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第二章 神祇官の長として
十八
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「早速だが、長として日々の動きを学んで貰わねばならん。まず、各国の神祇官の長は誰だか知っているな?」
「もちろんです。春の国は春陽様、夏の国は炎陽様、冬の国は春隣様です」
「そうだ。もうすぐ春陽は春光と交代することは知っているな?まず春の国に挨拶に向かう。蒼帝は四季殿にいるため挨拶は出来ないが、春陽から話がいくだろう」
「春陽様はずっと蒼帝様の側にいるわけではないのですか?」
「四季殿から得た話を神々に報告することや各国に伝えるために大社に戻る時間がある。今なら大社に戻っているだろう。あまり時間はない。向かうぞ」
「はい」
番紅花様は大股で歩き始める。
後をついていく私も小走りで転移門まできた。番紅花様は転移門の装置の前で手を翳すといつものように水面のような膜が浮かび上がり、私達は転移門を潜った。
門を通ると、そこは春の国の社の前だった。番紅花様はそのまま歩きだす。
「神祇官はこっちだ」
春の国の建物自体はさほど秋の国とは変わらないようだが、植えている木々や草花はやはり花が咲き誇り秋の国とはまた一味違って見える。
そういっている間に神祇官へとやってきた私達は受付の人に声を掛けた。
「秋の国の番紅花だ。次の神祇官の長を紹介しに来た。春陽はいるか?」
「春陽ですね、少しお待ちください」
すぐに受付の人は春陽様に確認を取り、私達は呼びにきた。彼はちょうど神祇官の奥の間で他の人達に指示を出していたようだ。
奥の間へと案内されると、入れ替わるように沢山の人が部屋から出てくる。
「春陽様、秋の国の番紅花様と宵闇様が参りました」
「通しておくれ」
受付の人の言葉に低い声が返ってきた。
間の上座に座っていた春陽様は薄い桜色に黄色味がかかった髪の色をしている妙齢の姿をしていた。名前は知っているが、実際に会ったことがなかったのでとても緊張する。
「久しぶりだな」
「春陽、大事ないか?」
「ああ、多少の力は落ちたが問題ない。お前の方が大事だろう。私達のせいですまない」
春陽様は落ち着いた声で話をしている。番紅花様も春陽様も互いの心情を理解しているのか小さく頷きそれ以上言うことはないようだ。
「問題ない。俺には既に跡を継ぐ者がいるからな」
「君が宵闇か。今回のことで迷惑をかけてすまないな。後処理は大変だと思うが、優秀だと聞いている。これから宜しく頼む」
「ありがとうございます。まだまだ未熟者ではありますが、精一杯頑張ります」
「……番紅花、達者でな」
「……ああ、お前もな」
二人は長い話わけでもなかったが、長年神祇官の長として働いていたから感じるものがあるのだと思う。
そして私達はまた受付のところまで戻り、蒼帝様の指示を受け取って秋の国に戻った。
「このまま各国へ挨拶に向かおうと思ったが、春の国からの書類がある。一旦神祇官へ戻り、書類を出した後に次の国に向かう」
「わかりました」
「番紅花様、宵闇様おかえりなさい」
「ああ、今戻った」
番紅花様は短く言うと、書類に目を通し、私に差し出した。
「これからお前がする仕事だ」
私は書類に目を通す。悪しきものが涌いている場所や果実の花が咲いている場所などが細かく書かれている。
それに従い太政官や衛門府へ指示書を書く必要がある。私は貰った書類を基に指示書を書いていき朱印を押して他の人へ渡していく。そして指示書を受け取り、神祇官の者は各所へ指示書を渡しに出ていく。
「番紅花様、指示書はあれで良かったのですか?」
「ああ、全く問題ない。この後、白帝様と神々への報告に向かう」
「わかりました」
こうして私は番紅花様に日々の仕事を一つひとつ丁寧に教えてもらい、付き添われながら各国への挨拶も済ませることができた。
「宵闇、日々の仕事は覚えてきたな。次は神祇官の長としての訓練を行っていく」
「はい」
「名無し様が修行に入られた。我々もゆっくりはしていられない」
葵様が修行に入られたと聞いて私は手に力が入った。
私も頑張らないと。そうして番紅花様がついてこいと歩き始めた。大社を出て少し歩いた場所は秋の森になっている。
獣道のような細い道がありその道をずんずんとまっすぐ歩いていくと、小さな祠があった。
秋の森に小さな祠があるなんて知らなかった。
「番紅花様、ここは?」
「ここは秋の国の神が住んでいる祠だ」
「ここでどうやって修行をするのですか?」
私が番紅花様にそう話しかけた途端、小さな光がポンッと姿を現した。
「宵闇、お前を待っていたゾ」
私が驚いて固まっていると、番紅花様がふうと息を突いた後、口を開いた。
「この方はこの秋の国を守られている神様だ。これから毎日ここに来てこの方の仰る通りにするように」
「番紅花、久しぶりだゾ。お前、かなり力を無くしたナ。馬鹿な奴だナ。もっとやりようがあったはずだゾ」
「アキコク様、私の力が弱いため、このような結果になってしまい、申し訳ありませんでした。宵闇のことをどうぞ宜しくお願いします」
アキコク様は小さな狐のような姿をしていて祠の上にちょこんと乗っていた。
「……もちろんダ。心配するナ、こやつはしっかりと育て上げル」
「では、私はこれで。宵闇、今日からここに毎日来るように。俺よりもずっとお前は神祇官として優秀だ。これから、アキコク様の元で頑張るんだぞ」
番紅花様は顔色を変えることなくアキコク様に頭を下げて踵を返した。残された私は一体どうしたらいいんだろう?
「もちろんです。春の国は春陽様、夏の国は炎陽様、冬の国は春隣様です」
「そうだ。もうすぐ春陽は春光と交代することは知っているな?まず春の国に挨拶に向かう。蒼帝は四季殿にいるため挨拶は出来ないが、春陽から話がいくだろう」
「春陽様はずっと蒼帝様の側にいるわけではないのですか?」
「四季殿から得た話を神々に報告することや各国に伝えるために大社に戻る時間がある。今なら大社に戻っているだろう。あまり時間はない。向かうぞ」
「はい」
番紅花様は大股で歩き始める。
後をついていく私も小走りで転移門まできた。番紅花様は転移門の装置の前で手を翳すといつものように水面のような膜が浮かび上がり、私達は転移門を潜った。
門を通ると、そこは春の国の社の前だった。番紅花様はそのまま歩きだす。
「神祇官はこっちだ」
春の国の建物自体はさほど秋の国とは変わらないようだが、植えている木々や草花はやはり花が咲き誇り秋の国とはまた一味違って見える。
そういっている間に神祇官へとやってきた私達は受付の人に声を掛けた。
「秋の国の番紅花だ。次の神祇官の長を紹介しに来た。春陽はいるか?」
「春陽ですね、少しお待ちください」
すぐに受付の人は春陽様に確認を取り、私達は呼びにきた。彼はちょうど神祇官の奥の間で他の人達に指示を出していたようだ。
奥の間へと案内されると、入れ替わるように沢山の人が部屋から出てくる。
「春陽様、秋の国の番紅花様と宵闇様が参りました」
「通しておくれ」
受付の人の言葉に低い声が返ってきた。
間の上座に座っていた春陽様は薄い桜色に黄色味がかかった髪の色をしている妙齢の姿をしていた。名前は知っているが、実際に会ったことがなかったのでとても緊張する。
「久しぶりだな」
「春陽、大事ないか?」
「ああ、多少の力は落ちたが問題ない。お前の方が大事だろう。私達のせいですまない」
春陽様は落ち着いた声で話をしている。番紅花様も春陽様も互いの心情を理解しているのか小さく頷きそれ以上言うことはないようだ。
「問題ない。俺には既に跡を継ぐ者がいるからな」
「君が宵闇か。今回のことで迷惑をかけてすまないな。後処理は大変だと思うが、優秀だと聞いている。これから宜しく頼む」
「ありがとうございます。まだまだ未熟者ではありますが、精一杯頑張ります」
「……番紅花、達者でな」
「……ああ、お前もな」
二人は長い話わけでもなかったが、長年神祇官の長として働いていたから感じるものがあるのだと思う。
そして私達はまた受付のところまで戻り、蒼帝様の指示を受け取って秋の国に戻った。
「このまま各国へ挨拶に向かおうと思ったが、春の国からの書類がある。一旦神祇官へ戻り、書類を出した後に次の国に向かう」
「わかりました」
「番紅花様、宵闇様おかえりなさい」
「ああ、今戻った」
番紅花様は短く言うと、書類に目を通し、私に差し出した。
「これからお前がする仕事だ」
私は書類に目を通す。悪しきものが涌いている場所や果実の花が咲いている場所などが細かく書かれている。
それに従い太政官や衛門府へ指示書を書く必要がある。私は貰った書類を基に指示書を書いていき朱印を押して他の人へ渡していく。そして指示書を受け取り、神祇官の者は各所へ指示書を渡しに出ていく。
「番紅花様、指示書はあれで良かったのですか?」
「ああ、全く問題ない。この後、白帝様と神々への報告に向かう」
「わかりました」
こうして私は番紅花様に日々の仕事を一つひとつ丁寧に教えてもらい、付き添われながら各国への挨拶も済ませることができた。
「宵闇、日々の仕事は覚えてきたな。次は神祇官の長としての訓練を行っていく」
「はい」
「名無し様が修行に入られた。我々もゆっくりはしていられない」
葵様が修行に入られたと聞いて私は手に力が入った。
私も頑張らないと。そうして番紅花様がついてこいと歩き始めた。大社を出て少し歩いた場所は秋の森になっている。
獣道のような細い道がありその道をずんずんとまっすぐ歩いていくと、小さな祠があった。
秋の森に小さな祠があるなんて知らなかった。
「番紅花様、ここは?」
「ここは秋の国の神が住んでいる祠だ」
「ここでどうやって修行をするのですか?」
私が番紅花様にそう話しかけた途端、小さな光がポンッと姿を現した。
「宵闇、お前を待っていたゾ」
私が驚いて固まっていると、番紅花様がふうと息を突いた後、口を開いた。
「この方はこの秋の国を守られている神様だ。これから毎日ここに来てこの方の仰る通りにするように」
「番紅花、久しぶりだゾ。お前、かなり力を無くしたナ。馬鹿な奴だナ。もっとやりようがあったはずだゾ」
「アキコク様、私の力が弱いため、このような結果になってしまい、申し訳ありませんでした。宵闇のことをどうぞ宜しくお願いします」
アキコク様は小さな狐のような姿をしていて祠の上にちょこんと乗っていた。
「……もちろんダ。心配するナ、こやつはしっかりと育て上げル」
「では、私はこれで。宵闇、今日からここに毎日来るように。俺よりもずっとお前は神祇官として優秀だ。これから、アキコク様の元で頑張るんだぞ」
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