2 / 26
第2話 BAR『ヨリミチ』
しおりを挟む
さて、この店の名前はBAR『ヨリミチ』
そのカウンターの席にオレは座っている。
そして、隣りに座っている女性が今回の依頼人だ。
名前は……おっと……。
依頼者のプライバシーは守らないとな。残念だが君達には教える事が出来そうにない。
そうだな……とりあえず彼女の特徴……『泣きボクロ』とでも呼んでおこうか。
いやぁ……しかし、泣きボクロ……やたらセクシーだ。
儚さを演出する泣きボクロは美人の彼女によく似合っていた。幸薄そうな未亡人という感じが、オレの男心をくすぐる……
おっと、見とれちまってたぜ。
見ると彼女……泣きボクロはなにやら塞ぎこんでいる様子だ。
よっぽどの問題を抱えてるってことか? とりあえず……
「マスター彼女に同じモノを」
オレと同じく彼女に見とれていたマスターは我に返り静かにうなずくとグラスに氷とウーロン茶を注ぎ……
ん? どうした? マスター? なぜそんなに離れていく?
マスターは泣きボクロに気付かれぬようジェスチャーで「カウンターの上に手を出せ」とオレに指示を出している。
ふ……なるほどな。カウンターの上でグラスを滑らしたいんだな?どうやらマスターはよほど格好をつけたいらしい。ここは付き合ってやるとするか。
さあ、来い! マスター!!
大きく振りかぶったマスターはそのグラスをオレ目掛けて思いっきり
ブンッ!
アレ? おいおいマスター……勢いがつき過ぎてテーブルの上を滑らせるどころかまっすぐオレの……
ゴッシャッーーン!!
「こっぷぁっ!!」
グラスはテーブルを滑るどころか直に頭に直撃、鮮血と共に砕け散り、オレはそのままイスから崩れ落ちた。
ぐ……おお……あ、頭に直撃したぞマスター!? いくら相手が美人だからってはりきり過ぎ……
朦朧とした意識の中、オレの頭を割ったマスターの方に目をやると「やったな」という顔でオレに向って親指を立てていた。
なんだ? なんのつもりだ、その親指は?……へし折られたいのか?
しかし、よくよく見てみるとその親指はオレにではなく隣りの美人、泣きボクロに送られているものだった。
泣きボクロは今の様子が面白かったのか、上品にクスクス笑っている。
なるほど……マスターは泣きボクロを元気づける為にこんなマネを……
いや、しかし……この女、目の前で人が頭から大流血しているというのに……普通じゃないんじゃないのか?
まさか、この女……相当のハードボイルド!!
こ、これは負けてられんな……流血などしている場合ではない。
オレは必死に平静を装いながら席につき、彼女に依頼内容を聞く。
「さあ、用件を聞こうか?」
そのカウンターの席にオレは座っている。
そして、隣りに座っている女性が今回の依頼人だ。
名前は……おっと……。
依頼者のプライバシーは守らないとな。残念だが君達には教える事が出来そうにない。
そうだな……とりあえず彼女の特徴……『泣きボクロ』とでも呼んでおこうか。
いやぁ……しかし、泣きボクロ……やたらセクシーだ。
儚さを演出する泣きボクロは美人の彼女によく似合っていた。幸薄そうな未亡人という感じが、オレの男心をくすぐる……
おっと、見とれちまってたぜ。
見ると彼女……泣きボクロはなにやら塞ぎこんでいる様子だ。
よっぽどの問題を抱えてるってことか? とりあえず……
「マスター彼女に同じモノを」
オレと同じく彼女に見とれていたマスターは我に返り静かにうなずくとグラスに氷とウーロン茶を注ぎ……
ん? どうした? マスター? なぜそんなに離れていく?
マスターは泣きボクロに気付かれぬようジェスチャーで「カウンターの上に手を出せ」とオレに指示を出している。
ふ……なるほどな。カウンターの上でグラスを滑らしたいんだな?どうやらマスターはよほど格好をつけたいらしい。ここは付き合ってやるとするか。
さあ、来い! マスター!!
大きく振りかぶったマスターはそのグラスをオレ目掛けて思いっきり
ブンッ!
アレ? おいおいマスター……勢いがつき過ぎてテーブルの上を滑らせるどころかまっすぐオレの……
ゴッシャッーーン!!
「こっぷぁっ!!」
グラスはテーブルを滑るどころか直に頭に直撃、鮮血と共に砕け散り、オレはそのままイスから崩れ落ちた。
ぐ……おお……あ、頭に直撃したぞマスター!? いくら相手が美人だからってはりきり過ぎ……
朦朧とした意識の中、オレの頭を割ったマスターの方に目をやると「やったな」という顔でオレに向って親指を立てていた。
なんだ? なんのつもりだ、その親指は?……へし折られたいのか?
しかし、よくよく見てみるとその親指はオレにではなく隣りの美人、泣きボクロに送られているものだった。
泣きボクロは今の様子が面白かったのか、上品にクスクス笑っている。
なるほど……マスターは泣きボクロを元気づける為にこんなマネを……
いや、しかし……この女、目の前で人が頭から大流血しているというのに……普通じゃないんじゃないのか?
まさか、この女……相当のハードボイルド!!
こ、これは負けてられんな……流血などしている場合ではない。
オレは必死に平静を装いながら席につき、彼女に依頼内容を聞く。
「さあ、用件を聞こうか?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
呪われた少女の秘された寵愛婚―盈月―
くろのあずさ
キャラ文芸
異常存在(マレビト)と呼ばれる人にあらざる者たちが境界が曖昧な世界。甚大な被害を被る人々の平和と安寧を守るため、軍は組織されたのだと噂されていた。
「無駄とはなんだ。お前があまりにも妻としての自覚が足らないから、思い出させてやっているのだろう」
「それは……しょうがありません」
だって私は――
「どんな姿でも関係ない。私の妻はお前だけだ」
相応しくない。私は彼のそばにいるべきではないのに――。
「私も……あなた様の、旦那様のそばにいたいです」
この身で願ってもかまわないの?
呪われた少女の孤独は秘された寵愛婚の中で溶かされる
2025.12.6
盈月(えいげつ)……新月から満月に向かって次第に円くなっていく間の月
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる