17 / 20
17
しおりを挟む
その後、私は変わらずダンジョンの細かな部分を作っていると、ファーストの部下から連絡が入った。
「ウォールウォール様!ただいま勇者一行が魔王城を攻めてきております!!!」
「……分かったわ。ファーストにくれぐれも注意するように伝えて」
「畏まりました」
……やはり来たのね。
「ウォールウォール様、少し休まれては?」
「ドラン……。そうね」
私は自分の部屋に入り、ソファへ足を投げ出した。
カーくんが器用にお茶を淹れてくれている。
最近初心者ダンジョンの魔木から茶葉を作れるようになったらしくこうして送ってくれるの。
私自身はダンジョンを作る仕事のため勇者の動きは把握していなかったけれど、部下達は初心者ダンジョンから得る知識で大まかな把握はしていたつもり。
そして人間の国の宰相が初心者ダンジョンにやってきて私に面会したいと言ってきたようだ。
……何かしら?
「ドラン、カーくん、国王に呼ばれたわ」
「もちろんお供します」
私は一度初心者ダンジョンに戻った後、ドランとカーくんを連れて王宮へと向かう。もちろんドランもカーくんも人間の格好に変身する。
ドランは人間でいうイケメン執事、カーくんは愛くるしい小さな男の子の格好になっている。久々に街を歩いていると人間たちは私達を見ている。
「ねぇ、ドラン。私達って変な格好をしているのかしら?」
「違うよ! ウォール様の美しさに驚いているんだよっ」
「私? 仮面を付けているのにそれはないんじゃないかしら?」
カーくんがドランの代わりに応える。
「私達からすればムロー様は女神様ですよ」
「ふふっ。二人とも、ありがとう」
三人で雑談しながら城に入る。門番は予め話が通っていたようですぐに通してくれたわ。
待ち構えていた従者の案内で謁見の間に呼ばれた私達。
あら、やはり人間の十年? という時間はかなり長いのね。
国王は白髪になっていて貫禄が出ている。隣には息子と思われる人間と宰相が立っていた。
「ムロー様、ようこそおいでくださいました」
「歳を取ったわね。次の王は彼?」
私がそう言うと、息子は頭を下げる。
「そうです。我が息子を宜しくお願いします」
「で、私に何か用?」
「勇者達一行が魔王城へ向かいました。我々としては止めることも出来ず、ただ貴女に知らせることしか出来ない。……面目ない」
「お前達が勇者を殺せば良かったのでは?」
「……殺せば国民は怒り狂い、国は成り立たなくなります」
「私の知ったことではないわ。瘴気で人間が生きていけなくなっても問題ない」
私がそう言うと人間たちの顔色は悪くなった。
「仕方がない。暴徒化しても面倒だし、今回は目をつぶる。けれど、そろそろ公表した方がいい。人々も気づき初めているのでは?」
「未だごく一部の者しか理解しておりません。民衆はまだ勇者が魔王を倒すと、瘴気が薄れると信じ切っております。聖女もまた然り」
「……そう。ここら辺で一度痛い目にあうといいわ。魔王は勇者達に倒される。人間達が気づいた頃にまた来る」
この王は理解しているようで良かったわ。
第二、第三の勇者達が生まれないようにしなければいけない。
私は仮面をしているから人間に近いように思われているけれど、ドランやカーくんの見た目は人間だけど、明らかに人間と違うのよね。
魔力なのか、雰囲気なのか?
王達人間への牽制になっているようだし、これはこれでいいのかもしれない。
私達はそのまま最難関ダンジョンに転移した。
「……はぁ、今日はもう何もしたくない気分だわ。カーくん、あとはお願い」
「わかったよっ! ウォールウォール様、ゆっくり休んでいてね」
ベッドに寝っ転がり、天井を見上げた私。
……。
ファーが死んだわ。
身体中からファーの力がうねり出しているのを抑える。
仕方がない。
面倒だけれど魔王城に行くしかない。
約束だものね。
私はパッと立ち上がり、魔王城の前まで転移した。
「ウォールウォール様!ただいま勇者一行が魔王城を攻めてきております!!!」
「……分かったわ。ファーストにくれぐれも注意するように伝えて」
「畏まりました」
……やはり来たのね。
「ウォールウォール様、少し休まれては?」
「ドラン……。そうね」
私は自分の部屋に入り、ソファへ足を投げ出した。
カーくんが器用にお茶を淹れてくれている。
最近初心者ダンジョンの魔木から茶葉を作れるようになったらしくこうして送ってくれるの。
私自身はダンジョンを作る仕事のため勇者の動きは把握していなかったけれど、部下達は初心者ダンジョンから得る知識で大まかな把握はしていたつもり。
そして人間の国の宰相が初心者ダンジョンにやってきて私に面会したいと言ってきたようだ。
……何かしら?
「ドラン、カーくん、国王に呼ばれたわ」
「もちろんお供します」
私は一度初心者ダンジョンに戻った後、ドランとカーくんを連れて王宮へと向かう。もちろんドランもカーくんも人間の格好に変身する。
ドランは人間でいうイケメン執事、カーくんは愛くるしい小さな男の子の格好になっている。久々に街を歩いていると人間たちは私達を見ている。
「ねぇ、ドラン。私達って変な格好をしているのかしら?」
「違うよ! ウォール様の美しさに驚いているんだよっ」
「私? 仮面を付けているのにそれはないんじゃないかしら?」
カーくんがドランの代わりに応える。
「私達からすればムロー様は女神様ですよ」
「ふふっ。二人とも、ありがとう」
三人で雑談しながら城に入る。門番は予め話が通っていたようですぐに通してくれたわ。
待ち構えていた従者の案内で謁見の間に呼ばれた私達。
あら、やはり人間の十年? という時間はかなり長いのね。
国王は白髪になっていて貫禄が出ている。隣には息子と思われる人間と宰相が立っていた。
「ムロー様、ようこそおいでくださいました」
「歳を取ったわね。次の王は彼?」
私がそう言うと、息子は頭を下げる。
「そうです。我が息子を宜しくお願いします」
「で、私に何か用?」
「勇者達一行が魔王城へ向かいました。我々としては止めることも出来ず、ただ貴女に知らせることしか出来ない。……面目ない」
「お前達が勇者を殺せば良かったのでは?」
「……殺せば国民は怒り狂い、国は成り立たなくなります」
「私の知ったことではないわ。瘴気で人間が生きていけなくなっても問題ない」
私がそう言うと人間たちの顔色は悪くなった。
「仕方がない。暴徒化しても面倒だし、今回は目をつぶる。けれど、そろそろ公表した方がいい。人々も気づき初めているのでは?」
「未だごく一部の者しか理解しておりません。民衆はまだ勇者が魔王を倒すと、瘴気が薄れると信じ切っております。聖女もまた然り」
「……そう。ここら辺で一度痛い目にあうといいわ。魔王は勇者達に倒される。人間達が気づいた頃にまた来る」
この王は理解しているようで良かったわ。
第二、第三の勇者達が生まれないようにしなければいけない。
私は仮面をしているから人間に近いように思われているけれど、ドランやカーくんの見た目は人間だけど、明らかに人間と違うのよね。
魔力なのか、雰囲気なのか?
王達人間への牽制になっているようだし、これはこれでいいのかもしれない。
私達はそのまま最難関ダンジョンに転移した。
「……はぁ、今日はもう何もしたくない気分だわ。カーくん、あとはお願い」
「わかったよっ! ウォールウォール様、ゆっくり休んでいてね」
ベッドに寝っ転がり、天井を見上げた私。
……。
ファーが死んだわ。
身体中からファーの力がうねり出しているのを抑える。
仕方がない。
面倒だけれど魔王城に行くしかない。
約束だものね。
私はパッと立ち上がり、魔王城の前まで転移した。
95
あなたにおすすめの小説
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
可愛らしい人
はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」
「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」
「それにあいつはひとりで生きていけるから」
女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。
けれど、
「エレナ嬢」
「なんでしょうか?」
「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」
その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。
「……いいえ」
当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。
「よければ僕と一緒に行きませんか?」
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる