探偵はウーロン茶を片手にハードボイルドを語る

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第5話 金貸しの拓

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「借りた金はちゃんと返さにゃのう!? おお!?

 ん?

 待て待て言われても……のう? いつまで待てばじゃい!? おお!?

 のう? 鈴木さん……このまま返さんゆうことなら、こりゃあアンタ泥棒っちゅーことじゃろ? お?
 そうなったら……おう!! ワシもうるさく言うだけっちゅーわけにもいかんくなるんでよ!? お!?

 よっっしゃ!

 じゃったら3日じゃ! 3日だけ待っちゃるけえ…… それまでに全額返してもらうけえの!? よう頭ン中に入れちょけや?



 ん?



 おうおう……かわいいのう……お嬢ちゃんかの? 赤いリボンがよう似合うのう……オイチャン別に怖くないけえの?

 ん? 怖がらんでもええけえの? オイチャンもう帰るけえの。じゃあの。うふふ。

 じゃあそういうことじゃけえの。金! ちゃんと用意しちょけよ!!」



 バタン


 ふう……まったくイヤな仕事だなぁ……仕事だからってホントはこんな乱暴な言葉使いたくないのに……

 え? ボクですか? ボクは……

 金貸しの拓こと安田拓朗です。
 いやぁ……ホントさっきはお見苦しいところをお見せしちゃいまして……

 ボクね? まあ、金貸しの拓ってことでそのままんまなんですが金融会社で働かせてもらっています。
 いやね? ホントはもっと普通のサラリーマンとしてやっていきたかったんですけどね?
 なにせこの不況でしょ? 仕事がないんですよ。
 それに……ボク……どうも顔が怖いみたいなんです。

 ええ……そりゃあもう……。
 たまに鏡の前で悲鳴をあげるほどですよ、まったく。
 そのせいですかね? どこに行っても面接でおとされちゃうんですよ。

 体も大きいですし……まあ、悲しいかな、今の仕事が天職なんですかねえ?
 最初のウチはちょっとだけ……腰掛程度で始めたつもりが……ズルズルと。
 もう5年もこの仕事やってるわけです。
  だいたいさっきの言葉使いも先輩に強要されたんですよ。
 広島弁っていうんですか? まあ、先輩方も「お前は怖いからオレ達の前で使うなよ?」って……

 ヒドイですよねえ?

 もちろん、期日通りに返してくださるお客様にはこんな言葉使いじゃあないですよ?
 でもね? さっきの……あ、鈴木さんっていうんですけどね?
 鈴木さんみたく2ヶ月も3ヶ月も返してくれないとね?
 結局担当のボクが怒られちゃうんですよ。だもんでしょうがなくあんな乱暴な言葉使いを……

 はあ……

 さっきの鈴木さんとこのコかわいいコだったのになぁ……誤解されてたらやだなぁ……
 まあ、クヨクヨしててもしょうがないしね……次の仕事行こうか。

 えっと……次は……

 えぇ? またこの人なの?

 やだなぁ……この人もなかなか返してくんないんだよね……。
 やっぱ探偵だからかな? なんか怖いんだよね。自分のことハードボイルドだとか言ってるしさぁ……。

 さてと、じゃあ行こうかな。早乙女さんとこ。
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