上 下
46 / 56
21章

21章⑤

しおりを挟む
 濡れた手で、光希の熱い昂りを包み込む。裏筋をなぞり、先端をくるくると輪にした指で何度も上下する。くびれを通るたびに、びくびくとそれが跳ねた。

「あっ、く……ん、んん……」

 細い眉を寄せ、せり上がる快感に耐えるように、下唇をかむ。頬は紅潮し、その情炎はさきほど智弥がつけた首筋の跡をくっきりと浮かび上がらせた。
 光希を追い上げながら、もう片方の指を奥の窄まりへと伸ばす。

「あっ、や……智弥……」
「光希……」
 周辺をさわさわと撫で、ゆっくりと指を中へと押し進めていく。――火傷しそうに熱い。

「ん、く……っ」
「……痛いか?」
 ぎゅっと目を閉じて歯を食いしばるような表情に、思わず指を止める。

「ん……だいじょぶ……」
 薄く目を開けて、少しだけ微笑む。目尻に涙がたまっている。

「……無理すんなよ」
「ホントに、平気、だから……続けて」

 汗まみれの顔でにっこりと笑いかけてくる。ずくん、と腰が疼いて、智弥は指を奥へと進めた。蠢く肉壁が指を包んでいく。何度も抜き差しを繰り返し、光希の表情が少し穏やかになったところへ、指の数を増やす。

「ん……」
 関節を曲げると、しこりのようなものに当たった。

「あっ」
 光希の背中が反り返った。
「あ、や……待って、……っ」

 ――ここかな。
 教えてもらったときは、半信半疑だった。
 指先で鍵盤を叩くようにその箇所に触れる。

「やあっ、あっ、ああ……」

 光希は抑えることも忘れたかのように、欲を孕んだ声をあげた。爪が食い込むほど握った拳で顔を隠す。
 手のひらに包み込んだ光希の灼熱が破裂しそうなくらい質量を増し、どくどくと脈動する。激しく上下に扱くと、自ら擦りつけるように腰を前後に揺らして悶えた。

「あ、もう、イクっ、ああっ」

 どくん、と光希の細い体が跳ねあがり、先端から白濁の液体を放った。
 はあはあと荒い呼吸を繰り返しながら、光希が放心したような目で智弥を見上げてきた。

「光希……」
 智弥の心臓が激しく鼓動している。艶めかしいその視線に、全身を支配される。

「智弥……」
「……悪い。もう限界」

しおりを挟む

処理中です...