天才な妹と最強な元勇者

くらげさん

文字の大きさ
14 / 201

ラグナロク

しおりを挟む




 昨日は色々あったが今日から魔力テストだ。

 なにをやるかは簡単だ、魔力を測定して魔力量がトップ順にクジを引く。そして全学年トーナメントだ。

 十二才の俺たちが一年生。この学園には四年通うことになる。

 魔力測定器は【99999】しか計れないからな。

 質も見た目では判断しにくいし応用力も計れないからもういっそトーナメントにして順位が良い奴から良い点あげようぜ! ってことだ。

 完全実力主義のテストってことだな。

 もし筆記で最強かを決めるなら優秀のガリ勉君がそれに当てはまるだろう。

 だが国の外は溢れかえった魔物を討伐したり、盗賊との戦闘、国同士の戦争、ガリ勉君には荷が重い。

 だから全学年トーナメントで力を決めるのだ。

 別に学年別トーナメントでもいいと思うが全学年トーナメントを行うのには理由がある。

 天才達が集まる学園は他にもある。

 光の勇者になることを目標にしているミリテリオン魔術学園。

 反発の勇者になることを目標にしているネーズアベル魔術学園。

 闇の勇者になることを目標にしているダークシャドーズ。

 精霊の勇者になることを目標にしているフェアリーパラダイス。

 異なる力、邪神のような力を手に入れることを目標にしているスーリフォム魔術学園。

 そして剣の勇者を目標にしているフィーリオン剣士学園。

 六校の学園が最強を決めるためのトーナメント。

 そのトーナメントはラグナロクと言われどの学園も自分達の最強をかけて試合が行われる。

 このラグナロクに出るための魔力テストは言わば予選会という事だろう。

 魔力テストでの上位十名と推薦枠の一名がこのラグナロクに出ることになる。

 年に二度行われるラグナロクではフィーリオン剣士学園は最下位だ。

 前のラグナロクではミミリア含む天才達が出たらしいが結果は一回戦で手も足も出ずに敗北。

 そうラグナロクは天才達が食われる化物の巣窟なのだ。

 

 だからなんだよ。


 入学式でも使われた武道館で魔力測定が行われた。

 俺はもちろん魔力測定最下位で魔力テストの最後のクジを引いた。

 全校生徒が椅子に座り、魔力テストのルール説明とラグナロクのトーナメントでは毎度勝てないと先生達の話を長々と聴かせられてうんざりしていた。


 剣の勇者様が見たら失望されるぞと剣の勇者ファンな先生達が言うとミントが俺の方をチラチラと見るが気にしない。俺が教えてる訳じゃないしな。

 リリアは全校生徒中トップの魔力量だった。



 やっと先生達の話が終わり解放された。

 先生達の話が長すぎて魔力テストをする程の時間はないということで今日一日は休みという事になり、明日に備え休養も兼ねての外出許可が降りている。



 俺は校門のところに置いてある名簿に名前を書き。

「準備できたか? 行くぞ」

「待ってよ~お兄ちゃん」

 何故かリリアは色々と校門の所で面倒な手続きをやらされていた。期待されている特待生だからな。

 えっ? 俺? 名前を書くだけで全部スルーです。

 期待されている者と期待されていない者の違いだな。

 自慢の妹だからな! 当たり前だ!

 もう入場の魔力測定を俺はしなくていいらしい。

 なぜならリリアの願いで入学した扱いだからな。

 精霊神に来て貰ったけど完全に……まぁ、俺に会えて嬉しかったって言ってたし、いいか!

 でもアカメがホイホイと他の精霊神に言ってないよな? アイツ嘘つくの下手だからな俺はちゃんと口止めしたよな。





 そのころ精霊界では。

「ユウ君、また、遊びに、行くからね~」

 気持ちよく寝言を言っているアカメに近寄る者が一人。

「アカメ! 起きなさい!」

 ビクッ! とアカメが身体を起こすと。

「えっ! アオイちゃん? 何かな~? 私に何かようかな~」

 そこに居たのは水の精霊神で青い透き通る長い髪に青い瞳、胸は……そしてスレンダーな美女だ。

 水色のワンピースから覗く肌は白く清楚の雰囲気はすこし近寄り難い。

 あえてスレンダーしか言わないのわ、察してくれ。

「アカメ、まさかユウ様に会ったのですか?」

「ユウ君とは会ってないよ! 絶対、絶対、呼ばれてないからね」

 アカメは手を前に出して大袈裟に振る。

「へー、ユウ君ね」

「あっ!」

 アカメは自分から間違いに気づいた。

「アカメは確かあんな奴、主様でもなんでもないから契約は破棄よ! 違う主様に仕えてやる! って言ってなかった?」

「そ、そうよ! あんな奴! あんな奴なんか! 私達になに言わずに! な、なにも言わずに……うぇーん」

 アカメがクレスをバカにした罪悪感に泣き出す。

「毎回、主様をバカにして泣くなら最初から言わなければいいのに」

「ヒグッ! ヒグッ! アオイちゃんが言わせるから~」

「ところでユウ様と久しぶりに会った感想は?」

「前と変わらなかったよ、素っ気ないけど優しいの」

「そうですか、じゃあ何で私達には教えてくれなかったんですか?」

「あっ!」

 アカメはやっと自分がペラペラ喋っていたことに、気づいてしまった。

「な、なんでわかったの」

「簡単ですよ、人間界に精霊神が降りたんですよ。しかも精霊神は皆んなユウ様が居なくなられた後もユウ様のことを契約者と呼んでいます。そんな精霊神が人間界に降りる理由なんて一つしかありません」

「アオイちゃんにはやっぱり隠し事は無理だね」

 アオイがアカメに真剣な眼差しを送る

「あとユウ様が居るなら一つ頼み事をしないとユウ様なら解決してくれるはずですから」

「うん、あの事だね。ユウ君なら聴いてくれるよ! 一度も私達の願いを断ったことないもん」

「そうですね」

 二人が少し暗い顔になる。

「捕らわれたシロちゃんとクロちゃんの救出」

「はい、あの二人を強制的に従わせるなんて邪神の欠片を使ったという所までは調べたのですが。邪神の欠片を使ったとしても精霊神を従わせるなんて効果はありません」

「そうだよね、邪神の欠片じゃ……いや昔あったじゃん、精霊の鎖ってヤツ! 邪神の欠片と合わせて精霊の力を一時的に無くすヤツだよ。ユウ君が精霊界に来る前にミドリちゃんとアオイちゃんが精霊の鎖に捕まってた時にユウ君が颯爽と助けてくれたんだよね」

 邪神の欠片は魔族の血を集めた物だ。魔族の血を集めて結晶化すると邪神の欠片となる。

 邪神の欠片は魔力量が底上げ出来ない世界で持ってるだけで魔力量が底上げできるアイテムだ。

 歴史を遡るとその邪神の欠片を欲した人族が魔族の乱獲により魔族は戦争を起こしたといわれている。

 今では禁忌のアイテムだ。

「いえ、あれは……はい、かっこよかったです」

 アオイの頬が朱に染まる。

「それは皆んなユウ様が精霊界に来る前のエピソードがあるじゃないですか! でもユウ様はその事を忘れられていましたけど」

「そうだよね~、覚えてる? って言ったら」


『あ~、あれだよね、うん、あれだ! そうに違いない! すいません、何処かで会いましたっけ? 精霊神と会うなんて滅多に出来ないと思うんだけどな』


「だよね~」


「話を戻すと精霊の鎖と邪神の欠片、両方同時に使ったんじゃないかと思います」

「邪神の欠片と精霊の鎖で精霊神を引っ張り出して無理矢理の強制契約」

 精霊との圧倒的な差があれば術者は強制的に従わせることができる。

「私達が助けに行ってもその二つが有る限りどうしようもありませんし」

「シロちゃんもクロちゃんも何で人間界に降りたんだろう?」

「行く前にユウ様の魔力を感じると二人が言っていましたよ。そして探してる途中に捕らわれた可能性が高いです」

「シロちゃんとクロちゃんは魔力感知能力が高いからね」

 アカメが魔法でフィーリオンを写し出す。

「でも大丈夫だよ、ユウ君がいるもん! 何もない所からの魔力感知は二人には負けるけど、何処にいるか分かれば魔力感知なんて簡単だよ」

「精霊神は皆んな貴方のことを待ってたんですよ」

 そしてフィーリオンの街中にいるクレスにズームされていく。


『剣の勇者様』


 アオイが呟いた。

 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

処理中です...