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アリの巣殲滅編
53・アリの巣殲滅初日の続きの続き
ベルちゃんは各派閥からの勧誘なんてきっぱり断ってしまいたいのだけれど、そうすると便宜上属している大神官の聖王派とほかの派閥の関係が悪くなる。
のらりくらりとはぐらかすというのは、あまりベルちゃんには向いていない。
パンの配布に時間がかかったせいもあるかもしれないが、ベルちゃんは昨日までより疲れているように見えた。
「冒険者も傭兵も戦いの専門家です。すぐに怪我人は出ないでしょうね」
「だよねー」
今の救護係はヴェロニカさんです。
ドロレスさんが言った通り、アリの巣殲滅はまだ始まったばかり。
全員が救護テントに詰めている必要はありません。
「……」
心なしかベルちゃんは、キリッとした顔をしている。
三人に勧誘されているところはまだ見ていないものの、ふとしたことで言質を取られたりしないよう気をつけているのだろう。
「ねえベルちゃ……聖女様、それと神官さんも、良かったらなにか食べませんか?」
「!」
ベルちゃんの瞳が輝く。
……お腹減ってただけだったのかな。
みんな美味しそうにパン食べてたしね。
戦ったあとのお昼用として渡してたのに。
「えっと……パフェでも作ってみますか?」
「……?」
わたしの言葉のニュアンスの違いに気づいたのか、ベルちゃんは首を傾げた。
「お願い、ラケル」
「わふ!」
ラケルに数枚のお皿を出してもらって、それぞれにクッキーブラウニーマシュマロ、ドライフルーツを変成していく。
本当はドライフルーツよりも新鮮な果物のほうが良かったんだけど、それは作れないんだよね。
前世のパフェ専門店で食べたイチジクパフェに入ってた乾燥イチジクは美味しかったから、ちゃんと美味しいはず!
人数分のコップとスプーン。
最後に深皿(ラケル専用のじゃないよ)を出してもらって、アイスクリームを変成して完了!
もういろんな種類のアイスが作れるようになってるんだけど、今回はどの食材とも合わせられるよう基本のバニラアイスにしてみました。
その代わりクッキーとドライフルーツの種類は豊富にしたよ。
マシュマロもいろんな色があります。色が違っても正直味は変わらないと思う。
ギモーヴだったら材料のフルーツピューレによって味が違うって、ケーキバイキング行きを約束してた友達に聞いたことがあったっけ。
「まあ! これはアイスクリームではありませんの?」
「こんなものまで作れるのかい!」
「……」
「わふう!」
ベルちゃんとラケルがドヤ顔してる。
「はい。えっと、これからみなさんにお好きなパフェを作って食べてもらおうと思います。パフェっていうのはパーフェクトスイーツの略で……美味しいです」
わたしの語彙!
スキル『異世界言語理解』レベルMAXの力で伝われ、ニュアンス!
コップとスプーンをひとりひとりに渡していく。
「このコップに好きなものを入れて作るんですが、最初なので説明します。一番底には固い焼き菓子、クッキーやブラウニーを砕いて入れてください。次はマシュマロやドライフルーツ。ドライフルーツはひとつの種類でもいいし、複数種類を混ぜても美味しいです」
「好きなだけ入れてもいいのね?」
こういうときのベルちゃんはセリフに間を挟まない。
「コップからあふれちゃダメですよ。このときはコップの半分くらいまでです」
「……そんな、酷い」
酷くないよ。
わかりやすいように自分の分を作りながら説明していく。
「それからアイスを入れてください。そしてまた、焼き菓子やマシュマロ、ドライフルーツを重ねます。最後にアイスを盛って、ほかの食材を飾ったらパフェの完成……」
みんな初めてでパフェ自体知らないだろうに、可愛いお菓子ができ上がっていった。
だけど、ちょっと足りない気がするな。なんだろう?
色味が足りないのかな。
ドライフルーツがあるものの、コップは木製で透明じゃないしね。
ジャム……は出したことないし、ちょっと無理そう。調味料の分類になると思う。
チョコなら、うん、チョコフォンデュならやったことある。
「ラケル、わたしのお鍋出して」
「わっふう!」
保温機能のあるお鍋に板チョコを変成、このままだと溶かしても焦げ付いちゃうから、わたしのコップに砂糖なしのカフェオレを作って投入。
軽く火を入れてスプーンで混ぜて、葉菜花流チョコレートソースの出来上がり!
「ごめんなさい。最後にこれをかけて完成です。あ、イヤだったらかけなくてもいいですよ」
あのシオン君でさえ泥みたいって言ってたものね。それでも彼は食べるんだけど。
「……わかった」
ベルちゃんはニコニコしながら、自分のコップにチョコレートソースをかける。
続いてドロレスさん。
最後にパウリーナさん。
「見た目は悪いけど匂いはいいよね。黒いけど朝のお好み焼きや焼きそばにかかってたソースとは違うんでしょ? これは……ドロレス様の髪の毛みたいなパンに入ってたのと同じヤツ?」
「あたくしの髪がどうかいたしまして?」
「ううん、なんでもないよ」
白いアイスと黒いチョコ、さまざまドライフルーツと焼き菓子の色が合わさって、可愛いパフェの完成だ。
「「「「いただきまーす!」」」」
「わふー♪」
ラケルの分はわたしが作った。
スプーンが使えなくても風の魔術なら自分でパフェを作れるだろうけど、ラケルが神獣ケルベロス様の息子だってことは秘密だから目立つことはさせないようにしなくちゃね。
……影から食器を出すときに風の魔術使ったのは気づかないでいてくれますように。
のらりくらりとはぐらかすというのは、あまりベルちゃんには向いていない。
パンの配布に時間がかかったせいもあるかもしれないが、ベルちゃんは昨日までより疲れているように見えた。
「冒険者も傭兵も戦いの専門家です。すぐに怪我人は出ないでしょうね」
「だよねー」
今の救護係はヴェロニカさんです。
ドロレスさんが言った通り、アリの巣殲滅はまだ始まったばかり。
全員が救護テントに詰めている必要はありません。
「……」
心なしかベルちゃんは、キリッとした顔をしている。
三人に勧誘されているところはまだ見ていないものの、ふとしたことで言質を取られたりしないよう気をつけているのだろう。
「ねえベルちゃ……聖女様、それと神官さんも、良かったらなにか食べませんか?」
「!」
ベルちゃんの瞳が輝く。
……お腹減ってただけだったのかな。
みんな美味しそうにパン食べてたしね。
戦ったあとのお昼用として渡してたのに。
「えっと……パフェでも作ってみますか?」
「……?」
わたしの言葉のニュアンスの違いに気づいたのか、ベルちゃんは首を傾げた。
「お願い、ラケル」
「わふ!」
ラケルに数枚のお皿を出してもらって、それぞれにクッキーブラウニーマシュマロ、ドライフルーツを変成していく。
本当はドライフルーツよりも新鮮な果物のほうが良かったんだけど、それは作れないんだよね。
前世のパフェ専門店で食べたイチジクパフェに入ってた乾燥イチジクは美味しかったから、ちゃんと美味しいはず!
人数分のコップとスプーン。
最後に深皿(ラケル専用のじゃないよ)を出してもらって、アイスクリームを変成して完了!
もういろんな種類のアイスが作れるようになってるんだけど、今回はどの食材とも合わせられるよう基本のバニラアイスにしてみました。
その代わりクッキーとドライフルーツの種類は豊富にしたよ。
マシュマロもいろんな色があります。色が違っても正直味は変わらないと思う。
ギモーヴだったら材料のフルーツピューレによって味が違うって、ケーキバイキング行きを約束してた友達に聞いたことがあったっけ。
「まあ! これはアイスクリームではありませんの?」
「こんなものまで作れるのかい!」
「……」
「わふう!」
ベルちゃんとラケルがドヤ顔してる。
「はい。えっと、これからみなさんにお好きなパフェを作って食べてもらおうと思います。パフェっていうのはパーフェクトスイーツの略で……美味しいです」
わたしの語彙!
スキル『異世界言語理解』レベルMAXの力で伝われ、ニュアンス!
コップとスプーンをひとりひとりに渡していく。
「このコップに好きなものを入れて作るんですが、最初なので説明します。一番底には固い焼き菓子、クッキーやブラウニーを砕いて入れてください。次はマシュマロやドライフルーツ。ドライフルーツはひとつの種類でもいいし、複数種類を混ぜても美味しいです」
「好きなだけ入れてもいいのね?」
こういうときのベルちゃんはセリフに間を挟まない。
「コップからあふれちゃダメですよ。このときはコップの半分くらいまでです」
「……そんな、酷い」
酷くないよ。
わかりやすいように自分の分を作りながら説明していく。
「それからアイスを入れてください。そしてまた、焼き菓子やマシュマロ、ドライフルーツを重ねます。最後にアイスを盛って、ほかの食材を飾ったらパフェの完成……」
みんな初めてでパフェ自体知らないだろうに、可愛いお菓子ができ上がっていった。
だけど、ちょっと足りない気がするな。なんだろう?
色味が足りないのかな。
ドライフルーツがあるものの、コップは木製で透明じゃないしね。
ジャム……は出したことないし、ちょっと無理そう。調味料の分類になると思う。
チョコなら、うん、チョコフォンデュならやったことある。
「ラケル、わたしのお鍋出して」
「わっふう!」
保温機能のあるお鍋に板チョコを変成、このままだと溶かしても焦げ付いちゃうから、わたしのコップに砂糖なしのカフェオレを作って投入。
軽く火を入れてスプーンで混ぜて、葉菜花流チョコレートソースの出来上がり!
「ごめんなさい。最後にこれをかけて完成です。あ、イヤだったらかけなくてもいいですよ」
あのシオン君でさえ泥みたいって言ってたものね。それでも彼は食べるんだけど。
「……わかった」
ベルちゃんはニコニコしながら、自分のコップにチョコレートソースをかける。
続いてドロレスさん。
最後にパウリーナさん。
「見た目は悪いけど匂いはいいよね。黒いけど朝のお好み焼きや焼きそばにかかってたソースとは違うんでしょ? これは……ドロレス様の髪の毛みたいなパンに入ってたのと同じヤツ?」
「あたくしの髪がどうかいたしまして?」
「ううん、なんでもないよ」
白いアイスと黒いチョコ、さまざまドライフルーツと焼き菓子の色が合わさって、可愛いパフェの完成だ。
「「「「いただきまーす!」」」」
「わふー♪」
ラケルの分はわたしが作った。
スプーンが使えなくても風の魔術なら自分でパフェを作れるだろうけど、ラケルが神獣ケルベロス様の息子だってことは秘密だから目立つことはさせないようにしなくちゃね。
……影から食器を出すときに風の魔術使ったのは気づかないでいてくれますように。
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