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勝気
しおりを挟む亀裂を抜けると視界に飛び込んできたのは草原。
そして草原を囲むように木々が周りを囲む。
静まり返った丘の上で流れるアナウンス。
『各々の学園が集まりしたので……』
俺は困惑していた。
『それでは開催いたします、ラグナロクを!』
前のラグナロクでも思ってたけどさ。
トーナメントじゃねぇの?
俺が困惑している中。
ソフィアは森に向かって行く。
「マルコフ行くわよ」
それにつられて他の参加していた奴等も森に向かって行った。
フランは俺の横に立って動かない。
「行かないのか」
俺は草原に寝転ぶとフランの声に耳を傾ける。
「クレス君は行かないのですか?」
「あぁ、ここで寝る。ルールも知らないし、このフラッグ守っとけばいいんだろうからな」
「ルール知らないんですか?」
「知らないな」
「じゃあ説明しますよ」
別にルールなんてどうでも良かったが嬉嬉として俺に話しかけてくるフランの好意を無碍にはできない。
「じゃあ頼む」
フランも俺の傍に来て座る。
リリアも応援してくれてるし、フランも勝てば思い出とかになるのかな?
でも積極的にやるかといったらないな。
「今回はフラッグを取ったら勝ちなんだよ」
「じゃあ多くとった奴はそこで一位になるのか?」
「うん、そしてね。あくまで個人のポイントの総合で学園の優勝を決めるだけで多く取ってても、ポイントを持っている人が他の人にやられると取ったポイントが他の学園に移るの」
「ここにあるフラッグを折るとポイントに変わるのか? それとも持ち運ぶのか?」
「折ったらポイントに変わるんだよ、持ち運ばなくても勝手にポイントに還元されるよ」
「負ける条件は制限時間までにポイントが他の学園よりも少ない場合、またはその学園の全滅か」
「うん」
全滅させれば勝ちという事か……まぁ、わかった。
「フランは行ってきていいぞ、俺はここで守ってるから」
「そうですね、行ってきます」
俺はフランを見送って眠りにつく。
『起きてください』
……う~ん。
誰かの呼ぶ声に俺は起き上がる。
『私と正々堂々勝負しましょう!』
黒髪とそして刀?
勝気な少女は俺に向かって宣言したのだった。
そして俺は即答する。
『断る』
俺は再度、丘の芝に寝転がる。
いやぁ、敵がこんなに早く来るとかついてないわ。
何年ブランクがあると思ってんだよ。
こういう宣言してくるタイプは相手がちゃんと戦う意欲を見せないと戦えない奴が多い。
そんな相手にしなくてもいい奴と戦ってられるか!
なんでココの奴らは戦いばかりなんだ?
そういえば勉強するだけの学校も出来たってユウカが言ってたな。
勉強とか懐かしい。
もう戦いじゃなく勉強したい。日本では嫌いだった勉強も時が経つと懐かしくなるもんだな。
「戦いを侮辱しているのですか? それなら」
殺気が漏れ出てたので、無防備な状態の俺はすかさず口を挟む。
こういう奴は自分が正しいと思ってるから無防備な相手でも正当な理由があれば攻撃してくる。
コイツの正当な理由は戦いの侮辱、笑えてくる。
「いや、違うな」
「何が違うのですか?」
「お前の方が戦いを侮辱している」
「この私がですか?」
「なぜ無防備な俺を攻撃しない? 正々堂々と勝負しましょう? 後ろから急に攻撃されたら卑怯だって言ってるみたいだな」
「それは卑怯じゃないのですか?」
「じゃあ別に俺がお前より弱いとしよう、ここで正々堂々と戦うだけじゃ、お前には運が絡む以外に勝てないよな」
「は、はい」
「理解してくれたか? お前のは正論だろうが……」
二人の間に無言の空間が出来上がる。
「あ、あの~」
二人の間に無言が……。
「起きてください!」
「はっ! や、やるなお前! 知らない内に魔法にかかっていたとは」
「いや貴方が勝手に寝てただけです」
冗談も通じないのか……寝てた? 馬鹿め俺が寝てるわけないだろ、油断させる為だ。
俺は口元の涎を拭う。
「戦いの中でこんなに侮辱を受けたのは初めてです、これだからフィーリオンは質が下がったと言われるんですよ」
「なんだそれ、初耳なんだが」
「フィーリオンに居るのに知らないんですか? 学園とは魔物から国を守る兵士を作るために出来たんですよ。今では学園は勇者を目指す学園だけじゃなく、色んな学園が増えて来ています。人材育成の為にですけどね」
「ここにはどんくらいの学園が参加してるんだ?」
「基本的な知識ですよ! フィーリオンはそんな事も教えてくれないのですか? 今は十二の学園が参加していると思います」
そんなに増えてるのか。
「まぁ、次のラグナロクではフィーリオンは参加出来ないでしょうけどね」
「なんでだ?」
「知らないんですか? 今回のラグナロクでまた優勝出来なかったらフィーリオンは無くなるんですよ。学園には元々ポイントがあります、優勝以外ではそのポイントが引かれていき、今回でポイントが全て無くなるんじゃなかったですかね」
……なん、だと!? リリアはそんなこと俺達に何も言っていない、他の先生達からも聞かされてない。
だからか、上級生が全く参加していないのは。
もう諦めてるんだろうな。
「剣の勇者の学校が潰れるのか」
リリアも必死だったのかな。
俺は立ち上がり、勝気な少女と相対す。
「これは勝たないとな」
「私に勝つですか? 話してみて貴方のことが少し分かりました。私は小さい頃から最強になるために修練を積んで来たんですよ」
勝気な少女は刀に手を触れるが、手を離す。
「貴方みたいに何も知らない人に、最初に戦う意思も示さなかった人に、私が負けるわけないじゃないですか。貴方には本気で行きます」
少女は何も無い空間に手を入れる。
『血統解放リミテッド・アビリティー』
金色のオーラを纏った黒剣を引き抜いた。
『手加減できませんよ、かかって来なさい』
……マジで?
俺は剣の勇者が持つ黒剣を向けられて一歩後退した。
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