82 / 201
記憶
しおりを挟む告白に応えてくれたリリアに話した。
全てを。
「じゃあ私を助ける為に……みんな」
全てを聞き終わったリリアが口を開ける。
「死んじゃったの」
トウマは無言。
「ねぇ、なんとか言ってよ! ねぇ」
大粒の涙を流すリリアにトウマは言葉を交わすことが出来なかった。
突如リリアの様子が激変する。
「あは、ははは、ははは」
狂ったように笑いだすリリア。
『まずい、その娘を殺せ!』
邪心がトウマの中から語りかける。
『どうした』
「ハハハ」
リリアの魔力が膨大に膨れ上がる。
『魂が安定していない、殺すのじゃ』
『俺にリリアを殺せと!』
『心が壊れる前に殺さないと生き返らせることが出来ないぞ』
トウマは落ちた剣を拾う。
このままでは魔力暴走でリリアが死ぬ。
「ごめん」
トウマはリリアを剣で貫く。
「ごめん」
トウマは何度も謝罪する。
するとリリアはトウマを抱き寄せる。
『もう誰も殺さないで』
リリアの最後の言葉がトウマの心に深々と突き刺さる。
トウマはとうとう大切な人の命まで奪ってしまった。
『デスキャンセル』
剣を引き抜くと能力を発動する。
剣を捨て寝息をたてるリリアを両手で抱える。
「邪神、俺達が安心して暮らせるようにするにはどうしたらいい?」
「圧倒的な力じゃな」
「それを俺にくれ」
「いいじゃろう」
『代価は圧倒的な力』
『代価は下僕の心』
契約が完了すると。
黒だった瞳が虹色に変化する。
「はは、ハハハ」
「気分はどうだ?」
『あぁ、サイコーの気分だ!』
トウマは心も奪われた。
「長々と聞いてやったが……だから?」
クレスは邪神に問いただす。
「その心の隙間にずっと我がいたということじゃ」
「弱味とかよくわからなかったんだが?」
「弱味は契約を破棄すると我との契約を全てを無くす事じゃな」
「という事は今までコイツは別次元のリリアを守るためにずっと契約を続けていたという事か?」
「まぁそういうことじゃな」
「圧倒的な力ね、あの力は奪った力だけじゃなかったのか」
「我と契約した下僕が貴様に負けことが予想外だったのじゃ、貴様はなんなのじゃ! 本当に人なのか? 化物が!」
化物と言われたクレスは真実を告げてやるこたにした。
「あっ! 言っとくがお前も誰かを殺そうとしたら死ぬからな」
「えっ?」
邪神は固まりクレスをみる。
「精霊の能力は絶対だ、復活も出来ないぞ」
邪神は立ち上がる事も出来ず、その場から動けない。
「はい皆んな解散」
クレスは手をパチパチ叩くと解散を表明する。
『覚えておれよ、貴様だけは絶対後悔させてやる!』
邪神がクレスに向けて叫ぶ。
『手加減してやるから何時でもかかってこいよ』
クレスは黒剣を空中に放るとキラキラと粒子を放ちながら消えていった。
邪神はトウマの中から出ると次元の裂け目から出ていく。
「見逃してよかったのですか?」
アリアスがクレスに近寄る。
「あぁ、アイツはまだ引き返せる場所にいる」
「そこの最強さんはどうします?」
「心を取り戻したらしいからな、少し教育したら面白そうだ」
「それ、さっきの邪神と変わら……」
『お兄ちゃん!』
リリアが勢いよくクレスに抱きつく。
アリアスを牽制するように。
「むぅ」
アリアスも負けじと抱きつこうとするがボンと音がして。
「キュイ!」
チビドラゴンの姿に戻ってしまった。
「残念だったね~こっちは僕が貰うことにするよ」
アリアスが抱きつこうとしていた左腕にユウカが抱きつく。
「キュイ~!」
アリアスは残念そうにクレスの肩に乗る。
「お前らも帰っていいぞ」
精霊達は光輝くと。
『『『絶対何かあったら呼んでよ!』』』
精霊達はクレスに直接語りかけた後に消えていった。
「お兄ちゃん帰っちゃうの?」
リリアは抱き締める腕に力が入る。
「また会えるさ、それじゃ女神やってくれ」
クレスは小さく呟く。
「はい」
「何をやるのじゃ?」
「私たち以外の記憶消去ですよ」
フィリアの問いに女神が応える。
「なんでですか?」
ミミリアも疑問そうに間に入る。
「俺が関わりすぎたからだよ」
「そうです、ユウ君が関わり過ぎましたからそれを都合よく矯正します」
『パラドックスメモリー』
女神が魔法を放つと虹色の衝撃が世界を覆う。
「あれ? 私たち何してたんだっけ?」
リリアはフィーリオンの前の草原にいた。
「何って……」
ユウカの直感が発動する。
「クレス君が最狂を倒したんじゃないかい?」
「クレス? あっ思い出した!」
リリアは思い出したと笑う。
「私達が剣の勇者を倒して世界を救ったんだよね!」
「何を言ってるんだい?」
ユウカはリリアの勘違いっぷりに驚きを見せる。
「リリアちゃんのお兄ちゃんのクレス君だよ!」
「ユウカちゃん何を言ってるの?」
リリアは真面目な顔で応える。
『私にお兄ちゃんなんて居ないよ?』
「本当にこれでよかったのかな?」
「全ての人の記憶を操作するのに微調整とか出来ないしな」
「それもそうだけど……」
「キュイ!」
草原を見下ろしながらクレスと女神は語り合っていた。
アリアスはクレスの肩に乗って、気絶しているトウマはクレスの隣で寝かされていた。
「さすがチート、ユウカは直感で記憶を呼び覚ましたみたいだな、ふぅそれよりも……」
クレスは顔を伏せる。
『帰る家がなくなった』
クレスは途方にくれたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる