194 / 201
暗闇
しおりを挟むコロシアムから瞬間的に転移して状況の確認も出来ていないユリアとティア。
『『ここどこ?』』
視界を遮る物がない地面と空が永遠と続く空間。
ティアとユリアの姉妹の戸惑いを他所にして、この空間に飛ばされたもう一人の人物ヒカリが口を開く。
『まさか転移の魔法じゃなく召喚魔法で引き釣り出されるとは想定外だった』
姉妹は言葉を発した人物を目で捉えるとユウカからメッセージとして飛ばされてきた情報を整理する。
姉妹も実の姉のように接しているフランが重症を負わされた事に怒りを覚えていた。
ユリアは剣を引き抜いて剣をヒカリに向ける。
「貴方がフランさんを!」
「フランと言う奴がどんな人物かは知らないが」
ヒカリは悪びれもせずに銃を持ちクルリと回す。
『お前らの自業自得だ』
カチャリと鳴らし銃を姉妹に向けると引き金を弾いた。
連続して乾いた音が鳴り響く。
濃密な魔力を纏った弾。
姉妹はオーラルを瞬時に纏い、向かって来た弾を斬る。
「結構な魔力は込めてた筈なんだけどな」
初撃を斬られたことに驚きを見せたヒカリは再度引き金を引く。
魔力の弾は先程と比べても段違いに大きくなり姉妹に向かって飛んで行く。
ティアとユリアの目の色が変わる
『『精霊化』』
ヒカリが放った魔力の弾丸を姉妹は難なく斬る。
姉妹は試練を超えて実力が付いている事を実感しながら剣を握り直した。
「昨日の女以上の使い手か、俺を呼んだだけはあるって事だな」
ヒカリは懐からスっと一本のカートリッジを取り出すと銃にカートリッジを差し込む。
『星天魔法・ハマル』
ヒカリが呟くと、銃に灰色と銀の装飾が施されていく。
ヒカリの頭上に小さな魔力を持った玉が現れる。
身構えた姉妹にヒカリは答える。
「そう怯えるな。ただの召喚魔法だ」
異様な存在感を放つ魔力の玉は星の様に煌めいていた。
「俺が星天魔法を使う度に一つの星が現れる。昨日の女は二つまでは粘ってたけどな」
銃を姉妹に向けると引き金を弾いた。
『星天アルデバラントリガー』
星が頭上に召喚される。
星の魔力とは違い、こちらに迫る濃密な魔力を感じた姉妹は受ける事をやめて、左右に別れて避ける。
その瞬間に姉妹の耳元にシュッとした風切り音が鳴る。
反応すら出来なかった弾丸に驚き、姉妹はヒカリに視線を飛ばす。
「コレを避けるのか。驚いた」
ヒカリは銃をクルリと回し、カチャリと鳴らすと再度姉妹に銃口を向けて、放つ。
姉妹は反応すら出来ない速度の弾丸を感覚を頼りに避ける。
いつでも当てられる筈なのにわざと弾丸を外している事に気付き、遊ばれてるのを自覚して姉妹は歯を食いしばった。
休むことも無く感覚だけで避けていく姉妹はギアを何段階も引き上げる。
『『魔力全開放』』
姉妹は先程まで避けていただけの弾丸を剣で捉えて始めていた。
『星天ロード・アクベンス』
三つ目の星が召喚されると今まで打ち返していた魔力の弾が空中で静止した。
それでもヒカリは引き金を引く指を止めず、連続して打ち出す弾すべてが空中で静止する。
「久しぶりに面白い物を見せて貰えたからお前らに教えといてやる。今見えてる弾丸すべてが直線軌道を無視してお前達を狙いながら追尾する。これやると一時魔法が使えなくなるのが難点だが」
まだ絶望してくれるなよとヒカリは話を続けながら銃を鳴らす。
『星天カストルトリガー』
星が頭上に現れると空中に浮いている弾すべて連鎖的に分裂していく。
ティアは分裂していく弾を見てユリアに声をかける。
『お姉ちゃん行ける?』
『分からない、ティアは?』
『頑張る!』
ユリアはティアの返答に笑みを零して姉妹の魔力が絡み合う。
魔力の共鳴。
「異世界人は面白い芸当をするな」
魔力が共鳴して混じり合う光景を見てヒカリは言葉を漏らす。
姉妹の見ている光景すべてを魔力の弾丸が埋めつくした所でヒカリは姉妹に銃口を向ける。
引き金を弾いた瞬間に全ての弾丸が姉妹を襲う。
一つの弾丸を剣で弾き飛ばしてもその弾は姉妹に再度向かって飛んでくる。
終わりの見えない弾丸の嵐に突破口がないか考えながら姉妹は必死で迎え撃つ。
逃げる事も出来ない無限にも思える程の時間、姉妹はお互いを高めながら加速していく。
段々と姉妹の加速する剣が追いつかなくなり弾丸が姉妹の身体をかすり始める。
一方的になっていく戦闘だか姉妹は諦めずに剣を振り続ける。
姉妹はヒカリに近づくことも無数の弾丸に対しても突破口が見えない。
このまま受け身でいても体力が無くなるだけだと姉妹は思った。
ユリアは一つだけティアが思いつかなそうな案を思い付く。
姉妹で戦い、勝つ事を諦めないティアなら絶対にしない方法を。
『ティア……私を信じて目を瞑って、合図をしたら私に構わず一直線にあの人を全力で攻撃して』
ティアはユリアを信じて目を閉じる。
ユリアは剣を投げると襲い来る全ての弾を自分の身体で受ける。
当たらなければ消えない条件の弾なら全てを受ければ消滅する。
ティアの剣がブレないようにユリアは声を押し殺す。
一つの弾丸だけで感覚が麻痺するような威力が通り過ぎる。
無数に続く痛みをボロボロになりながら手を広げティアを庇うように受ける。
血が口の中から逆流して溢れる。
弾丸を受け続けて微かな魔力を纏う力も無くなったユリア。
無慈悲にも最後の弾がユリアの胸を貫くと、ユリアは役目が終わったと呟く。
『今よ』
ユリアは命を掛けてティアに攻めの一手を託す。
ティアが目を開けると。
『お姉ちゃん』
倒れていくユリアを見て目の前が真っ暗に染まった。
0
あなたにおすすめの小説
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる