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21章
556話 普通な環境
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やっぱり私ってどうやっても悪役が似合わない。非情に徹しきれないというか、最後の最後で私の中にある良心がストップをかけてくるのは悪人になり切れないって所よね。善人と悪人を選べるゲームでも結局……って言うかこの場合はメリットの大きい方ばっかりやってるわ。
「なんでこうなるかなあ」
はーっと大きくため息を吐き出しながらいつものようにコッキングして排莢、からガンベルトの銃弾を抜いて弾を込めて、呼吸を一区切り。目の前でやんややんやと大型のモンスター。あれなんだろうな。サイクロプスとかそういう感じのでかぶつ。それに撃ち込んだり攻撃を貰っているのを後ろから見て、こらー私の出番はないなーと呟きながら戦況を見守る。
「ロテアさん!援護はしてくれないんですか!」
「ちゃんと攻撃の手を止めてやったろ?」
まだ健在のサイクロプスが前衛にパンチの連打をかましているのを見て、直撃しそうなタイミングでまた発砲。手早くコッキングして次の攻撃に備えるが、急に変化付けてきたからそろそろ倒せると思う。そもそもやんややんやで私含めて5人もいるんだから、多少なりと強い相手だとしても1体だけなら余裕だろって話なんだけどね。そんな事を考えていれば大きいサイクロプスが大きくぶっ倒れて土煙を大きく上げる。
「イエーイ!」
「強いわ、こいつ」
前衛の2人がハイタッチし、後衛の2人もぺちゃんと尻を付いて一息ついている。私に話しかけてきたのは、私としては珍しい純魔法使いなわけだけど、MP管理が結構大変らしい。
そういえば私って今まで普通の職と、ステータスの人に会ったことないな。大体ステータス極で変なプレイスタイルの奴ばっかり知り合いだ。闘技場の連中も基本的に一芸に秀でてるのが上にいるから、普通にバランスよくステータスを振って、普通に使えそうなスキルを取ってるのと一緒にいるって実は貴重じゃね?
「これでボスじゃないんだから厳しいよね」
「MPかっつかつだよー」
こんな会話が普通なんだろうなあ。さっさと倒して、物足りねえとか、こんな雑魚に構ってられないだの余裕ーって言うような連中じゃないのが新鮮過ぎる。ちょっと感動。
「ロテアさん、どうかしたんですか?」
「いや、ちょっと感激でね」
「あのモンスターがそんなに……」
「いや、普通って良いなーって」
頭の上に『?』を浮かべてこっちの顔を伺ってくるが、こういう感じになるのも不思議じゃない。あまりにも私の環境が特殊過ぎただけ。そもそも私自体、動き方と言うかやってることがかなり特殊だったの思い出したよ。どこのバカが、火薬、銃、銃弾、その他もろもろ必要な事を自分で全部集めて作る奴がいるって話。
「普通って、どういう事で?」
「いや、こっちの話…よっ」
祝勝ムードの中、サイクロプスが急に起き上っての叩きつけ攻撃。前衛の1人が叩き潰されそうって所で1発かまして、攻撃を反らさせてからすぐにコッキング。薬莢が高い金属音を発しながら宙を舞っている間に次弾を入れてすぐさま次のを撃ち込む。
「ちょっと外したか」
頭って言うか目を狙ったんだけど側頭部に当たり弾かれるので、一息入れると共に最後の弾を込め、少し強めに息を吐き出し、止めてから引き金を絞る。銃声と共に、弾丸が放たれ、螺旋を描きながらしっかりと目玉に当たる。ぶしゅっと何かが噴き出すような音共に、もう一度大きく倒れ込み、ポリゴン状に消失していく。
「あぶねえ……」
「いやー、助かった!」
前衛2人がそんな事を言ってふいーっとため息を吐いているのを見ながら最後の薬莢をコッキングで弾き飛ばしてから、優雅にガンベルトから銃弾を込め直す。
「ロテアさん、倒せてないの分かってたんですか?」
「土煙が舞ってたとは言え、消滅してなかったからな」
3発の銃弾を込め終わってからぐるっと周りを確認して残敵確認。大型系のモンスターがいるときは結構小型の奴が控えていたりするんだけど、特にそう言う事もないので漸く一息つける。ずっと構えていたウサ銃を下ろして使った銃弾をインベントリから出してガンベルトに差し直す。
「そんなに強いなら良い所のクランにいそうですけど」
「いーのいーの、今はこうして臨時パーティで十分だから」
クランを渡り歩くのも良いけど、今は結局こうしてあっちこっちのパーティに参加して歩き回るのがロテアとしては正しいプレイングよ。
「とりあえず倒したし、目的は達成?」
「はい!ありがとうございます!このまま僕たちは戻りますけど、どうします?」
「戻って解散で良いかな、こっちの方にはあんまり用事無いし」
エリア的には西側の方になるのだが、こっちは必要な鉱物資源もないので寄り道してーって用事があんまりないので私には無縁なエリア。どちらかと言えば木工だったり、料理系の職が行くことが多い。そこそこ見かけるのが、リンゴやらみかん、果物の木をガンガン蹴りゆすりまくってアイテムを稼いでいるのプレイヤーかな。聞いた話だと、最高率がひたすら蹴りまくるって話でそれ以上はないとか。
「さ、もどろもどろ」
そんな事を言って帰還を促し、さくっとエルスタンに戻る。
そしてそのまま現地で解散、向こうのパーティはそもそも仲間同士って言うよりはリア友同士みたいなので、私だけパーティから抜けてまたエルスタンをぷらぷら……って訳もなく、昔からこの手のゲームにある臨時パーティを募集している所に向かう。
ちょっと前にも傭兵稼業みたいなことしてたけど、やっぱりレベルとスキルを上げて強く……と言うか、3次職と転生システムが本当にあるのかどうかを確認するって感じもある。きっと情報クランやらWikiやらみたらあるんだろうけど、手探りでゲームをしたくなったからやっている。
「さて、今日のパーティは、っと」
こういうのって大体ローカルルールでプレイヤーそれぞれがパーティ募集の方法をあれこれと提示するわけだが、この場所、エルスタンの街の北側の方になるのだが、露店街のようにプレイヤー露店があれこれと立ち並んでいる。売り物は特にないが、売買用のメッセージが書き込めるようで、それでパーティ募集をしている。昔からこういうのは変わらないな。
「あんまり低レベルの所に行っても、しゃーないからなあ」
流石に高レベル、低レベルであれこれ分かれているわけではないので、殆ど見て確認しなきゃならんのは大変ではある。VRでフルダイブだってのに、この辺はローテク。
「良い感じのは、あるね」
で、案外見てみたらさくっと見つかるってのも昔からそうよね。
今回見つけたのは、南エリアの方にあるダンジョンアタック、適正レベルは50ちょいで、ボス目的……ではなく、雑魚モンスター狩りをメインのもの。
「変なパーティじゃなきゃ良いけど」
連絡先のIDがあるので個人会話を飛ばし、自分の職とレベルを言って合流するかどうかを確認。サービス開始の時はガンナーじゃあ、なんて思ったけど今じゃ高火力の後衛職って言われるんだからどうなるか分からんもんね。
「なんでこうなるかなあ」
はーっと大きくため息を吐き出しながらいつものようにコッキングして排莢、からガンベルトの銃弾を抜いて弾を込めて、呼吸を一区切り。目の前でやんややんやと大型のモンスター。あれなんだろうな。サイクロプスとかそういう感じのでかぶつ。それに撃ち込んだり攻撃を貰っているのを後ろから見て、こらー私の出番はないなーと呟きながら戦況を見守る。
「ロテアさん!援護はしてくれないんですか!」
「ちゃんと攻撃の手を止めてやったろ?」
まだ健在のサイクロプスが前衛にパンチの連打をかましているのを見て、直撃しそうなタイミングでまた発砲。手早くコッキングして次の攻撃に備えるが、急に変化付けてきたからそろそろ倒せると思う。そもそもやんややんやで私含めて5人もいるんだから、多少なりと強い相手だとしても1体だけなら余裕だろって話なんだけどね。そんな事を考えていれば大きいサイクロプスが大きくぶっ倒れて土煙を大きく上げる。
「イエーイ!」
「強いわ、こいつ」
前衛の2人がハイタッチし、後衛の2人もぺちゃんと尻を付いて一息ついている。私に話しかけてきたのは、私としては珍しい純魔法使いなわけだけど、MP管理が結構大変らしい。
そういえば私って今まで普通の職と、ステータスの人に会ったことないな。大体ステータス極で変なプレイスタイルの奴ばっかり知り合いだ。闘技場の連中も基本的に一芸に秀でてるのが上にいるから、普通にバランスよくステータスを振って、普通に使えそうなスキルを取ってるのと一緒にいるって実は貴重じゃね?
「これでボスじゃないんだから厳しいよね」
「MPかっつかつだよー」
こんな会話が普通なんだろうなあ。さっさと倒して、物足りねえとか、こんな雑魚に構ってられないだの余裕ーって言うような連中じゃないのが新鮮過ぎる。ちょっと感動。
「ロテアさん、どうかしたんですか?」
「いや、ちょっと感激でね」
「あのモンスターがそんなに……」
「いや、普通って良いなーって」
頭の上に『?』を浮かべてこっちの顔を伺ってくるが、こういう感じになるのも不思議じゃない。あまりにも私の環境が特殊過ぎただけ。そもそも私自体、動き方と言うかやってることがかなり特殊だったの思い出したよ。どこのバカが、火薬、銃、銃弾、その他もろもろ必要な事を自分で全部集めて作る奴がいるって話。
「普通って、どういう事で?」
「いや、こっちの話…よっ」
祝勝ムードの中、サイクロプスが急に起き上っての叩きつけ攻撃。前衛の1人が叩き潰されそうって所で1発かまして、攻撃を反らさせてからすぐにコッキング。薬莢が高い金属音を発しながら宙を舞っている間に次弾を入れてすぐさま次のを撃ち込む。
「ちょっと外したか」
頭って言うか目を狙ったんだけど側頭部に当たり弾かれるので、一息入れると共に最後の弾を込め、少し強めに息を吐き出し、止めてから引き金を絞る。銃声と共に、弾丸が放たれ、螺旋を描きながらしっかりと目玉に当たる。ぶしゅっと何かが噴き出すような音共に、もう一度大きく倒れ込み、ポリゴン状に消失していく。
「あぶねえ……」
「いやー、助かった!」
前衛2人がそんな事を言ってふいーっとため息を吐いているのを見ながら最後の薬莢をコッキングで弾き飛ばしてから、優雅にガンベルトから銃弾を込め直す。
「ロテアさん、倒せてないの分かってたんですか?」
「土煙が舞ってたとは言え、消滅してなかったからな」
3発の銃弾を込め終わってからぐるっと周りを確認して残敵確認。大型系のモンスターがいるときは結構小型の奴が控えていたりするんだけど、特にそう言う事もないので漸く一息つける。ずっと構えていたウサ銃を下ろして使った銃弾をインベントリから出してガンベルトに差し直す。
「そんなに強いなら良い所のクランにいそうですけど」
「いーのいーの、今はこうして臨時パーティで十分だから」
クランを渡り歩くのも良いけど、今は結局こうしてあっちこっちのパーティに参加して歩き回るのがロテアとしては正しいプレイングよ。
「とりあえず倒したし、目的は達成?」
「はい!ありがとうございます!このまま僕たちは戻りますけど、どうします?」
「戻って解散で良いかな、こっちの方にはあんまり用事無いし」
エリア的には西側の方になるのだが、こっちは必要な鉱物資源もないので寄り道してーって用事があんまりないので私には無縁なエリア。どちらかと言えば木工だったり、料理系の職が行くことが多い。そこそこ見かけるのが、リンゴやらみかん、果物の木をガンガン蹴りゆすりまくってアイテムを稼いでいるのプレイヤーかな。聞いた話だと、最高率がひたすら蹴りまくるって話でそれ以上はないとか。
「さ、もどろもどろ」
そんな事を言って帰還を促し、さくっとエルスタンに戻る。
そしてそのまま現地で解散、向こうのパーティはそもそも仲間同士って言うよりはリア友同士みたいなので、私だけパーティから抜けてまたエルスタンをぷらぷら……って訳もなく、昔からこの手のゲームにある臨時パーティを募集している所に向かう。
ちょっと前にも傭兵稼業みたいなことしてたけど、やっぱりレベルとスキルを上げて強く……と言うか、3次職と転生システムが本当にあるのかどうかを確認するって感じもある。きっと情報クランやらWikiやらみたらあるんだろうけど、手探りでゲームをしたくなったからやっている。
「さて、今日のパーティは、っと」
こういうのって大体ローカルルールでプレイヤーそれぞれがパーティ募集の方法をあれこれと提示するわけだが、この場所、エルスタンの街の北側の方になるのだが、露店街のようにプレイヤー露店があれこれと立ち並んでいる。売り物は特にないが、売買用のメッセージが書き込めるようで、それでパーティ募集をしている。昔からこういうのは変わらないな。
「あんまり低レベルの所に行っても、しゃーないからなあ」
流石に高レベル、低レベルであれこれ分かれているわけではないので、殆ど見て確認しなきゃならんのは大変ではある。VRでフルダイブだってのに、この辺はローテク。
「良い感じのは、あるね」
で、案外見てみたらさくっと見つかるってのも昔からそうよね。
今回見つけたのは、南エリアの方にあるダンジョンアタック、適正レベルは50ちょいで、ボス目的……ではなく、雑魚モンスター狩りをメインのもの。
「変なパーティじゃなきゃ良いけど」
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