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第23話 ハードボイルドってなんだ!?
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「うおおおおおおお!!!」
トイレから飛び出したオレは叫びながら拓へと突っ込んでいった。
「マスターを離せー!」
マスターの胸ぐらを掴み、今まさに殴りかからんとしている拓に向ってオレは突進していった。
「え? え? な、なんですか!?」
ワケが分からないといった感じの拓はマスターから手を離し、オレの体当たりを寸前でかわした。
体当たりをよけられバランスを崩したオレはそのまま転倒し、受け身もとれずに派手に床に転がった。
「う……うう……」
「ちょ、ちょっと! なんなんですか!? マスターまで一体なんだっていうんです!?」
混乱した拓がオレに襲撃の理由を聞いてくる。
なるほど……理由か……。
「男にはな……負けると分かっていても、やらなきゃいかん時があるんだ!! そんだけぇ!!」
その時……
ガシ
不意をついてマスターが拓に後ろからしがみつき、オレに向って叫んだ。
「い、今だぁ! 早乙女君! は、早く彼女にピーコをぉぉおおお!!」
「え? さ、早乙女君? ちょ……じゃあアナタが早乙女さんだったんですか!?」
くそっ!! 拓に正体がばれた!
だが今は……
オレは部屋の隅で固まっているピーコを素早く拾いあげ泣きボクロに差し出す。
「さあ! 行くんだ! ピーコを連れて逃げろ!」
が、突然の修羅場、あまりの出来事に泣きボクロは呆然とその場に座り込んでいた。
ちい!! 聞こえていないのか!?
「おい! 聞こえてるのか!? ピーコを連れて逃げるんだ!!」
オレは肩を揺らしながら再び泣きボクロに呼びかける。
ようやく我に返った泣きボクロはピーコを受け取り
「あ、あの……大丈夫ですか!? 誰か呼んだ方がいいんじゃないですか?」
そう言った。
「ええーい!! 余計なお世話だ!! 男に恥かかせるつもりか!? こんな時くらいカッコくらいつけさせてくれよ! 見ろ!」
オレは拓の後ろからしがみついているマスターを指差して言った。
マスターは必死にしがみつきながらも、泣きボクロへの視線を外さない……
斜め45度……自分がもっともかっこよく見える姿勢をこちら側に見せつけていた。
こんな窮地にも関わらず自分を魅せることをおろそかにしないとは……
ちょ、超ハードボイルド!
「見ろ! マスターはピーコを助ける為に必死に戦っているんだ! あれが真の男の姿だ!! 分かったらさっさと行け!!」
そう言い終えると、オレは泣きボクロに背中を向け再び拓の方へ向き直った。
「行くんですか?」
泣きボクロの心配そうな呼びかけ……
「言っただろ? 男にはやらねばならん時があるのさ」
そう言い残し、オレは拓とマスターの方へと駆け出した。
懐から探偵七つ道具の一つバールを取り出しながら……
「マスター!! そのまま押さえてろー!!」
BAR『ヨリミチ』にオレの咆哮が響きわたった。
トイレから飛び出したオレは叫びながら拓へと突っ込んでいった。
「マスターを離せー!」
マスターの胸ぐらを掴み、今まさに殴りかからんとしている拓に向ってオレは突進していった。
「え? え? な、なんですか!?」
ワケが分からないといった感じの拓はマスターから手を離し、オレの体当たりを寸前でかわした。
体当たりをよけられバランスを崩したオレはそのまま転倒し、受け身もとれずに派手に床に転がった。
「う……うう……」
「ちょ、ちょっと! なんなんですか!? マスターまで一体なんだっていうんです!?」
混乱した拓がオレに襲撃の理由を聞いてくる。
なるほど……理由か……。
「男にはな……負けると分かっていても、やらなきゃいかん時があるんだ!! そんだけぇ!!」
その時……
ガシ
不意をついてマスターが拓に後ろからしがみつき、オレに向って叫んだ。
「い、今だぁ! 早乙女君! は、早く彼女にピーコをぉぉおおお!!」
「え? さ、早乙女君? ちょ……じゃあアナタが早乙女さんだったんですか!?」
くそっ!! 拓に正体がばれた!
だが今は……
オレは部屋の隅で固まっているピーコを素早く拾いあげ泣きボクロに差し出す。
「さあ! 行くんだ! ピーコを連れて逃げろ!」
が、突然の修羅場、あまりの出来事に泣きボクロは呆然とその場に座り込んでいた。
ちい!! 聞こえていないのか!?
「おい! 聞こえてるのか!? ピーコを連れて逃げるんだ!!」
オレは肩を揺らしながら再び泣きボクロに呼びかける。
ようやく我に返った泣きボクロはピーコを受け取り
「あ、あの……大丈夫ですか!? 誰か呼んだ方がいいんじゃないですか?」
そう言った。
「ええーい!! 余計なお世話だ!! 男に恥かかせるつもりか!? こんな時くらいカッコくらいつけさせてくれよ! 見ろ!」
オレは拓の後ろからしがみついているマスターを指差して言った。
マスターは必死にしがみつきながらも、泣きボクロへの視線を外さない……
斜め45度……自分がもっともかっこよく見える姿勢をこちら側に見せつけていた。
こんな窮地にも関わらず自分を魅せることをおろそかにしないとは……
ちょ、超ハードボイルド!
「見ろ! マスターはピーコを助ける為に必死に戦っているんだ! あれが真の男の姿だ!! 分かったらさっさと行け!!」
そう言い終えると、オレは泣きボクロに背中を向け再び拓の方へ向き直った。
「行くんですか?」
泣きボクロの心配そうな呼びかけ……
「言っただろ? 男にはやらねばならん時があるのさ」
そう言い残し、オレは拓とマスターの方へと駆け出した。
懐から探偵七つ道具の一つバールを取り出しながら……
「マスター!! そのまま押さえてろー!!」
BAR『ヨリミチ』にオレの咆哮が響きわたった。
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