天才な妹と最強な元勇者

くらげさん

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馴染めない平穏

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 朝、目覚まし時計の音で目が覚める。

『ねむ、学校行かないとな』

 平凡なりにも遅刻なんてしたことがない。

 遅刻したらもう休むし。

 授業中にみんなの視線を浴びながら席につくなんて俺の平凡な精神力では無理だ。



 俺は眠気眼を擦りながら下に続く階段を下りる。

 もちろん制服に着替えてだ。

 良い匂いがしてきた。

 朝飯の匂いだ。

「あら、おはよう」

 母のいつも聞いていた当たり前な挨拶がなんだか懐かしいように感じて涙が出そうになった。

「どうしたの?」

 母が突然にうつむいた俺を心配して声をかけてきた。

「なん、でもない、ちょっと眠いだけ」




 朝飯を終えると学校に向かうために家の玄関を開ける。

「ユウちゃん、いってらっしゃい」

 ごく当たり前な事が大事に感じた俺は挨拶を返す。

「母さん、行ってきます」

 いつもはしない挨拶をされた母は少しびっくりした顔をして。

「行ってらっしゃい」

 ニコリと笑い再度俺に送りの言葉をかけてくる。





 キーン、コーン、カーン、コーン。

 授業が始まる。

 俺は暇潰しに自分の事について考える。

 俺は人付き合いは得意な方じゃなく友達は普通にいるが普通に過ごす、目立つ才能もない。

 部活動も入ってない帰宅部。

 顔はまぁそこそこなんじゃないか? イケメン貴族よりは断然下だが。

 イケメン貴族? ふと思った自分のプロフィール紹介に違和感を覚える。

 まぁいいか。

 
 教室の窓を開けるとそこから入ってくる風が頬を撫でる。

 気持ち良い。

 この平和な環境をずっと願っていたような気がする。

 一番後ろの左の席に俺は座っている。

 このクラスはテストの順位で席を好きに選べるのに平凡な成績の俺に特等席が来るとはついてたな。

 頭が良い奴、目が悪い奴は前の席を取る奴が多い、理由はそれだけじゃない。

 このクラスにいたっては理由は一つしかないがな。

 才色兼備というのだろうか? 頭が良く、スポーツ万能、顔もスタイルも性格も全てがバーフェクトな人物がクラスの真ん中の席を選んだから男子からも女子からも人気があるソイツの周りを皆んな選びたがる。

 ソイツは水島心音みずしまここね、性格は凛としていて、だけど近寄りがたいという訳じゃなく、優しい口調で誰からも頼りにされ、スポーツではどこの部からも助っ人してほしいと頼まれる程なんでも出来るらしい。成績はエリート大学の試験も満点回答を出す程だ。

 スタイルもスレンダーなのに胸もあり、他校の男子、女子? からも告白されるという程に人気があるそうだ。

 神様は不公平だなとか思ってしまうよな。

 だけどソイツのおかげで俺は特等席をゲットしたというわけです。

 長々と席をゲットしたという話を脳内で繰り広げている俺は痛い奴だな!

 心配ない、顔には出してない。

『……』

 俺はミズシマがいる席を見る。

 視線を感じたからだ。

 そんな訳ないよな、平凡な俺をミズシマが見るなんておかしな話だ。




 体育の授業。

 男女混合のサッカーだ。

 俺は思う、なんで混合? と。

 すぐさま試合が行われた。

「沖田!」

「沖田、いけ!」

「沖田」

 俺にパスが集まる。

 そりゃそうだろ、相手チームは仕組まれたかどうか知らないがミズシマチームだ。

 そして運動部の男子がほとんどで女子はベンチから応援。

 ガチな相手チーム対真面目に混合チーム、もう結果が見えてる。

 負け確定だがミズシマに悪い姿は見せたくないと無難な答えが全員が俺にパス。

 さすがに俺が出したパスを全てリターンされたら誰でも気づくだろ。

 サッカーは一人でする物じゃないとか知らないのか俺のチームの奴等は。

 しょうがなく俺はドリブル突破をすることにする。

 一人また一人と抜いて行く。

 コイツら弱くないか?

「沖田くん、抜かせないわよ」

 ミズシマは俺の名前まで知ってるのか? 話したことないのに。


『手加減してやるからかかってこいよ』

 俺はボールに右足を置き、ミズシマを煽る。

 ミズシマは驚き、周りからは殺気が飛んでくる。

 ごめん俺も驚いたわ!

 だが何故か口から出ても違和感が全然なかった。


 ミズシマは俺のボールを取ろうとしてくるが。

 サッカーそんなに上手くなかったはずの俺が全てかわし抜き去る。

「えっ!」

 ゴールの端を狙いながらシュート。

 ボンッ! と大砲のような音が響くとギュルルとあり得ない回転がボールにかかり、ゴールネットをぶち破りながらボールは壁に打ち付けられ破裂した。


 クラスの奴等が一斉に驚く。

 うんわかるよその気持ち。

 だって俺が今一番驚いてるから!


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