【完】隣国に売られるように渡った王女

まるねこ

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ケルノッティに帰るのだとは思うけれど、情勢を考えると、このまま落ち着くまではシューンエイゼットにいることになるかもしれないわ。

アレンは私を救い出してくれた。
私にとってアレンは絵本にあった王子様のように。

お姫様は王子様と末永く一緒に暮らしましたと物語ではなるけれど、現実は厳しい。

王子ともなれば婚約者はいるだろうし、私は敗戦国の従属国の王女。

王女とはいえ、捕虜扱いをされてもおかしくはない。アレンと仲睦まじく過ごす姿を見せたら、シューンゼット国内の貴族たちが憤慨するかもしれない。

アレンの美貌を考えれば国中の令嬢も敵に回しそうだ。そんなことを考えつつ、クスリと笑う。

旅装を解き、シンプルなワンピースを着て一息を吐く。王宮侍女が部屋に食事を運んできた。

王宮は、アレンが帰ってきたことで慌ただしく動いているようだ。

私はシューンエイゼット語は問題なく話せるが、執事のティポーは簡単な日常の言葉だけ。モニカも同じくらいなの。

二人が覚えた理由は、アレンがきっかけだったみたい。王宮とは違い、離宮にいると自分たちが直接商人と交渉する場面が出てくる。

商人は様々な国を渡り歩いていて、ケルノッティの言葉を話せない場合もあり、交渉する上で覚えた方がいいと言われていたらしい。

彼は静養中に、少しずつティポーとモニカに教えていたようだ。言ってくれれば良かったのに。二人は話せることが私にバレて、気恥ずかしいと言っていたわ。

実際、カインディール国の離宮で情報を得るために街に来る様々な商人と会話し、交渉や情報を得ていたのでアレンには本当に感謝しかない。

「リヴィア様、アレン様がおいでですが、お会いになりますか?」

夕食を終え、寝るまでの間の時間をゆったりとくつろいでいるとモニカが聞いてきた。

「ええ、お会いするわ」

返事をしたと同時に扉が開き、アレンが入ってきた。アレンの従者はアレンに苦言を呈しているが、笑って気にしていないようだ。

「リヴィア、遅くなった。少しはゆっくり出来たかな?」
「アレン様、おかげさまで食事も美味しく頂きましたわ」
「良かった。戦勝報告までは忙しくて君と会う時間が取れるかどうかわからない。だが、リヴィアには俺を信じてくれ。俺が妻に迎えたいのはリヴィアだけだ」
「アレン様のこと、信じております」

アレンがそう言うということは、やはり私を陥れようとしている人が城に存在するのだろう。どこの国も同じね。

私はアレンと少し話をした後、彼は打合せがあるようで、またすぐに戻っていった。
私は疲れていたので、ベッドに入るとすぐに眠ってしまった。

翌日は少し遅めの朝食を摂り、窓際でお茶を飲みながらゆったりとしていると、ティポーから報告を受けた。『リヴィア様にお会いしたい』という人がいるらしい。

私はアレンと一緒にこの国へ来たけれど、私の存在はまだ公にされていない。にも拘わらず会いたい、ねえ。

私に面会したいと言ってきたのはエステル・メロード・セイン侯爵令嬢。

どんな人なのかしら?

「ティポー、分かったわ。王妃様に報告を。開いているサロンを貸してもらって。あと、侍女を数人手配してもらえるかしら?」
「畏まりました」

ティポーはそのまま報告をしに部屋を出ていった。

「モニカ、どう思う?」
「リヴィア様が憎くて仕方がないのではないでしょうか?」
「どうなのかしらね」
「リヴィア様、ただいま戻りました。王妃様から『明日の午後、第三サロンを開けておくわ』ということです」
「セイン侯爵令嬢の話を他の従者から聞いたのですが、従者からは庇護欲を掻き立てられるほど可愛いという評判です。ですが、侍女たちからはあざといという評判でした」
「まあ、よくある令嬢ね?」

モニカに同意を求めると、彼女もうんうんと頷いている。この国に来て早々に対峙することになるのね。憂鬱になるわ。

王妃様はすぐに侍女を手配してくれた。

この国に滞在している間の私専属侍女。私の意図を理解してくれたようで嬉しい限りね。元々彼女たちは王族専用の侍女。

侍女として身の回りの世話はもちろん、戦闘にも長けているし、諜報も出来そうだ。この国にいる間、私自身を守る術がない。
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