79 / 201
血の契約
しおりを挟む「王子はどこだ!」
メディアル王国の城で大声を出すトウマ。
「誰だ貴様!」
兵士達が続々と集まって来た。
「俺を知らないだと? 勇者トウマだ、王子に話があってきた!」
「勇者トウマ様……」
兵士達は片膝をつき頭を下げる。
「王子に会わせろ」
「ハッ!」
兵士達は勇者トウマに返事をすると案内をする。
「何事じゃ」
トウマが案内された部屋には既に王と王子がいた。
「俺はトウマだ、お前の息子に用事があってきた」
「なんじゃと、儂の息子に?」
トウマは王子を指差しながら。
「お前、リリアに何をした?」
「チッ!」
舌打ちをしデップリとした腹を擦りながら王子が玉座に座る王の横からノソノソと出てくる。
「リリア・フィールドの男か」
「何をしたと聞いてるんだ!」
トウマの殺気にたじろぐ王子が懐をまさぐると小瓶を取り出す。
「それは!」
王が王子の持つ小瓶を見ると目を見開く。
「そうだ! これがあるかぎり僕は無敵だ!」
「お、お前、それが何かを分かっているのか!」
王が王子に向かって叫ぶ。
「知ってるさ、闇の勇者が禁忌指定したという不治の病が詰められた瓶だ」
「闇の勇者が禁忌指定した瓶? それが魔王フィオスの闇魔法が封じられた瓶だというのか?」
魔王フィオスは闇の勇者が倒した魔王だ。
「リリアは一生目覚めない、もし目覚めるとしたら闇の勇者が揃えたという神話にしか出てこない蛇王竜の鱗や精霊の泉の水、黄金の洞窟にある金草、まだあるがそれを全て集めるんだな」
「お前を殺してやる」
トウマは王子の前で腰にかけてる鞘から剣を抜く。
『グラビエール』
王子が呟く。
するとトウマに重力の枷がつく。
「それか、それでリリアを」
王子にトウマは剣を振りかぶる。
「なぜ動ける!」
「リリアは言ってたよ」
『国の人達は皆んな家族なの、だから私が精一杯守ってあげなきゃ』
「お前みたいなクズがそんな魔法で本当にリリアを拘束出来ると思っていたのか! 最後までリリアは国の人は酷いことはしないと、優しい人達ばっかりだと、信じていたんじゃないのか!」
剣を握る拳に力が入る。
「頭がお花畑の発想だろ、笑っちゃうよな……だけどな、お前みたいなクズがそれを邪魔していい理想じゃねぇんだよ!」
王子の持つ小瓶を斬る。
「こ、こんな事で僕は王子なんだぞ」
その小瓶から闇の魔法が漏れ出てくると王子を覆うように広がっていく。
「嗅がせるだけで強力な闇魔法だ、それを直に浴びれば普通に死ぬより苦しいだろうな」
王子は膝をつき苦しみ出す。
「た、助けてくれ! 何でもする、欲しい物は何でも手にいれる!」
「じゃあ蛇王竜の鱗でも持ってきてくれよ」
「そ、それは! ぐわぁぁぁぁ!」
王子は苦痛の声を上げながら黒い塵になり消えていった。
「王、お前の罪も重いぞ」
トウマは一言、言い残すとその場を後にする。
「わかっておる、リリア・フィールドはこの国の剣聖、その命は王よりも重い。バカ息子は大変な事をしてしまったようじゃな」
「クソ! どうやって助ける、フィオスの闇魔法だと……たしか制限時間は一週間だったはず」
一週間を過ぎると王子のように全身に闇魔法が浸透して黒い塵になる。
「リリアが倒れて何日が経過してるんだ? 魔法無効化のチートなんか持ってねぇよ……アイツなら!」
トウマは一筋の願いを込めてメディアル王国を出て、邪神がいた廃墟になった城に行く。
「邪神! 頼みがあるんだ」
邪神の城についたトウマは叫ぶ。
『我になんのようじゃ? また殺しに来たという訳じゃないのだろう』
闇が渦巻き半透明で姿を現す邪神。
「頼む、フィオスの魔法を消したいんだ」
『また懐かしい名前を出してきたな、フィオスか、だが何処にもフィオスの魔法の気配はないが?』
「俺じゃない……」
邪神は嘲笑う。
『そうか、好きな娘にフィオスの魔法がかかったのか』
「そうだ」
トウマは歯軋りをしながら邪神の声に返答する。
『ならば契約じゃ、その娘の周りの人族をお前の手で殺せ!』
「なっ!」
『出来ぬのならそれまでじゃ』
リリアの大切な者をトウマの手で殺せという邪神。
「他にはないのか」
『ないな、どうせ血が必要なのじゃ』
愛する人の為ならトウマは手段を選べない。
「わか、った、リリアを助ける為なら」
リリアが望まないのはわかっている、嫌われてでもリリアを助けたいとトウマは願う。
『契約じゃ、代価はフィオスの魔法を消す』
「契約だ、代価は人族の血」
トウマの中に邪神が入る。
『面白くなりそうじゃな』
邪神は楽しそうに笑った。
0
あなたにおすすめの小説
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる