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渚の後悔 始まりの裏切り
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◇◇◇◇
僕の彼女は勉強もでき、人当たりも良い。なんと言っても美少女だ。学園ではアイドルのような人気がある。才色兼備とはこの人のことを言うのだろう。凡人な僕とは大違いだ。
幼なじみということもあり、小さい頃から知っている。昔から可愛かったが、段々と大きくなるにつれ、可愛さにも磨きがかかっていった。
綺麗な黒髪、豊満な胸。気品と清楚さを感じる所作。それだけでも、美しく。本当に僕の彼女になってくれて、嬉しかった。
少し馬鹿なことをやると、恥ずかしそうに笑う彼女の姿が愛おしく、むず痒い。
学園も終わり、今も彼女、高梨渚。渚ちゃんと帰っている。渚ちゃんは歩くだけで注目されて、僕はもう男連中の視線にも慣れ……てはきませんね。早く胸を張って渚ちゃんの横に立てる男にならなくてはと思うが、それはいつになることやら。僕は、当分先だなと、ガックリと肩を落とした。
「最近、放課後遊んでないよね。久しぶりに遊びに行こうか。大丈夫! 僕、軍資金が入ったんだ。全部奢るよ! そうだ! 新しく出来たクレープ屋さんに行きたいって言ってたよね! そこに行こ」
「……ごめん、ね。今日は用事があるの」
渚ちゃんは少し困ったように笑う。そのぎこちない笑顔に引っかかった。最近はこういう笑顔が多くなってきた。受験も近いし、心労だろうと察して深くは聞かない。
「そう。用事も大変そうなら僕に言って、僕じゃ力になれないかもしれないけど」
「ううん、ありがとう。でももう少し、ほんとにもう少しで終わるから」
「その用事が終わったらクレープ屋に行こ」
「うん。うん。うん」
渚ちゃんは両手を握りしめて、「うん」と、こだまするように呟く。駅の前に着いた。
最近はこの駅の前で別れることがほとんどだ。
「今日もここで?」
「用事があるから」
「そ、そうか。えっと、大変だったら気を遣わずに言って、何処へでも、何をやってても行くから!」
僕の言葉で渚ちゃんは泣きそうな顔になった。なんでそんな顔に。
「渚ちゃ……」
名前を呼んでいる最中に唇を、渚ちゃんの唇で塞がれてしまった。僕はビックリしてその場で固まってしまった。僕のファーストキス。ファーストキスはストロベリーの味とか、レモン味とか言うけれど、そんなの分からなかった。
ずっと唇の柔らかい感触が残っていて、ぷはっ、と、唇を離すと、顔を赤くして照れたように笑う渚ちゃんは凄く可愛かった。
渚ちゃんはこんな人前で、しかも駅前で、キスをするような子じゃなかった。でも僕の心臓は高鳴り、正直に言うと、嬉しかったのは言うまでもない。
「これで私は大丈夫」
渚ちゃんは惚けている僕を置いて、「明日学園でね」と、言葉を残し、駅と反対方向に行ってしまった。
電車のプルルルという発進音が聞こえて、正気に戻った。幸せな時間だったと、手で唇を抑えると、渚ちゃんの甘い匂いと、微かにタバコの匂いと苦味が混ざっているような気がした。
すると路上喫煙の煙を吸い込んで、ゴホゴホと咳き込んだ。初めてのファーストキスをタバコの味にした喫煙者を後ろから睨んでおく。
電車に乗り、家に着くと、ポストに無地のDVDが入っていた。「彼氏君へ」と、書かれている。
「これなんだ?」
ぞわりと、鳥肌が立つのがわかった。何故かそれを見たら、何もかもが終わるような予感めいた物があった。
玄関を開けて、すぐに階段を上がる。
「お兄ちゃん、今日ママとパパ、仕事で遅くなるって~。ご飯はニナが作ります!」
「あぁ、僕はご飯いらないから、一人で食べてて」
「わかった~。そしたら今日は出前でも食べよかな~」
リビングにいる妹にご飯の用意はいらないと伝えて、部屋にこもる。
パソコンを起動して、無地のDVDを入れた。『一日目』と書かれたタイトルをクリックし、再生ボタンを押す。
そこには渚ちゃんと、金髪の男が映っていた。その男は知っている。学園でも有名な三年の不良だ。
なぜ渚ちゃんと一緒にいるのか。
「なんで撮ってるの!? 約束と違う!」
「俺と教室でキスした写真を消して欲しいんじゃないの?」
「消して欲しいに決まっているじゃない! 無理矢理したくせに」
二人ともベッドに座っている。ここは何処だ。ホテル?
