8 / 20
8
しおりを挟む
私はダンジョン完成を知らせようと思っていたその時、ダンジョンから一報が入った。
『ウォール様、勇者達が洞窟にやってきました!』
『リザードマン、今、どういう状況かしら?』
『勇者達は洞窟の敵を倒しながら聖女が浄化をして回っています。瘴気が著しく低下していて種を蒔く事が出来ないでいます』
『……そう。分かったわ。今から向かうわ』
『わかりました!』
ダンジョンを浄化するって馬鹿じゃないのかしら?
死にたいの??
馬鹿なのかしら?
やっぱり馬鹿よね。
種達からは勇者の動向が報告されていく。彼らはまだ入り口にいるらしい。奥まで浄化されると厄介ね。
「ドラゴニート、カーバンクル、洞窟へ向かうわ。付いてきてちょうだい」
「もちろんです!」
「キュイ!」
私はドラゴニート達を連れて洞窟ダンジョンへと転移する。
はぁ……。
ダンジョンを守るためとはいえ面倒ね。
これが地上ならどれだけ魔獣を狩ろうと浄化しようと構わない。だけど、ダンジョン内でされるのは困るわ。ある程度瘴気で自動修復機能が備わっているけれど、瘴気がなければ修復出来ない。最悪、ダンジョンが崩れるわ。
時間を掛けて作ったダンジョンを壊されるのは腹立たしい。一言注意しておかなければ。
ダンジョン内の私の部屋に転移するとそこにはリザードマンを始めとした洞窟の魔族を纏める数名が立っていた。
「リザードマン、状況は?」
「ウォール様、現在勇者達は入り口から三百メートルほど進んだ場所にいます。浄化をしながら歩いているので進みは遅いです」
「そう、分かったわ。ドラゴニート、結界を張って」
「分かりました」
「ちょっと行ってくるわ」
「ハッ!」
私は一旦地上へ出て入り口から勇者達がいるという区画まで歩いていく。浄化された状況を見たいからね。
ドラゴニート達と歩いて入っていく。
ところどころに草が残っている。
どうやら浄化はかなりムラがあるみたい。
まだ聖女の浄化は君練度が低いみたいね。
いくら私が弱いとはいえ、このレベルの勇者達には負けることはないわね。
倒されている魔獣を見ていてもドラゴニート一人でも充分対処出来そうだ。
そうして確認しながら歩いていると、勇者達を見つけることが出来た。まだ若い人間のようだ。私達に気づいていない様子。
「ねぇ、貴方達、このまま進んでも死ぬだけよ?」
「!!! お前は誰だ! 敵か!?」
背後から現れた私達に気づいて戦闘態勢に入る勇者達。
「待ちなさい。私は戦いに来たわけじゃないわ。注意を促しにきたのよ?」
剣士らしき男は喧嘩っ早いのかドラゴニートに斬りかかろうとしてドランに弾かれた。魔法使いや聖女はジッと状況を確認している分、知能はあるようね。
「話を聞けと言ってもわからないのかしら? 私はこのまま貴方達を殺しても何の問題ないわ」
そう言った後、私の中の瘴気を一気に放出する。
ドラゴニートもカーバンクルも少し苦しそうだが堪えてくれている。人間たちは言わずもがな。すぐに倒れ、息も絶え絶えの様子。
放出した瘴気を一気にしまい込んだ。
人間たちはしばらくケホケホと咳をしながらも立ち上がる。
「……は、話とは、何だ?」
「私は全てのダンジョンを司る者。このダンジョンで魔獣を倒し、植物を採るのは構わないわ。けれど、ここで浄化を掛けることは許さない。理解したかしら?」
「ダンジョンを司る者……?」
「それと、私を攻撃すれば即ダンジョンはすぐさま崩壊する。それがどういうことか無い頭でも理解しているかしら?」
それでも弱弱しいながらも勇者は剣をこちらに向けているが、それを魔法使いが止めに入る。
「お前達がこのダンジョンに何しにきたのかは知らないし、興味もない。けれどダンジョンを崩壊させるというのならお前達をこの場で殺すわ」
私の言葉を聞いたドラゴニートとカーバンクルの目が光り、私を庇うように一歩前に出た。私の言葉一つで勇者達に攻撃するだろう。
すると聖女が立ち上がり、前に出て頭を下げた。
「ダンジョンを司る者。どうぞ怒りをお鎮め下さい。私達はダンジョンを壊すために来たのではありません。このダンジョンに生えている『奇跡の葉』が欲しいのです。どうか見逃してくれませんでしょうか」
奇跡の葉?
何かしら?
ダンジョンの奥に生えている魔植物の葉のことかしら?
「では尚更。その奇跡の葉という物は瘴気を好み、このダンジョンに生えている。聖女の浄化を掛けずに進みなさい」
「!! ありがとうございます!」
「お前達に忠告しておくわ。むやみな殺生を行うことは許されない、そのことを肝に銘じておきなさい」
「……分かりました」
これ以上ここに居ても意味はないのでそのまま転移して部屋に戻った。
「あれはまだまだやらかしそうね」
「殺しておかなくて良かったのですか?」
「興味はないし、放置でいいんじゃないかしら? どうせ魔族を殺したところで瘴気が溢れるだけだもの」
「分かりました。ウォール様がそう言うのなら」
ドラゴニートとカーバンクルが少し悔しそうにしていたが気にしない。
勇者達に釘を刺したし、とりあえずはいいかしら。私は部屋で勇者がダンジョンを出るまで様子をみることにした。
一匹のスライムを洞窟のあちこちに忍ばせて。スライムから入ってくる情報で彼らの動きは分かった。洞窟の最深部に生えている魔草を採って喜んでいるようだ。
そして私達が何者だったんだ? と倒れたことを悔しがっている様子も見えた。
……馬鹿よね。
まぁ、〆たおかげで浄化を使わずにダンジョンを出ていった勇者一行。面倒な輩だったわね。
そう思いながら私達は初心者ダンジョンに戻った。
『ウォール様、勇者達が洞窟にやってきました!』
『リザードマン、今、どういう状況かしら?』
『勇者達は洞窟の敵を倒しながら聖女が浄化をして回っています。瘴気が著しく低下していて種を蒔く事が出来ないでいます』
『……そう。分かったわ。今から向かうわ』
『わかりました!』
ダンジョンを浄化するって馬鹿じゃないのかしら?
死にたいの??
馬鹿なのかしら?
やっぱり馬鹿よね。
種達からは勇者の動向が報告されていく。彼らはまだ入り口にいるらしい。奥まで浄化されると厄介ね。
「ドラゴニート、カーバンクル、洞窟へ向かうわ。付いてきてちょうだい」
「もちろんです!」
「キュイ!」
私はドラゴニート達を連れて洞窟ダンジョンへと転移する。
はぁ……。
ダンジョンを守るためとはいえ面倒ね。
これが地上ならどれだけ魔獣を狩ろうと浄化しようと構わない。だけど、ダンジョン内でされるのは困るわ。ある程度瘴気で自動修復機能が備わっているけれど、瘴気がなければ修復出来ない。最悪、ダンジョンが崩れるわ。
時間を掛けて作ったダンジョンを壊されるのは腹立たしい。一言注意しておかなければ。
ダンジョン内の私の部屋に転移するとそこにはリザードマンを始めとした洞窟の魔族を纏める数名が立っていた。
「リザードマン、状況は?」
「ウォール様、現在勇者達は入り口から三百メートルほど進んだ場所にいます。浄化をしながら歩いているので進みは遅いです」
「そう、分かったわ。ドラゴニート、結界を張って」
「分かりました」
「ちょっと行ってくるわ」
「ハッ!」
私は一旦地上へ出て入り口から勇者達がいるという区画まで歩いていく。浄化された状況を見たいからね。
ドラゴニート達と歩いて入っていく。
ところどころに草が残っている。
どうやら浄化はかなりムラがあるみたい。
まだ聖女の浄化は君練度が低いみたいね。
いくら私が弱いとはいえ、このレベルの勇者達には負けることはないわね。
倒されている魔獣を見ていてもドラゴニート一人でも充分対処出来そうだ。
そうして確認しながら歩いていると、勇者達を見つけることが出来た。まだ若い人間のようだ。私達に気づいていない様子。
「ねぇ、貴方達、このまま進んでも死ぬだけよ?」
「!!! お前は誰だ! 敵か!?」
背後から現れた私達に気づいて戦闘態勢に入る勇者達。
「待ちなさい。私は戦いに来たわけじゃないわ。注意を促しにきたのよ?」
剣士らしき男は喧嘩っ早いのかドラゴニートに斬りかかろうとしてドランに弾かれた。魔法使いや聖女はジッと状況を確認している分、知能はあるようね。
「話を聞けと言ってもわからないのかしら? 私はこのまま貴方達を殺しても何の問題ないわ」
そう言った後、私の中の瘴気を一気に放出する。
ドラゴニートもカーバンクルも少し苦しそうだが堪えてくれている。人間たちは言わずもがな。すぐに倒れ、息も絶え絶えの様子。
放出した瘴気を一気にしまい込んだ。
人間たちはしばらくケホケホと咳をしながらも立ち上がる。
「……は、話とは、何だ?」
「私は全てのダンジョンを司る者。このダンジョンで魔獣を倒し、植物を採るのは構わないわ。けれど、ここで浄化を掛けることは許さない。理解したかしら?」
「ダンジョンを司る者……?」
「それと、私を攻撃すれば即ダンジョンはすぐさま崩壊する。それがどういうことか無い頭でも理解しているかしら?」
それでも弱弱しいながらも勇者は剣をこちらに向けているが、それを魔法使いが止めに入る。
「お前達がこのダンジョンに何しにきたのかは知らないし、興味もない。けれどダンジョンを崩壊させるというのならお前達をこの場で殺すわ」
私の言葉を聞いたドラゴニートとカーバンクルの目が光り、私を庇うように一歩前に出た。私の言葉一つで勇者達に攻撃するだろう。
すると聖女が立ち上がり、前に出て頭を下げた。
「ダンジョンを司る者。どうぞ怒りをお鎮め下さい。私達はダンジョンを壊すために来たのではありません。このダンジョンに生えている『奇跡の葉』が欲しいのです。どうか見逃してくれませんでしょうか」
奇跡の葉?
何かしら?
ダンジョンの奥に生えている魔植物の葉のことかしら?
「では尚更。その奇跡の葉という物は瘴気を好み、このダンジョンに生えている。聖女の浄化を掛けずに進みなさい」
「!! ありがとうございます!」
「お前達に忠告しておくわ。むやみな殺生を行うことは許されない、そのことを肝に銘じておきなさい」
「……分かりました」
これ以上ここに居ても意味はないのでそのまま転移して部屋に戻った。
「あれはまだまだやらかしそうね」
「殺しておかなくて良かったのですか?」
「興味はないし、放置でいいんじゃないかしら? どうせ魔族を殺したところで瘴気が溢れるだけだもの」
「分かりました。ウォール様がそう言うのなら」
ドラゴニートとカーバンクルが少し悔しそうにしていたが気にしない。
勇者達に釘を刺したし、とりあえずはいいかしら。私は部屋で勇者がダンジョンを出るまで様子をみることにした。
一匹のスライムを洞窟のあちこちに忍ばせて。スライムから入ってくる情報で彼らの動きは分かった。洞窟の最深部に生えている魔草を採って喜んでいるようだ。
そして私達が何者だったんだ? と倒れたことを悔しがっている様子も見えた。
……馬鹿よね。
まぁ、〆たおかげで浄化を使わずにダンジョンを出ていった勇者一行。面倒な輩だったわね。
そう思いながら私達は初心者ダンジョンに戻った。
119
あなたにおすすめの小説
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
クズ王子から婚約を盾に迫られ全力で逃げたら、その先には別な婚約の罠が待っていました?
gacchi(がっち)
恋愛
隣国からの留学生のリアージュは、お婆様から婚約者を探すように言われていた。リアージュとしては義妹のいない平和な学園で静かに勉強したかっただけ。それなのに、「おとなしく可愛がられるなら婚約してやろう」って…そんな王子はお断り!なんとか逃げた先で出会ったのは、ものすごい美形の公爵令息で。「俺が守ってやろうか?」1年間の婚約期間で結婚するかどうか決めることになっちゃった?恋愛初心者な令嬢と愛に飢えた令息のあまり隠しもしない攻防。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる