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第一章 プロローグ
【アクション!】
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[アクション!]
クロノマオウと成瀬博士を交えて大まかなストーリーを練る。
ちなみにクロノ マオウはファンタジー肯定派で成瀬 遥香は科学的な不整合が目についてしまうファンタジー否定派だ。
映画にしても科学的考証が必要だからどちらも重要な仲間だが俺は撮影可能ならファンタジーは勿論歓迎だ。
「マオウ、このゲームの魔法剣士っていうのは?」
「これは、主人公じゃなくて脇役でカッコ良くて一番人気だった途中で死んじゃう魔法剣士ね」(クロノ)
「じゃあその生まれ変わりで今度は主人公にすればいいんだな。元はどんなストーリーなんだ」
「あのゲームは勇者が攫われたお姫様を助けて竜王を倒すイチャイチャストーリーだわ。その脇役で密かにお姫様を想う役」(クロノ)
「うーん、慎太郎ももうすぐ中二だが、あの『勇者』じゃイチャイチャ路線は性格的にも年齢的にもハードルが高くないか?」
「ミオナちゃんも相手してて苦笑いしてたわよ」(成瀬)
「そうだな。他の一般的なゲームの勇者の話はどんなのがあるんだ」
「そうね、、、
世界を滅ぼそうとする大神官の野望を打ち砕く。
道中で不思議なオーブを手に入れて闇の支配者を倒す。
親子3代一家総出で世界を救う。
商人や踊り子が導かれて「幻の大地」へ行って石板で魔王を倒す。
なんていう感じね」(クロノ)
「さすがに西園寺グループ総帥のジイさん達に出演してもらう訳にはいかないだろうし、あの『勇者』は商人でも踊り子でもないからな。とすると大神官かオーブだな」
「オーブは日本だとスピリチュアル的意味も大きくなるからね」(クロノ)
「それは玉響現象の方じゃないか?」
「あれは霊魂ね」(クロノ)
「いや、あれは心霊でも何でもなくて埃や水蒸気にピントがあってないだけで、カメラマンの鈴木とも話した事があるがいつでも再現可能だぞ」
「ほ、宝珠にもスピリチュアル的な要素が多いのよ」(クロノ)
「昔の技術でつくるのが難しかっただけじゃないの? 現代なら珍しくもないわね」(成瀬)
「まあ、そうかもだけど」(クロノ)
「成瀬博士。この光るオーブは作れるかな?」
「簡単よ」(成瀬)
「そ、そうか。じゃあオーブの宝玉で行こう。まずストーリーだな。このゲームのストーリーは慎太郎には無理だとしても一般的なラノベのストーリーはどんなのだ?」
「うーん、バカみたいに多いのが冒険者ギルドに入って経験値をあげるのと魔物のスタンピードかな。これがあるパターンが多いよ」(クロノ)
「なんで経験値が上がったって判るのよ」(成瀬)
「数値化されてるから?」(クロノ)
「人間の経験がデジタルみたいに単純なの?」(成瀬)
「中二病のファンタジーなんだから我慢してくれ。その設定も入れて行こう」
「えー・・・」(成瀬)
「その冒険者ギルドのメリットは何だ?」
「他の街の通行証とかかな」(クロノ)
「えっ、通行って、、、。ギルドって技術の流出を防ぐ為の親方を中心にした集団なんじゃ、、、それに冒険って個人の好みを追及するのだから冒険者してもお金にならないわよね」(成瀬)
「ゲームの場合はそう言う目的じゃないし薬草採取や魔物の素材が売れるとお金になるっていう感じかな」(クロノ)
「田舎の子供の片手間仕事か象牙の密漁者みたいね。原始種族みたいにそんなに象牙みたいな製品が使われてる世界が舞台なのね。直ぐに市場が飽和しそうだけど」(成瀬)
「うん。そんなとこ。でもあまり象牙みたいな製品は出回ってない。素材で武器や防具なんかも作れる」(クロノ)
「訳がわからないわ」(成瀬)
「武器や防具は芦屋工房の徹さんと中尾博士に任せれば大丈夫だろ。しかし素材を使うとなると少しはデザインの整合性をとって貰うか」
「本物の中世ではないでしょうけど中尾博士も大変そうね」(成瀬)
「よし、じゃあ一応ギルドはありで行こう。マオウ、後で細かい設定を頼む。しかしスタンピードの方は間宮博士に魔物を作って貰うのが大変そうだな」
「夜にプロジェクションマッピングでいいんじゃないの?」(成瀬)
「そうだな。赤宮に出来そうか確認してみよう」
「いくつもイベントを作ってオーブを集めて魔王を倒す。この正統派で行くか」
「いいと思う。魔王の名前は『破壊魔王デルグラード』ね」(クロノ)
「何その怖そうな名前。どういう意味」(成瀬)
「意味はないわ」(クロノ)
「どこから出て来たんだ」
「なんとなくよ。こういうのはイメージが大切なの」(クロノ)
「まあ出資に余裕があるから色々と面白いの作れそうだからそれでいいわ」(成瀬)
「決まりだな。じゃあ他の設定も詰めよう。そのゲームに出てくる魔法の種類とどんな効果なのか? それに魔物も特性を全部まとめて林先生と、、、」
「林先生は本物の研究者だって。ファンタジーに本物の魔法なんかないよ」(成瀬)
「魔法陣なんかの本物感を出すには協力して貰った方がいいだろう」
「そうね。随分と本物っぽいのが出来そうね」(成瀬)
「いや、偽物だってバレないようにするんだからな。そこ忘れるなよ」
「判ったって」(成瀬)
・・・。
芦屋工房の芦屋 徹、中世生活研究家の中尾博士、大森組古代建築研究部の廣野さん、3Dホログラムの赤宮、カメラマン鈴木にクロノマオウを加え中世の街の構成を進めていく。ゲーム的にする事や3Dホログラムが使いやすいプロジェクタ配置やカメラ配置などを考え幾日も徹夜が続いた後、ようやく大森組古代建築研究部が街の建設を始めた。
ファンタジーデザインのロベルト西郷はゲームでもデザインを担当していたがあれらがロボットで実物大で作られる事にかなり感激し興奮していた。
ロボット工学の間宮博士は成瀬、クロノと協力して表情をどう動かすか、動きを本物に近づけていく。助監督の高野が慎太郎からどう見えるかをアドバイスし信じられない高性能な見た目のロボットが仕上がって行く。
しかしクロノマオウの言ったように設定に破綻のないように魔物の素材を実際に武器や防具に取り入れるのはかなり苦労したようだが、それを実際に作って行く芦屋工房の徹さんはもっと大変だろう。
ロボットにまでハリケーン特殊メイクのあかねがメイクを施していく。
怖いくらいの魔物達が次々と出来て行く。
いくら細かな表情まで動かせるからと言ってもロボットが偽物だとバレないかどうかはあかねの特殊メイクや特殊効果の円山プロダクションにかかっている。頼むぞ。
赤宮と先に全ての3Dホログラムの撮影を行う。
16方位から撮影しこれを16台のプロジェクタで映し出せば暗がりでは実物にしか見えない完璧な3Dホログラムが完成する。
今回の女神役、大女優の古垣 ユイは俺も大ファンでかなり嬉しかったが、コスプレ界の最高峰モナピさんの衣装協力やあかねの特殊メイクによって恐らく本物の女神様より女神様らしくなったと思う。
忙しい中、時間を割いて貰いこれでもかという程何パターンも撮影して彼女が先にクランクアップする頃にはこの役柄もかなり気に入って貰えたようだ。
建設される建物や風景の見た目は人間目線から見てゲーム内と同じ様に見える事が重要で次々と出来て行く街並や村々で俺がロケハンを行うと本当にゲームの画面そのものに見えて来た。
カメラやプロジェクタをあらゆる箇所に仕込んでいく。
音響効果のトニーのスピーカー配置も見つけるのが至難の業だが聞こえ方はバッチリだな。
しかし改めてこの規模の土地の確保から街まで一流な技術者の粋を集めて作っている事に少し怖くなってきたが、こんな規模だとのあの名監督スピルバーガーでも無理だろう。
勇者はシナリオを知らない訳だから街だけでなくこの土地全体がスタジオレベルに造られているからな。
モブとして出演してもらうアーミッシュ達の集落も要望を聞きながら実際に住める家を過去の技術で作って行く。これにはアーミッシュの方々も大喜びだった。
最終的な『美打ち』を全ての代表者を集め、プロデューサーの白鳥を招いて行う。
前半は詳細な位置合わせを実施しながらの隠し撮り、後半はケンジを登場させ臨場感溢れるセミドキュメンタリーにする。
プロデューサー担当の助監督チーフの烏丸が台本を頭から説明し、監督の俺がイメージを伝えていく。
細かな部分演出はクロノが詳細に説明し赤宮が3Dホログラムのサンプルを見せる。
ホログラムは暗くすると完全に立体でそこにいる様に見える。ここまで技術も来たのだと実感させるものだ。
勿論、プロジェクターの照射レンズは手元に魔法効果などを出すミオナからは見えるが慎太郎からはカバーで見えなくしてある。
成瀬が勇者の腕輪から中空にステータス画面を表示する。
この技術もまるでアニメのレベルだ。
結城ミオナが手品のテクを使って物を手元から炎を出して直ぐに消しその後、炎のボールを手の間の空中に出現させみんなを沸かせた。
勿論、種も仕掛けもある手品で一瞬で消える炎は手品のフラッシュペーパーだし、炎のボールのマジックもマギ京司郎直伝のものだがミオナはもうマジシャンでもやっていけそうな位上手かった。
手元から物が消えるアイテムボックスは手品じゃなきゃ俺が欲しい。
全てのシーンの出演者の衣装、髪型、表情など細かな設定がここで全員に周知され細かく決まって行く。
3Dホログラムの表現や特殊メイクの方向性は全てここで決まるのだ。
白鳥は様々なシーンで慎太郎に危険がないか?を細かく確認する。
烏丸は心配していたがプロデューサーの白鳥からどうにかOKを貰った。
よし、これで行けるぞ!
俺達は必至に『勇者』の中二の夏休みに合わせ異世界の街を作り幾度となく熱のこもった演技や特殊効果でリハを繰り返した。
赤宮達幾人かは徹夜続きだがプライドも気合いも切れてないから俺達はこんなのは平気だ。俺達はブラック企業で働かされている訳ではなく自主的にやってるんだからな。
何しろ一発勝負で勇者にバレたら終わりだ。
逆に言えば中二病の慎太郎さえ満足すれば俺達の勝ちだ。
しかもいくつもの臨機応変な事を考えて行くときりがないが、まあ、やれることは全てやった。
後は本番でSFファンタジー超大作の映画を撮るだけだ。
俺に任せとけ!
◇◇◇◇◇
さて、これがどんな結果になるのか。
ここ迄読んでくれたみんなには特別にモニタールーム、通称『神の間』からの副音声も特別に()でお届けしよう。
俺は『神の間』のここから演技を見ながら演者に対して一方通行だがワイヤレスイヤホンで指示を出せる。そして声はマイクで拾える。
この極小イヤホンも成瀬博士が開発したもので見た目にはまったく判らないレベルのものだ。
『神の間』には勿論監督の俺もいるがやファンタジー肯定派のクロノマオウ女史、ファンタジー否定派の成瀬遥香女史も終わりまで付き合うそうだしゲストも時々呼ぶ予定だ。
臨機応変にみんな頼むぞ。
しかしこいつらとはここ迄やり尽くすとかなり冗談の言える仲になったがまあ俺達の口が悪いのはあまり気にしないでくれ。
俺達はそれが異世界であろうと何であろうと大きな夢を売るのが商売だ。
さて異世界サプライズの開幕だ。よしみんな行くぞ!
アクション!
クロノマオウと成瀬博士を交えて大まかなストーリーを練る。
ちなみにクロノ マオウはファンタジー肯定派で成瀬 遥香は科学的な不整合が目についてしまうファンタジー否定派だ。
映画にしても科学的考証が必要だからどちらも重要な仲間だが俺は撮影可能ならファンタジーは勿論歓迎だ。
「マオウ、このゲームの魔法剣士っていうのは?」
「これは、主人公じゃなくて脇役でカッコ良くて一番人気だった途中で死んじゃう魔法剣士ね」(クロノ)
「じゃあその生まれ変わりで今度は主人公にすればいいんだな。元はどんなストーリーなんだ」
「あのゲームは勇者が攫われたお姫様を助けて竜王を倒すイチャイチャストーリーだわ。その脇役で密かにお姫様を想う役」(クロノ)
「うーん、慎太郎ももうすぐ中二だが、あの『勇者』じゃイチャイチャ路線は性格的にも年齢的にもハードルが高くないか?」
「ミオナちゃんも相手してて苦笑いしてたわよ」(成瀬)
「そうだな。他の一般的なゲームの勇者の話はどんなのがあるんだ」
「そうね、、、
世界を滅ぼそうとする大神官の野望を打ち砕く。
道中で不思議なオーブを手に入れて闇の支配者を倒す。
親子3代一家総出で世界を救う。
商人や踊り子が導かれて「幻の大地」へ行って石板で魔王を倒す。
なんていう感じね」(クロノ)
「さすがに西園寺グループ総帥のジイさん達に出演してもらう訳にはいかないだろうし、あの『勇者』は商人でも踊り子でもないからな。とすると大神官かオーブだな」
「オーブは日本だとスピリチュアル的意味も大きくなるからね」(クロノ)
「それは玉響現象の方じゃないか?」
「あれは霊魂ね」(クロノ)
「いや、あれは心霊でも何でもなくて埃や水蒸気にピントがあってないだけで、カメラマンの鈴木とも話した事があるがいつでも再現可能だぞ」
「ほ、宝珠にもスピリチュアル的な要素が多いのよ」(クロノ)
「昔の技術でつくるのが難しかっただけじゃないの? 現代なら珍しくもないわね」(成瀬)
「まあ、そうかもだけど」(クロノ)
「成瀬博士。この光るオーブは作れるかな?」
「簡単よ」(成瀬)
「そ、そうか。じゃあオーブの宝玉で行こう。まずストーリーだな。このゲームのストーリーは慎太郎には無理だとしても一般的なラノベのストーリーはどんなのだ?」
「うーん、バカみたいに多いのが冒険者ギルドに入って経験値をあげるのと魔物のスタンピードかな。これがあるパターンが多いよ」(クロノ)
「なんで経験値が上がったって判るのよ」(成瀬)
「数値化されてるから?」(クロノ)
「人間の経験がデジタルみたいに単純なの?」(成瀬)
「中二病のファンタジーなんだから我慢してくれ。その設定も入れて行こう」
「えー・・・」(成瀬)
「その冒険者ギルドのメリットは何だ?」
「他の街の通行証とかかな」(クロノ)
「えっ、通行って、、、。ギルドって技術の流出を防ぐ為の親方を中心にした集団なんじゃ、、、それに冒険って個人の好みを追及するのだから冒険者してもお金にならないわよね」(成瀬)
「ゲームの場合はそう言う目的じゃないし薬草採取や魔物の素材が売れるとお金になるっていう感じかな」(クロノ)
「田舎の子供の片手間仕事か象牙の密漁者みたいね。原始種族みたいにそんなに象牙みたいな製品が使われてる世界が舞台なのね。直ぐに市場が飽和しそうだけど」(成瀬)
「うん。そんなとこ。でもあまり象牙みたいな製品は出回ってない。素材で武器や防具なんかも作れる」(クロノ)
「訳がわからないわ」(成瀬)
「武器や防具は芦屋工房の徹さんと中尾博士に任せれば大丈夫だろ。しかし素材を使うとなると少しはデザインの整合性をとって貰うか」
「本物の中世ではないでしょうけど中尾博士も大変そうね」(成瀬)
「よし、じゃあ一応ギルドはありで行こう。マオウ、後で細かい設定を頼む。しかしスタンピードの方は間宮博士に魔物を作って貰うのが大変そうだな」
「夜にプロジェクションマッピングでいいんじゃないの?」(成瀬)
「そうだな。赤宮に出来そうか確認してみよう」
「いくつもイベントを作ってオーブを集めて魔王を倒す。この正統派で行くか」
「いいと思う。魔王の名前は『破壊魔王デルグラード』ね」(クロノ)
「何その怖そうな名前。どういう意味」(成瀬)
「意味はないわ」(クロノ)
「どこから出て来たんだ」
「なんとなくよ。こういうのはイメージが大切なの」(クロノ)
「まあ出資に余裕があるから色々と面白いの作れそうだからそれでいいわ」(成瀬)
「決まりだな。じゃあ他の設定も詰めよう。そのゲームに出てくる魔法の種類とどんな効果なのか? それに魔物も特性を全部まとめて林先生と、、、」
「林先生は本物の研究者だって。ファンタジーに本物の魔法なんかないよ」(成瀬)
「魔法陣なんかの本物感を出すには協力して貰った方がいいだろう」
「そうね。随分と本物っぽいのが出来そうね」(成瀬)
「いや、偽物だってバレないようにするんだからな。そこ忘れるなよ」
「判ったって」(成瀬)
・・・。
芦屋工房の芦屋 徹、中世生活研究家の中尾博士、大森組古代建築研究部の廣野さん、3Dホログラムの赤宮、カメラマン鈴木にクロノマオウを加え中世の街の構成を進めていく。ゲーム的にする事や3Dホログラムが使いやすいプロジェクタ配置やカメラ配置などを考え幾日も徹夜が続いた後、ようやく大森組古代建築研究部が街の建設を始めた。
ファンタジーデザインのロベルト西郷はゲームでもデザインを担当していたがあれらがロボットで実物大で作られる事にかなり感激し興奮していた。
ロボット工学の間宮博士は成瀬、クロノと協力して表情をどう動かすか、動きを本物に近づけていく。助監督の高野が慎太郎からどう見えるかをアドバイスし信じられない高性能な見た目のロボットが仕上がって行く。
しかしクロノマオウの言ったように設定に破綻のないように魔物の素材を実際に武器や防具に取り入れるのはかなり苦労したようだが、それを実際に作って行く芦屋工房の徹さんはもっと大変だろう。
ロボットにまでハリケーン特殊メイクのあかねがメイクを施していく。
怖いくらいの魔物達が次々と出来て行く。
いくら細かな表情まで動かせるからと言ってもロボットが偽物だとバレないかどうかはあかねの特殊メイクや特殊効果の円山プロダクションにかかっている。頼むぞ。
赤宮と先に全ての3Dホログラムの撮影を行う。
16方位から撮影しこれを16台のプロジェクタで映し出せば暗がりでは実物にしか見えない完璧な3Dホログラムが完成する。
今回の女神役、大女優の古垣 ユイは俺も大ファンでかなり嬉しかったが、コスプレ界の最高峰モナピさんの衣装協力やあかねの特殊メイクによって恐らく本物の女神様より女神様らしくなったと思う。
忙しい中、時間を割いて貰いこれでもかという程何パターンも撮影して彼女が先にクランクアップする頃にはこの役柄もかなり気に入って貰えたようだ。
建設される建物や風景の見た目は人間目線から見てゲーム内と同じ様に見える事が重要で次々と出来て行く街並や村々で俺がロケハンを行うと本当にゲームの画面そのものに見えて来た。
カメラやプロジェクタをあらゆる箇所に仕込んでいく。
音響効果のトニーのスピーカー配置も見つけるのが至難の業だが聞こえ方はバッチリだな。
しかし改めてこの規模の土地の確保から街まで一流な技術者の粋を集めて作っている事に少し怖くなってきたが、こんな規模だとのあの名監督スピルバーガーでも無理だろう。
勇者はシナリオを知らない訳だから街だけでなくこの土地全体がスタジオレベルに造られているからな。
モブとして出演してもらうアーミッシュ達の集落も要望を聞きながら実際に住める家を過去の技術で作って行く。これにはアーミッシュの方々も大喜びだった。
最終的な『美打ち』を全ての代表者を集め、プロデューサーの白鳥を招いて行う。
前半は詳細な位置合わせを実施しながらの隠し撮り、後半はケンジを登場させ臨場感溢れるセミドキュメンタリーにする。
プロデューサー担当の助監督チーフの烏丸が台本を頭から説明し、監督の俺がイメージを伝えていく。
細かな部分演出はクロノが詳細に説明し赤宮が3Dホログラムのサンプルを見せる。
ホログラムは暗くすると完全に立体でそこにいる様に見える。ここまで技術も来たのだと実感させるものだ。
勿論、プロジェクターの照射レンズは手元に魔法効果などを出すミオナからは見えるが慎太郎からはカバーで見えなくしてある。
成瀬が勇者の腕輪から中空にステータス画面を表示する。
この技術もまるでアニメのレベルだ。
結城ミオナが手品のテクを使って物を手元から炎を出して直ぐに消しその後、炎のボールを手の間の空中に出現させみんなを沸かせた。
勿論、種も仕掛けもある手品で一瞬で消える炎は手品のフラッシュペーパーだし、炎のボールのマジックもマギ京司郎直伝のものだがミオナはもうマジシャンでもやっていけそうな位上手かった。
手元から物が消えるアイテムボックスは手品じゃなきゃ俺が欲しい。
全てのシーンの出演者の衣装、髪型、表情など細かな設定がここで全員に周知され細かく決まって行く。
3Dホログラムの表現や特殊メイクの方向性は全てここで決まるのだ。
白鳥は様々なシーンで慎太郎に危険がないか?を細かく確認する。
烏丸は心配していたがプロデューサーの白鳥からどうにかOKを貰った。
よし、これで行けるぞ!
俺達は必至に『勇者』の中二の夏休みに合わせ異世界の街を作り幾度となく熱のこもった演技や特殊効果でリハを繰り返した。
赤宮達幾人かは徹夜続きだがプライドも気合いも切れてないから俺達はこんなのは平気だ。俺達はブラック企業で働かされている訳ではなく自主的にやってるんだからな。
何しろ一発勝負で勇者にバレたら終わりだ。
逆に言えば中二病の慎太郎さえ満足すれば俺達の勝ちだ。
しかもいくつもの臨機応変な事を考えて行くときりがないが、まあ、やれることは全てやった。
後は本番でSFファンタジー超大作の映画を撮るだけだ。
俺に任せとけ!
◇◇◇◇◇
さて、これがどんな結果になるのか。
ここ迄読んでくれたみんなには特別にモニタールーム、通称『神の間』からの副音声も特別に()でお届けしよう。
俺は『神の間』のここから演技を見ながら演者に対して一方通行だがワイヤレスイヤホンで指示を出せる。そして声はマイクで拾える。
この極小イヤホンも成瀬博士が開発したもので見た目にはまったく判らないレベルのものだ。
『神の間』には勿論監督の俺もいるがやファンタジー肯定派のクロノマオウ女史、ファンタジー否定派の成瀬遥香女史も終わりまで付き合うそうだしゲストも時々呼ぶ予定だ。
臨機応変にみんな頼むぞ。
しかしこいつらとはここ迄やり尽くすとかなり冗談の言える仲になったがまあ俺達の口が悪いのはあまり気にしないでくれ。
俺達はそれが異世界であろうと何であろうと大きな夢を売るのが商売だ。
さて異世界サプライズの開幕だ。よしみんな行くぞ!
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