35 / 87
35 兄達視点2
ソフィアと接しているうちにソフィアの人となりも見えてくる。ただ単に美人だというだけでなく、魔法に対しても真面目でひたむきに頑張る姿が好印象だ。
祖父様と祖母様の覚えもいい。
幼い頃からずっと一緒にいたのであれば本当の妹として見ていただろう。だが、成長した彼女は立派な一人の女性だった。
付きまとってくる令嬢達とは違う。
妻としても何ら問題ない。
だが、当の本人は何も知らされず養女として過ごしているようだ。
選ぶ側のソフィアは俺たちをどう思っているか。彼女の中の兄という意識から抜け出すことは可能だろうか?
そこで俺達兄弟は父上に直談判したのだ。
ソフィアを妻にしたいと。同じ一族とはいえ、血縁としては遠い方だ。一族のための魔力強化だとしても、俺達の誰かと結婚する事は問題ないはずだ。
過去に俺達に言い寄ってきた女達は数知れず。慎重にならざるを得ないことも過去には起こった。
魔法使いを輩出している我が家の事情もあり、ソフィアを養女のままにしている父の気持ちも理解している。
ある日仕事が数日立て込み、父がいつも以上に機嫌が悪い。
どうしようかと考えあぐねていた時、ソフィアが暇そうにしていたので王宮に連れていくことにした。
ソフィアを連れて王宮の魔法部管理室へと着いたが、やはり、ソフィアの美しさに皆がやられたな。他の者を無視して素早く父の部屋に入る。
何故かソフィアは俺の背中に隠れて見えないようにしている?
前触れなく部屋に来たことで怒られると思っているのか?
それとも父上を驚かせようとしているのか?
ソフィアがひょっこり顔を出すと、父上は一気に機嫌が良くなった。連れて来て正解だな。
さっきまで緊張していたようだが、家族の前では安心しているのか、ソフィアのコロコロと変わる表情に父も俺も癒される。
そういえば、ソフィアの学院の討伐を組んでいる者は元婚約者だったな。ルイを捩じ込んで正解だった。
元婚約者は今頃、後悔しかしていないだろう。
ざまあみろだ。
ソフィアを蔑ろにする奴は俺たちが許さない。おっと、思考が逸れた。
せっかく父が上機嫌になったと思ったのも束の間、父に向けて小鳥のメッセージが飛んできた。
アイツめ。
目敏くソフィアを見つけたな。さすが王族とも言うべきか。
いつもならソフィアと一緒に向かうのだが、今日は部下がゾンビのように追いかけてくるので仕方がない。
ソフィアを中庭へ一人で向かわせた。
エリオットは手が早いので有名だ。エリオットはソフィアの好みではないだろうが、ソフィアの身の安全を確保しなければならない。
すぐにフィンとテオに連絡を取り、どちらか早くソフィアに向かうようメッセージを送り、今すぐ向かってほしいと頼んだ。
ーー テオ
長兄から緊急メッセージが届いた。
魔法使い筆頭部屋にいたソフィアが王宮の中庭に呼び出された? しかも、相手はエリオット殿下だと!?
アイツはダメだ。
あんな色欲魔なんかにソフィアは渡せない。フィン兄さんは討伐中のため、今帰還するのはマズイな。
幸い、オレは王宮へと帰還中だったので部下に後の事を指示し、先に魔法で王宮前に転移する。急いで中庭へ向かうと、ソフィアがいた。俺を見つけてホッとした様子で立ち上がる姿も可愛い。
やはり、エリオットに言い寄られていたな。
「エリオット殿下、兄も迎えに来ましたし、そろそろ失礼致します。妃殿下やご夫人が私の為に用意していただいたお茶も、この可愛い菓子達も、美味しゅうございました。と、お伝え下さい。では失礼します」
ソフィアはやはりエリオット殿下が胡散臭い奴だと気づいていたんだろう。そして彼の妃達がソフィアを警戒している事に。
このまま邸までソフィアを送り、一緒に家に帰りたいが、今日は父を含め仕事に追われ、生きる屍と化した部下たちが帰る事を許さないだろう。
ソフィアと馬車停まりの前で別れを惜しみつつ、仕事場に戻ろうとする。
その時、ソフィアが魔法を掛けてくれた。
リジェネーションヒール? これは珍しい魔法だな。ソフィアの優しさを感じる。
これは是非とも父上や兄達に自慢しないとナ!
俺達も使えはするがあまり使用しない。
効果はというと、一回の詠唱で効果時間は一、二時間程度。通常使う体力回復魔法の十分の一程度の効果が持続的に続く。
この魔法はあくまで長時間戦闘が予想される時の補助的な物として使われる。
ソフィアの掛けた魔法を自分の目に魔力を通し、詳しく視てみると、二日程度保ち、体力回復の七分の一程の効果のようだ。
これは凄い。
自慢するしか無い。
本来の持続時間を考えると、じい様がソフィアに教えた魔法の質を上げる努力を怠らず続けているからだろう。
ソフィアの優しさが半端ないナ! ソフィアは相当の魔力を使ったのだろうナ。
俺はすぐに父の部屋へ行き、自慢して回った。
結果、父上や兄たちに物凄く羨ましがられ、膨大な仕事を押し付けられてしまった。
クッ、失敗した。
だが、ソフィアの兄を思う愛を感じながら膨大な仕事をこなせたのは言うまでもない。
祖父様と祖母様の覚えもいい。
幼い頃からずっと一緒にいたのであれば本当の妹として見ていただろう。だが、成長した彼女は立派な一人の女性だった。
付きまとってくる令嬢達とは違う。
妻としても何ら問題ない。
だが、当の本人は何も知らされず養女として過ごしているようだ。
選ぶ側のソフィアは俺たちをどう思っているか。彼女の中の兄という意識から抜け出すことは可能だろうか?
そこで俺達兄弟は父上に直談判したのだ。
ソフィアを妻にしたいと。同じ一族とはいえ、血縁としては遠い方だ。一族のための魔力強化だとしても、俺達の誰かと結婚する事は問題ないはずだ。
過去に俺達に言い寄ってきた女達は数知れず。慎重にならざるを得ないことも過去には起こった。
魔法使いを輩出している我が家の事情もあり、ソフィアを養女のままにしている父の気持ちも理解している。
ある日仕事が数日立て込み、父がいつも以上に機嫌が悪い。
どうしようかと考えあぐねていた時、ソフィアが暇そうにしていたので王宮に連れていくことにした。
ソフィアを連れて王宮の魔法部管理室へと着いたが、やはり、ソフィアの美しさに皆がやられたな。他の者を無視して素早く父の部屋に入る。
何故かソフィアは俺の背中に隠れて見えないようにしている?
前触れなく部屋に来たことで怒られると思っているのか?
それとも父上を驚かせようとしているのか?
ソフィアがひょっこり顔を出すと、父上は一気に機嫌が良くなった。連れて来て正解だな。
さっきまで緊張していたようだが、家族の前では安心しているのか、ソフィアのコロコロと変わる表情に父も俺も癒される。
そういえば、ソフィアの学院の討伐を組んでいる者は元婚約者だったな。ルイを捩じ込んで正解だった。
元婚約者は今頃、後悔しかしていないだろう。
ざまあみろだ。
ソフィアを蔑ろにする奴は俺たちが許さない。おっと、思考が逸れた。
せっかく父が上機嫌になったと思ったのも束の間、父に向けて小鳥のメッセージが飛んできた。
アイツめ。
目敏くソフィアを見つけたな。さすが王族とも言うべきか。
いつもならソフィアと一緒に向かうのだが、今日は部下がゾンビのように追いかけてくるので仕方がない。
ソフィアを中庭へ一人で向かわせた。
エリオットは手が早いので有名だ。エリオットはソフィアの好みではないだろうが、ソフィアの身の安全を確保しなければならない。
すぐにフィンとテオに連絡を取り、どちらか早くソフィアに向かうようメッセージを送り、今すぐ向かってほしいと頼んだ。
ーー テオ
長兄から緊急メッセージが届いた。
魔法使い筆頭部屋にいたソフィアが王宮の中庭に呼び出された? しかも、相手はエリオット殿下だと!?
アイツはダメだ。
あんな色欲魔なんかにソフィアは渡せない。フィン兄さんは討伐中のため、今帰還するのはマズイな。
幸い、オレは王宮へと帰還中だったので部下に後の事を指示し、先に魔法で王宮前に転移する。急いで中庭へ向かうと、ソフィアがいた。俺を見つけてホッとした様子で立ち上がる姿も可愛い。
やはり、エリオットに言い寄られていたな。
「エリオット殿下、兄も迎えに来ましたし、そろそろ失礼致します。妃殿下やご夫人が私の為に用意していただいたお茶も、この可愛い菓子達も、美味しゅうございました。と、お伝え下さい。では失礼します」
ソフィアはやはりエリオット殿下が胡散臭い奴だと気づいていたんだろう。そして彼の妃達がソフィアを警戒している事に。
このまま邸までソフィアを送り、一緒に家に帰りたいが、今日は父を含め仕事に追われ、生きる屍と化した部下たちが帰る事を許さないだろう。
ソフィアと馬車停まりの前で別れを惜しみつつ、仕事場に戻ろうとする。
その時、ソフィアが魔法を掛けてくれた。
リジェネーションヒール? これは珍しい魔法だな。ソフィアの優しさを感じる。
これは是非とも父上や兄達に自慢しないとナ!
俺達も使えはするがあまり使用しない。
効果はというと、一回の詠唱で効果時間は一、二時間程度。通常使う体力回復魔法の十分の一程度の効果が持続的に続く。
この魔法はあくまで長時間戦闘が予想される時の補助的な物として使われる。
ソフィアの掛けた魔法を自分の目に魔力を通し、詳しく視てみると、二日程度保ち、体力回復の七分の一程の効果のようだ。
これは凄い。
自慢するしか無い。
本来の持続時間を考えると、じい様がソフィアに教えた魔法の質を上げる努力を怠らず続けているからだろう。
ソフィアの優しさが半端ないナ! ソフィアは相当の魔力を使ったのだろうナ。
俺はすぐに父の部屋へ行き、自慢して回った。
結果、父上や兄たちに物凄く羨ましがられ、膨大な仕事を押し付けられてしまった。
クッ、失敗した。
だが、ソフィアの兄を思う愛を感じながら膨大な仕事をこなせたのは言うまでもない。
あなたにおすすめの小説
婚約者様、どうぞご勝手に。捨てられましたが幸せなので。
矢野りと
恋愛
旧題:永遠の誓いを立てましょう、あなたへの想いを思い出すことは決してないと……
ある日突然、私はすべてを失った。
『もう君はいりません、アリスミ・カロック』
恋人は表情を変えることなく、別れの言葉を告げてきた。彼の隣にいた私の親友は、申し訳なさそうな顔を作ることすらせず笑っていた。
恋人も親友も一度に失った私に待っていたのは、さらなる残酷な仕打ちだった。
『八等級魔術師アリスミ・カロック。異動を命じる』
『えっ……』
任期途中での異動辞令は前例がない。最上位の魔術師である元恋人が裏で動いた結果なのは容易に察せられた。
私にそれを拒絶する力は勿論なく、一生懸命に築いてきた居場所さえも呆気なく奪われた。
それから二年が経った頃、立ち直った私の前に再び彼が現れる。
――二度と交わらないはずだった運命の歯車が、また動き出した……。
※このお話の設定は架空のものです。
※お話があわない時はブラウザバックでお願いします(_ _)
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
【完結】能力が無くても聖女ですか?
天冨 七緒
恋愛
孤児院で育ったケイトリーン。
十二歳になった時特殊な能力が開花し、体調を崩していた王妃を治療する事に…
無事に王妃を完治させ、聖女と呼ばれるようになっていたが王妃の治癒と引き換えに能力を使い果たしてしまった。能力を失ったにも関わらず国王はケイトリーンを王子の婚約者に決定した。
周囲は国王の命令だと我慢する日々。
だが国王が崩御したことで、王子は周囲の「能力の無くなった聖女との婚約を今すぐにでも解消すべき」と押され婚約を解消に…
行く宛もないが婚約解消されたのでケイトリーンは王宮を去る事に…門を抜け歩いて城を後にすると突然足元に魔方陣が現れ光に包まれる…
「おぉー聖女様ぁ」
眩い光が落ち着くと歓声と共に周囲に沢山の人に迎えられていた。ケイトリーンは見知らぬ国の聖女として召喚されてしまっていた…
タイトル変更しました
召喚されましたが聖女様ではありません…私は聖女様の世話係です
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています
如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」
何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。
しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。
様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。
この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが……
男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。
【完結】ねぇ、それ、誰の話?
春風由実
恋愛
子爵家の三男であるアシェル・イーガンは幼い頃から美しい子どもとして有名だった。
その美貌により周囲の大人たちからは、誰からも愛されて育つ幸福な子どもとして見られてきたが、その実態は真逆。
美しいが故に父親に利用され。
美しいが故に母親から厭われて。
美しいが故に二人の兄から虐げられた。
誰も知らない苦悩を抱えるアシェルは、家族への期待をやめて、早く家を出たいと望んでいたが。
それが叶う日は、突然にやって来た。
ウォーラー侯爵とその令嬢ソフィアが、アシェルを迎えに現れたのだ。
それは家に居場所のないアシェルの、ちょっとした思い付きから始まった行いが結んだ縁だった。
こうして王都を離れ侯爵領でのびのびと健やかに成長していったアシェルは、自分が美しいことも忘れていたくらいだったから、自身の美貌の余韻が王都の社交界にて壮大な物語を創生していたことに気付けなかった。
仕方なく嫌々ながら戻ってきた王都にて、大事な人を傷付けられて。
アシェルは物語を終わらせるとともに、すっかり忘れ去っていた家族たちとも向き合うことにした。
そして王都に新しい物語が創生する。それは真実に則った愛の物語──。
※2026.1.19 おかげさまで本編完結いたしました。ありがとうございます♡
妹の身代わりに殺戮の王太子に嫁がされた忌み子王女、実は妖精の愛し子でした。嫁ぎ先でじゃがいもを育てていたら、殿下の溺愛が始まりました・長編版
まほりろ
恋愛
国王の愛人の娘であるアリアベルタは、母親の死後、王宮内で放置されていた。
食事は一日に一回、カビたパンやまふ腐った果物、生のじゃがいもなどが届くだけだった。
しかしアリアベルタはそれでもなんとか暮らしていた。
アリアベルタの母親は妖精の村の出身で、彼女には妖精がついていたのだ。
その妖精はアリアベルタに引き継がれ、彼女に加護の力を与えてくれていた。
ある日、数年ぶりに国王に呼び出されたアリアベルタは、異母妹の代わりに殺戮の王子と二つ名のある隣国の王太子に嫁ぐことになり……。
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。
※中編を大幅に改稿し、長編化しました。2025年1月20日
※長編版と差し替えました。2025年7月2日
※コミカライズ化が決定しました。商業化した際はアルファポリス版は非公開に致します。
※表紙イラストは猫様からお借りしています。