最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧

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17章

451話 あっという間

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 T2Wと違って結構人数を絞ってからのトーナメントだったってのと、そもそも今まで無かった新ルール宇宙ってのが功を喫していたからこそ、此処まで来れたのもある。それを含めて、何だかんだで柳生と組んだってのがでかい。それにしたって私は変な前衛によっぽど縁があるっぽい。
 最初に出会ったのはガウェイン、次にチェルシーとマイカ、十兵衛、一二三、ニーナの奴もそうか……何ともまあ、まともじゃない組み合わせなこって。

「準決勝のようには援護できんかもしれん」
「あれはまあ、上手くいきすぎただけだし、分かれて戦うのは無理じゃないかしらねー」

 決勝進出ではあるが、まだBリーグの試合が終わっていないので待機中、その間に色々と調整を済ませておく感じ。いらない物を付けたり外したり、本来こういうのってトーナメントが開始されたらロックされると思ったんだけど、そうでもないのは良いのかね。

「とりあえず今までの戦闘含めて立ち回りの仕方を見直そう」
「見直すと言っても某が前、お主が後ろなのは変わりないだろう?」
「それはそう、ただ今まで見たいに別れて戦うのをやめようって話」
「時間を稼いだうえで1機ずつ仕留める方針をやめるのか」
「負担が大きいのは良いとして、さっきの試合みたいに間に合わない場合のリスクがでかい」

 準決勝の時がまさしくそれ、十分時間を稼いで1:2をしていたのは良いとして、柳生がもう少しでも遅れていたら私はやられていた。たまたま1機落として速攻でこっちに来た上で、射撃機を落として前衛機をさらに落とせたから良かったが、あそこで時間を食っていたら負け確定だった。

「次の試合で何機来るかにもよるけど、戦力集中で1機ずつ速攻で倒した方が勝率は良いと思うんだわ」
「ふむ……しかし人数差があると厳しくはないか?」
「2機ならタイマンで行けるけど……3、4機の場合、別れて戦線が伸びたら手が付けられん相手だって考えるのが普通でしょ、初戦の連中は大した事無かったから良かったけど、2戦目は本当にギリギリだったじゃない」
「それは……宇宙と言う新しいステージになったから、だ。新しいセオリー、地上と違う3次元機動、思う存分機体を動かすことが出来て、カスタマイズの幅もかなり広がった。その上で某が順応しきれていないのもある」

 案外冷静に状況を知ろうとしてるじゃないか。

「なによりも自分が予想していた以上に強者が多いのもあった……すまぬ」
「初心者と不器用が揃って此処まで来てるなら上出来なんだけど、此処まで来たら優勝引っ提げて引退してやりたいわ」
「終わったらやめるのか」
「ゲームとして楽しいんだけど、やっぱメインでやるならこっちじゃなくて向こうだわ」
「アカメ殿なら高みに行けると思ったのだが」
「逆にあんたが向こうに来るとか?」
「いいや、それは無い、こっちが楽しいのでな」

 ま、そりゃそうだ。メインでやってるゲームによっぽどの飽きが来たり、私みたいにアプデやらなんやらでやれないって状況じゃないと手を出さないわな。

「脱線したが……結局どう立ち回る?」
「あー、そうそう、それね……とにかく、しっかり2人で捌ければ人数差はまだどうにかなると思うんよ」
「ふむ……?それだと集中砲火を貰ってすぐにやられそうだが」
「逆に固まって動いてるなら向こうも集まって戦う……はず」
「なんともあやふやだ」
「色んな対戦系のゲームをやってきた経験で物を言ってるだけだからクロカバのセオリーは無視してる」
「それじゃあタッグとしての調整をした方が良いか」

 そう言うと自分の機体を弄り始める。
 お前にも負けんって事を言っていたけど、根っこの部分で勝ちたいって欲求は一緒だし、此処で変な風に対立してもしゃーない。2回戦の時の苦戦状況を考えると、やっぱり協力しないといけないって話。

「言うても、あんたの調整ってどう接近するかでしかないでしょ?」
「接近戦のみなのは変わらぬが、さっきの試合は参考になった。前面装甲を厚くしてブーストの出力を上げておけば、しっかり前衛は出来る」
「ふーむ……じゃあ前は全部任せて良いな?」
「自分の矜持より、勝敗が大事と言う事をよく分かっただけだ」

 私みたいなタイプと組んだことがなかったっぽいなあ、こいつ。って言うか、そもそも他のプレイヤーと組むことがあんましなさそうだ。

「何か、無性にあいつらの顔見たくなってきたわ」
「あいつら、と言うと?」
「そうねー……向こうじゃ絶対言わないけど、私の大事な部下……友人かしらね」
「アカメ殿はもてるようだ」
「物好きな奴らってだけよ」

 はーっと大きめにため息を吐きだしつつ、少しだけ口角を上げる。
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