119 / 201
グランゼルの持ち主
しおりを挟むコロシアムに残った生徒はざっと……。
『クロ』
『86です』
定員はたしか……。
パンフレットを確認。
A、B、Cクラスが二十人、特待生のSクラスが十五人だ。
パンフレットをしまう。
『ユウ様はその紙をまったく読んでないんですね』
……。
合計七十五人か。
ここから十一人が落とされる訳か。
リリアはずっと俺を見ていて動かない。
俺の後ろにいるフランを見ているのかも知れない。
様子見が終わったのか周りが動き出す。
リリアの後ろ側に居た男がリリアに向かって剣を振りかぶる。
それじゃダメだな。
「B」
リリアは一言呟くと、振り返り様に男の剣を避けて男の腹に拳を当てる。
ただ当てただけなのにドスッと鈍い音がして男はそのまま気を失う。
リリア強くね!
『リリアはメディアルの剣聖ですからね』
男の行動を見てか他の奴等もリリアに向かって走り出す。
だが突っ込んで行った奴等が誰一人としてリリアに剣を当てれない。
全てを優雅に避けながら魔力を込めた拳を的確に当てて無力化していく。
「CCBCASA……」
倒した後に口にしているAとかCとかはクラスを現してるんじゃないだろうか。
言われてない奴は落ちたってことなのかな。
『なんで皆んな我先にみたいな感じでリリアに向かっていってるんだ?』
『他の人は評価される為に向かっていってるんですよ、何もしなかったら脱落者の枠に入ってしまいますから』
なるほど、評価をされなかったら脱落者の枠に強制的に入るのか。
「フランはいかないのか?」
「お兄様から一対一が基本だと教わったので」
「そうか」
俺とフランはリリアが圧倒してる様を見ていた。
最後の一人が片付いたのか、リリアは最初の位置に戻る。
戦っている最中ずっと俺の方に意識を半分以上置いていたみたいだけど。
「ほら、フラン行ってこいよ」
「はい、頑張りますね」
フランは俺の前に出るとグランゼルを引き抜く。
「それは!」
リリアがグランゼルを見て驚いている。
「なんでフランちゃんがグランゼルを持っているのかな」
めっちゃ怪しまれてる。
「これはお兄様から頂いた物です」
「フランちゃんのお兄ちゃんに話を聞く必要が出てきたみたいだね」
「お兄様もこんなに綺麗な人が会いに来てくれたら喜ぶと思います」
「それじゃあ今度紹介して貰おうかな」
「はい!」
「今は試験の事だけ考えてね、いつでもいいよ」
リリアは両手の拳に魔力を溜める。
武器は使わないのか?
フランが突っ込む。
フランが身に纏うオーラルはリリアの拳に纏われている魔力より多く注ぎ込んでるみたいだ。
それを見たリリアは呟く。
「そこまで出来たら見込みがあるね」
フランはユウカが教えた通りに剣を振るう。
だけど正直すぎるんだよな。
少しの間リリアを押しているように見えたフラン。
リリアはすでに見切っていた。
フランの剣をギリギリで避けながら懐に入るリリア。
そして右手に纏っている魔力を爆発的に上げる。
貫くように放たれた拳はフランを吹き飛ばす。
「よっと」
俺は飛んできたフランを両手でキャッチする。
フランは全身の力が抜けてるのか、グランゼルが地面に落ちた。
「私は、不合格、ですかね」
「どうなんだ?」
俺はフランの問いをリリアに求める。
「Sだよ」
フランは特待生らしい。
「よかった、です……」
フランの身体の周りに光が現れる。
ふっと俺の手からフランが離れると空中に浮かんで、そのまま出口に飛んでいった。
それを見届けて俺はリリアと向かい合う。
「強制権ってどういう事に使えるのか知りたいんだが」
「学園で出来る事は一応なんでも出来るよ」
なんでもか。
「じゃあリリア先生の恋人になるとかも出来るの?」
「えっ? それは……」
リリアの頬が朱に染まる。
こんなことで照れられたらお兄ちゃん心配です!
「まさか自分が負けるのが怖いとか?」
「クレス君はそれで私を挑発してるつもりですか? 剣聖の私にそんなこと言う人は初めてです」
「リリア先生の初めてを貰っちゃった」
「変な言い方はやめて!」
顔を赤くしながら否定するリリア。
やっぱりリリアは可愛いな。
「いいよ、私が負けたら恋人でも何でもなってあげる」
いやいや、リリア! お兄ちゃんは本当に心配です。
そんなんじゃ悪い男につかまるぞ。
「でも、私は既に好きな人がいるので負ける訳にはいきません」
リリアは今までのが嘘のように魔力が爆発的に膨れ上がる。
『手加減はできないよ』
まだ上がるのかよ。
『天空の光よ、私に力を貸して』
白銀のオーラルを纏ったリリアの右手に透明な剣が現れる。
マジな奴だ。
俺もそれに応えないとな。
ただの剣じゃすぐ壊れる。
俺はフランが落としていったグランゼルを拾う。
「クレス君が持つとグランゼルは嬉しそうに輝くね、実は前にも見たことがあるんだよね」
「そんなことは今は関係ないだろ」
「そうだね、本気でいくよ」
じゃあ俺は。
『手加減してやるからかかってこいよ』
「ッ!」
リリアの驚く顔を楽しみながら俺はグランゼルをリリアに向けるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる