔物は骨だけ残った。
「魔石だけ」じゃない分進歩はしているのだろうか。ホーンラビットより強い魔物だったから耐えただけかもしれないが。
魔石と牙を収納に入れる。
牙がギルド買取対象である保証はないが、いざ別の魔物に遭遇したら牙に魔法を付与してぶっ刺せば目立たず討伐することもできるだろうからな。
☆ ☆ ☆
「しかし、、、この巡回、効率悪いな」
半日ほど冒険者治癒のために駆け回った結果、至った結論はこれだ。
初めは、「街を出ては適当に巡回し、一旦街に入って別の門から再び街の外に出る」というルートを通っていた。しかし、これだと街中で速度を出せないのでかなりのタイムロスになってしまう。
そこで、途中からは街の外を周回する形での巡回に切り替えたのだ。これにより、大幅に巡回周期を短縮することはできた。
それでも、まだこれは最短経路ではない。
というのも、冒険者は街の外に均等に分布しているわけではなく、各門の周辺の「狩場」に集中する形で分布しているのだ。
つまり、街中を全速力でぶった切るルートを構築すれば、より効率的に冒険者たちを救えることになるわけだ。
「で、どうするかだが・・・高速自動車国道みたいなものを街の上空に架けれたら手っ取り早いんだがな。結界でやってみるか?」
アイデアは、試行錯誤の中からやってくる。多少突拍子もないアイデアも、試してみて損は無いだろう。
・・・そして10分後。
上空の結界道路は、いとも簡単に作成できてしまった。
「まあETCがあるわけでもないし、こりゃどっちかと言えばバイパスだな」
拍子抜けするほど上手くいったせいか、出てくる感想も何だかパッとしない。
何だか、もう一つくらい創作をやってみたい気分だ。
・・・そうだ。確か、魔神の魔法に「魔槍創造」というものがあったな。あれ、いっそのこと武器じゃなくて乗り物とか創造できてしまいやしないか?
いよいよ常識はずれなぶっ飛んだ思考になってきたので、どうせなら思いきり羽目を外そう。
エンジン起動は「バイクだけに、ブンブン」という俺の掛け声で、後輪には隠し武器を実装して・・・
「──魔導二輪車創造!」
イメージを固め、それっぽい詠唱文句を発してみる。
すると・・・ボン、という音と共に、俺の目の前に想像通りのバイクが現れた。
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