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「今からこちらのドレスへとお召替えして頂きます」
用意されていたドレス。きっとこれは王宮で何かあった客人用に用意されたドレスよね。
侍女達は私をお風呂に連れて行き、私は頭の上から足のつま先まで洗われる。
侍女に体を洗われるなんて過去に王宮で行われた強制参加のお茶会の1回のみ。人に体を洗われるなんて何年ぶりだろう。
羞恥心で魂が口から出そうになるわ。あ、旅の時は清浄魔法で普段から綺麗にしていたから清潔よ。治療師が不潔なんてあり得ないからね。
久々のドレスに私が悲鳴を上げる。
「イタタタ。もう、無理よー。無理無理っ。助けて」
「もう少しでございます」
今の私は平民なのよ。こんな窮屈なドレスは着たくないし、着る必要も感じないのに。
着替え終わると潮が引いたように侍女達は居なくなり、王宮の従者が私を迎えにきた。
「こちらです」
案内されたのは中庭のガゼボに用意されていたわ。ガゼボには小さな薔薇が沢山咲いて上品な香りに包まれていたわ。
そして席にはもう既にルイ様が座っていたわ。
「お待たせ致しました」
「いや、いいんだ。ソフィ、座って」
平民の私が王族とお茶をする事なんて夢のまた夢よ。ドキドキしっぱなしよ。
……主にマナーの面で。
近くでルイ様を見るとやはりハンサムだし、従者の入れてくれるお茶はとても美味しくてお茶会を開いてくれたルイ様に感謝だわ。
心配だったけれど、私も貴族の端くれだったから隣国であれど最低限のマナーは守れているはず。よね!?
「まず、自己紹介しておくよ。僕はルイ。この国の第三王子で年は18歳。趣味で各地を周り、剣と魔法の修行をしている。前回はその帰りに怪我をしてソフィに助けて貰ったんだ。
ところでソフィ。気になったのだけれど、君は平民なのにどうして貴族のお茶のマナーを知っているんだい?」
やはり突いてきたわ。嘘を付いてもすぐバレちゃうし、私にやましい事はないからいいかな。
「……ルイ様。隠しているわけでは無いのですが、私は元貴族ですわ。親から捨てられたのです。身分証が本物なのも、事前に手続きをし、用意されていた物だからなのです。
私は商人に売られ、馬車でこの国に向かう途中に魔物に襲われて商人達は逃げだし、馬車に残された私は1人で旅をする事になった、だけです」
ルイ殿下は興味深そうに相槌を打ちながら聞いてくる。
「貴族だった頃の名前は聞いても良いかな」
「すみません。元家族にご迷惑が掛かるので聞かないで下さい」
「ソフィ。このまま王宮で治療師として働くのはどうかな。」
「ルイ様。その申し出は大変有難いのですが、私まだ16歳です。学校にも通ってませんので学は無いのです。ましてや今は平民。後ろ盾がある訳ではありません。
王宮の治療師になるには色々と足りないのです。
それに私は気ままに旅をするのが性に合っていて今が一番楽しいのです。どうかこのまま王宮に留め置かず、旅をさせて下さい」
「そうか。とても残念だよ。君ほどの腕なら王宮で働いていてもおかしくは無いのに。ソフィは可愛い。僕の婚約者にしたいくらいだよ」
「ふふっ。ルイ様は褒めるのが上手でいらっしゃいますね」
ルイ殿下は博識なのね。色々な話を聞かせてくれたわ。そして王都の周辺をいつも修行として歩かれているのだとか。
楽しかったお茶会は無事終わりを告げた。
ルイ様とのお茶会はなんとか乗り切った。邸の図書館の本には話を上手に聞く方法や不敬罪にならないための注意事項が書いてあったので実践をしてみたけれど、上手く出来たのだと思う。思いたい。
用意されていたドレス。きっとこれは王宮で何かあった客人用に用意されたドレスよね。
侍女達は私をお風呂に連れて行き、私は頭の上から足のつま先まで洗われる。
侍女に体を洗われるなんて過去に王宮で行われた強制参加のお茶会の1回のみ。人に体を洗われるなんて何年ぶりだろう。
羞恥心で魂が口から出そうになるわ。あ、旅の時は清浄魔法で普段から綺麗にしていたから清潔よ。治療師が不潔なんてあり得ないからね。
久々のドレスに私が悲鳴を上げる。
「イタタタ。もう、無理よー。無理無理っ。助けて」
「もう少しでございます」
今の私は平民なのよ。こんな窮屈なドレスは着たくないし、着る必要も感じないのに。
着替え終わると潮が引いたように侍女達は居なくなり、王宮の従者が私を迎えにきた。
「こちらです」
案内されたのは中庭のガゼボに用意されていたわ。ガゼボには小さな薔薇が沢山咲いて上品な香りに包まれていたわ。
そして席にはもう既にルイ様が座っていたわ。
「お待たせ致しました」
「いや、いいんだ。ソフィ、座って」
平民の私が王族とお茶をする事なんて夢のまた夢よ。ドキドキしっぱなしよ。
……主にマナーの面で。
近くでルイ様を見るとやはりハンサムだし、従者の入れてくれるお茶はとても美味しくてお茶会を開いてくれたルイ様に感謝だわ。
心配だったけれど、私も貴族の端くれだったから隣国であれど最低限のマナーは守れているはず。よね!?
「まず、自己紹介しておくよ。僕はルイ。この国の第三王子で年は18歳。趣味で各地を周り、剣と魔法の修行をしている。前回はその帰りに怪我をしてソフィに助けて貰ったんだ。
ところでソフィ。気になったのだけれど、君は平民なのにどうして貴族のお茶のマナーを知っているんだい?」
やはり突いてきたわ。嘘を付いてもすぐバレちゃうし、私にやましい事はないからいいかな。
「……ルイ様。隠しているわけでは無いのですが、私は元貴族ですわ。親から捨てられたのです。身分証が本物なのも、事前に手続きをし、用意されていた物だからなのです。
私は商人に売られ、馬車でこの国に向かう途中に魔物に襲われて商人達は逃げだし、馬車に残された私は1人で旅をする事になった、だけです」
ルイ殿下は興味深そうに相槌を打ちながら聞いてくる。
「貴族だった頃の名前は聞いても良いかな」
「すみません。元家族にご迷惑が掛かるので聞かないで下さい」
「ソフィ。このまま王宮で治療師として働くのはどうかな。」
「ルイ様。その申し出は大変有難いのですが、私まだ16歳です。学校にも通ってませんので学は無いのです。ましてや今は平民。後ろ盾がある訳ではありません。
王宮の治療師になるには色々と足りないのです。
それに私は気ままに旅をするのが性に合っていて今が一番楽しいのです。どうかこのまま王宮に留め置かず、旅をさせて下さい」
「そうか。とても残念だよ。君ほどの腕なら王宮で働いていてもおかしくは無いのに。ソフィは可愛い。僕の婚約者にしたいくらいだよ」
「ふふっ。ルイ様は褒めるのが上手でいらっしゃいますね」
ルイ殿下は博識なのね。色々な話を聞かせてくれたわ。そして王都の周辺をいつも修行として歩かれているのだとか。
楽しかったお茶会は無事終わりを告げた。
ルイ様とのお茶会はなんとか乗り切った。邸の図書館の本には話を上手に聞く方法や不敬罪にならないための注意事項が書いてあったので実践をしてみたけれど、上手く出来たのだと思う。思いたい。
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