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ラグナロク
しおりを挟む昨日は色々あったが今日から魔力テストだ。
なにをやるかは簡単だ、魔力を測定して魔力量がトップ順にクジを引く。そして全学年トーナメントだ。
十二才の俺たちが一年生。この学園には四年通うことになる。
魔力測定器は【99999】しか計れないからな。
質も見た目では判断しにくいし応用力も計れないからもういっそトーナメントにして順位が良い奴から良い点あげようぜ! ってことだ。
完全実力主義のテストってことだな。
もし筆記で最強かを決めるなら優秀のガリ勉君がそれに当てはまるだろう。
だが国の外は溢れかえった魔物を討伐したり、盗賊との戦闘、国同士の戦争、ガリ勉君には荷が重い。
だから全学年トーナメントで力を決めるのだ。
別に学年別トーナメントでもいいと思うが全学年トーナメントを行うのには理由がある。
天才達が集まる学園は他にもある。
光の勇者になることを目標にしているミリテリオン魔術学園。
反発の勇者になることを目標にしているネーズアベル魔術学園。
闇の勇者になることを目標にしているダークシャドーズ。
精霊の勇者になることを目標にしているフェアリーパラダイス。
異なる力、邪神のような力を手に入れることを目標にしているスーリフォム魔術学園。
そして剣の勇者を目標にしているフィーリオン剣士学園。
六校の学園が最強を決めるためのトーナメント。
そのトーナメントはラグナロクと言われどの学園も自分達の最強をかけて試合が行われる。
このラグナロクに出るための魔力テストは言わば予選会という事だろう。
魔力テストでの上位十名と推薦枠の一名がこのラグナロクに出ることになる。
年に二度行われるラグナロクではフィーリオン剣士学園は最下位だ。
前のラグナロクではミミリア含む天才達が出たらしいが結果は一回戦で手も足も出ずに敗北。
そうラグナロクは天才達が食われる化物の巣窟なのだ。
だからなんだよ。
入学式でも使われた武道館で魔力測定が行われた。
俺はもちろん魔力測定最下位で魔力テストの最後のクジを引いた。
全校生徒が椅子に座り、魔力テストのルール説明とラグナロクのトーナメントでは毎度勝てないと先生達の話を長々と聴かせられてうんざりしていた。
剣の勇者様が見たら失望されるぞと剣の勇者ファンな先生達が言うとミントが俺の方をチラチラと見るが気にしない。俺が教えてる訳じゃないしな。
リリアは全校生徒中トップの魔力量だった。
やっと先生達の話が終わり解放された。
先生達の話が長すぎて魔力テストをする程の時間はないということで今日一日は休みという事になり、明日に備え休養も兼ねての外出許可が降りている。
俺は校門のところに置いてある名簿に名前を書き。
「準備できたか? 行くぞ」
「待ってよ~お兄ちゃん」
何故かリリアは色々と校門の所で面倒な手続きをやらされていた。期待されている特待生だからな。
えっ? 俺? 名前を書くだけで全部スルーです。
期待されている者と期待されていない者の違いだな。
自慢の妹だからな! 当たり前だ!
もう入場の魔力測定を俺はしなくていいらしい。
なぜならリリアの願いで入学した扱いだからな。
精霊神に来て貰ったけど完全に……まぁ、俺に会えて嬉しかったって言ってたし、いいか!
でもアカメがホイホイと他の精霊神に言ってないよな? アイツ嘘つくの下手だからな俺はちゃんと口止めしたよな。
そのころ精霊界では。
「ユウ君、また、遊びに、行くからね~」
気持ちよく寝言を言っているアカメに近寄る者が一人。
「アカメ! 起きなさい!」
ビクッ! とアカメが身体を起こすと。
「えっ! アオイちゃん? 何かな~? 私に何かようかな~」
そこに居たのは水の精霊神で青い透き通る長い髪に青い瞳、胸は……そしてスレンダーな美女だ。
水色のワンピースから覗く肌は白く清楚の雰囲気はすこし近寄り難い。
あえてスレンダーしか言わないのわ、察してくれ。
「アカメ、まさかユウ様に会ったのですか?」
「ユウ君とは会ってないよ! 絶対、絶対、呼ばれてないからね」
アカメは手を前に出して大袈裟に振る。
「へー、ユウ君ね」
「あっ!」
アカメは自分から間違いに気づいた。
「アカメは確かあんな奴、主様でもなんでもないから契約は破棄よ! 違う主様に仕えてやる! って言ってなかった?」
「そ、そうよ! あんな奴! あんな奴なんか! 私達になに言わずに! な、なにも言わずに……うぇーん」
アカメがクレスをバカにした罪悪感に泣き出す。
「毎回、主様をバカにして泣くなら最初から言わなければいいのに」
「ヒグッ! ヒグッ! アオイちゃんが言わせるから~」
「ところでユウ様と久しぶりに会った感想は?」
「前と変わらなかったよ、素っ気ないけど優しいの」
「そうですか、じゃあ何で私達には教えてくれなかったんですか?」
「あっ!」
アカメはやっと自分がペラペラ喋っていたことに、気づいてしまった。
「な、なんでわかったの」
「簡単ですよ、人間界に精霊神が降りたんですよ。しかも精霊神は皆んなユウ様が居なくなられた後もユウ様のことを契約者と呼んでいます。そんな精霊神が人間界に降りる理由なんて一つしかありません」
「アオイちゃんにはやっぱり隠し事は無理だね」
アオイがアカメに真剣な眼差しを送る
「あとユウ様が居るなら一つ頼み事をしないとユウ様なら解決してくれるはずですから」
「うん、あの事だね。ユウ君なら聴いてくれるよ! 一度も私達の願いを断ったことないもん」
「そうですね」
二人が少し暗い顔になる。
「捕らわれたシロちゃんとクロちゃんの救出」
「はい、あの二人を強制的に従わせるなんて邪神の欠片を使ったという所までは調べたのですが。邪神の欠片を使ったとしても精霊神を従わせるなんて効果はありません」
「そうだよね、邪神の欠片じゃ……いや昔あったじゃん、精霊の鎖ってヤツ! 邪神の欠片と合わせて精霊の力を一時的に無くすヤツだよ。ユウ君が精霊界に来る前にミドリちゃんとアオイちゃんが精霊の鎖に捕まってた時にユウ君が颯爽と助けてくれたんだよね」
邪神の欠片は魔族の血を集めた物だ。魔族の血を集めて結晶化すると邪神の欠片となる。
邪神の欠片は魔力量が底上げ出来ない世界で持ってるだけで魔力量が底上げできるアイテムだ。
歴史を遡るとその邪神の欠片を欲した人族が魔族の乱獲により魔族は戦争を起こしたといわれている。
今では禁忌のアイテムだ。
「いえ、あれは……はい、かっこよかったです」
アオイの頬が朱に染まる。
「それは皆んなユウ様が精霊界に来る前のエピソードがあるじゃないですか! でもユウ様はその事を忘れられていましたけど」
「そうだよね~、覚えてる? って言ったら」
『あ~、あれだよね、うん、あれだ! そうに違いない! すいません、何処かで会いましたっけ? 精霊神と会うなんて滅多に出来ないと思うんだけどな』
「だよね~」
「話を戻すと精霊の鎖と邪神の欠片、両方同時に使ったんじゃないかと思います」
「邪神の欠片と精霊の鎖で精霊神を引っ張り出して無理矢理の強制契約」
精霊との圧倒的な差があれば術者は強制的に従わせることができる。
「私達が助けに行ってもその二つが有る限りどうしようもありませんし」
「シロちゃんもクロちゃんも何で人間界に降りたんだろう?」
「行く前にユウ様の魔力を感じると二人が言っていましたよ。そして探してる途中に捕らわれた可能性が高いです」
「シロちゃんとクロちゃんは魔力感知能力が高いからね」
アカメが魔法でフィーリオンを写し出す。
「でも大丈夫だよ、ユウ君がいるもん! 何もない所からの魔力感知は二人には負けるけど、何処にいるか分かれば魔力感知なんて簡単だよ」
「精霊神は皆んな貴方のことを待ってたんですよ」
そしてフィーリオンの街中にいるクレスにズームされていく。
『剣の勇者様』
アオイが呟いた。
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