天才な妹と最強な元勇者

くらげさん

文字の大きさ
159 / 201

ワールドクエスト

しおりを挟む



 競技大会の会場内。

 煌びやかな服に煌びやかな部屋。

 努力なんてしなくてもここまで余裕で来れたことに俺は感激していた。

 この世界に転生させられて何年経っただろうか……。

 前世の俺がやっていたゲームとそっくりな世界。

 魔法、剣のスキル、魔道具。

 そしてランダム要素が強い固有スキル。

 俺はメニュー画面にあるステータスの【Lv89】を見ながら呟く。

【ワールドクエスト】

 固有スキルを発動させながら今から起きる様々なミッションが俺の視界を埋め尽くす。

 難易度と共にクエストの内容と報酬が記載されている。

 俺の目には今まで見た事のない難易度のクエストが紛れ込んでいた。


『なんだこれは』


 クエストLvの上限は俺がゲームをやってた頃なら【Lv99】が最高だった。

 だが俺が今見ている難易度のクエストは【レベルエラー】の表記がされてある。

 バグか?

 すぐさま俺は報酬を確認すると人の名前が二名書かれていた。

【ユリア・フィールド、ティア・フィールドの婚約条件を満たす】

 誰だよ、コイツら。

【精霊神契約資格を得る】

 精霊の神? なんだそれ。

【最強の証明・無力の証明・決死の努力の証明・英雄の証明・勇者の証明・獣王の証明・深海の証明・剣士の証明の称号を得る】

 こんなの見た事がないな。

【『リミテッド・アビリティー』固有スキル獲得】

 一つのクエストで固有スキルと称号と資格が手に入るのは見たことないな。

 俺と婚約の条件を満たすって事は女だよな……可愛かったら婚約してやってもいいな。

 さて、報酬もレベルも見たし条件を……は?

 俺は条件を見てあ然とする。


【Lv0クレス・フィールドの討伐】


「Lv0を狩るだけでこんな破格な報酬貰ってもいいのかよ! 心底ヌルゲーな世界だなここは!」


 早速俺は固有スキルを発動させる。

【ナビゲート】

 ピコンと俺の感知スキルにクレス・フィールドが引っかかる。

 マップを表示してクレス・フィールドに旗を建てる。

 近づいてくるな。

 競技大会の後にでもサクッと倒して……あぁ忘れるところだった。

 俺はナビゲートでティア・フィールドとユリア・フィールドを検索する。

【カメラオン】

 固有スキルを発動すると二人の顔写真がマップの真上に現れる。

「おぉ! めちゃくちゃ二人共可愛いじゃねぇか! ヤル気がさらに上がったな!」

 俺はその二人にも旗を建てる。

 そしてついでにクレス・フィールドの顔写真も見とくか。

「なんだこの間抜け面……クレス・フィールドめっちゃ弱そう、家名が一緒だから何か繋がりがあるのかもなこの三人」


 レベルエラーはバグっぽいが報酬は確実に貰うからな!







『くしゅん!』

 僕はクレスさんの足が止まったことに疑問を覚えて声をかける。

『何してるんですか? クレスさん』

「ジーク……また誰かが俺の噂をしてるな!」

「そんな事言ってると本当に誰かに目をつけられますよ」

「別に俺は構わないが?」

「いや、僕が困るんですよ!」

 クレスさんが暴れると国が壊れる。

 僕は最悪の想像をして身震いした。

「今失礼な事考えてなかったか?」

「滅相もないですよクレスさん……つきましたよ」


 やっとバトルドームに着いて僕は一息つく。

「それではスーリフォル様、クレスさんを任せましたよ」

「はい、任されました」


 スーリフォル様に後を託して僕は剣聖の仕事に戻る。

「待てジーク!」

 クレスさんの声に振り向くとゆっくりと何かをコチラに投げてきた。

 僕はそれを空中で手に取る。

「串焼き?」

「あぁ、今日のお礼だ」

 全くこの人は……剣聖を案内に使って報酬がこれだけなんて。

「別にいいですよ」

 師匠に頼られるのは何だか悪い気はしない。

 僕もリリアさんやユウカさんのようにクレスさんに甘い人の一人かも知れませんね。


「それでは失礼します」




 僕はクレスさんと別れてすぐさま城下町を走り抜け門を出る。

 城下町のパトロールと今日は魔物を何匹か狩る仕事が入っている。

 国を守るのが僕の剣聖の仕事なんだ。

 クレスさんのお陰で僕は色々な物を守れるようになったんですよ。

 ずっと右手に持っていた串焼きが目に入る。

 お礼ですか……僕には貴方に返しきれない程の恩があるって言うのに。

 その串焼きを頬張り、僕は目の前に見える飛龍の群れに突き進む。

 言葉が分からない飛龍に対して言葉を紡ぐ。


『手加減してやるからかかってこいよ』


 クレスさんの真似をして僕は少し笑ってしまう。

 背中すら見えない目標を掲げて、串焼きを投げ捨て剣を取る。


『僕は貴方にいつか追いつける日が来るんですかね』


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...