「彼氏君に見せるよ~って言ったら、まんまとここまで着いてきて、警戒心がないんじゃない」
「知らないよ!」
「まぁこの映像も俺のコレクションだから、表に出ることは無いし……約束を守ってもらえればだけどね」
約束ってなんだ。
「一晩俺の言うことを何でも聞く。って言ったよね」
「でもそっちだって約束は守ってよ」
「あぁ、挿入は絶対やらない」
ニタニタしている金髪の男に殺意が湧いた。
僕の彼女は勉強もでき、人当たりも良い。なんと言っても美少女だ。学園ではアイドルのような人気がある。才色兼備とはこの人のことを言うのだろう。凡人な僕とは大違いだ。
幼なじみということもあり、小さい頃から知っている。昔から可愛かったが、段々と大きくなるにつれ、可愛さにも磨きがかかっていった。
綺麗な黒髪、豊満な胸。気品と清楚さを感じる所作。それだけでも、美しく。本当に僕の彼女になってくれて、嬉しかった。
少し馬鹿なことをやると、恥ずかしそうに笑う彼女の姿が愛おしく、むず痒い。
学園も終わり、今も彼女、高梨渚。渚ちゃんと帰っている。渚ちゃんは歩くだけで注目されて、僕はもう男連中の視線にも慣れ……てはきませんね。早く胸を張って渚ちゃんの横に立てる男にならなくてはと思うが、それはいつになることやら。僕は、当分先だなと、ガックリと肩を落とした。
「最近、放課後遊んでないよね。久しぶりに遊びに行こうか。大丈夫! 僕、軍資金が入ったんだ。全部奢るよ! そうだ! 新しく出来たクレープ屋さんに行きたいって言ってたよね! そこに行こ」
「……ごめん、ね。今日は用事があるの」
渚ちゃんは少し困ったように笑う。そのぎこちない笑顔に引っかかった。最近はこういう笑顔が多くなってきた。受験も近いし、心労だろうと察して深くは聞かない。
「そう。用事も大変そうなら僕に言って、僕じゃ力になれないかもしれないけど」
「ううん、ありがとう。でももう少し、ほんとにもう少しで終わるから」
「その用事が終わったらクレープ屋に行こ」
「うん。うん。うん」
渚ちゃんは両手を握りしめて、「うん」と、こだまするように呟く。駅の前に着いた。
最近はこの駅の前で別れることがほとんどだ。
「今日もここで?」
「用事があるから」
「そ、そうか。えっと、大変だったら気を遣わずに言って、何処へでも、何をやってても行くから!」
僕の言葉で渚ちゃんは泣きそうな顔になった。なんでそんな顔に。
「渚ちゃ……」
名前を呼んでいる最中に唇を、渚ちゃんの唇で塞がれてしまった。僕はビックリしてその場で固まってしまった。僕のファーストキス。ファーストキスはストロベリーの味とか、レモン味とか言うけれど、そんなの分からなかった。
ずっと唇の柔らかい感触が残っていて、ぷはっ、と、唇を離すと、顔を赤くして照れたように笑う渚ちゃんは凄く可愛かった。
渚ちゃんはこんな人前で、しかも駅前で、キスをするような子じゃなかった。でも僕の心臓は高鳴り、正直に言うと、嬉しかったのは言うまでもない。
「これで私は大丈夫」
渚ちゃんは惚けている僕を置いて、「明日学園でね」と、言葉を残し、駅と反対方向に行ってしまった。
電車のプルルルという発進音が聞こえて、正気に戻った。幸せな時間だったと、手で唇を抑えると、渚ちゃんの甘い匂いと、微かにタバコの匂いと苦味が混ざっているような気がした。
すると路上喫煙の煙を吸い込んで、ゴホゴホと咳き込んだ。初めてのファーストキスをタバコの味にした喫煙者を後ろから睨んでおく。
電車に乗り、家に着くと、ポストに無地のDVDが入っていた。「彼氏君へ」と、書かれている。
「これなんだ?」
ぞわりと、鳥肌が立つのがわかった。何故かそれを見たら、何もかもが終わるような予感めいた物があった。
玄関を開けて、すぐに階段を上がる。
「お兄ちゃん、今日ママとパパ、仕事で遅くなるって~。ご飯はニナが作ります!」
「あぁ、僕はご飯いらないから、一人で食べてて」
「わかった~。そしたら今日は出前でも食べよかな~」
リビングにいる妹にご飯の用意はいらないと伝えて、部屋にこもる。
パソコンを起動して、無地のDVDを入れた。『一日目』と書かれたタイトルをクリックし、再生ボタンを押す。
そこには渚ちゃんと、金髪の男が映っていた。その男は知っている。学園でも有名な三年の不良だ。
なぜ渚ちゃんと一緒にいるのか。
「なんで撮ってるの!? 約束と違う!」
「俺と教室でキスした写真を消して欲しいんじゃないの?」
「消して欲しいに決まっているじゃない! 無理矢理したくせに」
二人ともベッドに座っている。ここは何処だ。ホテル?
「彼氏君に見せるよ~って言ったら、まんまとここまで着いてきて、警戒心がないんじゃない」
「知らないよ!」
「まぁこの映像も俺のコレクションだから、表に出ることは無いし……約束を守ってもらえればだけどね」
約束ってなんだ。
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